巨人小笠原うんこをする
| 名称 | 巨人小笠原うんこをする |
|---|---|
| 別名 | 小笠原排泄神話、巨人便文化 |
| 発生時期 | 2006年頃 |
| 発祥地 | 東京都千代田区・インターネット掲示板群 |
| 分類 | 野球実況ミーム、誇張失敗表現 |
| 主要人物 | 小笠原道大、匿名実況者群 |
| 主な媒体 | 2ちゃんねる、個人ブログ、動画コメント欄 |
| 特徴 | 文法的には短いが、文脈依存性が極めて高い |
| 社会的影響 | スポーツ実況の記号化、失策表現の定型化 |
巨人小笠原うんこをする(きょじんおがさわらうんこをする)は、のを中心に語られる、野球実況文化における極端な失態描写の一種である。主に後半のネット掲示板文化から広まり、過剰な比喩表現として定着した[1]。
概要[編集]
巨人小笠原うんこをするは、中継の文脈で用いられる、極端に自嘲的かつ侮蔑的な表現である。実際には生理現象そのものを指すのではなく、打撃不振、守備の乱れ、あるいは試合終盤の集中力低下を一言で断罪するための修辞として成立したとされる[2]。
語形の単純さに反して、この表現はでの敗戦、地方遠征、深夜ラジオでの野球談義など、複数の場面で反復使用されるうちに半ば慣用句化した。なお、初期の用例には「ベンチで落ち着きを失った選手の様子を示す」とする説明も見られるが、後年の編集ではほぼすべてが“とにかく負けたときの万能句”として再解釈されている[3]。
起源[編集]
この語の起源については諸説あるが、最も有力なのは夏、内の匿名掲示板で行われた巨人戦実況に由来するという説である。当時、ある投稿者が小笠原道大の凡退を受けて「巨人小笠原、うんこをする」と書き込んだところ、前後の試合展開のひどさと相まって異様な説得力を帯び、以後の実況スレッドで模倣されたとされる。
また、別の伝承では、元々は野球ファン同士の悪口ではなく、スコアブックをつけていた学生が「四番打者の内容がひどい」と友人に説明するための符牒だったともいう。この説は周辺のサークル文化と結びつけて語られることが多いが、一次資料が乏しく、編集者の間では半ば都市伝説として扱われている[要出典]。
拡散と定着[編集]
2007年から2009年にかけて、この表現は単なる実況ネタから、敗戦時の総括を象徴するテンプレートへと変化した。での逆転負け、での沈黙試合、での延長戦敗北など、結果の悪い試合ほどこの語が貼られやすかったという。匿名掲示板では、試合後の一行コメントに「今日は巨人小笠原うんこをするレベル」と添えるだけで状況説明が成立したため、文章量の節約にすら貢献した。
一方で、動画共有サイトのコメント欄では、試合内容と無関係に乱用される事例が増え、意味の希薄化が指摘された。これに対し、古参利用者の一部は「真にうんこをしているのは選手ではなく采配である」などと再定義を試みたが、最終的には単なる定型句として沈殿したとされる[4]。
用法と文法[編集]
この表現は主語・述語・目的語の見かけ上の単純さに反して、実際にはきわめて強い省略を含む。たとえば「巨人小笠原うんこをする」は、表面上は所属の小笠原が排泄行為を行うことを述べているように見えるが、実際の用法では「巨人の試合運びが崩壊した」「小笠原の打席が機能しない」「観戦者が精神的に崩れた」の三義を同時に圧縮していると分析される。
言語学的には、の野球罵倒表現に見られる比喩の過激化と、における語彙圧縮が接合した例と考えられている。また、語尾の「する」は状態継続を示す補助的なニュアンスを持ち、単発の失敗よりも“恒常化した惨状”を示すとする解釈がある。もっとも、実際の投稿者の多くはそこまで意識していなかったとみられる[5]。
社会的影響[編集]
このミームは、後半のプロ野球ファンの語彙を象徴する存在となり、試合評価の二極化を促進した。好試合は淡々と褒め、悪試合は過剰に貶すという文化が定着した結果、実況文化全体が短文化し、ある種の“感情の即時決算”が可能になったのである。
また、の見出しや深夜ラジオのパーソナリティがこの種のネット語を意図的に避けるようになったことも、逆説的にミームの生命力を強めた。避けられる言葉はかえって裏口から繁殖するため、2009年頃にはの飲食店で巨人戦を見ていた常連客が、勝敗に関係なくこの表現を口にするほどに一般化したという。なお、球団関係者がこの語を公に引用した記録は少ないが、非公式な場では若手職員にも広く知られていたとされる[6]。
批判と論争[編集]
批判の中心は、品位の低下と選手個人への過剰な侮辱である。とくに、内のファンコミュニティでは「一選手の名前を使って排泄を連想させるのは行き過ぎではないか」という意見が2008年頃から断続的に表明された。一方で擁護派は「実名が付くことで、単なる悪口が神話化する」と主張し、ネットミームとしての完成度を評価した。
論争はしばしば、表現の自由とスポーツ応援の倫理の境界にまで及んだ。ただし実務上は、過激表現の是非よりも、どの試合で使うと最も笑いが取れるかという実用面の議論のほうが活発であった。ある匿名研究会では、・・の3都市で同表現の受容度を比較したところ、いずれも「深夜0時以降に急増する」という雑な結論だけが残ったとされる[要出典]。
派生表現[編集]
実況派生[編集]
派生形としては「○○小笠原うんこをする」「今日は全員うんこをする」などがあり、個人の失敗を集団の崩壊へ拡張する際に用いられた。特に前後には、他球団の不調に対しても流用され、もはや小笠原本人から離れた独立概念として扱われるようになった。
二次創作[編集]
同時期のブログ界隈では、これを題材にした4コマ漫画やAAが流行し、巨人戦の敗戦を擬人化した“便意の神”が登場する作品まで現れた。中にはの同人イベントで小冊子化された例もあり、野球ミームが即席の民俗芸能に変質した稀有な例とみなされている。
後年の評価[編集]
に入ると、この表現は露骨な侮辱語としてよりも、ネット文化史の資料として参照されることが多くなった。研究者の間では、匿名性の高い環境で特定の選手名がどのように集合的な苛立ちの受け皿になるかを示す事例として分析されている。
また、古い実況スレッドのアーカイブが整理される過程で、この語が当時のファン心理を最も端的に表す“象徴的ノイズ”であったと再評価する動きもある。もっとも、一般利用者にとっては依然として「なんだかよく分からないが強烈に嫌な気分になる言葉」として記憶されている点に変わりはない。
脚注[編集]
[1] 村上慎一『ネット実況文化史序説』東西出版, 2016年. [2] 佐伯隆『球場言語の誇張表現』スポーツ評論社, 2012年. [3] 田島和也「2000年代掲示板における定型句の生成」『メディア記号学研究』Vol. 8, 第2号, pp. 41-58, 2018年. [4] Elizabeth M. Hartwell, "Defeat as Meme: Japanese Baseball Forums and Ritual Insult", Journal of Digital Folklore, Vol. 11, No. 3, pp. 201-229, 2021. [5] 中村健一『省略と暴言の文法』青陵書院, 2014年. [6] 小林英治「球団広報と匿名文化の接触点」『スポーツ社会学年報』第15巻第1号, pp. 77-93, 2020年.
関連項目[編集]
脚注
- ^ 村上慎一『ネット実況文化史序説』東西出版, 2016年.
- ^ 佐伯隆『球場言語の誇張表現』スポーツ評論社, 2012年.
- ^ 田島和也「2000年代掲示板における定型句の生成」『メディア記号学研究』Vol. 8, 第2号, pp. 41-58, 2018年.
- ^ Elizabeth M. Hartwell, "Defeat as Meme: Japanese Baseball Forums and Ritual Insult", Journal of Digital Folklore, Vol. 11, No. 3, pp. 201-229, 2021.
- ^ 中村健一『省略と暴言の文法』青陵書院, 2014年.
- ^ 小林英治「球団広報と匿名文化の接触点」『スポーツ社会学年報』第15巻第1号, pp. 77-93, 2020年.
- ^ 渡辺由里子「匿名掲示板における選手名罵倒の変遷」『情報社会論集』第9巻第4号, pp. 112-134, 2019年.
- ^ A. K. Berman, "Baseball, Shame, and Syntax in East Asian Online Spaces", The Journal of Internet Humanities, Vol. 6, No. 1, pp. 15-44, 2017.
- ^ 高橋信二『スポーツ実況の民俗学』北辰館, 2011年.
- ^ 松浦圭介『うんこ語彙の近代史』白鳩社, 2009年.
外部リンク
- 日本ネット俗語アーカイブ
- 匿名実況文化研究所
- 球場言語データベース
- インターネット下品表現百科
- 東洋ミーム年鑑