地球防衛軍(ゲーム)
| タイトル | 地球防衛軍(ゲーム) |
|---|---|
| 画像 | (架空) |
| 画像サイズ | 320×180px |
| caption | 対空砲ドローン「セクストゥー」起動シーン(架空) |
| ジャンル | アクションシューティング(協力プレイ対応) |
| 対応機種 | アーケードキャビネット / PC-9821互換機 |
| 開発元 | 東京衛星通信開発局 |
| 発売元 | 江戸前エンタープライズ |
| プロデューサー | 安達ハルキ |
| ディレクター | 渡辺精機郎 |
| 音楽 | 環状線フィルハーモニカ(架空) |
| シリーズ | 地球防衛軍 |
| 発売日 | 1999年7月17日 |
| 対象年齢 | 15歳以上(激しい表現) |
| 売上本数 | 全世界累計 184万本(2019年時点推計) |
| その他 | 通称はEDC。キャッチコピーは「ミサイルは祈りではない、計算である。」 |
『地球防衛軍(ゲーム)』(英: Earth Defense Corps、略称: EDC)は、[[1999年]][[7月17日]]に[[日本]]の[[東京衛星通信開発局]]から発売された[[アーケードキャビネット|アーケード]]用[[アクションシューティングゲーム]]である。[[地球防衛軍]]シリーズの第1作目として扱われる[1]。
概要[編集]
『地球防衛軍(ゲーム)』は、[[東京衛星通信開発局]]が「防衛演算工学」を娯楽化する目的で企画した[[アクションシューティングゲーム]]として知られている。公式資料では「星図作成の補助として発達した投影計算」をゲーム操作へ転用した、と説明される[1]。
また、本作は当初から[[協力プレイ]]を前提としており、プレイヤーは戦術ユニットのオペレーターとして操作する設定とされる。なお、発売当初の筐体には「地球規模の通信遅延を体感させる」ための疑似ラグ機構が搭載されていたとされ、これが“理不尽に難しいのに病みつきになる”と話題になった[2]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、戦闘は「前進」ではなく「交信帯域の確保」を中心に組まれている。具体的には、各ステージ開始時に[[衛星通信]]のチャンネルが10系統提示され、プレイヤーはそのうち2系統を“自軍の脳波同期”に割り当てる必要があるとされた[3]。
戦闘面では、リアルタイムの[[対空砲]]と[[歩兵]]突入を同時に管理する形式が採用され、1ミリ秒単位で命中判定が変化する「微遅延照準」(プレイヤーの入力から照準が確定するまでの時間を調整する概念)を導入したと説明される。ただし、この仕組みはのちに説明不足として批判され、公式掲示板では「遅延は仕様、涙はバグ」という言い回しが広まった[4]。
アイテムとしては「電磁バリア」「熱源偽装灯」「救難ビーコン」が存在し、特に救難ビーコンは設置から回収までが“ミニ儀式”として演出される。プレイヤーはビーコンを手渡しで交換する協力仕様とされ、ソロでは回収速度が33%減少する調整が入ったとされる[5]。
ストーリー[編集]
物語は、[[2023年]]に「月面深部からの一次信号」が海底ケーブルを経由して地球全域へ漏洩したことから始まるとされる。異常信号は“敵”と断定されず、逆に「地球が自分自身を偽装した結果ではないか」という研究会の仮説が先行し、[[防衛省衛星庁]]が緊急作戦名を[[OPERATION: ORBITAL MIRROR]]と命名した、とゲーム内の解説で語られる[6]。
主人公側は、侵入者(後述の[[層状外来体レヴィア]])に対して、物理戦闘よりも「通信経路の再配線」を優先する戦略をとる。その結果、敵の行動が“通信の文法”に依存していることが判明し、プレイヤーの勝利条件は単なる殲滅ではなく「嘘の回線を敵に信じさせること」とされる[7]。
終盤では、月面信号が実は「地球防衛機構の学習データを過去へ返していた」という逆転の設定が提示される。ただし、スタッフノートでは“真相は1周目と2周目で変わる”と記され、実際の難易度表では周回差が0.7倍相当に調整されていると説明された[8]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は無名のオペレーターとして扱われ、初期選択で[[渡辺精機郎]]がモデルとされた「保守系」「最適化系」の二系統から指揮スタイルを選ぶ仕様になっているとされる。保守系は被弾時の復帰が早く、最適化系は命中率が段階的に上がるが通信遅延の影響を強く受ける、とされる[9]。
仲間には、衛星中継船「[[あさひどり2号]]」に乗る通信技師の[[椎名みずほ]]が登場する。椎名は味方の通信帯域を“祈りではなく整流”として語るキャッチコピーの発案者とされ、作中では彼女の発言がアイテム説明文にも反映される[10]。
敵対勢力としては、層状外来体レヴィアが設定される。レヴィアは視覚を持たず、音響ではなく「符号化された圧力波」で位置を示す存在として描かれたとされ、近接攻撃よりも遠距離での“偽装反応”が有効になる、とゲーム内で説明される[11]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の世界観は「地球防衛」を物理と情報の両面として扱う点に特徴がある。作中用語では、侵入者対策の基礎として[[衛星通信]]、[[周波数傾斜]]、そして“嘘の信号”を意味する[[偽回線]]が繰り返し登場する。
[[偽回線]]は、敵が理解できる文法でのみ成立するため、プレイヤーが誤ったチャンネルを選択すると敵の攻勢が増幅される、とされる。さらに疑似ラグ機構が「戦場の温度」ではなく「回線の感情」を模す仕様として語られ、ユーザーはこれを“情緒ラグ”と呼んだ[12]。
設定の補足として、月面一次信号は「[[月面]]深部に眠る旧地球防衛アーカイブが、未来の自分へ返信したもの」だとする説がゲーム内外で併記される。もっとも、攻略本では別説として「外来体が地球の時刻同期を食べる生物である」という説明も掲載され、記述の食い違いが後年の論争種になった[13]。
開発/制作[編集]
開発は、[[東京衛星通信開発局]]の研究部門が1990年代後半に進めていた衛星地上局の最適化プロジェクトに端を発する、とされる。初期コンセプトは“戦術ゲームでありながら、実際の通信ログを参照できる”ことを目標に置いていたとされ、ゲーム内のログ表示がその名残とされる[14]。
制作経緯としては、プロデューサーの[[安達ハルキ]]が「戦闘の快感は爆発より再同期にある」と述べたことから、爆発演出は控えめに、代わりに“同期バー”が主役になった経緯が語られる[15]。なお、同期バーは当初RGB3色ではなくRGB9色にする案があったが、筐体電力が予定より7.2%不足したため削られたとされる[16]。
スタッフはディレクターの[[渡辺精機郎]]、デザイナーの[[神代ユリオ]]、プログラマーの[[北條キョウ]]などで構成された。北條はゲーム内の照準判定の実装に関して「ラグは誠実さの一部」と語り、微遅延照準を“プレイヤーの反射神経ではなく選択の迷い”として表現した、とされる[17]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
音楽は[[環状線フィルハーモニカ]]によるもので、衛星通信を模したリズムパターンと、低周波を強調したベースラインが特徴とされる。サウンドトラックには「[[ECHO OF ORBIT]]」「残響通路第7番」「偽回線行進曲」などの曲名が収録されたとされる[18]。
特に「残響通路第7番」は、勝利時に必ずしも明るくならない構成になっており、制作側は“勝利は確定ではなく、まだ整っていく過程”として説明したとされる。もっとも、一部の評論家は「勇者のテーマというより監査のBGM」と評し、当時の掲示板で「BGMが謝ってくる」と揶揄する投稿が残っている[19]。
他機種版/移植版[編集]
移植版としては、PC-9821互換機向けに「[[地球防衛軍(ゲーム)PC]]」が2000年3月24日にリリースされたとされる。移植では疑似ラグ機構がソフトウェア再現され、環境依存で体感遅延が変化する仕様になった。そのため、環境によっては“敵が先に嘘をつくように見える”と報告された[20]。
また、携帯端末向けにミニサイズの移植が検討されたが、タッチ操作が「通信帯域の割当」に不向きだったため見送られ、代わりに会員向け映像アプリとして“回線観測モード”が配布されたとされる。なお、この映像アプリは後に違法改造でゲームプレイに転用されたと噂され、当時の熱狂を増幅したとされる[21]。
評価(売上)[編集]
評価面では、日本ゲーム大賞の前身企画「[[日本ゲーム大賞]]特別選考」で高評価を得たとされ、受賞ソフトとして扱われることが多い[22]。売上は全世界累計184万本を突破したとされるが、地域ごとの配分が極端である点が指摘された。具体的には、欧州での売上比率が全体の41%を占めるという“ありえない数字”が初期推計として流通し、のちに補正されたという経緯がある[23]。
また、ユーザー調査では「協力プレイの満足度が単独の1.6倍」と報告された。背景として、救難ビーコンの交換が“物語の中での合意”を生むためだと説明されるが、同時に“協力しないと機械的に詰む”設計だとする批判もあった[24]。
関連作品[編集]
関連作品としては、テレビアニメ「[[偽回線の少年たち]]」が2001年に放送されたとされる。アニメはゲームの通信遅延演出をそのまま視聴者に与える構成だったとされ、放送回ごとに字幕の表示速度が変化したという逸話が残っている[25]。
さらに、コミック版では[[椎名みずほ]]が過去の研究者として掘り下げられ、月面一次信号が“過去の観測者からの手紙”だったとする解釈が採用されたとされる。もっとも、漫画編集の都合で設定が一部改変され、のちにゲームの公式サイトで「解釈は複数ある」との記述が追加された[26]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては『[[地球防衛軍(ゲーム)]]完全運用マニュアル』(ISBN相当: 978-4-7777-EDC-1)が出版されたとされる。書籍では微遅延照準の調整値が“人間の迷いを模す”として細かく記され、推奨設定が12段階に分類されているとされた[27]。
また、通信ログの読み方を解説する『残響通路の統計学』(ISBN相当: 978-1-4040-ECH-7)も刊行された。こちらでは、敗北条件が「敵の文法が成立する前に偽回線が崩れること」と表現され、ゲーム外の通信教育にも引用されたという説明がある[28]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精機郎「地球防衛軍の微遅延照準設計に関する報告」『防衛演算工学ジャーナル』第3巻第2号, pp. 41-66, 1999.
- ^ 安達ハルキ「同期バーが作る協力意思決定」『娯楽情報システム研究』Vol.12, No.1, pp. 11-29, 2000.
- ^ 椎名みずほ「救難ビーコンの交換儀礼とゲーム体験」『人間計測とインタラクション』第7巻第4号, pp. 201-220, 2002.
- ^ 北條キョウ「疑似ラグ機構の誠実さ—実装と検証」『アーケード・ネットワーク技術論集』第5巻第1号, pp. 73-88, 2000.
- ^ 神代ユリオ「層状外来体レヴィアの符号化表現」『キャラクターデザイン年報』第9巻, pp. 55-79, 2001.
- ^ Samantha R. Weller「Information Warfare as Play: A Case Study of EDC」『International Journal of Game Systems』Vol.8, No.3, pp. 99-130, 2001.
- ^ L. H. Moretti「Orbit Echo: Sound Design and Synthetic Latency」『Journal of Interactive Audio』Vol.2, Issue 4, pp. 1-18, 2002.
- ^ 江戸前エンタープライズ『地球防衛軍(ゲーム)公式運用ログ』江戸前出版, 1999.
- ^ 環状線フィルハーモニカ『残響通路第7番:作曲手稿(増補版)』リングロード出版, 2003.
- ^ ファミ通編集部「地球防衛軍(ゲーム)をめぐる論点」『週刊ファミ通』第1210号, pp. 34-39, 2000.
外部リンク
- 地球防衛軍 公式運用記録アーカイブ
- 衛星通信研究所 EDC補助サイト
- 微遅延照準 非公式検証コミュニティ
- 残響通路 放送字幕速度ログ
- 江戸前エンタープライズ 出版案内