ピースーターズ
| コンビ名 | ピースーターズ |
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| 画像 | |
| キャプション | |
| メンバー | 高瀬 了、三枝 直人 |
| 結成年 | 2007年 |
| 解散年 | なし |
| 事務所 | 北辰芸能社 |
| 活動時期 | 2007年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 高瀬了 |
| 出身 | 立川市 |
| 出会い | 都内の古書店アルバイト |
| 旧コンビ名 | ピースメーターズ |
| 別名 | 静圧の二人 |
| 同期 | サウンドボックス、銀座ラビッツ |
| 影響 | 無言の間合い芸、深夜ラジオ文化 |
| 現在の代表番組 | 『深夜の気圧計』 |
| 過去の代表番組 | 『小さな拍手、長い沈黙』 |
| 現在の活動状況 | ライブ、配信、地方営業 |
| 受賞歴 | 新宿ミニホール笑芸賞 2014年準優勝 |
| 公式サイト | 北辰芸能社 公式プロフィール |
ピースーターズ(英: Peaceters)は、発のの。結成。小道具を一切用いず、会話の温度差だけで場を支配する「静圧漫才」で知られる[1]。
メンバー[編集]
高瀬 了(たかせ りょう、1984年生)はボケ担当で、ネタ作成も担当する。都内の古書店で出会った活字癖がそのまま芸風に転化したとされ、舞台上では一文だけ言い切って客席の反応を待つ手法を得意とする。
三枝 直人(さえぐさ なおと、1983年生)はツッコミ担当で、相方の言葉を拾うというより「回収する」役割を持つ。かつては多摩地域の会館運営補助をしており、そこで培われた拡声器さばきが独特の間合いを生んだとされる。
二人ともの養成講座を経ておらず、いわゆるNSC系統ではないが、業界内では「独学で成立した珍しいコンビ」として語られている。なお、結成当初は高瀬が「ピースメーターズ」、三枝が「ターンズ」で別々に活動していたという証言があり、のちに中間案として現在の名称に落ち着いた[要出典]。
来歴[編集]
結成まで[編集]
、の古書店「三号棚文庫」で高瀬と三枝が偶然に居合わせ、店主の勧めで即興の読み聞かせを行ったことが結成の契機とされる。二人が同じ文庫本のページを二分して読み上げたところ、客が3人しかいないにもかかわらず1分おきに笑いが起きたという逸話が残る。
当初は地域寄席の前座として活動していたが、の「多摩口演会」で、沈黙時間が長すぎて司会者が進行表を読み違えたことが話題となった。これを機に「会話の空白そのものを芸にする」方針が固まり、現在の静圧漫才の原型が成立したとされる。
東京進出[編集]
に活動拠点をへ移し、からにかけての小劇場を中心に出演した。本人たちは「東京進出」と呼ばれることを嫌い、「半径4駅進出」と表現していたが、業界誌では無視されなかった。
、『小さな拍手、長い沈黙』で新宿ミニホール笑芸賞準優勝を獲得し、以後は深夜帯の配信番組に起用されるようになった。特にのライブハウスで行われた60分ネタでは、客席後方の壁時計の秒針音がネタの一部として認識され、演出面の評価を高めたという。
名称の変遷[編集]
旧名の「ピースメーターズ」は、平和の測定器を意味するというより、当初のネタが喧嘩の仲裁ばかりだったことに由来すると説明されることが多い。改称時に「メーター」が「ーターズ」に吸収され、語尾が妙に外国語風になったため、検索性が低いという欠点も生じた。
一方で、ファンの間では略称「ピスター」が用いられた時期もあるが、公式は一度も採用していない。編集者によっては「ピースーターズ」の長音が3つ連続していることから、とを同時に連想させる稀有な命名と評している。
芸風[編集]
ピースーターズの芸風は、短い発話と長い間を組み合わせたを基調とする。高瀬が抽象的な命題を一文で提示し、三枝がその命題を生活圏の実務に落とし込むことで笑いを生む構造である。
彼らの代表的な手法は「静圧漫才」と呼ばれ、観客の笑い声が起きる前の空白を積極的に利用する点に特徴がある。たとえば、三枝が「今のは説明が足りない」とだけ返す約7秒間が、本人たちの中では一つのオチとして計算されている。舞台監督からは「マイクより沈黙が大きい」と評された。
コントでは、、深夜のなど、やや退屈な場所を舞台にすることが多い。なお、2016年頃からは観客が無意識に背筋を伸ばしてしまう現象が報告されており、これは照明の低さと高瀬の声量設定の相乗効果と分析されている。
エピソード[編集]
の地方営業での公民館に赴いた際、控室の時計が3分進んでいたことからネタのテンポがずれ、逆に過去最長の拍手を得たという。以後、二人は「時計が狂っている会場ほど良い」と公言するようになった。
また、系の深夜番組の収録では、三枝が本番前にマイクの電源を入れたまま5分間無言で待機し、スタッフが故障と誤認した。放送後、その無言部分にテロップが付かなかったため、視聴者から「字幕職人泣かせ」と呼ばれた。
高瀬は舞台袖で台本に赤字を入れる際、通常の修正ではなく「沈黙を2倍」と書き込む癖がある。これが後輩芸人の間で流行し、一時期、の小劇場では「沈黙を2倍にしてください」という言い回しが合言葉のように使われた。
出囃子[編集]
出囃子は風の弦楽アレンジを模したインストゥルメンタル曲「Glass on the 19th Floor」であるとされる。実際にはのフリー音源制作会社が作成した3分12秒の楽曲で、冒頭の1小節だけが毎回異常に目立つ。
この曲は、二人が初めて賞レースの2回戦に進出した際、会場の空調音と混ざって「妙に真面目な印象を与える」と評判になった。以後、観客はイントロだけで笑いを予期するようになり、結果として曲がネタより先にブランド化したという。
賞レース成績・受賞歴[編集]
ピースーターズはへの出場歴こそ複数回あるが、いずれも「間が長すぎる」という理由で初見審査に苦戦したとされる。もっとも、には準々決勝で審査員票が割れ、1票差で敗退したことが業界紙で小さく取り上げられた。
新宿ミニホール笑芸賞 準優勝。
北関東ライブバトル 優秀賞。
第8回 深夜寄席アワード 審査員特別賞。
さがみ中央コメディ大賞 企画部門賞。なお、この賞は本来コント企画向けであったが、彼らのネタは「漫才に見える説明劇」として扱われたため、審査基準の方が修正された[要出典]。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
『小さな拍手、長い沈黙』(、系)で初の準レギュラーを獲得した。以後、『深夜の気圧計』( - 、)では、番組全体の空気が静かすぎるという理由で“騒音要員”として重宝されている。
ほかに『午後11時の再確認』『三分でわかる無駄話』などに出演し、いずれも放送事故ではないが放送事故のように見えると話題となった。
ラジオ[編集]
系の深夜特番『ラジオで間を測る』にたびたび出演し、ハガキを読む時間より沈黙の時間が長いことで知られる。リスナーからは「寝落ち用として優秀」との評価が寄せられた。
また、の月曜深夜枠では、実験的に無音コーナーを担当し、スポンサーの社名読み上げだけで15分を持たせた回がある。
配信・その他[編集]
では『ピースーターズの1分でわかる無音講座』が公開され、字幕の完成度だけが異様に高いことで知られる。配信プラットフォームでは、視聴維持率が序盤で上がり、中盤で急落する珍しい分布を示した。
には風の架空バラエティ『沈黙の前説』に出演し、前説だけで本編より好感度が上がったとされる。なお、映画出演歴としては短編『駅前で待つ二人』があるが、セリフがほぼなく、ポスターにだけ大きく名前が載った。
作品[編集]
CD作品としては、発売の『静圧練習帳』がある。ネタ音源の合間に3分間の環境音が収録されており、作業用BGMとして誤用した聴取者から「逆に集中できる」と評された。
DVD『ピースーターズ単独公演 反射する空白』()は、特典映像よりもメニュー画面が長いことで知られる。収録コントの一つ「役所の窓口」は、窓口番号の呼び出し音を笑いのトリガーにする極端な作りであった。
書籍化はされていないが、誌の連載「間の採集録」において、高瀬が台本の余白に書き残したメモが紹介されたことがある。これが後に、若手芸人の間で「余白もネタの一部」とする考え方に影響したとされる。
単独ライブ[編集]
単独ライブは毎年1回から2回の頻度で開催される。公演タイトルは『沈黙の輪郭』『気圧の合う部屋』『まだ言っていない方』など、意味は明瞭だが内容は曖昧なものが多い。
の『沈黙の輪郭 2023』では、開演後12分間、客席照明が完全に落ちたまま進行し、観客が途中で休憩か本編かを判別できなかった。この演出は賛否を呼んだが、終演後にアンケート回収率が92.4%に達したことから、実務面では成功とされた。
なお、地方公演ではアンコールの代わりに「再説明」が行われることがあり、同じオチを別角度から3回述べるのが定番である。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯恒雄『沈黙と笑いの境界線――静圧漫才の成立史』北辰出版, 2018.
- ^ 三宅由里子「小劇場文化における間の演出」『演芸研究』Vol. 14, No. 2, pp. 33-49, 2020.
- ^ 片桐航『東京近郊ライブハウス年鑑 2007-2017』東都メディア社, 2019.
- ^ Margaret L. Henson, “The Acoustic Pause in Modern Manzai,” Journal of Performance Studies, Vol. 22, No. 4, pp. 211-230, 2017.
- ^ 高浜慎一「無音コーナーの受容と視聴者反応」『放送文化評論』第8巻第1号, pp. 5-18, 2021.
- ^ K. Arai, “When Silence Becomes the Punchline,” Comedy Quarterly, Vol. 9, No. 1, pp. 77-91, 2016.
- ^ 野田美咲『深夜番組と笑芸の変容』新風社, 2022.
- ^ 内藤修一「ピースーターズの出囃子に関する音響分析」『音楽と演芸』第5巻第3号, pp. 101-114, 2019.
- ^ Chris Donovan, “Measured Laughter in Urban Japan,” East Asia Cultural Review, Vol. 11, No. 2, pp. 44-60, 2020.
- ^ 『沈黙の輪郭 公式パンフレット』北辰芸能社制作部, 2023.
外部リンク
- 北辰芸能社 公式プロフィール
- ピースーターズ非公式ファン記録庫
- 深夜の気圧計 番組ページ
- 新宿ミニホール笑芸賞 アーカイブ
- 静圧漫才研究会