サウンドボルテックス
| タイトル | サウンドボルテックス |
|---|---|
| 画像 | SoundVortex_Cabinet.jpg |
| 画像サイズ | 320px |
| caption | 渦響アーカイブス初期筐体(光学レンズ付き) |
| ジャンル | リズム・ローグライトRPG(通称: 渦響リズムRPG) |
| 対応機種 | 光学筐体 / 家庭用量子端末 / VR補助ゴーグル |
| 開発元 | 渦響アーカイブス |
| 発売元 | 渦響アーカイブス |
| プロデューサー | 三波(みなみ)タマキ |
| ディレクター | 渡辺精一郎(わたなべ せいいちろう) |
| 音楽 | 渦響管弦計画(企画: 砂城ハル) |
| シリーズ | 渦響領域 |
| 発売日 | 2097年9月14日 |
| 対象年齢 | 15歳以上(施設推奨) |
| 売上本数 | 全世界累計124万本(光学筐体稼働分を含む) |
| その他 | 日本ゲーム大賞(総合演出部門)受賞 |
『サウンドボルテックス』(英: Sound Vortex、略称: SV)は、[[2097年]][[9月14日]]に[[日本]]の[[渦響アーカイブス]]から発売された[[光学筐体]]用[[コンピュータRPG]]。[[渦響領域]]の第1作目であり、同名の大衆文化を題材にした[[メディアミックス]]作品群を指す[1]。
概要[編集]
『サウンドボルテックス』は、音の“渦”を譜面として可視化し、プレイヤーの入力を音響魔術の発動条件として扱う[[コンピュータRPG]]である。プレイヤーは「旋回士(せんかいし)」として、敵の“静寂バリア”を破るために、光学レンズ筐体の周縁に出現する軌跡を追従するよう操作する[1]。
本作は施設側の導入が先行し、家庭用移植が後追いになった点が特徴である。渦響アーカイブスは、[[神奈川県]][[横浜市]]のデモ店舗において「音量ではなく“位相”で勝つ」という宣伝文句を掲げ、結果として音響機器メーカーの社員が客として行列を作ったとされる[2]。また、ストーリー面では後述の通り、同名のゲーム内勢力が現実の市民団体と“名前が似ている”ことから話題になった[3]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの中心は「渦譜(うずふ)」と呼ばれる入力パターンの可視化である。渦譜は3層構造で、手元側から順に「基底拍」「反転拍」「余韻拍」と呼ばれると説明された[4]。通常のタイミングゲームのように“当てる”だけでなく、判定に成功すると敵のHPではなく「位相残量」へダメージが計上されるため、プレイヤーは“音を聴き分けている感覚”を強く要求される[4]。
バトルは[[ローグライト]]型の進行で、各ステージは「音響回廊」として生成される。回廊内には「忘却鉱(ぼうきゃくこう)」と呼ばれるアイテムが散在し、一定量回収すると判定ウィンドウが拡張される。ただし、忘却鉱を多用すると後半で発生する“思い出し暴走”イベントが起動し、旋回士の入力が自動補正されすぎて失敗率が上がるなど、プレイヤーに葛藤を強いる設計とされた[5]。
対戦モードでは「共鳴裁定(きょうめいさいてい)」が採用された。両者の演奏結果を数値化せず、勝敗を“相手の沈黙を何回割ったか”で決める方式であるため、上級者同士では譜面研究よりも心理的駆け引きが重要になったとされる[6]。なお、オンライン対応は家庭用端末でのみ実装され、光学筐体ではオフライン大会用の統一プロファイルが配布された[7]。
システム上の細かな仕様として、成功判定は「±18ミリ秒」「±9ミリ秒」「±3ミリ秒」の3段階に分類され、さらに“余韻拍”のみ成功時に画面端へ風切り音が残る演出が追加されたと説明されている。開発資料では、この演出がプレイヤーの呼吸周期を同期させる副次効果を狙ったとされ、当時の広報は「計測班が走った」ことを示唆するコメントも残したとされる[8]。
ストーリー[編集]
物語は、音が自然現象として拡散しすぎた世界を舞台としている。各地の都市では「静寂が増える」現象が観測され、耳を塞ぐほどに周囲の出来事が“遅れて聞こえる”ようになったとされる[9]。主人公の旋回士は、渦響領域に伝わる“第一反転符(だいいち はんてんふ)”を再構成するため、音響回廊を巡ることになる。
第一反転符は、完成させるほどに現実の時間割が狂う副作用があるとされ、渦響領域の内部でも賛否が割れた。特に第2ステージボスの「薄膜審問官(はくまくしんもんかん)」は、“正確さ”を神として崇めるあまり位相残量を過剰に削り、味方を自滅へ追い込むよう誘導する存在として描かれた[10]。
また、各回廊の終端では「音の記録者(おとのきろくしゃ)」と呼ばれるNPCが現れ、プレイヤーの演奏傾向を“人格の欠片”として取り込む。取り込まれた欠片は後半の分岐に影響し、同じルートでもプレイヤーが自分の癖を認めたかどうかでストーリー文面が微妙に変化する仕様になっている[11]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公の旋回士は無名の職能者として扱われる一方、通信記録にのみ「第七旋回訓練生」といったタグが残る。これは開発者が「プレイヤーの過去ログを物語に接続する」設計思想を持っていたためとされる[12]。
仲間には「砂城ハル(すきしろ はる)」が挙げられる。砂城は渦響管弦計画の企画担当であり、作中では“余韻拍の翻訳者”として登場する。彼女の発言はやけに技術的で、会話のたびに「位相軸は右回りから1.3度ずれる」と数値で語るため、掲示板では「会話してるのに計測してる」と揶揄された[13]。
敵側の中心は「薄膜審問官」と、その配下である「無音運搬(むおんはこん)隊」。無音運搬隊は、音の代わりに沈黙の袋を運ぶという寓話的設定であるが、作中では沈黙の袋が人体の皮膚温度を奪う演出があり、施設運用上は“冷え対策”の注意書きが添えられたとされる[14]。なお、登場人物の一部は現実の行政区分([[東京都]]の“旧音響衛生課”など)に似せた名称になっているとの指摘もある[15]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の世界では「音響魔術(おんきょうまじゅつ)」が現代技術の延長として扱われる。特に“渦”は、自然界の対流現象を音に置き換えた概念として説明され、渦譜の3層(基底拍・反転拍・余韻拍)は音響魔術の呪式に対応するとされる[4]。
用語としては「位相残量」「静寂バリア」「第一反転符」「忘却鉱」が中核である。位相残量は、単なるHPではなく“正しい聴き取りを維持するためのリソース”として扱われるため、同じダメージ量でも、プレイヤーの判定が甘いと回復や分岐で不利になる仕様となっている[5]。
また、舞台となる「音響回廊」は各地に存在し、[[北海道]]の「苫小牧反響路(とまこまい はんきょうろ)」や、[[大阪府]][[大阪市]]の「生余韻高架(なまよいん こうか)」など、地名を想起させる名称が複数確認された[16]。これらは実在の都市伝承の“言い換え”である可能性があるとする意見もあり、編集者の一部は「地元の耳の良さを信じさせる仕掛けだ」とまとめた[17]。
開発/制作[編集]
渦響アーカイブスは、当時の[[東京都]][[文京区]]にあった試作工房で、光学レンズによる“位相推定”の研究を行っていたとされる。プロデューサーの三波タマキは、企画会議で「譜面は図形ではなく呼吸で読ませる」と発言し、ディレクターの渡辺精一郎がその方針をRPGの判定に落とし込んだと述べられた[18]。
制作経緯の中で特に有名なのが、開発の最中に行われた“逆再生大会”である。これは、BGMの波形を逆再生して提示し、プレイヤーがそれでも合格できるかを検証するイベントだった。結果は、達成率がわずかに高い層(全体の26.7%)が“上達した気がする”と回答した一方、残りは「音が嘘をつく」と泣き出したとされる[19]。この差が、余韻拍の演出に反映されたと説明されている。
スタッフ面では、音楽制作の渦響管弦計画が中心で、作曲は全員が同一の“位相聴取基準”を共有する方式が採用された。さらにプログラマーの林 玲央(はやし れお)は、入力遅延の補正に関して「フレームではなくミリ秒の丸めを固定する」実装を行い、初期ロットの不具合を劇的に減らしたとされる[20]。ただし、開発終盤に一部の家庭用端末で“余韻拍だけ判定がズレる”問題が出た際、調整担当が誤って「±9ミリ秒」を「±12ミリ秒」と入力していた可能性が指摘されている[21]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは『渦響・反転記譜集』としてまとめられ、全収録曲は73曲である。曲はBPMで分類されるのではなく、位相の“傾き”で並べ替えられていると説明された[22]。結果として、一般的なリズムゲーム感覚とは異なる聴き方が必要になり、ファンコミュニティでは「曲順が学習順」と呼ばれた。
また、各ステージのBGMには“静寂を削る倍音”が埋め込まれているとして、専門家の間で議論になった。[[愛知県]][[名古屋市]]で実施された試聴会では、参加者の心拍がステージ終端で平均して0.6%上昇したという報告が出たが、因果関係は慎重に扱われた[23]。なお、初期版ではボーカル曲にのみ“謝罪のコーラス”が入っていたとされ、これが後に差し替えられた経緯がある[24]。
家庭用向けの追加曲(合計14曲)では、オンライン対戦の共鳴裁定と同期する“応答音”が実装され、プレイヤーの成功時にだけ短いフレーズが重なる仕掛けが導入された[7]。ファミ通風のレビューでは「音楽がラスボス」と評されたとされる[25]。
他機種版/移植版[編集]
光学筐体版の後に、家庭用量子端末向けとして『SV:Home Circuit』が発売された。移植では入力補正が最適化され、判定が安定した一方で、演出の一部(余韻拍の端風演出)が簡略化されたとされる[26]。
VR補助ゴーグル版では、渦譜が立体的に浮かび、プレイヤーは“上から見て合わせる”ことになる。開発側はこれを「上位互換」ではなく「別の聴取訓練」と位置づけた。ただし、VR版は一部のユーザーが酔いやすいと報告し、公式には“傾き許容範囲”を緩めるパッチが複数出された[27]。
一方で、古い家庭用端末では読み込みが遅くなる現象があり、舞台の音響回廊が初期に生成される順番が乱れることが判明した。これにより、ストーリー文面が同一条件でも変化するという、いわゆる“微分岐バグ”が起きたとされる[28]。
評価(売上)[編集]
発売初月の稼働数は、渦響アーカイブスの発表では全体の18,400台に達したとされる。続く半年で全世界累計124万本(筐体稼働換算を含む)を突破し、国内ではミリオンセラーを記録したと報じられた[29]。
批評面では、演出の熱量が高い一方で“RPGとしての育成が見えづらい”という声があった。特に忘却鉱を多用すると分岐が崩れる設計が、初心者には理不尽に見えることが問題視された。しかし、上級者の間では「渦譜は譜面ではなく診断テストだ」として肯定的に受け止められた[30]。
日本ゲーム大賞では総合演出部門を受賞し、選考理由として「音の可視化と物語分岐の連動が新規性を持つ」と記されたとされる[31]。もっとも、後年の編集者による回顧では「受賞したのは演出だけでなく、施設運用の工夫が評価された可能性もある」と補足されている[32]。
関連作品[編集]
関連作品としては、ゲーム内組織を題材にした[[アニメ]]『渦響領域:反転学習編』が挙げられる。全12話で、余韻拍の翻訳者である砂城ハルが主人公格として描かれた[33]。
また、小説『位相残量の計測者たち』や漫画『忘却鉱の財布』など、育成要素を経済学・心理学に寄せたメディアミックスが続いた。さらに、ファン制作の“渦譜講義”動画が大量に投稿され、公式サイトが二次利用ガイドラインを先に整備したとされる[34]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本『サウンドボルテックス 渦譜全集 第1巻』は、ステージ番号と位相軸の対応表を中心に構成され、発売から2週間で増刷されたとされる[35]。続刊では、余韻拍の演出が与える“聴取姿勢”の推奨が図解され、ユーザーの間で議論を呼んだ。
書籍『反転符の作り方:家庭用端末での誤差処理』では、入力補正の丸め手法が解説され、「±3ミリ秒を狙うなら椅子の硬さを変えろ」といった過激な提案も掲載された[36]。さらに、公式が出したCD『渦響・反転記譜集(ボーナス余韻音声付き)』は、各曲のエンディングに短いガイド音声を収め、施設導入の訓練用として利用された[37]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 三波タマキ『Sound Vortex 公式フィールドガイド:渦譜の読み方』渦響アーカイブス出版, 2100.
- ^ 渡辺精一郎「位相補正とRPG判定の連動設計」『日本インタラクティブゲーム学会誌』第12巻第3号, pp. 41-58, 2099.
- ^ 林玲央『ミリ秒で丸める:入力遅延実装の実務』朝霧ソフトウェア, 2101.
- ^ 砂城ハル「余韻拍の翻訳:音響魔術をBGMに折り込む」『サウンド技術研究』Vol. 28 No. 1, pp. 9-27, 2098.
- ^ 山川俊哉「施設運用先行型タイトルの社会受容」『ゲーム産業年報』第6巻第2号, pp. 110-133, 2102.
- ^ M. Thornton, J. Kuroda, et al. “Phase-Locked Rhythm RPGs and Player Breathing Synchrony” 『Journal of Applied Audio Games』Vol. 4 Iss. 2, pp. 77-101, 2100.
- ^ S. Alvarez “Online Adjudication via Silence Metrics in Competitive Rhythm Systems” 『International Review of Game Sound』Vol. 9 No. 4, pp. 201-219, 2099.
- ^ 高原咲「誤差分岐バグの統計的再現性(要出典)」『コンピュータ演出研究』第3巻第7号, pp. 300-315, 2103.
- ^ ファミ通編集部『渦響領域:総合演出部門の勝因分析(推定)』角灯社, 2098.
- ^ 渦響アーカイブス『渦響・反転記譜集(楽曲別位相傾き表)』渦響アーカイブス出版, 2097.
外部リンク
- 渦響アーカイブス 公式サウンド資料室
- 渦譜学会(Phase Folio)
- 横浜・反響回廊デモレポート
- 家庭用端末パッチ履歴保管庫
- 日本ゲーム大賞 受賞アーカイブ