チャーハンつくるよ!DS
| タイトル | チャーハンつくるよ!DS |
|---|---|
| 画像 | 架空のパッケージイラスト(湯気と米粒の紋章) |
| 画像サイズ | 320x240px |
| caption | 『チャーハンつくるよ!DS』のジャケット。湯気が“敵のシンボル”として描かれている |
| ジャンル | アクションRPG(調理パフォーマンス型) |
| 対応機種 | ニンテンドーDS |
| 開発元 | 湯気ソフトウェア研究所 |
| 発売元 | 株式会社チャーハン・ドリームカンパニー |
| プロデューサー | 鴨下 鉄弥 |
| 音楽 | 瀧場 そよ香 |
『チャーハンつくるよ!DS』(英: Fried Rice, Let's Make It! DS、略称: CHR-DS)は、[[2011年]][[12月15日]]に[[日本]]の[[湯気ソフトウェア研究所]]から発売された[[ニンテンドーDS]]用[[コンピュータRPG]]。[[チャーハンつくるよ!シリーズ]]の第2作目であり、同作は「炒める所作」を題材にした[[メディアミックス]]作品群の名称でもある[1]。
概要/概説[編集]
『チャーハンつくるよ!DS』は、プレイヤーが“フライパンの冒険者”として米と具材を仕上げていく[[コンピュータRPG]]である。表面上は料理ゲームに分類されるが、実際には[[燃焼ゲージ]]や[[香りレベル]]が戦闘と同じ頻度で増減する調理パフォーマンス型システムが特徴とされる[1]。
本作が注目された理由は、[[タッチペン]]での“刻む動作”が単なる操作に留まらず、敵キャラクターの行動アルゴリズム(混ぜ不足・火加減不足)に直結していた点にある。開発側は「炒めは祈りであり、祈りは乱数を曲げる」とキャッチコピーに掲げた[2]。
なお、シリーズの第1作目で確立された「具材を“倒す”」という比喩は、同作でさらに拡張され、筐体内部の時計を参照する“昼めし神話ルール”が追加されたとされる。ここで言う昼めしとは、実在の概念ではなく、架空の調理暦として流通した“おひる前”の時間帯である[3]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
プレイヤーは[[主人公]]として[[羽根屋ミツル]]を操作し、[[ミニマップ]]上に現れる“香りの渦”を追いかけながら調理拠点を攻略する。料理工程は[[HP]]ではなく、米の状態を示す[[パリッ度]]と、具材の水分を示す[[潤い指数]]の2軸で進行する。両者が一定範囲から外れると「焦げターン」または「水っぽいターン」に移行し、敵の攻撃が強化される仕組みとされた[4]。
戦闘は通常のRPG同様にターン制であるが、入力は“混ぜる”“押し付ける”“返す”といった所作に置き換えられている。具体的には、画面下部の[[フライパン盤面]]で、タッチペンの軌跡が1秒あたり平均18.7ポイントの“往復量”として計測される。開発資料ではこの往復量が「焦げを生む閾値」に関係し、一定以上で[[香味チェイン]]が発生する、と説明された[5]。
アイテムは調味料の形で提供されるが、効果が数値化されている点が当時のファミ通読者に刺さったとされる。たとえば[[塩の守り札]]は命中率ではなく「水分放出率 +12%(ただし雨天補正あり)」として扱われる。ここでの雨天補正は、実測天候ではなく、DS本体の内蔵センサーが“湯気の湿度”として誤判定する現象を起源に持つとされる[6]。
対戦モードは“湯気の奪い合い”として実装されており、ローカル通信で最大2人が同じレシピ草案を共有する。相手より先に[[香りレベル]]を上げると勝利するが、香りが上がりすぎると“超高香ゲージ”が敵として出現し、逆転が起こる仕様であった[2]。
オフラインモードでは、1日1回だけ“回想レシピ”が解放される。開発当時の社内検証メモでは「回想は合計で47種類、確率は0.021(n=1000)」と記録されているとされ、ゲーム雑誌で引用されて一種の都市伝説になった[7]。
ストーリー[編集]
物語は、米の精霊が住む[[炊き込み王国]]が、火の魔導師[[バーナー卿]]により“炒め禁止”にされる事件から始まる。プレイヤーは禁書を取り戻すため、港町の[[横浜湯香街]]や、地下厨房の[[味噌トンネル]]を渡り歩くことになる[8]。
各章では、調理がそのまま“呪い解除の儀式”として描かれる。たとえば第3章の[[沈黙の玉ねぎ]]では、刻んだ回数が規定値に届かない場合、具材が妖精のように回避行動をとる。これは“刻み不足=意思不足”という世界観設定に基づくとされるが、実際には開発が目指した学習曲線の都合であるとも報じられた[9]。
また終盤では、最終ボス[[焦げの大司教]]が「チャーハンとは、味を混ぜるのではない。時間を混ぜるのだ」と語り、昼めし神話ルールが現実の時間に干渉したかのような演出が入る。この演出の技術的根拠は明示されず、“なぜDSがそんなことを?”と発売当時に議論となった[3]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公の[[羽根屋ミツル]]は、料理の腕前より先に“湯気を読める”という設定で知られる。彼は幼少期に[[築地湯気消防署]]の訓練を見学しており、その時に覚えた避難合図が刻み操作のリズムになっているとされる[10]。
仲間には、卵の知性体[[トロリナ]]、しょうゆ職人の[[黒船カメ太]]、そして米粒の詩人[[粒都(りつ)モチコ]]がいる。トロリナは「半熟は守り、固茹では攻め」と断言するが、ゲーム内ではその言葉が“潤い指数”の増減として反映される。開発者インタビューでは、これがなぜか卵焼きの方言研究から生まれたと語られ、出典として“ノート1冊”が挙げられた[6]。
敵側では、具材が不本意な形で暴走する[[水害キャベンツ]]や、香りだけを追いかける[[鼻先バクテリア]]など、化学的な語感のネーミングが多い。一方で最終ボスの[[焦げの大司教]]は宗教団体“[[焦げ同盟]]”の影として登場し、倒すと炊飯儀式の合唱ボーナスが解放されるとされる[8]。
敵の行動はプレイヤーの調理スタイルによって変化し、“焦げターンに入る回数”が一定以上になると敵が[[返し待ち]]戦術を採用する。プレイヤーの癖が学習されるように見えたため、掲示板では「ゲームが上手い人を嫌っている」とまで言われた[5]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観の中心概念である[[湯気]]は、単なる蒸気ではなく“意志の媒介”として定義される。開発資料では、湯気は「熱でも水でもなく、入力された手つきが結晶化したもの」と書かれており、理系のライターが読んで本気で引用したという逸話がある[2]。
戦闘で用いられる[[香りレベル]]は、具材の組み合わせだけでなく、ミニゲームの軌跡でも上下する。具体的には、一定のリズムで混ぜた回数が累積されると、香りが“連鎖”し、敵の[[回避率]]が低下する。一方で香りが高すぎると敵が寄ってくるため、プレイヤーは攻めと隠れを同時に行う必要がある、とされる[4]。
また[[昼めし神話ルール]]は、DS内部時計をもとに“おひる前”と“おひる後”を判定し、同じレシピでも演出が変わる仕組みとして紹介された。実在の気象ではなく、ゲーム内湯気学に基づく暦として扱われる。なお、攻略本では「おひる前は平均で18分」と記されており、妙に細かい数字として当時話題になった[7]。
用語としては、具材暴走の原因を[[水分呪]]と呼ぶ。水分呪は、刻み不足や冷まし不足で“具材の記憶が曇る”ことで発生するとされ、プレイヤーは[[熱戻し]]を行って浄化する。ここでは理屈が不明確なまま進むが、それが“料理の感覚”に寄せた演出だと解釈されている[9]。
開発/制作[編集]
本作の制作経緯は、湯気ソフトウェア研究所が[[湯気センサー]]の共同研究を行っていたことに由来するとされる。ただし、研究所の公式発表は少なく、ゲーム内の挙動が“実際の湯気”ではなく“プレイヤーの手つき”に反応している点が後に指摘された[6]。
プロジェクトは2009年の秋に開始され、設計の核として「料理を攻略可能な言語にする」方針が掲げられた。ディレクターの[[小田切ユウ]]は「チャーハンは最短距離で失敗するゲームである」と述べ、失敗時の演出をあえて増やした結果、学習が早い層と遅い層で評価が分かれたとされる[5]。
スタッフの一部には、元・地方局の料理番組制作班が参加していたと噂される。具体的には、[[瀧場 そよ香]]が音楽で“湯気の残響”を表現したという説があり、効果音に米を炒めるときの周波数帯(推定3.6kHz)が混ぜられたとする回覧メモが残っている[2]。
制作上の課題は、タッチ操作の反復が疲労に直結する点であった。対策として、一定回数以上で“湯気の回復ボーナス”が入る仕様が追加され、結果として操作負荷とゲーム性のバランスが改善されたとされる。ただし一方で、回復ボーナスが発動する条件が明示されず、攻略サイトで推定が乱立した[7]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
本作の音楽は、[[瀧場 そよ香]]が担当し、“炒め音をリズム化する”方針がとられた。公式に収録されたトラックは全32曲で、うち21曲がゲーム進行に連動してテンポが変化する形式だったとされる[2]。
特に有名なのは、最終ボス戦の[[『焦げの大司教礼拝曲』]]である。曲名は宗教用語だが、作中では料理の失敗を“祈り”に変えるためのBGMとして使われ、焦げターンに入ると合唱が一段階だけ遅れて入る。これが“遅れて聞こえる人ほど成功率が上がる”と体感され、プレイヤーの間で不可解なジンクスとなった[4]。
またステージ曲には、横浜湯香街を模した[[『港の油断しない夜』]]がある。曲の終盤にだけ雨音のSEが挿入されるが、雨が降っていない環境でも鳴るため「DSが雨を覚えている」と評された[8]。
評価(売上)[編集]
発売初週の出荷は約28万本とされ、のちに[[日本ゲーム大賞]]の関連企画で「ミリオン級の立ち上がり」と評された。最終的に全世界累計は約117万本を突破し、ニンテンドーDS末期でも安定して在庫が消化された、と報じられている[11]。
評価では賛否が割れた。好評面としては、料理工程を“戦闘のリズム”として再設計した点が評価され、ファミ通クロスレビューでゴールド殿堂入りとなった。しかし批判では、タッチ操作の学習が必要であり、上級者ほど勝ち筋が増える構造だと指摘された[5]。
売上の背景としては、発売日に合わせた“湯気カレンダー配布キャンペーン”が挙げられる。配布物は公式サイトではなく[[横浜湯香街]]の商店会掲示板経由で配られたとされ、ユーザーが迷子になりつつも話題になった[9]。
関連作品[編集]
関連作品としては、同シリーズの第1作目である[[チャーハンつくるよ!起動編]]と、第3作目の[[チャーハンつくるよ!蒸し返しDS]]が知られる。第3作目では“火を消す”行為が攻撃になり、チャーハンの逆転格として扱われたとされる[3]。
メディアミックスとしては、[[テレビアニメ]]『湯気の冒険団!チャーハンつくるよ!』が放送された。作中では[[羽根屋ミツル]]が毎回、刻みの口上を言ってからフライパンに触れるが、その口上が視聴者投稿から作られたという設定がある。なお、原案は実在の公募ではなく、企画書に添付された詩の束だとされ、編集部が苦笑したという[10]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては[[『チャーハンつくるよ!DS レシピ完全踏破ガイド』]](通称:踏破ガイド)が発売された。内容はレベル表ではなく、具体的な動作回数(例:刻み17回で「沈黙の玉ねぎ」回避)を掲載しており、プレイヤーは“カウント遊び”にのめり込んだとされる[7]。
関連書籍では、料理文化史の体裁を取った[[『湯気学入門:香りレベルの数学』]]がヒットした。著者は[[国立湯気工学研究所]]の前研究員として紹介されているが、実名の経歴が一部曖昧であると指摘された。また、同書では“雨天補正”を物理で説明しようとしているため、読者から「理屈が先で米が後」と評されることもあった[6]。
その他としては、オリジナル音源を収録した[[『焦げの大司教礼拝曲(合唱版)』]]や、携帯用フライパン型キーホルダーが販売されている。キーホルダーは“湯気を押し出す”形状を模したとされるが、購入者の間で反復押下がなぜかゲームの気分転換に効くと語られた[8]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 鴨下 鉄弥「『チャーハンつくるよ!DS』における香りレベル連動モデル」『ゲーム調理研究』Vol.12 No.4 pp.55-78, 2012.
- ^ 瀧場 そよ香「湯気の残響:炒め音の周波数帯設計」『サウンド・プロセス工学』第6巻第2号 pp.101-118, 2013.
- ^ 小田切ユウ「失敗を設計する:調理パフォーマンスRPGの学習曲線」『インタラクティブ・エンタメ論集』Vol.7 pp.23-40, 2011.
- ^ 国立湯気工学研究所編『湯気学入門:香りレベルの数学』湯気出版社, 2014.
- ^ 佐伯 メイ「雨天補正は存在するのか:DS内部時計と誤判定の統計」『日本ゲームデータ学会誌』第19巻第1号 pp.9-27, 2013.
- ^ 株式会社チャーハン・ドリームカンパニー『チャーハンつくるよ!DS 開発資料集(社内秘控)』非公開資料, 2010.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー』編集部「総合評価:チャーハンつくるよ!DS」『週刊ファミ通』2012年3月1日号 pp.112-119, 2012.
- ^ 横浜湯香街商店会「昼めし神話ルールの地域実装報告」『地域メディア運用年報』第3巻 pp.77-86, 2012.
- ^ 『日本ゲーム大賞』運営委員会『第15回日本ゲーム大賞 審査総評(調理系の部)』日本ゲーム大賞事務局, 2012.
- ^ Margaret A. Thornton「Gesture-Based Cooking Rituals in Handheld RPGs」『Journal of Playful Mechanics』Vol.28 No.3 pp.201-219, 2013.
外部リンク
- 湯気ソフトウェア研究所アーカイブ
- チャーハン・ドリームカンパニー 公式レシピ掲示板
- 踏破ガイド資料室
- 横浜湯香街 公式“昼めし”案内
- 焦げ同盟 解説ページ