ムアンスリン
| コンビ名 | ムアンスリン |
|---|---|
| 画像 | なし |
| キャプション | 舞台袖での2人 |
| メンバー | 霧島 蓮、相沢 みなと |
| 結成年 | 2012年 |
| 解散年 | — |
| 事務所 | 吉祥寺ブロードウェイ |
| 活動時期 | 2012年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 両者 |
| 出身 | 東京・高円寺 |
| 出会い | 阿佐ヶ谷の深夜寄席 |
| 旧コンビ名 | 霧と谷 |
| 別名 | ムアン |
| 同期 | サクラ電池、夜更かし商会 |
| 影響 | 小劇場演劇と深夜ラジオ |
| 現在の代表番組 | ムアンラジオ 火曜便 |
| 過去の代表番組 | 深夜便メトロノーム |
| 現在の活動状況 | ライブを中心に活動 |
| 受賞歴 | 東京お笑い新人賞2016 優秀賞 |
| 公式サイト | 吉祥寺ブロードウェイ公式プロフィール |
ムアンスリンは、・を発祥とするのお笑いコンビ。独自の「半拍ずらし漫才」で知られ、に結成されたとされる所属のコンビである[1]。
メンバー[編集]
霧島 蓮(きりしま れん)はツッコミ担当、立ち位置は向かって左である。低い声と、語尾を一度だけ「ですかね」と落とす癖で知られ、観客の笑いを遅れて拾う芸風が特徴とされる[2]。
相沢 みなと(あいざわ みなと)はボケ担当で、ネタ中に小道具をやたらと丁寧に畳むことで有名である。高円寺の古書店でアルバイトをしていた経歴があり、古典落語の言い回しを突然挟むため、初見では漫才なのか講談なのか判然としないことがある。
2人とも生まれで、杉並区の同じ中学校に通っていたが、当時は互いに面識がなかったとされる。なお、霧島は高校時代に天文部、相沢は演劇部に所属しており、この組み合わせが後の「半拍ずらし漫才」の原型になったという説がある[要出典]。
来歴[編集]
結成まで[編集]
結成は夏とされる。阿佐ヶ谷の深夜寄席で、霧島がネタ飛びした際に相沢が即興で「飛んだのは言葉ではなく間である」と受けたことがきっかけで、周囲の演者から「妙に相性がいい」と評されたことが始まりである[3]。
その後、の喫茶店「喫茶ソルフェージュ」に週3回ほど集まり、メモ帳の紙幅が足りなくなるまで“間”に関する議論を重ねたとされる。2人は当初「霧と谷」という旧コンビ名を用いていたが、ライブハウスの店主が読み間違えた「ムアンスリン」がそのまま定着したという。
東京進出[編集]
には活動拠点をへ移し、小劇場とライブバーを往復する生活を送った。ここで培われた舞台転換の速さが、のちの短尺ネタの精度につながったと評価されている。
の『東京お笑い新人賞』で優秀賞を受賞し、一時はの演芸場に固定出演するようになった。関係者によれば、同年末の打ち上げで霧島が「受賞コメントを30秒で終える練習をしていた」と語ったことが話題となった。
地方営業期[編集]
からにかけては、地方の市民会館営業を増やし、特にとで人気を博した。公演ごとに地元の方言を1語だけ混ぜるという謎のサービスが好評で、観客の笑い声が拍手より先に起こる珍しい現象が報告されている。
なお、春にはオンライン配信企画「深夜便メトロノーム」に出演し、無音の時間を8秒以上保つ回が最も再生数を伸ばしたとされる。これは配信番組としては異例であり、制作会社側が「音声トラブルではない」と説明したという。
芸風[編集]
ムアンスリンの芸風は、一般に漫才とコントの境界を意図的に曖昧にするものとされる。霧島が常識的な確認を行い、相沢が答えにならない丁寧語で返す構造が基本であるが、途中で急に照明の話や換気扇の回転数へ逸れることが多い[4]。
特に知られるのが「半拍ずらし漫才」である。これは相方の発言に対し、0.5秒遅く反応することで“言葉の意味”ではなく“反応の余白”で笑いを取る技法で、の小劇場界隈では一時期、模倣芸人が急増したとされる。
また、彼らはネタ作成時にを使用せず、代わりに電気ケトルの沸騰音を基準にしていたと語っている。これにより、同じネタでも会場の湿度によってテンポが変わるという、やや説明の難しい現象が起こる。
エピソード[編集]
2015年の単独ライブ『夜の目盛り』では、開演前に霧島が「今日は笑いを3段階に分けてお届けします」とアナウンスし、実際には2段階しか用意されていなかったため、終演後に観客の一部から拍手が困惑気味になったという。
相沢はの古本市で、ネタ帳を紛失した際に、近くにいた小学生が拾った1ページを朗読したところ、その一節が後の代表ネタ「駅員のいる扇風機」にほぼそのまま採用されたとされる。この逸話は2人の即興性を示すものとして語られるが、本人たちは「再現性がなかった」と述べている。
また、には、ライブ中に客席後方の空調が故障したことを逆手に取り、2人とも空調の音を“第3の共演者”として扱うネタを即興で追加した。これが妙に受け、翌月から演目表に「空調可変回」と書かれるようになった。
出囃子[編集]
出囃子は、架空の室内楽曲「銀色の改札」であるとされる。実際にはのスタジオで霧島がパソコンの無料音源を加工して作ったもので、冒頭に入る4拍のノイズが“開演の合図”として定着した[5]。
一部では、同曲の再生ボタンを押すと客席のざわめきが2割減るという噂があり、ライブハウス側が音量を意図的に小さく設定していた時期もある。なお、本人たちは「曲名は後付けであり、制作時は単に『トラック7』と呼んでいた」と証言している。
賞レース成績・受賞歴[編集]
『東京お笑い新人賞』優秀賞。
『第9回 井の頭コントフェスティバル』準優勝。
『K-1グランプリ』ファイナリスト。なお、同大会の審査員コメント欄に「笑いの到達が遅いが、遅いなりに強い」と記されたことが、以後の彼らの紹介文にしばしば引用される。
『深夜寄席アワード』特別賞を受賞。授賞式では相沢がトロフィーを両手で拭いてから受け取ったため、司会者が数秒言葉を失ったという。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
『笑って深度3』、『ネタの温度』などに出演した。特に『笑って深度3』では、観客席の反応を測るために拍手の回数を表示する装置が導入され、ムアンスリン回だけ数値が不安定だったとされる。
現在はの『ムアンラジオ 火曜便』が準レギュラー的に扱われている。
ラジオ・配信[編集]
開始の配信番組『深夜便メトロノーム』では、冒頭3分間に時事ネタを一切入れない構成が特徴であった。リスナーからは「寝落ちする直前に最も面白い」と評され、深夜帯の固定ファンを獲得した。
また、の短尺企画では、1分で終わるはずのネタを2分14秒まで引き伸ばし、逆に“短いのに長い”芸として注目された。
舞台・イベント[編集]
の小劇場公演、の演劇祭、の商店街イベントなどに継続出演している。商店街イベントでは、魚屋の呼び込みとネタの語尾が偶然一致し、客席より店先の方が先に笑ったと伝えられる。
なお、の『高円寺夜市ステージ』では、台風接近によりテントが揺れ続けたことから、2人が揺れに合わせて間を取るという珍しい演出が行われた。
作品[編集]
CD作品としては、2018年にライブ会場限定で配布されたミニアルバム『改札前の温度差』がある。収録内容はほぼコント音源で、音楽CDというより“笑いの環境記録”に近いと評された。
DVD『夜の目盛り 完全版』では、ネタ本編よりも舞台袖での待機時間が長く収録されており、ファンの間では「本編より特典映像が本編」と呼ばれている。
書籍化はされていないが、に企画されたネタ台本集『ムアンスリンの間合い学』は、校正段階で語尾がすべて丁寧になりすぎたため発売中止になったという。
脚注[編集]
[1] 公式プロフィールによる。 [2] 『深夜寄席通信』第14号、2013年。 [3] 『高円寺芸人年鑑2018』による。 [4] 佐伯真一『間の笑学』吉祥寺文化出版、2021年。 [5] 霧島蓮「銀色の改札制作メモ」未公刊資料、2017年。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯真一『間の笑学』吉祥寺文化出版, 2021, pp. 44-71.
- ^ 三浦えりか『高円寺深夜寄席の方法論』東都新報社, 2019, pp. 112-129.
- ^ Mark H. Ellison, "Rhythmic Delay in Urban Manzai", Journal of Contemporary Comedy Studies, Vol. 8, No. 2, 2020, pp. 55-78.
- ^ 霧島蓮『銀色の改札制作メモ』ムアン文庫, 2017, pp. 3-19.
- ^ 小林和也『下北沢の笑い地図』北沢文化研究所, 2018, pp. 201-230.
- ^ Yuki Tanabe, "The Half-Beat Response and Audience Anticipation", Performance and Humor Review, Vol. 12, No. 1, 2022, pp. 9-34.
- ^ 相沢みなと『小道具を畳む技術』古書堂出版, 2020, pp. 88-101.
- ^ 『深夜寄席通信』第14号, 深夜寄席通信社, 2013, pp. 2-7.
- ^ 高円寺芸人年鑑編集部『高円寺芸人年鑑2018』高円寺出版会, 2018, pp. 150-162.
- ^ Christopher Bale, "The Atmosphere of Silence in Modern Manzai", Comedy Quarterly, Vol. 5, No. 4, 2021, pp. 201-219.
- ^ 渡辺精一郎『ムアンラジオと都市音響』吉祥寺ブロードウェイ研究叢書, 2024, pp. 1-26.
外部リンク
- 吉祥寺ブロードウェイ公式プロフィール
- ムアンラジオ 火曜便アーカイブ
- 高円寺芸人資料館
- 深夜寄席アーカイブ・データベース
- 東京小劇場コメディ協会