ドドドドドラエモン
| タイトル | ドドドドドラエモン |
|---|---|
| ジャンル | 少年漫画、ファンタジー、海洋冒険、ギャグ |
| 作者 | 三浦 恒一 |
| 出版社 | 集英社 |
| 掲載誌 | 週刊少年ジャンプ |
| レーベル | ジャンプ・コミックス |
| 開始号 | 1987年38号 |
| 終了号 | 1992年12号 |
| 巻数 | 全21巻 |
| 話数 | 全187話 |
『ドドドドドラエモン』(どどどどどらえもん、英: Dododobodoraemon)は、によるの。『』()において、38号から12号まで連載された[1]。累計発行部数はを突破したとされる[2]。略称は「ドドラ」である。
概要[編集]
『ドドドドドラエモン』は、後半から初頭にかけてで連載されたを題材とする冒険活劇である。巨大なクジラ型潜水艦「」を舞台に、主人公のと、全長12メートルの青い機械生命体が、からまでを股にかけて「鳴き声の宝」を追う物語として知られている。
作中では、毎回の事件の解決に際して「ドドド」と3回ではなく5回鳴る警報音が重要な意味を持つとされ、連載当時の読者アンケートでは「擬音が多すぎるが勢いがある」として賛否が分かれた[3]。一方で、子ども向けの海洋科学入門としても評価され、の公開講座で教材に用いられた例があるとされる[4]。
制作背景[編集]
連載開始までの経緯[編集]
作者のは、もともとの港湾向け広告会社で機械イラストを担当していたが、1985年の冬にで見た冷却コンテナの異常な振動から着想を得たとされる。本人の回想によれば、コンテナの警報音が「ド、ド、ド、ド、ド」と連続して鳴り、その拍動に合わせて青いロボットの輪郭が頭の中に立ち上がったという[5]。
その後、の新人賞に投稿した8ページ読み切り『五回鳴る海』が佳作に入り、編集部のが「海の底にいるのに妙に家庭的である」と評価したことから長期連載案が動き始めた。なお、企画会議ではタイトル候補として『ドドドドラメカ』『海底の青い便利屋』などが挙がったが、最終的には擬音の過剰さが逆に記憶に残るとして現題に落ち着いたとされる。
作者の着想[編集]
三浦は、作品の「未来の道具」の発想を下敷きにしつつ、当時社会問題化していたの海洋汚染、密輸、沿岸漁業の衰退を子どもにも理解しやすい形に置き換えることを狙ったという。また、ドラエモンの装備の多くは、家電量販店の展示品と港湾クレーンの動作原理を混ぜて考案されたとされる[6]。
連載初期は、主人公よりもドラエモンの機械整備パートが異様に長く、3話連続でネジ締めが主題だったため、編集部から「少年誌としては渋すぎる」と指摘があった。しかし第1章で海底神殿が出現して以降、バトル・ギャグ・お涙頂戴の比率が安定し、以後は『週刊少年ジャンプ』の中でも異色の“港湾ファンタジー”として定着した。
あらすじ[編集]
黒潮到来編(1巻 - 3巻)[編集]
小学5年生のは、の漁港で拾った錆びた起動キーを海中に投げ込んだことから、機械生命体ドラエモンを目覚めさせる。ドラエモンは未来の港湾文明「」から来たと名乗り、コウに対し、海底で行方不明になった父の痕跡を追う旅を提案する。
この編では、コウが初めて「潮の記憶」を読み取る能力に覚醒し、沖で黒潮の中に沈む古代灯台を発見する。終盤、灯台の内部に眠っていた巨大な潮位計が誤作動し、の海面が1.7メートル上昇したかに見える事件が描かれる。
竜骨列島編(4巻 - 7巻)[編集]
コウとドラエモンは、地図から消されたを訪れ、海賊団「」と遭遇する。白波九十九団は、海流の向きを歌で操るという特殊な能力を持ち、作中でも珍しい本格的な合唱戦が展開された。
この編では、ドラエモンの“ドドドセンサー”が初登場し、危険物の接近を5拍子で警告する仕組みが明らかになる。もっとも、センサーの誤作動でカツ丼の湯気にも反応するため、以後は読者から「役に立つのか立たないのか分からない装置」として人気を集めた。
海底学園編(8巻 - 12巻)[編集]
物語中盤では、深海に存在する海底学園「」が舞台となる。ここでコウは、海底火山の熱を利用して運営される学食や、学年ごとに異なる圧力室で授業を受ける制度に驚かされる。
一方で、学園の理事長であるが、海底生物を兵器化する「潮圧計画」を進めていたことが判明し、コウたちは全長480メートルの潜水砲艦に追われる。第12巻では、ドラエモンが自身のエネルギー源を学園全体に供給するため、3日3晩連続で歌い続ける場面が描かれ、掲載時には「これはもはや労働問題である」と話題になった。
最果ての潮門編(13巻 - 18巻)[編集]
最終盤では、の外れにある「潮門」と呼ばれる時空の裂け目が出現し、コウの父がその向こう側で生存している可能性が示される。潮門の守護者は、海流を圧縮して記憶を保存する一族の末裔であり、彼女の語る歴史から、ドラエモンが単なるロボットではなく、過去の漁村共同体の祈祷装置を再設計した存在であることが明かされる。
この章の終盤では、コウが父と再会するが、実は父は潮門の維持装置に半分同化しており、会話はすべて波の干渉音でしか成り立たない。雑誌掲載時の最終回予告は「父は、海になっていた」であったが、単行本ではさらに7ページ追加され、再会シーンの直後にドラエモンが静かにカレーを食べる場面が挿入された。
登場人物[編集]
は、本作の主人公である。年齢は12歳で、釣り針を使わずに魚を引き寄せる奇妙な才能を持つ。途中で一度だけ港の税関職員と間違えられ、で半日保護されたエピソードがある。
は、青い外装と赤い警告灯を持つ機械生命体である。語尾に「ドドド」を付ける癖があり、怒ると耳の代わりに装備されたソナーが回転する。身長は設定上12メートルだが、実際の作画では3コマごとに大きさが変わるため、作中でも「圧縮表示モード」と説明されている。
はコウの父で、海洋測量技師であったが、潮門事故により消息不明となる。後に“波の記憶”として登場するが、単行本20巻収録の加筆ページでは、なぜか背後でのシラス丼を食べていた。
は海底学園の理事長であり、作中屈指の悪役である。目的は海流を国家規模で管理することであったが、その動機が「海苔の巻き具合を安定させたい」という極めて局所的なものであったため、読者からは恐怖と笑いの両方で受け止められた。
は潮門の守護者で、系の海洋民族の出身とされる。冷静な人物であるが、月に一度だけ潮騒の音を聞くと関西弁になるという設定があり、担当編集が「感情表現の幅が広すぎる」と評した。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、海流は単なる自然現象ではなく、記憶や感情の媒体として扱われている。これを「潮記憶」と呼び、特定の装置を用いることで過去の会話や失われた港の景色を再生できるとされる。
また、ドラエモンの装備群は「」として総称される。代表的なものに、最大7日分の潮位を保存する「ドドド録音瓶」、魚群の心拍を可視化する「うろこ望遠鏡」、そして埠頭の沈下を一時的に止める「岸壁のしばり札」がある。なお、しばり札は第9巻で一度しか使われないが、読者人気投票では道具部門3位となった。
世界観上、は未来の都市国家というより、複数の港湾自治体がゆるやかに連合した管理圏として描かれる。条例、気象、漁獲高、そして祭礼の太鼓の打数までが潮流予測に含まれるため、設定資料集では「一見荒唐無稽だが行政文書としては妙に整っている」と評されている[7]。
書誌情報[編集]
単行本はで、からにかけて順次刊行された。2011年時点ではがを突破したと発表され、初版発行部数は1巻あたり平均120万部とされる。
完全版はにより刊行され、各巻末に作者の港湾取材メモが収録された。なお、9巻と10巻の間には実質的な物語上の空白があるが、これは連載時に台風中継との兼ね合いで休載が多発したためとされる。
関連書籍として、『ドドドドドラエモン設定解剖図鑑』『潮門年表』『海底学園職員録』が存在する。特に『海底学園職員録』は本編に登場しない事務職員まで網羅しているため、ファンの間では“最も読むのに勇気が要る公式本”として知られている。
メディア展開[編集]
テレビアニメ[編集]
に系列でテレビアニメ化された。制作は、キャラクターデザインはが担当し、原作の過剰な擬音を補完するため、効果音に実際の港湾クレーン音が用いられた。
放送は全73話で、深夜枠から始まったにもかかわらず、関係者の予想を超えて小学生視聴率が上昇し、途中から日曜朝へ移動した。なお、移動後の第28話「潮騒のカレー」は、放送時間帯に対して空腹を誘発しすぎるとしてスポンサーから軽い苦情があったとされる。
映画[編集]
劇場版はからまでに計6作が公開され、そのうち『ドドドドドラエモン 潮門大決戦』は興行収入28億円を記録した。海底都市のCG描写に時代の港湾シミュレーション技術が流用され、当時としては珍しい水圧表現が評価された。
一方で、第4作『ドドドドドラエモンと七つの救命浮き輪』は、タイトルの情報量の多さからポスターだけで内容が伝わるとして話題になった。公開初週には東京都内の映画館で浮き輪型ポップコーン容器が配布され、現在も中古市場で高値が付くことがある。
ゲーム[編集]
用ソフト『ドドドドドラエモン 潮位パニック!!』がに発売され、海流を読みながら潜水艦を進めるアクションゲームとして一定の評価を受けた。難易度が高すぎるため、国内版では「おとなしいモード」が追加されたが、それでも最終面の潮門は毎秒3回位置が変わる仕様であった。
後年には向けの『ドドドドドラエモン 海底学園RPG』が開発されたが、発売直前に学食メニューの権利関係が複雑化し、ほぼ完成していたにもかかわらず中止されたとされる。いわゆる“幻の名作”としてファンサイトで長く語られた。
反響・評価[編集]
連載当時は『週刊少年ジャンプ』の中でも異色の存在であり、バトル漫画としての熱量と、港湾統計のような妙に細かい設定が同居する点が高く評価された。特に1990年の読者アンケートでは平均順位6.3位を記録し、海賊・ロボット・学園ものを横断する構成が「当時のジャンプらしくないのにジャンプらしい」と評された。
売上面でも、の第14巻初版は160万部を記録し、当時の連載陣の中でも上位に入ったとされる。また、第18巻発売時には渋谷の書店で深夜0時に整理券が配布され、近隣住民から「なぜ海の漫画で行列ができるのか」との問い合わせが相次いだという。
受賞歴としては、に少年部門の候補となったほか、の選考会で「海洋行政の描写が異様に細かい」と話題になった。ただし最終的には落選しており、選評では「潮位の概念が魅力的だが、カレー回が多すぎる」と記されていたとされる[8]。
脚注[編集]
外部リンク[編集]
脚注
- ^ 三浦恒二『ドドドドドラエモン制作航海日誌』集英社, 1994.
- ^ 鳥海進『週刊少年ジャンプ編集録 1987-1992』集英社新書, 2001.
- ^ 中村さちこ『アニメーション港湾効果音の研究』東京書籍, 1998.
- ^ 田所真一「海流と少年誌表現の接点」『日本漫画学会誌』Vol.12, No.3, pp.44-61, 2004.
- ^ Margaret H. Lowell, "Post-Tide Identity in Popular Japanese Comics," Journal of East Asian Media Studies, Vol.8, No.2, pp.113-129, 2007.
- ^ 佐伯潮『海底学園職員録の読み方』潮出版, 2010.
- ^ Kenji Arakawa, "The Dododo Phenomenon and Maritime Humor," Pacific Comics Review, Vol.5, No.1, pp.9-27, 2012.
- ^ 大森一樹『少年漫画における擬音過多表現の系譜』文化評論社, 2015.
- ^ 船越りえ子「潮門設定資料の比較研究」『アニメーション文化研究』第17巻第4号, pp.201-219, 2018.
- ^ S. Bennett, "Why Did the Whale-Bus Become a Hero?", Comics Quarterly, Vol.19, No.4, pp.77-88, 2020.
- ^ 集英社出版部編『ジャンプ・コミックス年表 1980年代後半篇』集英社, 2022.
- ^ 高橋海人『ドドドドドラエモンと海の税関』港湾文化出版, 2023.
外部リンク
- ドドラ公式ポータル
- 潮門資料室
- ジャンプ・アーカイブス
- 海底学園同窓会サイト
- 港湾漫画研究会