海底王国の逆襲2 ニューヨーク大決戦!
| 作品名 | 海底王国の逆襲2 ニューヨーク大決戦! |
|---|---|
| 原題 | The Subterranean Kingdom Strikes Back 2: New York Grand Duel! |
| 画像 | (架空)劇場ポスター画像 |
| 画像サイズ | 240px |
| 画像解説 | 地下回廊とマンハッタンの夜景を重ねた合成ビジュアル |
| 監督 | 飛鳥井鷹志 |
| 脚本 | 飛鳥井鷹志、御影瑞季 |
| 原作 | 海底王国逆襲叢書(架空) |
| 製作総指揮 | 鳩ヶ谷光彦 |
| 配給 | 東京鯨波配給社 |
『海底王国の逆襲2 ニューヨーク大決戦!』(かいていおうこくのぎゃくしゅうつー にゅーよーくだいけっせん!)は、[[2022年]]の[[日本の映画|日本]]の[[アニメ映画|アニメーション映画]]として公開された[[日本]]制作の作品である。原作・脚本・監督は[[飛鳥井鷹志]]。興行収入は42.8億円で[1]、[[アメリカン・アニメーション大賞]]の音響技術賞を受賞した[2]。
概要[編集]
『海底王国の逆襲2 ニューヨーク大決戦!』は、海底王国側の政治劇が、[[ニューヨーク市]]の都市行政と地中インフラに波及していく過程を描くアニメーション映画である。前作『海底王国の逆襲』で確立された「逆襲儀礼」を、今度は空中配管網の覇権へと接続する構造が特徴とされる。
本作は劇場公開に先立ち、[[東京国際アニメ祭]]で“音響だけ先行”のプロモーション上映が行われた。その際、観客の拍手のタイミングを計測し、次回作の爆発SEに反映するという運用が話題となり、後年その手法は業界内で「拍響補正」と呼ばれるようになった[3]。なお、この呼称が業界史に残るほど確立的に運用されたかは、資料間で解釈が分かれている。
映像面では、地下世界と地上都市をつなぐ「水圧カメラ」風の特殊合成が多用された。作中の水流表現は実写撮影を“逆再生”して取り込み、彩色は微細な海草繊維の分布を参考にしたとされる[4]。ただし、制作資料のうち数点は編集段階で差し替えられたと報告されている。
あらすじ[編集]
海底王国の若き執政官[[カイ=アクアラ]]は、王国が守ってきた海底通信管の「沈黙期限」が迫っていることを突き止める。沈黙期限とは、潮の位相が変わるたびに海底王国の“声”が地上へ届かなくなる現象であり、期限の最終日には地上側の電波塔が互いの周波数を食い合うとされる[5]。
一方、地上では[[ニューヨーク市]]の都市計画局に属する技官[[エレン・モントフォート]]が、地下水位の異常低下を“ただの保守不良”として処理しようとする。ところが、地下に埋め込まれた古い導水路の配管図が、王国の古文書と完全に一致していることが判明する。両者の利害が交差することで、地上の規格と海底の儀礼が同一の設計思想に基づく可能性が浮上する。
執政官カイは、逆襲儀礼の第2形式「王国式マンハッタン着底決戦」を発動する。決戦は、[[マンハッタン島]]の湾岸にある排水ゲートと地下回廊を同時に“歌わせ”、水圧と振動を一致させることで勝敗を決める儀式である。作中では、勝敗が3分12秒の波形適合率で決まるとされ、適合率が99.73%を超えた場合にのみ海底王国の通信が復活すると描写される[6]。
クライマックスでカイとエレンは、互いの組織の常識を壊す形で合意に到達する。逆襲とは敵を倒すことではなく、誤って分岐させられた“同じ図面”を再結合する行為だと結論づけられ、海底王国の敗北が一度も確定しないまま物語が収束する。なお、この「敗北が確定しない」という表現は、脚本会議記録の一部では「敗北が確定しないように編集で観客の予断を抑えた」と説明されている。
登場人物(主要人物/その他)[編集]
主要人物
執政官カイ=アクアラ(声:[[佐倉灯里]])は、若い世代でありながら儀礼の論理を数式化する才能を持つ人物である。作中では、沈黙期限までの残時間を“潮の小節”で数えるため、周囲の大人からは「時間の言い方が海藻すぎる」と軽口を叩かれる場面がある。さらに、決戦時にだけ胸部の発光板が青白く点滅する設定は、制作現場で「青は妥協、白は服従」という俗説で語られた[7]。
技官エレン・モントフォート(声:[[ジェームズ・カワノ]])は、都市行政の合理性を信じつつ、過去の保守記録に矛盾があることを追う。彼女は“異常”を隠したがる上司に対し、異常データが実は地質学的に美しい規則性を持つことを示す。終盤では、海底王国の古文書を読み解く際に「配管の癖」を“人の癖”として捉える発言をする。
その他
王国の監査官[[グラウンド・ミュルヘン]](声:[[三上慎吾]])は、儀礼が制度化されるほど逸脱が増えると警告する役である。一方で、地上側には[[ニューヨーク市]]の港湾局顧問[[カルロス・バスケス]](声:[[マリアンヌ・ロドリゲス]])が登場し、派手な演出の裏で実務的な交渉を担う。彼は「拍響補正」の考案者として、作中の“脚注”のような形で一度だけ言及される。
声の出演またはキャスト[編集]
声の出演は、日英混成収録で行われたとされる。主要キャラクターは日本語版でも英語版でも同一声優が担当する方針だったが、吹替コストの都合で一部のみ例外があったという指摘がある。
佐倉灯里はカイ=アクアラを、感情を抑えつつ音の高さで心情を示す演技として解説されている。ジェームズ・カワノはエレン・モントフォートを“行政書類を読む声”の抑揚で演じたとされ、撮り直しが複数回行われた[8]。マリアンヌ・ロドリゲスは港湾局顧問に、明瞭すぎない言い淀みを付与し、地上の冷たさと海底の湿度を同時に表現したと評された。
なお、グラウンド・ミュルヘン役の三上慎吾については、録音中に「笑い声の周波数」を計測したとする資料が見つかっているが、同一資料内で測定機器名が矛盾しており、信頼性は検討中である。
スタッフ(映像制作/製作委員会)[編集]
スタッフの中核は、監督[[飛鳥井鷹志]]と脚本[[御影瑞季]]、ならびに音響制作の[[鯨波サウンド研究所]]で構成されたとされる。製作委員会は「海底王国復興協議会(仮)」を前身とし、最終的な正式名称は[[東京鯨波配給社]]主導で再編されたと報告されている。
映像制作では、モデリング段階で地上都市の配管図を“読み物”として扱う手法が取られた。美術監督[[春日井リョウ]]は、[[マンハッタン島]]の実在の排水ゲートを資料として参照しつつ、実在形状の“角度だけ”を採用したと述べたとされる[9]。この「角度だけ」という説明は、実写資料の完全一致を否定する意味で受け止められた。
また、CG・彩色は海底生物の光散乱を模す方向で進められ、彩色の調合記録として「海藻顔料:海面顔料=7:3」という割合が残っている。しかし、記録は複数ファイルに分散しており、最終的な塗料配合がこの比率と一致したかは不明である。
製作(企画/制作過程/美術/CG・彩色・撮影/音楽/主題歌/着想の源)[編集]
企画は、前作の大ヒットを受けた「逆襲儀礼の地上拡張」を軸に、制作委員会の内部資料で提案された。議論の発端は、都市部で増える地下トラブルが“物語上の敵”になりうるのではないかという発想である。そこで、[[ニューヨーク市]]のインフラ史を調べる過程で、架空の概念としての「海底通信管」が既存文献の欄外に引用されているように見える、と監督が主張したことが大きな転機となった[10]。
美術面では、決戦の舞台となる[[マンハッタン島]]の湾岸を、実写の夜景にアニメ背景を重ねる“薄皮合成”で再現した。特殊技術としては、画面内の水膜が一定の硬度を持つように見せるために、フレームごとに水膜の透明度を変える工程が採用されたとされる。透明度のキーは「1フレームあたり0.6%」という細かい数字で管理され、現場で「0.6は数字が小さすぎて誰も反対できない」と冗談が出たと聞かれる。
音楽は[[渡辺真琴]]が担当し、作中の“儀礼の歌”には和声進行ではなく環境音のピッチ抽出を用いたとされる。主題歌は[[AURORA LANE]]の「港の中の階段」であり、キャッチコピーは「水圧は嘘をつかない」であった。作曲の着想源として、監督は港湾の放送アナウンスを録音して解析したと語ったが、解析データの公開は行われていない。
制作終盤には、爆発シーンのタイミングを合図拍(拍手のピーク)へ合わせるため、試写で得た集計を反映させた。集計手法は“観客の拍手のピークが最頻値になるまで繰り返す”というもので、結果として爆発の間隔は理論上「2.041秒±0.008秒」に収束したとされる[11]。ただし理論値と上映記録が完全に一致したかについては、音響版と字幕版の差が指摘されている。
興行(宣伝/封切り/再上映/テレビ放送・ホームメディア/海外での公開)[編集]
宣伝活動では、[[東京都]]内の複数劇場で「海底王国の逆襲儀礼」体験ブースが設置され、観客は館内放送に同期した呼吸を求められた。呼吸のガイドは“4秒吸って6秒吐く”と提示され、実際に平均呼吸周期を計測したという報告があるが、当時の配布資料にのみ見られるため真偽は議論が残っている。
封切りは2022年の中旬とされ、初週の動員は国内で約210万人、興行収入は16.3億円を記録した[12]。この数字は週末の再上映を含んだ集計であり、通常の興行指標とは条件が異なると注記されている。なお、ネット上では「土日だけで一度打ち上がりが起きた」との声があり、地域ごとの伸び率に差があったとされる。
再上映は冬季に行われ、IMAX形式に似た“大画面水圧リマスター”が導入された。海外公開は、[[カナダ]]と[[アイルランド]]を先行し、字幕の用語を統一するために「逆襲儀礼」関連語を統一辞書化したとされる[13]。ホームメディアはブルーレイと4K配信が同時に行われ、映像ソフト化の際に一部シーンで“色調が海藻寄りになった”というDVD色調問題が発生した。
テレビ放送では視聴率が12.4%を記録したとされるが、別の資料では12.9%と記載されており、集計日の切り方が異なる可能性がある。
反響(批評/受賞・ノミネート/賞歴・ノミネート歴/売上記録)[編集]
批評では、都市インフラと幻想の接続が評価された一方、勝敗基準を波形適合率に寄せすぎた点が“理屈の説教臭さ”につながったとも指摘された。もっとも賛否が割れたのは、エレンが古文書を読む場面で「配管図が恋文のように見えた」と比喩するセリフである。映画評論家[[清水カナメ]]は、この一文を「詩としては成立しているが、理屈としては折り返しが急」と評した[14]。
受賞面では、音響技術賞のほか、視覚効果賞にもノミネートされたとされる。作中の水圧カメラ合成は、音と映像の同期が極端に細かいことから専門家の注目を集めた。売上記録としては、初回出荷が国内で約28.1万枚、海外で約9.6万枚を記録したと報じられている[15]。
ただし、これらの売上指標は“ポイント消化”を含む場合があるため、純粋な販売数と乖離する可能性があるとされる。編集会議では「数字は強いが、意味を固定しない」ことが方針だったと回想されており、終盤の細い数字が宣伝文句に直結していった経緯が推測される。
テレビ放送[編集]
テレビ放送では、地上波とCSの両方で編成されたとされる。地上波版は、爆発SEのピークが大きい場面で音量制御が加えられ、結果として一部の儀礼の歌が高域寄りに聞こえるとの苦情が出た。CS版ではこの問題が緩和されたが、その分だけ放送時間が2分延長されたという。
また、放送時のテロップでは、作中の“波形適合率99.73%”が視覚的に強調され、視聴者が数学問題のように受け取ってしまうという事態が起きたとされる。放送局の編成担当者は「計測を信じるより、感じる方が早い」と述べたと記録されているが、インタビュー記事の見出しは別の文言になっており、編集の意図が疑われている。
関連商品(作品本編に関するもの/派生作品)[編集]
関連商品としては、音響収録に基づく「拍響補正」デモディスクが発売された。これは、観客が手拍子で参加する前提の短尺音源であり、説明書には再生中の呼吸テンポ(4秒吸って6秒吐く)が記載されたとされる[16]。
また、劇中に登場する“逆襲儀礼”の便覧を模した設定資料集『海底王国の逆襲儀礼・改』が販売された。内容は海底通信管の図面、配管記号の読み方、そして波形適合率の概念図で構成される。なお、この便覧の一部ページが実在の都市計画資料と類似しているとして、発売当時に軽い論争が起きたと報じられている。
さらに、キャラクターグッズとしてカイ=アクアラの発光板を模したライトキーホルダーがヒットした。色が青白く点滅する仕様は、現場で「青は妥協、白は服従」という迷信を踏襲したものとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 飛鳥井鷹志「海底王国逆襲儀礼の地上拡張設計について」『東京鯨波アニメ研究紀要』第18巻第2号, pp. 41-66, 2023.
- ^ 清水カナメ「音響技術賞に見る“拍手同期”の評価軸」『映像音響評論』Vol.12 No.3, pp. 77-92, 2022.
- ^ 御影瑞季「配管図を読むこと—都市インフラ幻想の脚本論」『アニメーション脚本学研究』第9巻第1号, pp. 12-35, 2024.
- ^ 渡辺真琴「港の中の階段—環境音抽出による和声非依存作曲」『音楽工学ジャーナル』Vol.27 No.4, pp. 201-223, 2022.
- ^ 春日井リョウ「薄皮合成による夜景背景の再構成」『美術監督年報』第33号, pp. 88-101, 2022.
- ^ 鯨波サウンド研究所編『大画面水圧リマスター検証報告書』東京鯨波配給社, 2022.
- ^ American Animation Award Committee『Technical Sound Awards: 2022 Proceedings』Vol.5, pp. 55-60, 2023.
- ^ Montfort, E. & Akawara, K. “Waveform Compatibility in Narrative Sound Design” 『Journal of Imaginary Acoustics』Vol.3, No.1, pp. 9-18, 2022.
- ^ 橋口ユウキ「DVD色調問題の社会的波及—“海藻寄り”事件の分析」『視聴メディア研究』第2巻第4号, pp. 1-19, 2024.
- ^ Dooley, Patrick『Subterranean Cities and Their Cinematic Myths』Atlantic Press, 2019.
- ^ 『海底王国の逆襲2 ニューヨーク大決戦!公式興行記録(誤植版)』東京鯨波配給社, 2022.
外部リンク
- 東京鯨波配給社 公式配信ページ
- 鯨波サウンド研究所 プロモートラック試聴
- 拍響補正 協議会アーカイブ
- AURORA LANE 主題歌特設サイト
- 東京国際アニメ祭 上映ログ