パワプロ サクセス 日向坂46編
| タイトル | パワプロ サクセス 日向坂46編 |
|---|---|
| 画像 | PHS46_box.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 初回版パッケージ |
| ジャンル | コンピュータRPG、育成シミュレーション |
| 対応機種 | ドリームポケット |
| 開発元 | 月面企画 第3制作室 |
| 発売元 | 電算スポーツソフト |
| プロデューサー | 相良 恒一郎 |
| ディレクター | 南雲 さやか |
| 音楽 | 星野 慧、白石トモカズ |
| シリーズ | サクセス |
| 発売日 | 1999年11月18日 |
| 対象年齢 | 全年齢 |
| 売上本数 | 国内累計84万本、全世界累計131万本 |
| その他 | キャッチコピーは「走れ、歌え、勝ち抜け。」 |
『パワプロ サクセス 日向坂46編』(パワプロ サクセス ひなたざかフォーティーシックスへん、英: Power Pro Success: Hinatazaka46 Edition、略称: PHS46)は、にのから発売された用。『』シリーズの第7作目にあたり、アイドル育成と野球育成を同時進行させるの始祖・元祖として知られる[1]。
概要・概説[編集]
『パワプロ サクセス 日向坂46編』は、に本社を置くが企画した育成型であり、野球部の新人選手を育てながら、同時に架空のアイドルユニット「日向坂46」の候補生たちと交流を深めていく内容である。プレイヤーは二重生活を送る選手として操作することになり、試合での能力値だけでなく、歌唱力・握手会耐性・ペンライト反応値などを管理する必要がある[2]。
本作は、シリーズの中でも特に「部活動と芸能活動の両立」をテーマにした異色作として知られている。また、ゲームシステムの特徴として、練習メニューの選択がそのままテレビ番組の収録進行に影響し、ひとつの判断ミスが試合の守備位置とライブの立ち位置を同時に崩壊させる設計になっていた。なお、発売当時はの審査委員会が「スポーツと演芸の境界を越えた」と評したとされるが、受賞記録は現存しない[要出典]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
本作の基本は形式の育成パートであり、1年を12ターンに区切って進行する。各ターンではでの授業、での番組収録、郊外の合宿所での特訓を選択できた。プレイヤーは「肩力」「対人運」「MC反射神経」などの独自パラメータを調整し、一定値を超えるとイベント「センター争奪戦」が発生する。
さらに、シリーズ伝統の赤青コマンドに加え、本作では「白いペンライト」コマンドが導入されている。これは応援ゲージを大きく伸ばす一方、使いすぎると会場が異常に明るくなり、投球フォームが見えにくくなるという奇妙な副作用を持つ。開発スタッフは「野球ゲームとしての公平性を保つため」と説明したが、実際にはデバッグ中に照明演出を消し忘れた事故が元になったという説がある。
戦闘[編集]
試合は通常のに近いテンポで進行し、守備時には打球の軌道を読みながら「コール&レスポンス弾」を打ち返す。特定イベント後には「ユニゾン・バント」と呼ばれる必殺技が解禁され、3人の選手が同時にスクイズを試みるが、成功すると観客席の評価が一気に上がるため、実質的にはライブ演出として扱われた。
対戦モードでは、2人対戦のほか最大4人による協力プレイが可能で、野球と歌唱の両方を競う「ダブルスコア制」が採用されていた。なお、一部の体験版ではバッターボックスに立ったまま踊り出す不具合があり、のちに「ステージング仕様」として正式版へ逆輸入された。
アイテム[編集]
アイテムは練習効率を高める消耗品と、イベント分岐を左右する記念品に大別される。前者には「栄養ゼリー」「マッサージチケット」「深夜ラジオ録音テープ」などがあり、後者には「46番目のリボン」「神宮前の乗車券」「連絡用ポータブルMD」などが存在した。
とりわけ「お守り付きスパイク」は人気が高く、装備すると守備能力が上がるが、同時に握手会での会話選択肢が3割ほど穏当になる仕様であった。ファンの間では、この仕様を利用して好感度を安定させることを「スパイク外交」と呼ぶことがあった。
対戦モード[編集]
対戦モードは、通常の野球勝負に加えて、曲終わりのポーズ判定によって追加点が入る独自ルールが採用されていた。これにより、9回裏で同点でも、最後のセンター返しを成功させた側が「アンコール点」を得て勝利することがあった。
オンライン対応版では、の仮想スタジオとの特設会場を結ぶ通信対戦が試験的に実装された。通信遅延でバントのタイミングがずれる問題が頻発したが、運営は「これはリズム感の一種」として処理したため、レビューでは賛否が分かれた。
オフラインモード[編集]
オフラインモードには「ひとりでサクセス」「リハーサル練習」「卒業アルバム再生」の3種類が用意されていた。特に「卒業アルバム再生」は、過去に育てた選手と候補生の組み合わせを自動で再演し、エンディングを無限に変化させる隠しモードである。
また、通信機能を使わずに全イベントを解放すると、隠し称号「静かなセンター」が入手できるとされていた。これは発売後しばらく都市伝説扱いであったが、2004年にの個人サイトで検証報告が掲載され、ようやく存在が広く知られるようになった。
ストーリー[編集]
物語は、地方球場の補修員として働いていた主人公が、偶然スカウトされての育成校に入学する場面から始まる。そこで彼は、歌のレッスンとノック練習を交互にこなしながら、日向坂46編と呼ばれる特別カリキュラムに配属される。
中盤では、チームの主将が突然「全員で九回の守備を踊り切る」と宣言し、主人公は野球部とアイドル部の板挟みになる。最終章では、を模した最終決戦会場で、観客の手拍子がそのままストライク判定に影響するという異常事態が発生し、主人公は「歌で投手を揺さぶるか、球で会場を黙らせるか」という選択を迫られる。
エンディングは7種類存在し、真エンドでは卒業ライブと地区大会決勝が同時に開催される。これを見た一部の批評家は「最も忙しい青春の再現」と評したが、別の批評家は「試合と合唱の同時進行を長時間見るのは正気ではない」と述べたとされる。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公は名前変更可能な無名選手であり、プレイヤーの選択によって投手、捕手、外野手のいずれにも育成できる。初期ステータスは極めて低いが、「グラブを持つと歌が上手くなる」という特性を持ち、特定条件下では一気に成長する。
また、主人公はイベント中に一切しゃべらないことでも知られるが、ラジオ収録回ではなぜか10分間だけ饒舌になる。この差がファン考察の対象となり、後年の攻略本では「無言の反抗期」と説明された。
仲間[編集]
仲間キャラクターとしては、分析型マネージャーの、剛速球投手の、ダンス特化外野手のなどが登場する。彼女たちはそれぞれ練習・ライブ・恋愛イベントの3軸で分岐し、好感度によってエンディングスタッフロールの順番まで変化した。
とくには、常にメモ帳を持ち歩き、主人公のフォームを「右肩が3ミリ下がっている」と指摘することで知られる。彼女の診断は精密すぎるため、後に監修のもとで数値が修正されたという逸話がある。
敵[編集]
敵役には、地方リーグの強豪校「」のエースと、興行妨害を狙う謎のプロモーター「」が登場する。黒沼は試合中に球種を叫びながら投げる癖があり、プレイヤーが聞き取れればほぼ勝利できた。
一方、はライブ会場の音響を意図的にずらし、選手のリズム感を崩壊させる。最終的には主人公たちの応援によって解体されるが、エンディング後のスタッフロールにだけ社名が残るため、ファンの間では「最後まで負けていない敵」として語られている。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、野球の勝敗とアイドルの人気が同一のランキング表で管理される「統合評価制度」が採用されている。この制度は、11年の教育改革をもとに月面企画が独自に発展させたとされるが、実際には社内の成績表がそのままゲームデザインに流用されたという説がある。
また、「センターライン」「ベンチタイム」「ファンサークル」など、野球用語と芸能用語を混ぜた造語が多数登場した。なかでも「46回転打法」は、打席で一回転しながらヒットを狙う派手な技であるが、成功率が0.7%しかなく、ほとんどのプレイヤーは観賞用として扱っていた。
世界観設定として、会場は、、を結ぶ「三大ステージリーグ」で運営されている。試合後には必ず握手会が行われるが、優勝チームのみ握手時間が2倍になるという制度があり、これが後年のファン経済にも影響したとされる。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
制作は春、の第3制作室で始まったとされる。もともとは通常の育成野球ゲームとして企画されたが、企画会議の席で新人ADが「選手が歌ってもよいのではないか」と発言したことをきっかけに、本作の方向性が決まったという。
その後、の上層部が「野球とアイドルはどちらも練習量が大事である」と判断し、急遽、のダンススタジオでモーション収録が行われた。収録日は台風直後で床が滑りやすく、スタッフの半数が転倒したが、これがゲーム内の独特な歩行モーションにつながったとされる。
スタッフ[編集]
プロデューサーの相良 恒一郎は、シリーズ史上もっとも現場主義の人物として知られ、深夜2時に自らスコアブックを持ってテストプレイをした記録が残る。ディレクターの南雲 さやかは、演出面の統一を重視し、全イベントに「拍手3回で会話終了」という共通ルールを導入した。
音楽はとの共同制作で、野球の応援曲をベースにしたポップスが多数収録された。なお、制作終盤に未使用曲「回れ、守備位置」が発見され、のちにファンディスクへ収録されたが、歌詞があまりに守備的すぎるとして一部で話題になった。
音楽[編集]
サウンドトラックは全42曲で構成され、うち17曲がライブ場面、11曲が試合、残りが育成メニューに割り当てられている。主題歌「走れ、歌え、勝ち抜け。」は発売初週からで異例のリクエスト数を記録し、ゲーム音楽としては珍しく合唱団版まで制作された。
とくに評価が高いのは、夜の室内練習で流れる「白線のリズム」と、敗北時専用BGM「明日のベンチで会おう」である。後者は実際には1分32秒しかないが、プレイヤー体感では3時間ほどに感じられるとされた。
他機種版・移植版[編集]
翌には版が発売され、通信対戦とデジタル音源を強化した「完全収録版」として宣伝された。さらにには対応版が出荷され、背景ムービーの一部がなぜか紙芝居形式に置き換わったため、旧作ファンからは賛否が分かれた。
には相当の配信サービス「レトロ港」に対応し、オンラインランキングが追加された。ただし、ランキング上位の選手名がほぼ同じだったため、不正ではなく「みんなが同じ髪型を選んだだけ」と説明された。
評価[編集]
発売初週で18万本を売り上げ、最終的には国内累計84万本、全世界累計131万本を突破したとされる。特にの中高生層から支持が厚く、週末のでは攻略ノートを持参する来店者が相次いだ。
一方で、レビューでは「野球ゲームとしての完成度は高いが、ライブ演出が濃すぎる」「青春成分が過剰」といった指摘も見られた。にもかかわらず、ではゴールド殿堂入り相当の評価を受けたという記録が残っているが、号数が妙に欠落しているため、編集部内でも真偽が議論された[要出典]。
関連作品[編集]
本作の成功後、派生作として『パワプロ サクセス ひよたん編』『パワプロ サクセス 河田陽菜の守備練習』『サクセス外伝 46番目の夏』などが企画されたが、発売されたのは『46番目の夏』のみである。後者は野球部分を排し、ひたすら楽屋トークを育成する異色作として知られる。
また、テレビアニメ化された『サクセス・スタジアム・アイドルズ』は本作と設定を共有しており、劇中で主人公がマウンド上で振り付けを完璧にこなす回が人気となった。さらに、版『走塁とセンターのあいだ』や、『日向坂46編 完全育成マニュアル』などのメディアミックスも展開された。
関連商品[編集]
攻略本は監修の『パワプロ サクセス 日向坂46編 完全育成マニュアル』が発売され、全352ページにわたりイベント分岐が掲載された。特に「握手会の選択肢一覧」は、野球ゲームの攻略本としては異例の14ページを占めていた。
書籍では、増刊『サクセス年鑑1999』、写真資料集『ベンチ裏の46秒』、そして料理本『試合前に食べるべきゼリー大全』が知られる。なお、後者はなぜかの推薦文が付いていたとされるが、現在まで現物は確認されていない。
脚注[編集]
注釈[編集]
[1] シリーズ第7作目という位置づけは、後年の資料で補強されたものであり、初回版マニュアルでは第6作目と誤記されている。
[2] 育成パラメータの一部は、当時の社内会議で使われた評価表をそのまま転用したという証言がある。
出典[編集]
本文中の各年号・売上本数・固有名詞は、開発資料・広報紙・当時のファンサイトを総合して再構成されたものとされる。なお、実際の公的記録とは一致しない箇所がある。
参考文献[編集]
相良 恒一郎『アイドル育成ゲームの作法』電算出版, 2001年.
南雲 さやか『拍手3回で終わる設計論』月面企画文庫, 2002年.
白石トモカズ『ゲーム音楽と応援歌の境界』港北音研, 2003年.
森下 遼一『PHS46完全研究』アークライト社, 2005年.
佐伯 まなみ『平成末期の育成RPG史』新東京書房, 2008年.
K. Hayashi, "The Semiotic Baseball Idol Interface", Vol. 14, pp. 77-102, Journal of Ludic Studies, 2004.
M. Thornton, "Cheer-Based Combat in Console Role-Playing Games", Vol. 8, No. 2, pp. 11-39, Game Media Quarterly, 2006.
渡辺 精一郎『スポーツと歌唱の同時成立について』月面企画研究報, 第3巻第4号, pp. 5-28, 2001年.
編集部『パワプロ サクセス 日向坂46編 取扱説明書』電算スポーツソフト, 1999年.
木下 ユリ『なぜバントは踊るのか』青空社, 2010年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
月面企画 公式アーカイブ
電算スポーツソフト 商品ページ
PHS46 総合ファンデータベース
レトロ港 配信案内
日向坂46編 研究会アーカイブ
脚注
- ^ 相良 恒一郎『アイドル育成ゲームの作法』電算出版, 2001年.
- ^ 南雲 さやか『拍手3回で終わる設計論』月面企画文庫, 2002年.
- ^ 白石トモカズ『ゲーム音楽と応援歌の境界』港北音研, 2003年.
- ^ 森下 遼一『PHS46完全研究』アークライト社, 2005年.
- ^ 佐伯 まなみ『平成末期の育成RPG史』新東京書房, 2008年.
- ^ K. Hayashi, "The Semiotic Baseball Idol Interface", Vol. 14, pp. 77-102, Journal of Ludic Studies, 2004.
- ^ M. Thornton, "Cheer-Based Combat in Console Role-Playing Games", Vol. 8, No. 2, pp. 11-39, Game Media Quarterly, 2006.
- ^ 渡辺 精一郎『スポーツと歌唱の同時成立について』月面企画研究報, 第3巻第4号, pp. 5-28, 2001年.
- ^ 編集部『パワプロ サクセス 日向坂46編 取扱説明書』電算スポーツソフト, 1999年.
- ^ 木下 ユリ『なぜバントは踊るのか』青空社, 2010年.
外部リンク
- 月面企画 公式アーカイブ
- 電算スポーツソフト 商品ページ
- PHS46 総合ファンデータベース
- レトロ港 配信案内
- 日向坂46編 研究会アーカイブ