『サラブレッドブリーダー2』
| タイトル | サラブレッドブリーダー2 |
|---|---|
| 画像 | SBB2_title.jpg |
| 画像サイズ | 280px |
| キャプション | 育成厩舎と系譜盤面(画面合成) |
| ジャンル | ハンティング・育成ロールプレイングゲーム |
| 対応機種 | プレイステーション |
| 開発元 | 株式会社トロット研究所 |
| 発売元 | ブリードウェーブ・エンタテインメント |
| 音楽 | 楓原ユイチ/音楽工房カクテルリズム |
| その他 | 通称: SBB2、略: 競走系譜RPG |
『サラブレッドブリーダー2』(英: Sarubureddo Breeder 2、略称: SBB2)は、[[1997年]][[12月3日]]に[[日本]]の[[株式会社トロット研究所]]から発売された[[プレイステーション]]用[[コンピュータRPG]]。[[サラブレッドブリーダー]]シリーズの第2作目である[1]。
概要[編集]
『サラブレッドブリーダー2』は、競走馬の系譜を「遺伝」ではなく「気象・運命・小さな嘘」で組み替える育成ロールプレイングゲームとして知られている。プレイヤーは[[系譜監査官]]として、厩舎の再建と繁殖計画の立案を通じて、架空の[[競走都市]]を救う役目を負う。
本作の特徴として、繁殖結果が単なる数値成長に留まらず、馬の性格・癖・“走り方の癖”が系譜盤面から発生する仕組みが挙げられる。とくに、前作の「勝ち癖」システムを拡張し、[[トロット理論]]に基づく新たな「嘘の継承」イベントが追加されたとされる[2]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
プレイヤーは[[厩舎]]を経営することで繁殖と調教を進行させ、レースは[[ハンティングアクション]]の要領で“気配”を追う形式で描画される。馬がスタート直後に見せる微振動(ゲーム内では「鼓動偏差」と呼ばれる)が、次の1ターンの行動選択に影響するため、単純な殴り合いではなく読み合いが要求される。
ゲームシステムの特徴として、繁殖の入力は「配合」ではなく「儀礼コード(3桁)」とされる。儀礼コードは、系譜盤面の空白マスを埋めるための鍵であり、理論上はどの組み合わせでも成功しうる。ただし実際には、成功率が“馬体重”ではなく“紙の記録密度”で決まると説明される点が変わっている。開発資料では「馬体の重さより帳簿の重さが未来を縛る」との趣旨が記されている[3]。
戦闘面では、レース中に発生する小競り合いをミニゲームとして処理する。「先読みウィンドウ」内に入力したコマンドが、[[スタミナ]]ではなく「嘘耐性」に作用するため、プレイヤーは“勝たせる嘘”の量を調整する必要があるとされる。さらに協力プレイとして、[[厩舎同盟]]モードでは他プレイヤーの系譜盤面を一部共有し、共同で「嘘の系譜」を完成させることができる。
なお、オンライン対応は正式には「対応したことがある」と曖昧に表現される。家庭用ネットワーク環境が限定的だった時代背景により、実装は期間限定の[[回廊サーバ]]に依存したと報じられている[4]。オフラインでも育成は完結するため、救済措置として「系譜バックアップカード」が配布されたともされる。
ストーリー[編集]
物語は、競走都市[[ポート・ヴァルキリー]]が“記録の改竄”により動揺するところから始まる。系譜盤面の整合性が崩れると、馬が同じレースを夢の中で繰り返し、勝っても意味を失う。そこで主人公は、[[系譜監査官]]として“未来のログ”を修復するため、繁殖計画と調教を再編する。
シナリオの推進には、月ごとの「嘘の季節」が関係する。第2章では、[[霧月]](きりづき)のイベントで雨量が規定値を超えると、馬が自らの出生年を「盛る」現象が起こり、これがレア個体の出現条件として扱われる。説明書では「盛ることは罪ではない。盛った者だけが次の速度を語れる」といった文言が掲載されたとされる[5]。
終盤では、主人公は[[暁の系譜裁判所]]へ呼び出され、勝利の記録が“誰の嘘でできていたか”を問われる。最終レースに勝っても世界が救われない場合があるという複数エンディング仕様が採用されており、救済条件として「系譜の沈黙(セーブデータ内の空白)」を埋める必要があると説明された。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は無名の[[系譜監査官]]であり、厩舎の机上に貼り付けられた“審査用シール”を通じて馬たちと対話する設定である。対話は会話ウィンドウではなく、系譜盤面の選択肢として実装され、正しさよりも「継がせる」ことが重視される。
仲間には、[[調教官]]の[[渡瀬レン]]と、帳簿を食べることで記録密度を調整する奇習を持つ[[老記録係]]の[[ガブリエル・モーリス]]がいる。渡瀬レンは「嘘の温度」を測る道具として携帯[[温湿計]]を常備しているとされ、温度が高いほど“勝ち筋が曖昧になる”ため、プレイヤーに慎重な管理を促す[6]。
敵対勢力としては、改竄を正義として掲げる[[暁協同組合]]が登場する。彼らは「勝利は数字ではない」と主張し、勝利の数だけ嘘を削り取っていく。ただし、彼らの目的が単なる悪ではなく、記録が崩れた世界の“逃げ道”を確保するためであったことが、終盤の資料で示唆される。
用語・世界観/設定[編集]
本作の世界観では、馬の能力は[[血統]]ではなく「系譜盤面上の余白の量」で決まるとされる。余白が多いほど未来が曖昧になり、レース中の行動が増えるが、同時に“勝利の意味”も揺らぐ仕様である。
[[トロット理論]]は、ポート・ヴァルキリーの学術機関[[国立走時学研究所]]がまとめたとされる理論で、鼓動偏差・視線誘導・呼吸リズムを「3点連立」で扱う。なお、理論の核心が「嘘は速度を生む」という比喩であることから、倫理委員会がたびたび召集されたと記録されている[7]。
レースの勝敗は[[速度]]だけでなく[[嘘耐性]]によって補正される。嘘耐性が高い馬は、プレイヤーが入力した儀礼コードに対して“現実側の記録”を優先し、勝ち筋を安定させる。一方で、嘘耐性が低い馬は盛られた出生年に引きずられ、予測困難な走りを見せると説明される。
また、ゲーム内通貨は[[糸玉札]]であり、これが繁殖の追加儀礼を引き当てる鍵になる。糸玉札は針のように細く、光に弱いとされるため、保管は[[日陰金庫]]が推奨されるという、ゲームとしては妙に生活感のある設定も特徴である。
開発/制作[編集]
本作の制作経緯については、[[株式会社トロット研究所]]が「育成は数値ではなく文章である」という社内スローガンを掲げていたことがインタビューで言及されている。特に、当時のディレクター[[細波ミツオ]]は、系譜盤面を“紙芝居の脚本”に見立てたと語ったとされる[8]。
スタッフには、デザイン担当の[[天宮サヨリ]]、プログラマーの[[李海州]]、音楽の[[楓原ユイチ]]が参加したとされる。開発環境は「通称:サブレベル・コンパイラ」と呼ばれ、系譜イベントを文章データとして先に生成し、その後にゲーム用の分岐へ変換する方式が取られたと報告されている。
発売日である[[1997年]][[12月3日]]には、[[ブリードウェーブ・エンタテインメント]]が東京の複数会場で配布キャンペーンを行ったとされる。配布物は“調教用小冊子”とされているが、内容は繁殖計算式ではなく、恋文のような短文が100行以上掲載されていたとファンが記憶している[9]。この小冊子は後に攻略本へ流用されたとも噂される。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは、レースの緊張をドラムではなく馬の呼吸を模した低域パーカッションで表す方向性が取られたとされる。収録曲には「霧月カデンツァ」「帳簿の重さ」「暁の系譜判決」「糸玉札の行進」などが含まれる。
特筆すべき点として、曲ごとに“鼓動偏差”の推定値が紐づけられている。プレイヤーが特定の曲を聴きながらゲームを起動すると、メモリ上の補正値が変化し、同じ配合でも結果が揺れると説明された。実際の効果については議論が残るものの、当時のサウンドスタッフは「音は乱数を抱く」と真顔で語ったという[10]。
なお、最終レースで流れる「判決ブルース(7/8拍)」は不評であったとされるが、のちにライブアレンジとして評価が改められた。ファミリー向けに聞きやすくするため、コーラス部分に“馬名の韻”が仕込まれているとされる。
他機種版/移植版[編集]
本作は、発売から2年後に非公式移植として[[PC-BIO]]向けパッチが出回ったとされる。ただし、ゲーム本編の分岐テーブルを改変しているため、ストーリーの一部が書き換わる危険があると注意喚起されたという。
その後、正式な移植として[[バーチャルコンソール]]対応が発表されたが、ここで“系譜盤面の解像度”が調整された結果、儀礼コードの成功率が微妙に変動したと報告されている。ユーザーの検証では、成功率にして約0.8%の揺れが見られたとされ、開発側は「画面の粒子が読心術に影響しただけ」と説明したとされる[11]。
さらに、携帯機向けの廉価版として「SBB2ポケット系譜」が計画されたが、最終的に発売は見送られた。代わりに、系譜盤面の一部だけがミニゲームとして収録されたという形が取られたとされる。
評価(売上)[編集]
発売初週での販売本数は公表されていないものの、店頭抽選を経て全国で配布された“系譜鑑定パス”の回収数から、[[全世界累計]]で約120万本が到達したと推定される[12]。ただし、この推定には「パスの回収率は平均63%」という前提が置かれており、計算過程がブログで広まったために、逆に信憑性が揺らいだ。
その一方で、雑誌媒体では「育成RPGとしての没入感が異常」として高評価が集まり、[[日本ゲーム大賞]]の“演出設計部門”に相当する賞を受けたと報じられている。ファミ通系の企画でも、[[ファミ通クロスレビューゴールド]]相当の点数を獲得したとされ、結果的にミリオンセラー扱いが固定化した。
批評では、数値の説明が不足している点がたびたび指摘される。特に、嘘耐性の説明に関して「要するに気分である」と表現したレビューもあり、これが後の公式説明文に影響したとする編集者の回顧談が残っている。
関連作品[編集]
本作の関連作品として、前作の[[サラブレッドブリーダー]](第1作目)が挙げられる。前作では系譜の改竄が小規模に扱われたが、本作では「嘘の季節」や[[暁の系譜裁判所]]といった大掛かりな舞台へ拡張されたとされる。
また、シリーズ外伝として、馬の“夢”だけを追跡する絵本形式の[[冒険ゲームブック]]『糸玉札の夜更け』が出版された。さらに、テレビアニメ化として『サラブレッドブリーダー2—霧月の裁定—』が放送されたとされるが、放送局や放送期間の情報は断片的であり、ファンコミュニティでは「見た人だけが嘘を信じる」と語られる[13]。
音楽面では、楓原ユイチのソロアルバム『判決ブルース・コンプリート』が関連作として扱われることが多い。なお、このアルバムの一部収録曲がゲーム内のイベント曲と似た構造を持つと指摘されている。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては『サラブレッドブリーダー2 完全系譜読解ガイド』が発売された。判定の行い方として「嘘の温度を計測しろ」という章立てが存在し、温湿計の読み方がゲーム攻略に直結している点が話題となった。
また、書籍では『ポート・ヴァルキリー帳簿文学—嘘耐性の誕生—』が出版されたとされる。これは国立走時学研究所の研究ノートを“文学化した”体裁と説明されており、本文中に架空の論文が引用されているため、読者が「出典の出典はどこ?」と混乱したという[14]。
その他の商品として、開発元が配布した“儀礼コードカード”が市場で取引されている。カードは公式には非売品とされるが、オークションでは1枚あたり2,000円前後で推移したと記録されている。なお、その相場は季節で上下し、霧月の前後が最も高騰したとも報告される。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 細波ミツオ『系譜盤面の設計思想:SBB2の場合』トロット研究所出版, 1998.
- ^ 楓原ユイチ『判決ブルースと鼓動偏差』音楽工房カクテルリズム, 1999.
- ^ 天宮サヨリ『帳簿は嘘を育てる:育成RPGの文章分岐』ブリードウェーブ・プレス, 2000.
- ^ 李海州「儀礼コード(3桁)の成功率補正について」『月刊シミュレーション工学』第12巻第4号, 1997, pp. 41-58.
- ^ 渡瀬レン「霧月イベントにおける出生年の盛り挙動」『走時学通信』Vol.3 No.1, 1998, pp. 9-22.
- ^ Gabriele Maurice「Liedgers and Lies in Port Valkyrie」『Journal of Fictional Breeding Mechanics』Vol.7 Issue2, 1999, pp. 113-130.
- ^ 国立走時学研究所編『記録密度と速度の関係—余白モデル—』第◯巻第◯号, 2001.
- ^ 編集部「サラブレッドブリーダー2 ミリオンの根拠」『ゲーム通信』第45号, 1998, pp. 15-28.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー(仮)黄金殿堂:SBB2』ファミ通クロス編集室, 1998.
- ^ 細波ミツオ『嘘耐性の実装と倫理—要出典の章』トロット研究所出版, 2002.
外部リンク
- トロット研究所 公式系譜ページ
- ブリードウェーブ・エンタテインメント ゲームアーカイブ
- ポート・ヴァルキリー 霧月データベース
- SBB2系譜解析コミュニティ
- 楓原ユイチ 判決ブルース 特設