恋空
| 作品名 | 恋空 |
|---|---|
| 原題 | Koi Sora |
| 画像 | 恋空 ポスター(架空) |
| 監督 | 雨宮レオン |
| 脚本 | 雨宮レオン |
| 原作 | 雨宮レオン(携帯文庫『恋空日誌』) |
| 製作会社 | 朱鷺坂アニメスタジオ |
| 配給 | 東凪映像配給 |
| 公開 | 2011年8月17日 |
| 興行収入 | X億円(劇場版合算) |
『恋空』(こいそら)は、[[2011年の映画|2011年]]8月17日に公開された[[朱鷺坂アニメスタジオ]]制作の[[日本]]の[[アニメーション映画]]。原作・脚本・監督は[[雨宮レオン]]。興行収入はX億円で[1]、[[全国涙活映画祭]]で監督賞を受賞した[2]。
概要[編集]
『恋空』(こいそら)は、[[2011年の映画|2011年]]に公開された[[日本]]の[[青春恋愛映画]]を装ったアニメーション映画である。作中では「涙の方程式」なる演出理論が持ち出されるが、観客のツッコミを前提にした“恋愛映画風コント”として構成されているとされる。
映画は、主人公が恋のために「空」を観測するという一貫した設定を持つ。特に、カメラワークがやけに天気予報に寄っている点や、感情が一時停止される場面でテロップが律儀に増える点が特徴である。なお、こうしたギャグは恋愛ドラマの熱量を誇張することで成立しているとしばしば解説されている。
あらすじ[編集]
物語は、[[東京都]][[港区]]の港にほど近い高台校舎を舞台として展開する。主人公の音羽は、放課後に空を見上げる“観測部”へ半ば強制的に参加させられ、相手役の春斗と会話する条件として「告白の直前に風向きを記録すること」を課される。
音羽は、携帯端末のカレンダーに「告白まで残り117時間」と表示させる。恋の進行がやたら数値化されていく一方で、春斗は真剣な顔で「空の湿度が73%を超えると告白が失敗する」と断言するため、周囲は理由を問う。ここで演出がいったん“説明回”に切り替わり、観客が理解するより先に登場人物が理解したことにされる、という手法が取られる。
音羽は告白の瞬間に雨雲を呼び込もうとし、やがて観測部の顧問・[[海東ユリカ]]が「涙はデータ化できるが、データは涙を呼ばない」と講義する。終盤では、告白が成功するのではなく、告白シーンが“消しゴムで修正されたように”書き換わる。観客は「恋愛が成立したのか、脚本が折れたのか」を問われる形でエンドロールを迎えるとされる。
登場人物[編集]
主要人物[編集]
音羽(おとわ) - 高台校舎の2年生で、感情を抑える代わりに空を記録する癖がある。彼女は携帯文庫『恋空日誌』を“原作”として読み上げるように振る舞い、台詞のテンポを自分でメトロノームに合わせようとする。なお、映画パンフレットでは「告白まで残り117時間」の表示が実写のまま再現されたと記されている[3]。
春斗(はると) - 観測部の中心人物。春斗は真顔で「風向きが南南東から東へ1度でもズレると告白が台無しになる」と語る。最終局面では、恋の告白を“天気の再現”ではなく“天気の反転”で処理しようとするが、直前に字幕が3行増えるというミスが発生し、会場の笑いを誘ったと回顧される[4]。
海東ユリカ(かいとう ゆりか) - 顧問教師。理科室の黒板に式を書き、その式がなぜか恋愛の決着を左右する構図を押し付ける人物である。『涙の方程式』の解説がやけに丁寧であることが批評で言及された。
その他[編集]
観測部の部員たちは、基本的に“空に関する雑学要員”として配置される。とくに一年生の結菜は「雲の形から想像してはいけない」と言いながら、上映中の観客に同じ方向を向かせようとする。周辺生徒のテロップ反応も細かく、恋の感情と情報の速度が同期しない“ずれ”がギャグの源泉になっているとされる。
キャスト[編集]
音羽役には、[[日本]]の若手声優として知られる[[白河ミツキ]]が起用された。春斗役は[[黒曜レン]]、顧問ユリカ役は[[白崎サオリ]]が担当しているとされる。なお、映画公開当時の雑誌インタビューでは、白河が「感情の芝居を“気圧の変化”でやる」と語ったことが引用された[5]。
また、観測部の部員たちには複数の新人が当てられ、名前の端に必ず“空”の字が含まれるキャスティング方針が採用された。これは監督の雨宮が「恋愛は空白から始まる」として掲げた制作理念に基づくものと説明されている。
スタッフ[編集]
監督・脚本は[[雨宮レオン]]である。原作は、携帯文庫『恋空日誌』として市販されたとされるが、実際の編集体制については「書籍版の脚色が強い」という指摘もある。
音楽は[[北条シオン]]が担当し、主題歌は[[CHORUS☆KITE]]による「青に負けない雨」とされる。撮影(作画監督の呼称として)には[[相原トオル]]が参加し、演出の都合で雲の階調が合計14段階に区切られたという制作資料が話題になった[6]。
なお、編集では“告白の秒”だけフレームレートが落ちる仕掛けが採用されたとされるが、配信版では補正が入るため差異が出たという[要出典]声もある。
製作[編集]
企画・制作過程[編集]
企画は[[朱鷺坂アニメスタジオ]]の社内企画会議で始まり、当初は「恋愛を数式化する学園もの」として構想された。雨宮は、恋愛映画の定型(告白、すれ違い、呼び止め)を一つずつ“天気予報の要素”に置き換え、最後に観客にツッコミを委ねる構造を取ったとされる。
制作過程では、脚本の改稿が累計で42回行われ、改稿ごとに「告白まで残りの時間表示」の桁数が変えられたという記録が残る。最終的に117時間に落ち着いた理由は、雨宮が「117は覚えやすく、逃げたくなる数字でもある」と述べたためだと伝えられている[7]。
美術・CG・彩色・音楽[編集]
美術では、[[東京都]][[港区]]周辺の実景を“恋のスケール”に変換するため、看板の文字数や階段の段数をわざと恋愛ドラマ的に歪める方針が採られた。例えば、校舎裏の階段は実測で23段だが、作中では19段として描かれたとされる[8]。
CG・彩色では、空の色調が単純なグラデーションではなく、雲の密度に応じて色相が微細に変わるよう調整された。音楽は、恋の高揚が来るたびにBPMが“微妙に遅れる”よう設計されており、観客が感情を先取りしすぎないように作られたと説明された。
着想の源[編集]
着想の源としては、雨宮が若い頃に読んだ架空の研究書『告白現象の統計学』がしばしば挙げられる。この本は「恋愛は言葉ではなく間の長さで測られる」という主張を掲げていたとされるが、実在は確認されていない。
一方で、監督は「空を見上げる描写の反復が、のちに観客の脳内で自動字幕を生成する」とも述べており、映画は“観客参加型”として設計されたとされる。
興行[編集]
興行は[[東凪映像配給]]によって進められ、初週の動員は約34万2千人、興行収入はX億円と発表された。宣伝では、劇場入口の看板に「青に負けない雨」限定配布スタンプが設けられ、押印数が公開2日目で累計112,450個に達したとされる[9]。
封切りは全国一斉ではなく、[[神奈川県]]の一部劇場で先行上映が組まれた。特に、観客の笑いが告白シーンに集中するよう、上映回の前に“注意書き”が流れる仕様になっていたことが話題となった。なお、注意書きの内容が上映後にSNSへ転載され、「恋愛映画を見に来て恋愛映画を笑う儀式だった」と評されたという。
その後、リバイバル上映では“雨雲テロップ修正版”が追加され、テロップの行数が当初の2行から3行に変更されたとされる。配信版では差分が目立つため、視聴者の間で「恋空の空が増えている」という揶揄が広まった。
反響[編集]
批評では、恋愛映画の様式美を踏襲しつつ破壊する作劇が評価される一方、ギャグの比率が高すぎるとして反発もあった。『映画時評・カナダ編』では「恋空は泣くための手段として笑わせる」と総括された[10]。
受賞面では、[[全国涙活映画祭]]で監督賞を受賞したとされ、さらに[[東京国際アニメーション見本市]]に出品されて観客賞の候補になった。売上記録としては、劇場のムビチケ販売が開始から11日で約18.7万枚を記録したとされるが、これは運営が独自集計した数値と説明されている[11]。
一方で、原作『恋空日誌』の“語り口”が実在の人気携帯小説の文体に似ているとして、文芸関係者からは「引用ではなく換骨奪胎に見える」という論評が寄せらた。もっとも、類似性が意図された“オマージュ”である可能性も指摘されている。
テレビ放送[編集]
テレビ放送では、地上波での初回放送が深夜帯に設定され、[[演出注意]]として「感情の理解を急がないでください」というテロップが冒頭に出されたとされる[要出典]。視聴率は地域により異なるが、ある番組表調査では平均視聴率1.8%を記録したと記載された[12]。
その後、特番として“恋空制作裏側”が放送され、空の色調を決める会議が再現された。だが再現VTRの台詞が本編と矛盾している点が指摘され、制作側は「矛盾も演出の一部」と説明した。
関連商品[編集]
映像ソフト化としてはDVDとBlu-rayが発売され、特典映像には「117時間のカウントダウン作画」や「雲14段階の比較チャート」が収録された。なお、DVDの色調問題として、初期プレスでは空の青がやや緑寄りになり、購入者の間で“恋空が曇っている”という不満が出たとされる[13]。
主題歌のCDシングルには、カップリングとして「青に負けない雨(告白リハ版)」が含まれた。さらに、原作携帯文庫『恋空日誌』の“観測部ノート”版が別途刊行され、学校の連絡帳風のデザインが採用された。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 雨宮レオン「『恋空』脚本の分割設計と“告白まで117時間”の意味」『アニメ脚本研究』第12巻第3号, pp.45-68, 2012.
- ^ 北条シオン「空の色調を音に翻訳する試み」『映像音響ジャーナル』Vol.8 No.1, pp.91-104, 2011.
- ^ 白河ミツキ「感情を気圧で制御する稽古」『声の作劇論』第6巻第2号, pp.120-133, 2013.
- ^ 『映画時評・カナダ編』「恋空は泣くための手段として笑わせる」『月刊シネマメモ』第29号, pp.12-19, 2011.
- ^ 相原トオル「雲の階調14段階と作画の判断」『アニメーション制作技法』Vol.14, No.4, pp.200-218, 2012.
- ^ 東凪映像配給編『劇場興行データブック 2011』東凪出版社, 2012.
- ^ 海東ユリカ研究会「恋愛を数式化する教師像の系譜」『教育映画史研究』第3巻第1号, pp.33-55, 2014.
- ^ 松林タカノリ「告白現象の統計学(偽書のようで偽書でない)」『書誌学フォーラム』Vol.21, No.2, pp.77-88, 2012.
- ^ 『朱鷺坂アニメスタジオ年報』第9号, pp.1-160, 2011.
- ^ Kawamura, R. “The Weather-Condition Comedy in Koi Sora” 『Journal of Screen Humor Studies』Vol.5 No.1, pp.1-17, 2012.
外部リンク
- 恋空 公式配給アーカイブ
- 朱鷺坂アニメスタジオ 制作メモ室
- 全国涙活映画祭 データベース
- 青に負けない雨 歌詞検証所
- 雲14段階 ビジュアル資料館