バラムガーデン
| 名称 | バラムガーデン |
|---|---|
| 種類 | 庭園複合施設(香り回廊・噴水冷却・塔型温室) |
| 所在地 | (バラム高台地区) |
| 設立 | (開園) |
| 高さ | 塔型温室:23.7メートル |
| 構造 | 鉄筋コンクリート+ガラス曲面温室、制御噴水(循環水) |
| 設計者 | バラム環境意匠設計共同体(責任者:渡辺精一郎) |
バラムガーデン(ばらむがーでん、英: Baram Garden)は、にある[1]。現在では、季節ごとの「香り回廊」演出と噴水式の温度管理システムで知られている[1]。
概要[編集]
バラムガーデンは、伊豆の観光導線とはやや異なる位置取りとして「高台の風向きを先に読ませる」思想で整備された庭園複合施設である[2]。現在では、来園者が回廊内を歩くと、嗅覚と温度の両方が段階的に切り替わる演出が名物として知られている[2]。
施設の特徴として、中央部に設けられた循環噴水が湿度を微調整し、それに連動して香りカートリッジが順次切り替わる仕組みが挙げられる[3]。このため、季節や時間帯で「同じ散策路でも別の体験になる」と説明され、地元では半ば俗称として「体感天気予報」とも呼ばれている[3]。
名称[編集]
名称の「バラム(Baram)」は、建設期の調査報告で「渦巻く風(baram wind)」に由来するとされており、実際の地名ではないとされる[4]。ただし資料では、近隣の古い山林管理台帳に同名の小字があったと記されており、後年の編集者はこれを「偶然ではなく経路の伏線」であると推定した[4]。
一方で、初期パンフレットには「バラム=“花を測る”という古式の計量語」との説明も掲載されていたとされるが、原本が現存しないため真偽は定められていない[5]。現在では、名称が語感の良さを優先して選ばれたという指摘もある[5]。
沿革/歴史[編集]
バラムガーデンは、代初頭に進められた「香りと気流の都市快適化」実験の延長として構想されたとされる[6]。その実験の起点は、当時の観光局が導入を検討していた“屋内香り劇場”であり、そこで問題になったのが「香りが天井に溜まる」ことであった[6]。
そこで研究チームは、風を作るのではなく「風に合わせて香りを配置する」方針へ転換し、噴水冷却とガラス温室を一体化する設計へ発展したとされる[7]。なお、施設の温度制御は当初、毎分1.9リットルの微循環で成立すると試算され、実際の配管断面は試作だけで47回見直されたと記録されている[7]。
開園前の確認日として10月12日が挙げられ、当日は「香り回廊の切替が予定通りに起きたか」を旧式の温度計群で検証する儀式が行われたとされる[8]。ただし、その検証記録が一部欠落しているため、完成時の香り順序が現在のものと同一であるかには議論がある[8]。
施設[編集]
バラムガーデンは、複数の庭区と制御装置を組み合わせた構成である。まず入口側には「三層植栽帯」と呼ばれるゾーンがあり、地表の湿り気が一定になると、香りカートリッジが自動で準備状態へ移行する[9]。
中央部には噴水式の「循環水路」が設けられ、温度と湿度を段階的に変化させる目的で設計されている[9]。この水路は、表面張力を抑えるために微細気泡を混入する方式が採用されたとされ、当初は“見た目だけで涼しくなる”と批判されたが、のちに計測で有効性が示されたと説明されている[10]。
さらに北東側には塔型温室があり、高さは23.7メートルである[11]。設計者はとされ、責任者のは「ガラスが鳴る」ことを条件に選定したと語ったと伝えられる[11]。実際、温室内部では風の通過音が一定周波数(0.7〜1.3 kHz)に収まるよう調整されているとされる[12]が、公開資料には詳細が少ない。
交通アクセス[編集]
バラムガーデンは、の中心から離れた高台に所在するため、徒歩よりも周回シャトルを前提とした案内がなされている[13]。最寄りの公共交通としては(仮称)が挙げられ、当施設まで約2.6キロメートル、所要は12分とされる[13]。
また、冬季は風が強いため、香り回廊の演出を保護する目的で入園時間が細かく区切られることがある[14]。そのため公式案内では「第1便〜第6便」のように時刻区分が示され、各便に配布される地図の紙質まで指定されるとされる[14]。なお、過去には乗降車両の台数を“1日あたり平均37.5台”としていた時期があるとされるが、当該数値の根拠資料は確認されていない[15]。
文化財[編集]
バラムガーデンは、庭園単体というより「制御機構を含む景観」が評価されたとして登録された施設である[16]。具体的には、塔型温室のガラス曲面と循環水路の配管意匠が一体である点が重視され、期の景観保全制度で“準文化財相当”として扱われると説明されている[16]。
この取り扱いは、が独自に設けた「香気景観指定」の枠組みにも波及し、ガーデンの中心軸から半径120メートル以内は植栽の入替制限が設けられている[17]。ただし、制限が「香り成分の変化速度」を抑えるためだとする解釈と、「景観の固定化」が主目的だとする解釈があり、自治体内部の資料でも見解が揺れているとされる[17]。
また、塔型温室の基礎石には当初、古い測量杭が再利用されたとされており、杭の刻印が“なぜか裏返し”であったため、後年の調査で担当者が戸惑ったという逸話が残っている[18]。この逸話は、現場監督の回想録に基づくものとされるが、記述の一部は裏取りが取れていない。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 観光庁地域快適化推進室『香りと気流の観光設計報告書(改訂第3版)』中央官庁印刷局, 1996.
- ^ 伊豆市教育・景観課『香気景観指定の手引き(第1巻)』伊豆市役所, 2002.
- ^ 渡辺精一郎『ガラスが鳴る庭園:温室意匠と音響の関係』株式会社エコラ設計出版社, 2001.
- ^ 佐伯祐樹『循環水路による湿度微調整の試算』『日本建築環境学会誌』Vol.58 No.4, pp.311-329, 1998.
- ^ M. A. Thornton『Aromal Flow Management in Coastal Gardens』Journal of Applied Atmospherics, Vol.12 No.2, pp.77-95, 2000.
- ^ K. Nakamura『Turbulent Scent Channels: A Simulated Approach』Proceedings of the International Symposium on Landscape Systems, pp.204-212, 1999.
- ^ バラムガーデン開発史編纂委員会『開園一周年記念誌:1997→1998の記録』バラム出版, 1998.
- ^ 静岡県文化財保護指導室『景観保全制度の運用例(平成期)』静岡県印刷公社, 2010.
- ^ 田代正樹『香りカートリッジ切替の制御履歴と課題』『計測制御研究』第7巻第1号, pp.55-66, 2003.
- ^ E. L. Brandt『Hydro-Cooling Visual Illusions and Public Acceptance』International Review of Urban Leisure, Vol.3 No.1, pp.1-18, 2005.
外部リンク
- バラムガーデン公式アーカイブ
- 伊豆市香気景観データポータル
- バラム環境意匠設計共同体(プロジェクト記録)
- 観光庁地域快適化推進室 旧報告書閲覧
- 静岡県文化財保護指導室 掲示板