ミスティタンクゲーム
| タイトル | ミスティタンクゲーム |
|---|---|
| 画像 | MistyTankGame_BoxArt.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 北東海霧帯の戦車群を描いた北米版パッケージ |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドリフト・アーカイブ、ルミナスOS互換機 |
| 開発元 | ルミナス・フォージ社 第3開発室 |
| 発売元 | ルミナス・フォージ社 |
| プロデューサー | 神代 恒一 |
| ディレクター | 羽鳥 玲子 |
| デザイナー | 南雲 昌平 |
| プログラマー | 堀内 芳樹 |
| 音楽 | カイ・ベルナール |
| シリーズ | ミスティタンクゲームシリーズ |
| 発売日 | 1997年11月21日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 全世界累計148万本 |
| その他 | 初回特典として霧圧計カードが同梱された |
『ミスティタンクゲーム』(英: Misty Tank Game)は、にのから発売された用である。後にの第1作目として扱われ、通称は「MTG」とされる[1]。
概要[編集]
『ミスティタンクゲーム』は、と呼ばれる架空の沿岸地帯を舞台としたである。プレイヤーは霧中航行に特化した戦車《ミスティタンク》を操縦し、視界不良の中で敵機甲部隊と補給列車を撃破していく。
本作は、後半にの業務用シミュレーション筐体で試験運用されていた《湿度戦術》の発想を家庭用へ落とし込んだ作品として知られる。のちに対応作として再設計され、奇妙に精密な霧表現と、戦車なのに滑走するという挙動が話題となった[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、画面上のがフレーム単位で変化し、敵味方ともに命中率が霧の密度に左右される点が挙げられる。プレイヤーは通常砲弾のほか、霧を一時的に結晶化させる《ミスト・ピン》を使用でき、これにより弾道を反射させることが可能である。
また、戦車の移動は一般的な地上走行ではなく、底部に装着された《湿板スライダー》による半滑走方式である。これにより、曲がれるが止まれない局面が多く、初見プレイヤーの約63%が第2面の運河で岸壁に接触すると説明書に記されている[3]。
戦闘[編集]
戦闘は的な成長要素を含んでおり、撃破数に応じて砲塔角度、湿度耐性、霧内レーダー精度が上昇する。特に《正面湿圧》と呼ばれる独自パラメータは、砲弾の威力ではなく敵装甲の表面結露を誘発する能力を示す。
一方で、ボス戦はほぼ全てが《見えない敵》を相手にする設計で、ロックオンは音紋と水滴音を頼りに行う。ゲーム誌はこれを「当時の家庭用機で最も気配を撃つゲーム」と評したが、要出典とされることも多い。
アイテム[編集]
アイテムは燃料缶や弾薬箱ではなく、《曇天レンズ》《霧砂糖》《湿った地図》など、露骨に役に立つのか分からないものが中心である。《霧砂糖》は一時的に霧を甘くし、敵の索敵AIを鈍らせる効果があるとされるが、実際には表示演出が変わるだけであるという指摘がある。
なお、隠しアイテム《港湾省の封蝋》を4面の倉庫で拾うと、なぜか戦車が白い護送車に変化し、以後のBGMが役所の待合室風になる。これは制作スタッフの誰も仕様書に残していなかったため、後年の研究者が最も長く議論した要素の一つである。
対戦モード[編集]
対戦モードはおよびに対応しており、霧の中でお互いの位置を推測しながら砲撃する形式である。オンライン対応版では、回線遅延そのものが霧として扱われ、ラグが大きいほど視界が狭くなるという逆転設計が採用された。
この仕様は一部で高評価を受けたが、通信品質の悪い地方拠点で異常に有利になるため、の対戦大会では「線が細いほど勝つゲーム」と揶揄された。
オフラインモード[編集]
オフラインモードには《観測日誌》があり、敵を撃破するたびに海霧庁の記録風テキストが追加される。これを全て埋めると、ゲーム本編とは無関係な《灯台守の自伝》が解禁される仕様であった。
また、説明書には「プレイヤーは戦闘を通じて霧と和解することになる」と書かれているが、実際には和解というより長時間の同居に近い。
ストーリー[編集]
物語はにある軍港都市が、原因不明の濃霧によって地図から半月ほど見えなくなる事件から始まる。主人公の《レイ・カザミ》は、海霧庁直属の試験車両《ミスティタンク03》を託され、失踪した測候班と、霧の発生源とされる《白い塔》の調査に向かう。
中盤では、霧が自然現象ではなく、かつて港の倉庫に保管されていた除湿機群の暴走であることが示唆される。さらに終盤、塔の内部には末期に廃止されたはずの《気象心理局》の記録室が存在し、そこに「霧は記憶を守るために必要である」と書かれた文書が残されている。
最終決戦では、プレイヤーは塔の屋上で《霧核列車》と戦うことになる。撃破後に流れるエンディングでは、サルベージ湾は晴天を取り戻すが、住民の約8割が「少し寂しい」と回答したため、続編では再び霧が濃くなる方向で企画が進められたとされる[4]。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
《レイ・カザミ》は本作の主人公で、元はの整備試験士である。戦車の整備は得意だが運転は不得意で、作中でも「曲がれないなら、先に霧を避ければよい」と発言する場面が有名である。
また、彼の帽子には常に湿度計が縫い込まれており、湿度が70%を超えると台詞が増える。これは声優のアドリブを拾った結果だとされる。
仲間[編集]
《ミラ・サーヴェン》は通信士で、霧の中でも一度だけ相手の嘘を聞き分けられる能力を持つ。彼女の通信は妙に丁寧で、敵基地にまで「本日そちらは濃霧のため視認困難です」と伝えてしまうため、プレイヤーからは半ば狂言回しとして扱われた。
《オットー・ベッケル》は砲手で、元灯台職員という経歴を持つ。彼はゲーム中で唯一、戦車を降りて徒歩でバリケードを越えるが、これも仕様ではなく初期版のバグが採用されたものとされている。
敵[編集]
敵勢力は《白霧連隊》と総称され、各面で異なる湿度階級の部隊が登場する。中でも《少尉カレナ》は、敵側でありながら主人公に霧中航法の手引きを送るため、ファンの間では「実質的な共同観測者」と呼ばれた。
最終ボスの《霧鎧司令官 ヘルム・グラッセ》は、霧を軍事資源として独占しようとする人物である。彼の装甲車は砲塔の代わりに気圧計を積んでおり、倒すと「やはり湿度は戦争を招く」とだけ言い残す。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、霧は単なる気象ではなく、都市の記憶や通信の遮断を担う半公的インフラとして扱われている。、、といった組織が登場し、いずれも実在する官庁に似た文体で描かれるが、組織図は毎回少しずつ変わる。
《湿圧》《結露通信》《視界税》などの用語が頻出し、特に《視界税》は「晴れた場所ほど高い」という逆進的な制度として設定されている。ゲームの世界観資料集では、これが後のスピンオフ作品の経済システムに影響したと説明されているが、編集者が半ば冗談で書いたとも言われる。
なお、世界地図にはの北東沖に《白霧諸島》が描かれているが、実在の地図帳には掲載されていない。この点は発売当時から一部の地理愛好家を困惑させた。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
開発は、第3開発室が手がけた。元々は業務用の気象訓練ソフト《MIST-9》として構想されていたが、社内コンペで「戦車のほうが映える」と判断され、ゲーム化が決定された。
企画書の表紙には「霧を撃つのではない。霧に撃たれるのだ」と書かれていたとされるが、原本は火災で焼失したと説明されている。制作初期には向けだったものの、筐体の排気が霧演出と干渉するため、家庭用へ移行したという逸話が残る。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、前職が鉄道運行シミュレーションのUI設計だったことで知られ、本作においても「止まらないものを扱うと、必ず風景が主役になる」と語ったという。プロデューサーのは販売会議で「戦車だが、売り文句は湿度である」と主張し、そのまま広告コピーに採用された。
音楽のは仏系日系の作曲家とされるが、実在性については資料が少ない。彼が録音したとされる風鈴と金属板のサンプルは、後にの某大学で保管されていたという記録がある。
音楽[編集]
サウンドトラックは、管弦楽に加えて水滴音、送風機、金属製配管の共鳴を多用した実験的なものとして評価された。特に《霧核列車》戦の曲《Low Visibility, High Velocity》は、発売後にゲーム音楽番組で三度取り上げられた。
主題歌《見えない地図の歌》は、終盤のスタッフロールでのみ流れる。歌詞には《晴れ間は敵、濃霧は故郷》という一節があり、ファンの間で引用されることが多い。なお、海外版ではこの歌詞だけ妙に直接的で、配給会社が「意味は分からないが怖い」とコメントしたとされる。
他機種版・移植版[編集]
には向けに強化版『ミスティタンクゲーム: Coastal Remap』が発売された。こちらでは霧表現がより細かくなり、逆に前が見えなすぎるとして賛否が分かれた。
には向けの短縮版が相当の配信規格で再公開され、通信モードが削除された代わりに、敵の索敵が異常に鋭くなっていた。さらにには記念版がで配信され、タイトル画面の霧が本当に動くとして一部のコレクターが高値で取引した。
一方で、向け試作版は、移植テスト中に砲弾の軌道が全て直線になってしまい、開発中止となった。仕様書には「霧が足りない」とだけ記されていたという。
評価[編集]
発売当時のレビューでは、独特の視認性と奇妙に説得力のある世界観が評価され、審査会でも話題になった。販売本数はとされ、いわゆるを記録した作品に分類される。
一方で、初心者には難度が高く、特に第3面の《霧下トンネル》は死亡率が非常に高い。攻略本の統計では、初回プレイでトンネルを無傷通過した者は全体の4.6%にすぎなかったと記されている。こうした極端さが熱心な支持層を生み、いわゆる「霧ゲー」と呼ばれる派生ジャンルの起点になったという説がある。
関連作品[編集]
続編として『ミスティタンクゲームII: 白塔の残響』、外伝として『ミスティタンクゲーム 港湾税務編』が存在する。前者はより戦術性の高い風の演出を取り入れ、後者はほぼ帳票入力ゲームとして知られる。
また、テレビアニメ化された企画『Misty Tank Game: Fog Frontiers』が一時期発表され、玩具メーカーとの展開が予定されていたが、霧の再現コストが予算の3倍に達したため中止された。なお、アニメ版の第1話だけは試写されたとされるが、視聴者の多くが「何も見えない」と感想を述べた。
関連商品[編集]
攻略本は『ミスティタンクゲーム完全霧解説書』がから刊行され、全248ページのうち実質的な攻略は73ページほどであった。残りは湿度管理のコラムと、戦車模型の組み立て図で占められている。
書籍としては『霧と戦車の民俗誌』、『白い塔の観測記録』などがあり、いずれも公式監修を受けたとされる。その他、初回特典の《霧圧計カード》は現在でも中古市場で取引されており、未開封品は1枚あたり数千円で推移することがある。
脚注[編集]
1. ^ 発売日と対応機種については後年の再販版と混同されることがある。 2. ^ 初期企画の名称は資料により揺れがあり、MIST-9と表記される場合がある。 3. ^ 取扱説明書の統計は販売促進用の誇張を含む可能性がある。 4. ^ 続編の企画メモに基づく記述であり、正式発表は行われていない。
参考文献[編集]
- 神代 恒一『霧中戦車設計誌』ルミナス出版、1998年、pp. 14-63. - 羽鳥 玲子『ゲームの湿度学』太平文庫、2001年、pp. 88-121. - Bernard, Kai “Low Visibility and the Sound of Metal” Fog Studies Review, Vol. 4, No. 2, 2000, pp. 9-31. - 南雲 昌平『ドリフト・アーカイブ開発報告書』第3開発室内部資料、1997年. - 小泉 柊『霧の戦車と都市神話』港湾学術社、2004年、pp. 201-244. - H. Grasse, E. “Tactical Condensation in Home Console Games” Journal of Imaginary Interfaces, Vol. 11, No. 1, 2003, pp. 77-96. - 霧島 佐和子『サルベージ湾観測日誌』白塔書房、1999年、pp. 5-42. - 『月刊ファントムエッジ』1998年1月号、ファントム社、pp. 52-55. - “Misty Tank Game: The Making of a Fog Shooter” Luminous Archive Quarterly, Vol. 2, No. 4, 2005, pp. 101-109. - 桐生 美也『見えない地図の編集史』東海岸出版社、2010年、pp. 12-19.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
ルミナス・フォージ社 公式アーカイブ
ファントムゲームミュージアム
霧中戦車研究会
白塔資料館デジタルライブラリ
ドリフト・アーカイブ保存委員会
脚注
- ^ 神代 恒一『霧中戦車設計誌』ルミナス出版、1998年、pp. 14-63.
- ^ 羽鳥 玲子『ゲームの湿度学』太平文庫、2001年、pp. 88-121.
- ^ Bernard, Kai “Low Visibility and the Sound of Metal” Fog Studies Review, Vol. 4, No. 2, 2000, pp. 9-31.
- ^ 南雲 昌平『ドリフト・アーカイブ開発報告書』第3開発室内部資料、1997年.
- ^ 小泉 柊『霧の戦車と都市神話』港湾学術社、2004年、pp. 201-244.
- ^ H. Grasse, E. “Tactical Condensation in Home Console Games” Journal of Imaginary Interfaces, Vol. 11, No. 1, 2003, pp. 77-96.
- ^ 霧島 佐和子『サルベージ湾観測日誌』白塔書房、1999年、pp. 5-42.
- ^ 『月刊ファントムエッジ』1998年1月号、ファントム社、pp. 52-55.
- ^ “Misty Tank Game: The Making of a Fog Shooter” Luminous Archive Quarterly, Vol. 2, No. 4, 2005, pp. 101-109.
- ^ 桐生 美也『見えない地図の編集史』東海岸出版社、2010年、pp. 12-19.
外部リンク
- ルミナス・フォージ社 公式アーカイブ
- ファントムゲームミュージアム
- 霧中戦車研究会
- 白塔資料館デジタルライブラリ
- ドリフト・アーカイブ保存委員会