ハンマーカンマーお察ししますぅ〜
| コンビ名 | ハンマーカンマーお察ししますぅ〜 |
|---|---|
| 画像 | なし |
| キャプション | ライブ会場での両者 |
| メンバー | 鵜飼 針太郎、宮前 ことみ |
| 結成年 | 2009年 |
| 事務所 | 北沢企画プロダクション |
| 活動時期 | 2009年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 両者 |
| 出身 | 世田谷区 |
| 出会い | 都内の深夜即興イベント |
| 別名 | ハンカン |
| 同期 | 平成21年デビュー組 |
| 影響 | 予告型ツッコミ、謝罪系フレーズ芸 |
| 現在の代表番組 | 深夜バラエティ『今夜も察しました』 |
| 過去の代表番組 | 『月曜のハンマー劇場』 |
| 現在の活動状況 | ライブ中心に活動 |
| 受賞歴 | 第3回下北沢即興漫才賞 準優勝 |
| 公式サイト | 北沢企画プロダクション公式プロフィール |
ハンマーカンマーお察ししますぅ〜は、発祥とされるコンビ。独特の前置きフレーズと、相手の失言を先回りして代弁する「予告型ツッコミ」で知られる結成のユニットである[1]。
メンバー[編集]
鵜飼 針太郎(うかい しんたろう)は主にボケを担当し、語尾に金槌の打撃音を模した間を入れることで知られる。中野区出身。大学時代に落語研究会へ所属していたとされるが、本人は「在籍名簿の字が薄くて半分くらい幽霊部員だった」と述べている[2]。
宮前 ことみ(みやまえ ことみ)はツッコミ担当で、相方の異常な前置きを受けて「それ、先に察するタイプのやつですか」と返す定型句を確立した人物である。元々は川崎市のイベント司会をしており、客席の子どもが先に内容を理解してしまうことを悩んでいたという。
2人とも頃からの小劇場で顔を合わせており、当初は別々のユニットに所属していた。後にのオーディションで再会し、審査員が「ふたりとも妙に謝るのが早い」と評したことが結成の決め手になったとされる。
来歴[編集]
結成まで[編集]
結成は5月とされる。都内・の地下稽古場で行われた深夜即興会で、鵜飼が「ハンマーで叩く前にもう事情は察しました」と言い出し、宮前が「ではカンマーで静かに片付けましょう」と応じたのが初の掛け合いであった。これが異様に受け、翌週にはチラシに「ハンマーカンマーお察ししますぅ〜」の仮名が印刷されたという。
当初はユニット名の最後の伸ばし棒が不安定で、会場ごとに「お察しします」「お察ししますぅ」「お察ししますぅ〜」と表記ゆれがあった。なお、事務所側は春まで正式表記を決めず、名刺の裏にだけ暫定ロゴを刷っていた。
東京進出[編集]
には活動拠点をからに移したとされるが、実際には週2回だけの喫茶店に出向くだけで「東京進出」と呼んでいた時期がある。これに対し、所属事務所は「都市機能への接続が始まった段階である」と説明した[3]。
の『月曜のハンマー劇場』出演後、予告型ツッコミが一部の若手芸人の間で流行し、舞台袖で相方の失敗を先に謝る行為が「ハンカン式」と呼ばれた。また、同番組では観客アンケートの自由記述欄に「このコンビ、先に気まずさを片付けてくれる」との記載が平均3.8割を占めたとされるが、集計方法には要出典の余地がある。
芸風[編集]
芸種は主にであるが、短いを挟んでから本題に入る「前説逆転法」を特色とする。鵜飼が大げさな断定を行い、宮前がそれを受けて「お察ししますぅ〜」と先回りで鎮火する構造が基本であり、通常のオチよりも“気まずさの除去”に重点が置かれる。
ネタ作成は原則として両者で行うが、会話のほとんどは宮前のメモ帳に書かれた8行前後の謝罪文から派生するという。特に以降は、客席の笑いが遅れた場合に「今のは察するまでに5秒かかるネタです」と説明する補助フレーズが追加され、ライブごとに長さが微調整されている。
なお、彼らのフレーズ芸はの若手芸人研究会において「相手の内面を先取りすることで衝突を未然に防ぐ、半ば儀礼化した共感表現」と分類されたことがある。ただし、同研究会の報告書には「笑いよりも安心が先に立つ」との指摘もあり、賛否が分かれている。
エピソード[編集]
、での公演中に舞台袖の照明が落ち、鵜飼が暗闇のまま「今の不具合、だいたい察しました」と言い切ったところ、その場にいた技術スタッフが拍手した逸話がある。以後、劇場関係者のあいだで「不備があっても、あの2人なら言い換えてくれる」と評判になった。
また、にはオンライン配信中の音声遅延に合わせてネタをわざと0.7秒ずらす実験を行い、視聴者から「むしろちょうどいい気まずさ」と好評を得た。これにより、配信向けの間合い研究が一部の養成所で始まったという。
一方で、地元の商店街イベントで「お察ししますぅ〜」を連呼しすぎた結果、来場者の半数が謝罪キャンペーンと勘違いしたことがある。主催者は後日、屋台の看板に「これは漫才です」と赤字で追記した。
出囃子[編集]
出囃子はの『恋のバカンス』の冒頭4小節を、ハーモニカ風に加工した独自版であるとされる。理由について鵜飼は「明るいのに少しだけ不穏だから」と説明している。
ただしの地方営業では、機材トラブルにより着信音のような電子音で登場したことがあり、以降は楽曲に依存しない“察し入場”方式も採用された。
賞レース成績・受賞歴[編集]
の『第3回下北沢即興漫才賞』で準優勝し、審査員特別コメントとして「笑いの直前に謝っているのが逆に新しい」と評された。翌年には地区予選で2回戦進出を果たし、敗退後のコメントが「敗因は概ね察しています」で締められたため、記者に囲まれたという。
にはの3回戦で敗退したが、その際のネタ終盤で宮前が「ここまでの流れ、およそ7割はご理解いただけたと思います」と発言し、会場が一瞬静まり返ってから大きく沸いた。なお、へのエントリー歴もあるとされるが、両名とも受付名簿に同一筆跡で記入されていたため、実質的には団体戦だったという指摘がある。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
『今夜も察しました』では、街角の小さな違和感を芸人が先に言語化するコーナーを担当した。特に、商店街で「買うか迷っている人の顔」を読み取り、店員より早く値引き交渉に入る企画が話題となった。
『月曜のハンマー劇場』では、エンディング前に必ず「本日の気まずさ総量」を5段階で自己評価する役回りを務めた。制作側はこれを“視聴者の感情整理”として位置づけていた。
ラジオ番組[編集]
『深夜のハンカン放送局』では、リスナーから届く長文の愚痴に対し、20秒ほど黙ってから「それはもう、だいぶお察しです」と返す形式が定番となった。番組末期には、投稿採用率が約12.4%に達したとされるが、選定基準は公開されていない。
また、深夜帯の特番では、2人が互いの言いたいことを先に言ってしまい、パーソナリティーが交代で困るという珍事も発生した。
作品[編集]
DVD『ハンマーで察しろ、カンマーで泣け』()は、収録前の打ち合わせを含めると本編より特典映像の方が長いことで知られる。販売初週で約4,200枚を記録したとされ、地方のレンタル店では「謝罪コーナー」に誤分類された店舗もあった。
CD『お察ししますぅ〜のうた』()は、コンビ名を反復するだけのトラックが収録されているにもかかわらず、ライブ会場ではサビで観客が一斉に軽く頭を下げる現象が起きた。これは彼らのファン文化の一部として定着したとされる。
単独ライブ[編集]
単独ライブは毎年1回程度の頻度で開催されている。代表作に『察しの悪い夜』(、)、『ハンマーの前に言ってください』(、)、『お察しの最終確認』(、)がある。
特に『察しの悪い夜』では、開演10分前に客席照明を落とし、観客同士が自然に小声になる状況を作ってから本編へ入る演出が施された。演出担当によれば「笑いの前に、まず空気を察してもらう」ための試みであったという。
書籍[編集]
2018年に『お察しの作法――ハンマーカンマー式すれ違い回避術』がより刊行された。内容はエッセイとネタ解説を半々にしたもので、帯には「相方より先に空気を読むな」と逆説的なコピーが採用された。
続く『漫才は謝ってから始まる』()では、初期ネタの没原稿や、舞台袖で使われた“言い訳フレーズ集”が収録された。発売時、書店員が自己啓発書と誤認して平積みにしたため、初版の売れ行きが上がったとされる。
脚注[編集]
1. 北沢企画プロダクション編『若手即興芸人名鑑2009』北沢企画資料室、2010年、pp. 44-46。
2. 鵜飼針太郎『在籍名簿の字が薄い』私家版ノート、2011年。
3. 佐伯真理子「東京進出の定義と実態」『演芸都市論集』Vol. 8, No. 2, 2014, pp. 91-104。
4. 宮前ことみ「“お察ししますぅ〜”の語尾変化」『即興漫才研究』第12巻第1号、2016年、pp. 17-29。
5. 小森拓也『深夜配信における間合いの再設計』北沢芸能研究所、2021年、pp. 63-70。
6. NHK放送文化研究会『若手芸人に見る予告型ツッコミの社会的機能』NHK出版資料、2019年、pp. 5-18。
7. 田辺由紀子「“気まずさ”を笑いに変える装置としての漫才」『東京演芸学報』Vol. 15, No. 4, 2020, pp. 201-219。
8. 北沢企画プロダクション公式サイト『ハンマーカンマーお察ししますぅ〜プロフィール』2024年版。
9. 『月曜のハンマー劇場』制作委員会『番組改編報告書』2023年、pp. 12-15。
10. 高橋ミツル『謝罪フレーズ大全』演芸社、2022年、pp. 88-93。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 北沢企画プロダクション編『若手即興芸人名鑑2009』北沢企画資料室, 2010, pp. 44-46.
- ^ 佐伯真理子「東京進出の定義と実態」『演芸都市論集』Vol. 8, No. 2, 2014, pp. 91-104.
- ^ 宮前ことみ「“お察ししますぅ〜”の語尾変化」『即興漫才研究』第12巻第1号, 2016, pp. 17-29.
- ^ NHK放送文化研究会『若手芸人に見る予告型ツッコミの社会的機能』NHK出版資料, 2019, pp. 5-18.
- ^ 田辺由紀子「“気まずさ”を笑いに変える装置としての漫才」『東京演芸学報』Vol. 15, No. 4, 2020, pp. 201-219.
- ^ 小森拓也『深夜配信における間合いの再設計』北沢芸能研究所, 2021, pp. 63-70.
- ^ 高橋ミツル『謝罪フレーズ大全』演芸社, 2022, pp. 88-93.
- ^ 『月曜のハンマー劇場』制作委員会『番組改編報告書』2023, pp. 12-15.
- ^ 北沢企画プロダクション『ハンマーカンマーお察ししますぅ〜プロフィール』2024年版.
- ^ 鵜飼針太郎『在籍名簿の字が薄い』私家版ノート, 2011.
- ^ 森下英一『劇場文化における先回り謝罪の研究』南風社, 2018, pp. 41-58.
外部リンク
- 北沢企画プロダクション公式プロフィール
- 下北沢演芸アーカイブ
- 深夜即興芸人データベース
- 東京漫才研究会デジタル年報
- お笑い予告フレーズ集成