『マリオキョウホ』
| タイトル | マリオキョウホ |
|---|---|
| 画像 | MK_boxart.png |
| 画像サイズ | 250px |
| caption | 冥界計算院ヴァリオスが描いた「赤い帽子の統計式」 |
| ジャンル | コンピュータRPG / 冒険ゲームブック要素 |
| 対応機種 | アストロリーフ2 / アストロリーフ2 Lite / VC-旧箱(後年移植) |
| 開発元 | 冥界計算院ヴァリオス |
| 発売元 | 東雲ゲーム商会 |
| プロデューサー | 鶴見 琉斗 |
| ディレクター | 井波 章矢 |
| 音楽 | 亀田 リョウ(弦と機械音) |
| シリーズ | ポケットマリオ派叙事詩 |
| 発売日 | 1999年12月7日 |
| 対象年齢 | 12歳以上 |
| 売上本数 | 全世界累計 124万3,410本(出荷ベース) |
| その他 | 日本ゲーム大賞〈夢想部門〉受賞 / 一部店舗で“封印コード”配布 |
『マリオキョウホ』(よみ、英: *Mario Kyōhō*、略称: MK)は、にのから発売された用。通称はであり、と呼ばれるプレイヤー文化を生んだの第2作目とされる[1]。
概要[編集]
『』は、冥界計算院ヴァリオスが手がけた用である。プレイヤーは「帽子を被った測定者」として操作し、地図の代わりに配布される“経路統計紙”をめくりながら進行する形式が特徴とされた[2]。
本作は、発売初週で全国主要端末の稼働率を押し上げ、深夜帯の攻略配信が恒常化したことで知られる。また、ゲーム内でのみ発生する「赤帽子の確率」現象が、当時の学習塾や学園祭で“民間統計ごっこ”として模倣されたことから、社会的影響も大きかったとされる[3]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、戦闘は従来のターン制に近い挙動を見せつつ、実際には「移動した歩幅(px換算)」がダメージ計算の一部に組み込まれていたとされる。プレイヤーはに類する探索モードで敵の出現帯を見つけ、交戦時には“帽子インデックス”と呼ばれる値を調整する[4]。
アイテムには、薬品ではなく計測器由来のものが多い。「反響砂時計」「偏差の香」「封じ目のコイン」といった名称が付けられ、使用すると状態異常ではなく“次の2ターンの乱数傾向”が変化すると説明された。なお、攻略本では「気持ちの問題だと思われがちだが、気持ちにも分散がある」と注釈されている[5]。
対戦モードはローカル通信に限定されたが、対戦相手の行動ログから推定される“帽子インデックスの癖”を読む要素が強く、心理戦としての評価が高かった。一方で、協力プレイでは同じ画面で同時入力が必要な場面が多く、家族プレイの摩擦が話題になったとも伝えられる[6]。
ストーリー[編集]
ストーリーは、の廃港に現れる「封印された確率塔」から始まる。主人公は調査官として呼び出され、塔の内部に蓄積された“歩幅の統計”を回収する任務を負うとされる。物語の進行に伴い、塔の管理者であるが、確率塔を守るために“秩序をゲーム化した”という設定が明かされる[7]。
終盤では、プレイヤーの行動が「経路統計紙」の再印字に影響することが示される。そこで登場する“第3印字”は、実際には条件を満たしたプレイヤーだけに配布された裏仕様であり、初期ロットで存在が確認されたとする証言が残っている(ただし出典に揺れがあると指摘される)[8]。
また、エンディング分岐はストーリーの結末というより「あなたがどの確率を信じたか」で評価される形式であり、当時の雑誌連載では「結末より手癖が語られるRPG」と評された[9]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は「測定者見習い」として描かれるが、実名は物語中で一度も明かされないとされる。そのため、ファンの間では「帽子を被った匿名の統計職人」と呼ばれ、コミュニティ内で自己投影の対象になった[10]。
仲間には、足音だけで距離を当てる技能を持つ、釣り針状の鍵で扉を開ける、そして“乱数の癖”を聞き分ける老語り部がいる。これらは開発当時の社内呼称が元になっているとする説があり、スタッフインタビュー記事では「名称が先で、設定が後から追いついた」と語られたとされる[11]。
敵としては、確率塔の内部を徘徊するが代表的である。彼らは攻撃よりも先に“あなたの次の判断”を封じる挙動を示し、避けるよりも誘導する方が攻略しやすいとされる点が、異色のデザインとして注目された[12]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観は、実世界の都市機能が“数式化”されて残った場所を舞台としている。経路統計紙は、ゲーム内で配布される地図に相当するが、実際には「今日の自分の歩幅」を測定している媒体だと説明される。したがって、同じルートでもプレイヤーの癖が反映される仕掛けが“学習系RPG”のように語られた[13]。
通貨はと呼ばれる小型の金属片で、価値は市場相場ではなく“誰が最後に嘘をついたか”で決まるとされる。ここに関連して、本作の随所に「嘘が多いと宝箱の分散が増える」趣旨の小ネタがあり、掲示板では“統計の良心”と称された[14]。
また、タイトルの「キョウホ(強報/競報/教報など)」は複数の解釈があったとされる。公式資料では“強報=強制的に報告が発生する仕組み”と説明されたが、後年の解釈記事では“競報=競って報告する遊び”が語源だという説が広まり、検証が続いた[15]。
開発/制作[編集]
制作経緯として、冥界計算院ヴァリオスは元々、航路最適化の研究所として知られていたとされる。井波章矢はゲーム化に際し、「最短経路ではなく、最短“に見える”経路を作りたい」と述べたとされ、経路統計紙という発想につながったと説明された[16]。
スタッフでは、鶴見琉斗がプロデュースを担当し、亀田リョウが音楽を担当した。音楽は“弦楽器のピッチ変動”をわざと揺らし、ゲーム内の乱数傾向と同期させる構造だとされる。なお、同期の方法は「専用の針金ケーブル(直径1.6mm)」が必要だったという逸話があるが、当時の技術者は否定しており、伝聞として扱われている[17]。
日本ゲーム大賞の選考では「不確実性を遊びに変えた点」が評価されたとされる。だが同時に、確率の操作がプレイヤーの心理を過度に介入するのではないか、という懸念も社内で議論されたことが、社史の草稿メモから読み取れると報告されている[18]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックはとして1999年12月20日に発売されたとされる。収録曲は全27曲で、メインテーマ「赤い帽子の統計行進」「偏差和尚の祈り」「封印コード序曲」などが代表曲とされた[19]。
音作りの特徴として、特定のBGMが特定のアイテム使用時にだけ“一瞬だけ拍子をずらす”仕組みがあり、プレイヤーが気づくと難易度が下がるのではないかと噂された。実際には難易度そのものではなく、演出上のタイミングが変わる程度だとされるが、体感差を重視する層には強く支持された[20]。
一部のファンは、曲の途中にある“クリック音”を文字起こしして暗号にしたという。暗号文は「封印コードは“最後に迷った回数”を数えよ」と読めたとされ、翌年に模倣企画が相次いだと記録されている[21]。
他機種版/移植版[編集]
2004年には向けに軽量移植版が発売された。この版ではロード時間が短縮されたとされる一方、経路統計紙の質感が“紙ではなく布”として再現され、手触りが異なる点が再評価の対象になった[22]。
さらに2016年には携帯型端末向けにがリリースされ、当時のプレイヤーの“懐かしさ”を狙ったとして報じられた。移植では一部のボイスが再録され、の鳴き声が「キィッ」から「キョウッ」に変更されたとされる。もっとも、元の音源が残っていないだけではないかという見方もある[23]。
ネット配信に関しては、公式は「オンライン対応は段階的」としたが、結果的に対戦モードはサーバーを必要とせずローカル完結設計のまま残され、対戦熱はローカルコミュニティへと回帰した[24]。
評価(売上)[編集]
販売面では、全世界累計124万3,410本を記録したとされる(出荷ベース)。日本国内だけでの内訳として、年末商戦の約38.2%が12月中に集中したというデータが当時の流通資料に掲載されている[25]。
批評では、の評価でゴールド殿堂入りを果たしたとされる。評価理由は「システムの学習性」や「ストーリーが統計的比喩で進む点」に集約され、ゲームブックとしての読み味も評価されたとされる[26]。
一方で、確率の見せ方がわかりづらく、攻略情報が増えるほど“体感のズレ”が目立つという批判も出た。攻略コミュニティでは、同じ行動でも結果が違う場合に「機嫌(=入力の温度)が影響した」と説明する文化が生まれ、誤解を広げたとも指摘される[27]。
関連作品[編集]
関連作品としては、テレビアニメ『』が挙げられる。作中ではの仕組みが擬似的に学園生活へ翻訳され、視聴者参加型の“告白統計”企画が行われたとされる[28]。
また、攻略漫画『封印コードの歩幅』や、音楽を主題にしたドキュメンタリー『亀田リョウの揺れ方』も刊行された。これらはいずれもゲームの一側面を拡張したメディアミックスであり、当時の“統計を物語化する潮流”を象徴したと評価される[29]。
さらに、シリーズ後続作『マリオキョウホ2:黒い乱数管』が2002年に登場したとされるが、実際に第2作目と位置づけられるかは、出版社ごとに表記揺れがある[30]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本『』は2000年に発売され、章立てが「歩幅1〜9」「偏差0.1刻み」など異様に細かい構成だったとされる。付録には“測定者の指先フォーム”と称する紙のシートが同梱され、プレイヤーが入力角度を合わせるよう指導された[31]。
また、学習系の書籍として『乱数を信じる前に:教報の哲学入門』が出版され、学校図書館に採用された例があると報じられた。もっとも、同書は章の一部に“要出典”に類する注記が多く、学術的には批判があったとされる[32]。
その他に、ゲーム内アイテムを模した文房具セット「偏差マーク鉛筆(HB相当)」や、限定ガチャ「封じ目のコイン(全12種)」が流通し、コレクター市場も形成された[33]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 井波章矢「『マリオキョウホ』における経路統計紙の設計意図」『東雲ゲーム技術誌』第12巻第4号, 東雲社, 2000年, pp. 41-58.
- ^ 鶴見琉斗「確率塔はなぜRPGになったのか」『メディア・ナラティブ研究』Vol.7 No.2, ナラティブ出版, 2001年, pp. 77-96.
- ^ 亀田リョウ「弦と機械音の微分位相:『Kyōhō Sound Atlas』の概要」『サウンド記録学報』第5巻第1号, 音響学院, 2000年, pp. 13-29.
- ^ 鈴井ミナモ「帽子インデックスの読み取り:対戦モードの心理モデル」『ゲーム行動論叢』第3巻第9号, 行動研究舎, 2003年, pp. 201-219.
- ^ 赤帽公署編『強報(キョウホ)の基礎記録:確率統制文書集』赤帽公署出版, 1998年, pp. 1-312.
- ^ 田中カズミ「“歩幅”を数値化するためのUI:アストロリーフ2世代の試行」『インタラクション設計年報』第18回, 1999年, pp. 55-63.
- ^ The Varios Necromath Institute「Mario Kyōhō: A Probabilistic Adventure Framework」『Journal of Display & Deviation』Vol.2 Issue3, 2002年, pp. 10-33.
- ^ ファミ通編集部「【ファミ通クロスレビュー】ゴールド殿堂の条件分析」『週刊ファミ通』第999号, エンターブレイン, 2000年, pp. 12-15.
- ^ 東雲ゲーム商会「出荷統計(1999年12月〜2000年1月)」『流通資料(非公表版の抜粋)』第1集, 東雲流通局, 2000年, pp. 3-8.
- ^ 森鴎「封印コードは入力の温度で決まるか:一仮説」『日本民間統計学会報』第21巻第1号, 日本民間統計学会, 2002年, pp. 1-18.(タイトルは原文表記と異なる可能性がある)
外部リンク
- 冥界計算院ヴァリオス 公式アーカイブ
- 赤帽公署 相関図データベース
- Kyōhō Sound Atlas リスニングノート
- アストロリーフ2 故障と互換性掲示板
- ポケットマリオ派叙事詩 同人百科