実写映画 ギョウニソーセージ
| 作品名 | 実写映画 ギョウニソーセージ |
|---|---|
| 原題 | Live-Action Gyouni Sausage |
| 画像 | GyouniSausagePoster.jpg |
| 画像サイズ | 240px |
| 画像解説 | 公開当時の特報ポスター(ソーセージ型の巨大セットが写っている) |
| 監督 | あららいも |
| 脚本 | あららいも・浦田チエミ |
| 原作 | あららいも『ギョウニソーセージ』 |
| 制作会社 | 東和フィルムズ |
| 配給 | 港南シネマ流通 |
| 公開 | 2005年7月14日 |
| 上映時間 | 102分 |
『実写映画 ギョウニソーセージ』(じっしゃえいが ぎょうにそーせーじ)は、制作ののである。原作・脚本・監督は、興行収入は約で[1]、小規模ながらも独特の論争と笑いを両方巻き起こした作品として知られる[2]。
概要[編集]
『実写映画 ギョウニソーセージ』は、がに配給された、いわゆる“肉(にく)系ギャグ”を正面から押し出した日本のコメディ映画である。物語は、町の人気商品である“ギョウニソーセージ”を巡る騒動をテンポよく追う形式を取り、笑いの導線と勢いで押し切る作風として評価された。
一方で、本作が原作漫画『』の設定を巡って大きな波紋を呼んだことでも知られている。原作では主人公ギョニソは男性ではなくトランス女性として描かれていたとされるが、映画版では“妙に都合よく曖昧化される”脚色が行われたと、ファンの間で強く指摘された[3]。
その結果、本作は興行的にはまずまずの数字を残したものの、批評・SNS的な言及(当時は掲示板中心)でも「笑えるけど根が深い」という評価が並立する、珍しいタイプの論争作となった。
あらすじ[編集]
舞台は架空の港町である。ここでは老舗ソーセージ工房「塩釜屋」が、冬の名物として“ギョウニソーセージ”を売り出していた。ただし売上は落ち込み、工房の存続が危ぶまれていた。
主人公は工房の手伝いとして雇われた青年――と、町ではそう認識されていた人物「ギョニソ」。しかし当人が“自分の呼び名”にこだわり続けることで、町の常識が少しずつ崩れていく。ギョウニソはソーセージの香りで場を支配する奇妙な才能を持ち、怒りそうになった客を、なぜか笑わせてしまう。
工房を守るためにギョニソは、ライバル企業の宣伝チームと対決することになる。勝負の鍵は料理番組風の公開試食会であるが、会場には“ソーセージの皮だけが食べられる”という悪夢めいた仕様が紛れ込む。さらに、偶然にも町の広報部が誤ってギョニソのプロフィールを「男性」として印刷してしまい、訂正ができないまま騒動が拡大する。
終盤、ギョニソは「誰が決めた呼び名なのか」という問いを、巨大な香草ガス塔の点火スイッチを握る形で突きつける。笑いと破天荒な演出のなかで、誤記によるすれ違いがほどけ、“町の温度”が変わっていく――という決着が描かれる。なお、この“温度変化”は演出上のギミックとして、実際に会場の照明色温度が上げられたと製作側が語っている[4]。
登場人物(主要人物/その他)[編集]
(本名の読みは作中でたびたび伏せられる)は、ソーセージ工房の手伝いで、場の空気を嗅覚で“読む”才能がある人物として描かれる。原作ではトランス女性としての輪郭が強いとされるが、映画版では“冗談の一部”として処理される場面が増えたとの声がある。
は町の広報部員で、印刷ミスをきっかけに事態を抱え込む。善意のつもりで訂正を止めてしまうタイプのキャラクターであり、観客が笑いながらも居心地の悪さを覚えるポイントとして機能する。
側の代表として登場するは、冷凍技術を“倫理ではなく数値”で語る人物である。彼の台詞にはやけに細かな管理指標が含まれ、たとえばソーセージの温度履歴を「-12℃の往復を回」といった形で語る。
その他、工房の常連客としての学芸員が出演する。彼女は終盤で“皮だけが残る”現象を民俗学的に解釈しようとするが、現実的には製作上の小道具トラブルだったと後に明かされることになる[5]。
キャスト[編集]
主人公ギョニソ役にはがキャスティングされた。公開当初、桜庭が舞台挨拶で「役の呼び名は風向きみたいなもの」と語ったことが話題になった。もっとも、原作改変の論点とは別に、演技面の身体表現(立ち居振る舞い)を高く評価する声もあった。
森崎ケイ役には、竜造役にはが出演した。また、食文化館の高椋サチにはが配役されている。
なお、作中に登場する“公開試食会の司会”は、俳優ではなくバラエティ司会者の経験者が務めたとされる。司会進行のテンポが映画のテンポそのものになっている点が、結果として「笑いの勢い」を押し上げたと分析されている[6]。
スタッフ(映像制作/製作委員会)[編集]
監督・脚本・原作はである。本作では、原作漫画の“食べ物の比喩”を実写の小道具に落とす方針が採られ、東和フィルムズのスタジオでは撮影前に“香りの再現”だけでかけたとされる。
撮影は、編集はが担当した。編集担当は「カットの切り替えをソーセージのチリチリ音に合わせた」と語ったと伝えられているが、記録としては効果音の波形整合が主目的だったとされる。
製作委員会には、のほか、地域振興系の、食品業界スポンサーとしての名が入っていた。ここが論争点にもなり、のちに「笑いがスポンサー都合に寄ったのではないか」という指摘につながった[7]。
音楽はが担当し、主題歌はが起用された。歌詞の一部には「間違いは焼けるほど甘くなる」という意味深な一節が含まれていると報じられた。
製作[編集]
企画/制作過程[編集]
企画はの社内会議に遡るとされる。当時、は“原作の読者層が年齢を越えて拡大している”点に着目し、実写化を提案した。ところが、実写化の最大課題は「主人公の性別をどう扱うか」という点だったと、関係者インタビューの断片として語られている。
あららいもは「映画は“分からないこと”を笑いに変えるメディア」と考えていたとされる。しかし、脚本段階でプロデューサー側の意向として“呼称を一本化する”案が出て、ギョニソの説明台詞が減らされた経緯があると伝えられる[8]。ここで“説明の削除”が結果的に「曖昧化」に見えた、という反応が続いた。
なお製作では、セリフカードの校正が通常より多く回行われたとされる。通常の校正回数は回程度だったという社内統計が、なぜか部外者に漏れたことで知られるようになった。
美術/CG・彩色・撮影・音楽・主題歌[編集]
美術は、工房セットの再現性が重視され、床材には実物の工房で使われるという樹脂を模した素材が採用された。ただし塗装が滑りやすく、試写では転倒が連発したため、危険回避として“滑り止めの粒子サイズ”をに揃える修正が行われたとされる。
特殊技術としてはCGの比率は高くないが、“香り”を視覚化する演出だけが目立つ。これは熱気のゆらぎをスモークで作る方式であり、撮影中に風向きの影響が大きかったため、撮影日にだけはが記録されていたという。
音楽は、ソーセージの“焼き上げテンポ”をBPM換算して設計されたとされ、主題歌「皮(かわ)より熱い」ではサビの小節が料理番組のジングルと同期する。もっとも、同期の根拠として参照されたジングルの出所は資料が乏しく、要出典に近い説明だと指摘された[9]。
興行[編集]
公開はであり、初日売上は公開館平均でと報じられた。公開当初の宣伝は“ソーセージが喋る”という誤解を生むキャッチコピーに寄っており、実際にはソーセージが喋る場面が短いにもかかわらず、客層の期待値を上げたとされる。
封切り直後、港町らしいロケ地の雰囲気を活かした舞台挨拶が行われ、で再現試食イベントが開催された。そこで配布されたミニパンフはのうちいずれかがランダムで、観客の口コミが加速したという。
再上映としては、映画館の老舗フロアを使った“夕方のリバイバル上映”がに組まれた。テレビ放送では視聴率は非公開とされたが、局内メモでは「録画率が視聴率を補った」と書かれていたと伝えられている[10]。
海外公開は限定的で、英語圏ではタイトルが『Gyouni Sausage: The Confused Name』のように“誤解”を強めた副題にされたとされる。
反響[編集]
批評家の間では、本作のテンポと小道具の面白さは一定の評価を受けた。ただし原作改変に関しては賛否が割れ、特に性別に関わる設定の扱いについて「笑いに転換された結果、当事者の手触りが薄くなった」といった論評が出た[11]。
受賞としては、全国規模のメジャー賞は逃したものの、による“変化球娯楽賞”にノミネートされた。さらに別団体では「食の比喩による即時理解力」を評価する企画で、準特別賞を得たとされる。
売上記録としては、興行収入約の内訳が“洋菓子系コラボ”の効果で伸びたとする見方があり、スポンサーとの相乗りを疑う声もあった。もっとも、スポンサー側は「主題歌の販売が牽引した」と主張しており、どちらが決定打だったかは判然としない[12]。
最終的に本作は、映画作品というよりも“議論の起点”として記憶されることになり、のちの実写化プロジェクトで「原作の輪郭を先に合意するべきだ」という社内方針が生まれたと語られている。
テレビ放送[編集]
テレビ放送はに実施されたとされる。番組編成では深夜枠が検討されたが、結局はゴールデンタイムに寄せられた。理由は主題歌の認知度が高く、番組側が“笑って見られるコメディ”として扱えると判断したためとされる。
放送時の字幕では、作中の呼称に関して表記ゆれが検討された。結論として、字幕は「ギョニソ」とのみ表示し、性別に関わる形容を避けた形になったという。しかしこの配慮が逆に「何も言わないことで何かが隠れる」という印象を生んだとする批判もあった[13]。
関連商品[編集]
関連商品としては、映画版オリジナルの“ギョウニソーセージ風”ソーセージ型グッズが販売された。メーカーはの関連会社とされ、商品名は「香り付きギョウニソーセージ・フィギュア」である。
また、DVDにはメイキング映像に加えて“香りの再現レシピ”が収録されたとされるが、レシピの具体は「焼き色は失敗しても笑える程度に」といった曖昧な表現だったため、ファンが独自解釈で調理したと報告があった。
ほかに、映画公開に合わせて出版されたムック『制作資料集』がある。そこでは脚本の初期稿が「呼称一本化案」のコメント付きで掲載されたとされるが、ページの一部が意図的に空欄になっていると指摘された。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ あららいも「『実写映画 ギョウニソーセージ』公開時の企画メモの一部」『東和フィルムズ社内資料集』第3巻第2号, 東和フィルムズ, 2005, pp.14-29.
- ^ 佐野ミチル「編集から見たコメディの呼吸:香り演出とカット割り」『映像編集研究』Vol.18 No.4, 日本映像編集学会, 2006, pp.55-73.
- ^ 浦田チエミ「原作改変の力学:笑いのための情報設計」『メディア脚本論叢』第9巻第1号, 海鳴書房, 2007, pp.101-132.
- ^ 北郷直人「料理的撮影の実務:色温度と熱気の視覚化」『撮影技術紀要』Vol.41 No.2, 撮影技術出版社, 2006, pp.12-25.
- ^ 伊達クレスト「主題歌「皮(かわ)より熱い」作曲メモ:BPM同期の試み」『音楽映画レビュー』第2巻第3号, シンフォ音研, 2005, pp.77-88.
- ^ 『港南シネマ流通 年次報告書2005』港南シネマ流通, 2006, pp.203-219.
- ^ 高椋サチ役・藤城ユイ「誤記訂正の現場:字幕表記の判断」『放送字幕研究』Vol.7 No.6, 日本字幕学会, 2006, pp.33-44.
- ^ “Gyouni Sausage and the Limits of Adaptation” Margaret A. Thornton『Journal of Comedy Adaptation』Vol.12 No.1, NorthBridge Academic Press, 2008, pp.1-19.
- ^ Ryo Nishimura「The Smell-as-Visual Device in Mid-2000s Japanese Live-Action」『Asian Film Sound & Image』第5巻第2号, 東アジア映画叢書, 2007, pp.210-241.
- ^ 『キネマ旬報(架空版)』2005年8月臨時増刊「皮(かわ)より熱い特集」キネマ旬報社, 2005, pp.1-10.
外部リンク
- 東和フィルムズ公式アーカイブ
- 港南シネマ流通 上映実績データ
- 塩釜湾観光開発公社 映画コラボ記録
- 伊達クレスト 音楽作品データベース
- 映像編集研究会 ポッドキャスト(回顧)