傀儡のイザナイ メイプルシロップ
| タイトル | 傀儡のイザナイ メイプルシロップ |
|---|---|
| 画像 | (架空)傀儡の塔と糖蜜の紋章 |
| 画像サイズ | 320×180px |
| caption | 糖蜜の川で“魂の糸”を結ぶ儀式画面 |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(儀式アクション混成) |
| 対応機種 | KITE-OS / AC-7(アーケード筐体相当) |
| 開発元 | 傀儡雫工房 |
| 発売元 | 糖衣映像販社(Togoro Video & Sales) |
| プロデューサー | 渡辺精麺造 |
| ディレクター | エステル・リグレット |
| 音楽 | 清塚糖音(Seizuka Tōon) |
| シリーズ | 傀儡儀式録 |
| 発売日 | 2099年10月19日 |
| 対象年齢 | CERO-Z相当(15歳以上) |
| 売上本数 | 全世界累計 612万本(発売後16週間) |
| その他 | オンライン対応:擬似協力“糸渡り”/オフライン可 |
『傀儡のイザナイ メイプルシロップ』(英: Kugutsu no Izanai: Maple Syrup、略称: KI-MSY)は、[[2099年]][[10月19日]]に[[日本]]の[[傀儡雫工房]]から発売された[[KITE-OS]]用[[コンピュータRPG]]。[[傀儡儀式録]]の第7作目である[1]。
概要/概説[編集]
『傀儡のイザナイ メイプルシロップ』は、儀式用の“傀儡糸(くぐついと)”を編み直しながら進む[[KITE-OS]]用[[コンピュータRPG]]である[1]。プレイヤーは「糸の調律師」として操作し、戦闘と探索を“蜜化ゲージ”という共通のリソースで同期させる方式を採用した点が特徴とされる[2]。
本作は、[[傀儡儀式録]]シリーズの第7作目にあたり、糖蜜の比喩をそのままUIへ落とし込んだ。公式キャッチコピーは「味がするほど、呪いは濃くなる」であり、初週の販売ランキングが出る前から掲示板上で“何を言っているのか分からない”と話題になったという[3]。なお、作品名に含まれる[[メイプルシロップ]]は料理ではなく、終盤で重要になる“記憶定着装置”のコードネームとして扱われる[4]。
開発を主導した[[渡辺精麺造]]はインタビューで、「傀儡とは人体の形ではなく、関係の形である」と述べたとされる[5]。また、同氏と交流があったとされる[[エステル・リグレット]]が、儀式のテンポ設計を担当したことが知られている[6]。一方で、発売日直前にサウンド担当が急遽差し替えを行ったため、音楽トラックの一部に“糖鳴り”と呼ばれる歪みが残り、結果としてファンのあいだでは「この歪みが儀式の本体」と解釈されることになった[7]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、戦闘は[[ハンティングアクション]]的な間合い管理と、[[ロールプレイングゲーム]]的な状態異常付与を同時に扱う設計になっている。プレイヤーは敵の動作に合わせて傀儡糸を“結び目”として配置し、結び目が成立するたびに[[蜜化ゲージ]]が1.25%ずつ増える仕組みである[8]。この蜜化ゲージは探索でも消費され、扉のロックや記憶の壁を“甘く溶かす”用途に使われた。
戦闘では「裂き(さき)」「抱き(だき)」「ほどき(ほどき)」の三系統が基本コマンドである。裂きは敵の再行動を遅延させ、抱きは味方の被弾を傀儡糸へ肩代わりさせ、ほどきは自身のデバフを反転させる。ただし、ほどきが成功する確率は装備の“糖度”パラメータに依存し、糖度の算出式がやたら細かいことで知られる。具体的には、装備重量gと樹脂係数K(0.62〜1.41の範囲)から、成功率 = 37 + 0.8×log10(重量g) + 12×(K-0.62) とされている[9]。この式は攻略サイトで「一行目から嘘くさい」と笑われつつも、結果的に検証が進んで“意外と当たる”と評価されたという。
アイテム面では、[[メイプルシロップ]]関連の“濃縮糖片(のうしゅくとうへん)”が中核となる。糖片はそのまま回復ではなく、記憶スロットを解放する用途を持ち、特定の敵が落とすとされる「香りのない樹液」から精製されると説明された[10]。対戦モードは当初から“無い”とされていたが、後日追加DLCで「協力 vs 敵傀儡(ともだち側はNPC固定)」が投入された。形式上は対戦でないため、開発は「対戦“風”である」と釘を刺したとされる[11]。
オフラインモードでは、蜜化ゲージの上限がプレイヤーの“睡眠ログ”に連動するよう調整されていたと語られる。もっとも、これは発売当時のアップデートで“オフラインでは使われない設定”に変更されたとされ、初期設定を信じて夜更かししたプレイヤーが起こした炎上が、後に[[傀儡儀式録]]名物の小ネタとして残った[12]。
ストーリー[編集]
物語は、雪解けの遅い冬の都市[[真樹津市]]で始まる。主人公の糸の調律師は、街の“入れ子扉”が少しずつずれていく現象に気づく。調律の鍵は儀式名としての[[イザナイ]]であり、解釈が複数あることが作中で強調される。すなわち、[[イザナイ]]は“呼び戻し”の呪文であると同時に、“戻してはいけないものを戻す”手続きでもあるとされた[13]。
第2章では、傀儡糸が体の外へ延びる現象が起きる。主人公は自分の記憶の一部が、すでに第三者の“編み癖”により固定されていることを知る。そこで登場するのが、コードネーム「メイプルシロップ」。これは甘味成分ではなく、記憶の輪郭を“糖化”させることで編集不能にする装置として機能したと説明される[14]。
終盤、主人公は[[傀儡の塔]]へ向かうが、塔の構造は実在の地理に似ているとファンが指摘した。具体的には、塔の階段配置が[[札幌市]]の古い貯蔵庫の平面図に酷似しているとされ、開発陣は「影響を受けたわけではない」とコメントしつつ、地図の角度だけは訂正したという[15]。この件は“リアル寄せの誤差”として軽く流されたが、のちにオフライン検証会の場で「わざと似せた」と再解釈されることになった。
最終章では、主人公が倒すべき敵が「敵」ではなく“編集者の機構”だと判明する。プレイヤーが編んだ結び目が、そのまま世界の脚本になっていたのである。エンディングは3種類あり、蜜化ゲージの総使用量により、[[自由]]寄り・[[固定]]寄り・[[どちらも選べない]]の三分岐が成立したとされる[16]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は「糸の調律師」だけが公式に明かされる肩書であり、実名はゲーム内で一度も表示されない。代わりに“手首の温度”によって会話内容が微変化する仕様があり、初期プレイヤーは「温度計が無いのに」と騒いだ。のちに外部機器を使うことで差が出る“検証用小改造”が出回り、結果として温度依存の噂だけが先行した[17]。
仲間には、傀儡糸を折り畳み収納する術者の[[ミラ・トロワシェ]]、蜜化ゲージを燃料に変換する薬剤師の[[百瀬 燦香]]、敵の“動作予報”を読み解く占術士[[カルロ・ブレン]]がいる。特に百瀬 燦香の口調は、世界観の比喩をやけに現実の帳簿に寄せるのが特徴で、回復アイテム説明文がそのまま家計簿の体裁になっていると批判されながらも人気になった[18]。
敵としては、傀儡糸そのものを食べる[[飢餓結び(きがむすび)]]、塔の管理権限を持つとされる[[裁断姫]]、そして最終局面の[[メイプル無名体]]が登場する。メイプル無名体は姿が描写されず、代わりに“香りのない樹液”というログが増える形で表現されたとされる[19]。このためプレイヤーの解釈は二分し、「実体がないから強い」とする論と、「描けないものを描いたから怖い」とする論が併存した。
また、ストーリー進行とは別に、イベント限定NPCとして[[真樹津市]]の郵便局職員[[佐久間 凛之助]]が登場する。彼は集配のたびに“糖蜜の宛名”を変える存在で、攻略界隈では「このNPCが最初のバグ原因」と言われたが、実際にはイベントが条件付きで正常に成立していたと後日説明された[20]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の世界では、糸と蜜が同一の物理概念として扱われる。[[傀儡糸]]は観念を固める媒体であり、結び目が成立した瞬間に“関係”が確定するとされる。そのため、儀式は戦いのためだけでなく、契約や謝罪の手続きとしても現れる[21]。
[[イザナイ]]は、語源が二系統あるとされる。ひとつは古い北方祭式の呼称で、戻すことを正義とみなした。もうひとつは都市行政文書に記された用語で、戻すことが禁制であったとする説である。作中では、行政文書側のイザナイが主人公を“編集対象”へ格納するため、プレイヤーは意味の反転を体験させられる[22]。
[[メイプルシロップ]]は、樹液から作られるという体裁で登場するが、実際には“記憶の粘度”を固定するための装置コードとされる。作中の説明では、粘度が高いほど改変が困難になり、低いほど忘却が早まるとされる[23]。さらに、糖化を促進する副次効果として、装備の[[糖度]]が上がるため戦闘性能にも影響する。この関係性がプレイヤーのビルド議論を過熱させた。
なお、世界観用語として「落ちものパズル」のようなカテゴリ表示が随所に混ざっている。これはゲーム内の図鑑UIで、儀式手順があたかもパズルであるかのように分類されているためである。つまり、儀式が“ゲーム化”されているというメタ表現が、設定として受け入れられている点が特徴である[24]。
開発/制作[編集]
開発は[[傀儡雫工房]]が主導し、総制作期間は2年9か月と公式には説明された[25]。一方で、音源データの差し替えだけは半年で終わったともされ、作品完成までの“継ぎ足し”が推定される。ディレクターの[[エステル・リグレット]]は、儀式のテンポを「一呼吸あたり蜜化ゲージ1.25%」と比喩して語っており、この比率がゲーム内数値にも反映されたとされる[26]。
制作経緯として特筆されるのは、UIが最初期のプロトタイプで“透明”だった点である。透明UIだと読みやすさが落ちるため、チームはメイプルの色味を付与して視認性を確保した。ところが、色味が濃すぎたため、テストプレイヤーの一部が体調を崩し、開発は“糖蜜の照度係数”を0.71に下げる調整を行ったという[27]。
スタッフ構成は次の通りとされる。プログラマーは[[堀口 影二郎]]、デザイナーは[[佐和山 朱実]]。データ設計の中心にいた[[真田 霜月]]は、蜜化ゲージの上限計算を担当し、ログインボーナスが戦闘難度に影響しないよう慎重に作り直したと述べたとされる[28]。
なお、後年のインタビューでは「開発中に[[裁断姫]]のモデルとなった人物は実在の企業秘書だった」という噂が再燃した。しかし、当時の資料は“糖衣映像販社の倉庫ファイル”として存在が確認されたため、噂は完全否定されなかった[29]。この曖昧さが、作品の雰囲気に拍車をかけたと評価される。
音楽[編集]
音楽は[[清塚糖音]]によって作曲され、全40トラック構成とされる。トラック名はすべて比喩的で、たとえば「第12蜜奏(だいにじゅうに みっそう)」や「傀儡の塔—返事の残響—」などがある[30]。作中の“糖鳴り”は、歪みエフェクトを意図的に残した上で、蜜化ゲージの上昇時にのみ強く聞こえるようミックスされたと説明された。
サウンドトラックには、季節イベントでのみ再生される未収録BGMがあるとされる。未収録BGMは、[[真樹津市]]の冬祭り放送用に作られた“代替音源”で、放送局名が[[北雪放送局]]だったとファンが推測した[31]。もっとも、公式は「放送局名は関係ない」としつつ、楽曲ラベルが似ていたため要出典として扱われたという。
また、メインテーマの旋律は、序盤でだけメトロノーム音が聞こえる構造になっている。終盤でメトロノームが消えると、プレイヤーの心拍に同期しているように感じる演出があるとして注目され、SNSでは「鼓動が録音されてる」と冗談が飛び交った[32]。
評価(売上)[編集]
発売初週で全世界累計108万本を記録し、翌月に[[ファミ通クロスレビューゴールド殿堂入りソフト]]相当の評価を得たとされる[33]。その後16週間で612万本に到達し、累計は“糖蜜の泡”のように膨らんだという言い回しが登場した。もっとも、売上の集計方法が国ごとに異なるため、同数値は一部で異論もあると報じられた[34]。
ゲーム性については、戦闘の結び目設計が高難度でありながらも学習曲線が急すぎない点が賞賛された。一方で、蜜化ゲージの計算式が複雑すぎるとして、攻略サイトが“式を読むゲーム”になったとの批判が出たとされる[35]。また、オフラインとオンラインの“糸渡り”の境界が曖昧で、協力しているつもりが実はデータ依存だったのではないかという疑念が一部プレイヤーに残った。
それでも、作品は日本国内での受賞歴として[[日本ゲーム大賞]]の部門別で高評価を得た。受賞理由は「儀式をゲームシステムに変換しきった編集力」とされたとされる[36]。
関連作品[編集]
関連作品として、同シリーズの前作である[[傀儡儀式録 第6作『霧のホルム』]]と、次作にあたる[[傀儡儀式録 第8作『繭の砂糖箱』]]が挙げられる。前作では“呼び戻し”が中心だったが、本作では“固定”の倫理が前面に出た点が対比されることが多い[37]。
また、本作のモチーフを別媒体へ展開した[[メディアミックス]]作品として、テレビアニメ『傀儡のイザナイ メイプルシロップ:糸の季節』が存在する。放送は2099年12月開始、全13話とされ、作中で[[飢餓結び]]が“食べてはいけない結び目”として象徴的に扱われた[38]。
さらに、作中で登場する儀式手順を解説する体裁のゲームブック『儀式図解:傀儡糸の編み癖』が刊行され、学校の課外教材に採用されたという噂がある。これは後に否定されたが、図表の見せ方が教育向けに工夫されているとして評価され、結果的に“冒険ゲームブック”枠の売れ行きが伸びたとされる[39]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精麺造「『傀儡のイザナイ メイプルシロップ』制作ノート:蜜化ゲージの設計意図」『糖衣映像販社技報』第12巻第3号 pp.41-66, 2100年。
- ^ エステル・リグレット「儀式テンポと状態異常:一呼吸あたり1.25%の比喩分析」『ゲームインターフェイス研究』Vol.58 No.1 pp.12-29, 2101年。
- ^ 清塚糖音「糖鳴りの残響:擬似歪みの心理作用」『サウンドアーカイブ論叢』第9巻第2号 pp.77-95, 2100年。
- ^ 堀口 影二郎「結び目成立条件の実装と検証:log10計算の採用根拠」『プログラム儀典』Vol.33 No.7 pp.201-223, 2101年。
- ^ 佐和山 朱実「UI透明化プロトコルと照度係数0.71への到達」『可視化デザイン年報』第5巻第4号 pp.3-24, 2100年。
- ^ 百瀬 燦香「濃縮糖片のメモリ割当と“味の回復”の誤解」『RPG設計白書』第21巻第1号 pp.88-110, 2102年。
- ^ 真田 霜月「オフラインモードの睡眠ログ連動は存在したか:内部ログの追跡」『検証ゲーム学会誌』Vol.14 No.2 pp.55-73, 2100年。
- ^ 日本ゲーム史編纂委員会「第2099年国内大型RPGの評価軌跡」『日本ゲーム大賞記念誌(架空)』第2版 pp.140-165, 2101年。
- ^ Togoro Video & Sales編集部「KI-MSYセールスダッシュボード:16週間612万本の集計仕様」『流通と数字の季刊』Vol.9 No.9 pp.10-33, 2100年。
- ^ Marin K. Yamada「Ritual UI and Memory Glycation in Fictional RPGs」『Journal of Interactive Myth』Vol.6 No.12 pp.1-18, 2103年.
外部リンク
- 糖衣映像販社 公式傀儡サイト
- KITE-OS 互換性チェック窓口
- 傀儡儀式録 まとめwiki(擬似)
- 清塚糖音 音源倉庫
- 蜜化ゲージ 検算コミュニティ