千葉市美浜区東松島7丁目31番地71号
| 別称 | 東松島座標儀(ひがしまつしまざひょうぎ) |
|---|---|
| 流行時期 | 概ね2009年〜2014年に濃密化 |
| 主な活動形態 | 文章・画像・音声の少量頒布 |
| 推奨の作法 | 23:17〜23:22の“5分儀式” |
| 中心ハッシュタグ | #31_71 |
| 中心媒体 | 匿名掲示板とスレ内共有 |
| 象徴アイコン | 青い点滅の“座標ランタン” |
千葉市美浜区東松島7丁目31番地71号(ちばしみはまくひがしまつしま7ちょうめ31ばんち71ごう)とは、特定の住所“座標”を儀礼化し、そこで交わされる配布文化を指す和製英語・造語である。住所を拠点に「深夜頒布」を行う人をミハマ71ヤーと呼ぶ[1]。
概要[編集]
は、特定の住所を“場所”としてではなく“物語の座標”として扱うネットサブカルである。ネット上では、実在の地名を借りたように見える一方で、会話の目的は住所の特定ではなく、匿名性を保ちながら共同体の合図を作る点にあるとされる。
この現象は、住所表記の桁(7丁目31番地71号)を符号化し、配布・引用・替え歌のルールに転用することで成立したと語られてきた。とくに「深夜に頒布された“端数”は、受け手の生活リズムをほんの少しだけ変える」という呪文めいた言説が広まり、ミーム化が進んだとされる。
定義[編集]
明確な定義は確立されておらず、研究者の間でも解釈が割れている。ただし実務上は、次の三条件を満たすとと認められることが多い。
第一に、語が“住所”として書かれることであるが、実際の訪問を前提としない。第二に、書き手が「ここで受け取った」と“受領”を宣言すること、そして第三に、受け手が同一スレッド内で“連鎖頒布”を行うこととされる。なお、このときの頒布は、著作物の完全な再配布よりも、「改変を含む二次引用の形」で行われる傾向がある。
この文化を実践する人は、住所に由来する自称としてと呼ばれる。自己紹介欄に「7-31-71」とだけ書く慣習があり、そこから会話が始まることも多いと報告されている。
歴史[編集]
起源[編集]
起源は、投稿サイトの黎明期に“住所を伏せ字化する”技法が流行したことにあるとされる説が有力である。匿名掲示板での「近所トラブル」抑止のため、住所以外の情報を削っていくうちに、逆に“削り方”が記号化されたという。
その中で、ある編集志望の学生グループが、数字の並びを韻として扱えることに気づき、「7-31-71なら、短い返信で儀式っぽく見える」としてスレ内テンプレを作ったとされる。テンプレには「23:17に祈り、23:22に点滅が解ける」など過剰に具体的な手順が入り、後の作法に近い形ができあがったと語られている。
ただし、この学生の実名については記録が乏しく、当時の管理人が“都市伝説として残すべき”と判断したため伏せられたとも指摘されている。
年代別の発展[編集]
2009年には、スレッド内での「住所コピペ」自体が増えたとされる。とくに“7丁目”という語が、横方向の行編集(コピペの横ずらし)と相性が良く、文面の視認性が上がったことで、作法が定着したとされる。
2011年になるとが“合図”として機能し、返信欄にだけ数字を残すスタイルが流行した。さらに2012年には、音声共有が加わり、座標ランタンを模した3秒周期の効果音(正弦波っぽいもの)が“受領”の証拠として頒布されたとされる。
一方で2013年には、過剰な儀礼化が逆に空気を読めない行為として叩かれ、ミハマ71ヤーは「儀式を短くする代わりに、改変の説明文を長く書く」方針へ転換したと報告されている。
インターネット普及後[編集]
インターネットの発達に伴い、スマートフォン掲示板や動画サイトに文化が移植された。とくに動画では、住所をテロップで一瞬だけ表示する“通過儀礼”が流行し、視聴者がスクリーンショットを撮って確認するという逆算型の体験が広まったとされる。
この段階で、実在の地名を含むため、検索で辿れる可能性があることが問題として浮上した。ただしコミュニティは「検索されても内容は住所ではない」と主張し、文化の焦点を“数列としての物語”へ押し戻したとされる。
結果として、は、リアルの地理よりも、ネット上の“保存された時間”を拠り所にする概念として定着していったと語られている。
特性・分類[編集]
は、投稿形式の違いによっていくつかの系統に分類されるとされる。明確な分類表はないものの、実務的には次の系統がよく言及される。
第一は「短文座標型」である。これは住所と“受領宣言”だけを置き、説明を極端に削る。第二は「替え歌座標型」であり、数列(7-31-71)を音節に割り当てて韻を作る。第三は「画像ランタン型」で、青い点滅を模した画像を24枚連続で頒布するなど、形式が固定される傾向がある。
また、やけに細かい数字が増殖するのも特徴で、「31回目の引用で初めて“許可スタンプ”が押される」など、実装ルールのように語られることが多い。こうした細部は、真正性の証拠として機能し、ミーム内の階層(初級者・観測者・儀礼管理者)を生む材料になったとされる。
日本における〇〇[編集]
日本におけるは、サブカル文脈の中で“住所を口実にした創作交換”として消費された。特に、文章系の一次創作や同人文に近い場では、「頒布=配布」ではなく「参加=受領の合図」という語りが強く、作品そのものより儀式が評価されることがあった。
そのため、受け手は“作品を得る”だけでなく、“参加した記録”を集めるようになったと指摘されている。結果として、まとめサイトでは「7-31-71受領ログ」なるカテゴリが作られ、スクリーンショットや引用元のURLが時系列で並べられた。
ただし、過去スレの内容がアーカイブされすぎると、作法が真似され、文化が“作業化”したという批判も出た。そのため、2014年以降は「語の頻度を落とし、改変の意図だけを説明する」方向に移ったとされる。
世界各国での展開[編集]
世界各国での展開は、翻訳というより“数列のローカライズ”として進んだと考えられている。英語圏では、住所の代わりに「7-31-71」をそのまま残し、文化名をのように“神話化された座標”として紹介する例があった。
ヨーロッパでは、住所が実在地名に結びつく点が警戒され、代替記号として「Zone 7 / Segment 31 / Gate 71」のような疑似コードが広まったとされる。なお、アジア地域では「深夜頒布」の時間帯が現地のタイムゾーンに合わせて再計算され、23:17〜23:22の儀式が、数分単位でずらされたという報告がある。
一方で、世界展開が進むほど“住所の現実感”が薄れ、記号としての吸収が進んだとする見方もある。これによりという称号は各国で“71-Sir”“Gate71-King”のように変形しつつ、儀式の骨格だけが残ったとされる。
〇〇を取り巻く問題(著作権/表現規制)[編集]
を取り巻く問題として、まず著作権の扱いが挙げられる。文化の運用上、改変や引用が前提とされるが、頒布が“どこまでが引用で、どこからが再配布か”の境界を曖昧にするため、法的整理の議論がしばしば生じたとされる。
次に表現規制の問題である。住所テロップや地名の実写表示が、地域の特定につながる可能性があるとして、プラットフォーム側でガイドラインが強化された時期があった。コミュニティは「検索に使えないようにフォントを歪める」などの対策を採ったが、それが“儀式の見せ方”と衝突する形になった。
また、文化の人気が上がるほど、模倣が増え「儀礼管理者」を名乗る人が恣意的に“受領”を判定し始めたという指摘もある。これにより、参加者の一部では「頒布の意図より、カウントの正確さが重視される」という疲弊が起きたとされる。さらに、出典を曖昧にしたまま都市伝説が拡散し、住所そのものが“オカルトの地図”として扱われる懸念もあった。なお、この論点は、SNS上の誤認誘導として注意喚起が出たと伝えられている[2]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐藤ユイ『住所ミームの社会心理学』幻燈舎, 2011.
- ^ Dr. Margaret A. Thornton, "Coordinate Rituals in Anonymous Boards", Journal of Internet Folklore, Vol. 3, No. 2, pp. 41-66, 2013.
- ^ 田中ハルカ『日本の和製英語サブカル命名術』音符書房, 2012.
- ^ 李承澤『数列と共同体:71の象徴性』ベルン研究所出版, 2014.
- ^ 山本コウスケ『頒布の境界線:引用・再配布・改変』情報表現法研究会, 2015.
- ^ Karin Holm, "Nighttime Distribution Practices and Copyright Ambiguity", European Review of Remix Culture, Vol. 8, Issue 1, pp. 120-147, 2016.
- ^ 中村サブ『青い点滅は何を証明するか:座標ランタン図像学』点景社, 2010.
- ^ 匿名『東松島座標儀 まとめログ』(オンライン配信), 2014.
- ^ 藤原ミナ『都市伝説が検索で死ぬ日』夜間出版社, 2017.
- ^ H. K. Sato, "HigashiMatsushima 7-31-71 Address Myth" (やや題名が不自然), Proceedings of Unlikely Indexing, 第2巻第1号, pp. 1-19, 2012.
外部リンク
- 座標ランタン保存館
- 71分儀式タイムテーブル
- 住所ミーム言語研究所
- 深夜頒布レシピ倉庫
- 匿名掲示板儀礼アーカイブ