男はなぜ親近相姦に憧れるのか?僕はそう考えながらママに媚薬を飲ませ夜這いをした。そしてその事に気づいた祖母と姉と妹にも媚薬を飲ませ夜這いをした。そしてママも祖母も姉も妹も僕の子供を妊娠しました。
| タイトル | 『男はなぜ親近相姦に憧れるのか?僕はそう考えながらママに媚薬を飲ませ夜這いをした。そしてその事に気づいた祖母と姉と妹にも媚薬を飲ませ夜這いをした。そしてママも祖母も姉も妹も僕の子供を妊娠しました。』 |
|---|---|
| ジャンル | 心理オカルティズム・近親恋愛“なぜ”劇 |
| 作者 | 黒縁黒眞 |
| 出版社 | 蒼白社 |
| 掲載誌 | 月下理論通信 |
| レーベル | ナイト・ロジック・レーベル |
| 連載期間 | 2016年5月号〜2022年12月号 |
| 巻数 | 全9巻 |
| 話数 | 全87話 |
『男はなぜ親近相姦に憧れるのか?僕はそう考えながらママに媚薬を飲ませ夜這いをした。そしてその事に気づいた祖母と姉と妹にも媚薬を飲ませ夜這いをした。そしてママも祖母も姉も妹も僕の子供を妊娠しました。』(よみ)は、によるの。『』()において連載された[1]。
概要[編集]
『男はなぜ親近相姦に憧れるのか?僕はそう考えながらママに媚薬を飲ませ夜這いをした。そしてその事に気づいた祖母と姉と妹にも媚薬を飲ませ夜這いをした。そしてママも祖母も姉も妹も僕の子供を妊娠しました。』は、家族関係の“禁忌”を主題にしつつ、思考の連鎖と誤読の連鎖で読者を転がす心理オカルティズム漫画である。
連載開始当初から物議を醸したが、作者は「これは恋愛ではなく、誤作動する推論の物語である」と説明しており、作中では“媚薬”が魔法薬というより「自己正当化装置」として描写されるのが特徴である[2]。
2020年代に入り、SNS上で“夜這い”が比喩として流通し、考察系の切り抜き動画が大量に投稿されたことで社会現象化したとされる[3]。ただし後述の通り、倫理面では厳しい批判も受けた。
制作背景[編集]
「禁忌を“研究”にする」発想の誕生[編集]
作者の黒縁黒眞は、学生時代にの小規模研究会「夜間推論同好会」に所属していたとされる。そこで扱われたのは恋愛学ではなく、誤推論が起きる条件を数式化する“儀式的推論”だった。
同人誌『家系図は数学ではない』が蒼白社の編集部「ナイト・ロジック・レーベル」目に留まり、本作の企画が持ち上がった経緯がある。担当編集の浅霧端斗(あさぎり はると)は「禁忌の話でも、表情の統計で描ける」と述べ、心理描写を統計グラフ風の効果線で見せる案を推したとされる[4]。
オカルティズム化と“媚薬”の記号設計[編集]
“媚薬”は、薬理学を装いながら実際には物語装置として設計された。第1巻のプロトタイプでは、媚薬の成分が「月齢」「睡眠深度」「家系の節目番号」などの架空パラメータとして細かく定義されていたという[5]。
のちに作者は「読者が理屈だと思ってしまう程度に定義し、最後に“理屈が壊れる”瞬間を入れる」方針へ切り替えた。第3話で初めて、媚薬のラベルに“飲むな—ではなく、飲んだあとでしか理解できない—”と印字される演出が採用されている[6]。
あらすじ[編集]
第1編:ラベル9枚目の夜[編集]
主人公(“僕”)は、なぜ男が禁忌に引き寄せられるのかをノートに書き、答えを見つけたつもりになる。彼の答えは「親密さの“近さ”が、恐怖の“遠さ”を上書きする」という、作中で“逆距離回路”と呼ばれる理屈である。
夜、彼は「白蛍薬房」で入手した“媚薬”を母に飲ませる。直後に起きるのは、情熱ではなく、家族内の視線の整理であり、主人公は“正しく理解された”と誤認する[7]。
この編の終盤、ラベル9枚目だけが擦れて読めなくなっており、読者は「この物語は“正解の一歩手前”を量産している」ことを突きつけられる。
第2編:祖母の時間、姉の反証[編集]
主人公は自分の行為に気づかれたと感じ、さらに“理解”を確実にするため、祖母へ同種の媚薬を回す。ここで重要なのは、祖母が呆れるのではなく、家族の出来事を“記録”し始める点である。
祖母は第2編第17話で「反証とは、眠気である」と言い残し、以降は会話の語尾がすべて“〜だろう?”に変質していく。姉はその揺らぎを見抜き、主人公のノートに赤ペンで「逆距離回路は“恋”ではなく“手順”である」と追記するが、主人公はそこを読み間違える[8]。
なお本編には、全ページ中で最も多い効果線量(作中スタッフ換算で約1.3万本)が投入されたとされ、コマ割りが“時間の折り返し”を模した構造になっている。
第3編:妹の統計、妊娠という比喩[編集]
主人公は妹にも媚薬を飲ませる。ここで物語は露骨な出来事から一転し、「妊娠」という語が比喩として転用される。具体的には“新しい記憶の発生”を指す設定として扱われ、読者は「子の誕生」より「誤った確信の増殖」に注意を促される[9]。
妹は第3編第33話で、主人公の推論を“当てはめ”ではなく“照合”に変えるよう提案する。しかし彼は照合の代わりに“追加”を選び、事態は“理解が進むほど、責任が薄まる”方向へ転がっていく。
終盤では、家族それぞれの記憶が1話につき平均3.2件ずつズレていくことが、作中の偽科学レポート(第3巻付録)で示され、読者の頭の中でも因果がぐらつく構成となる。
登場人物[編集]
主人公(“僕”)は、理屈を握れば禁忌を解体できると信じるタイプの語り手として設定されている。彼は作中で「理解=許可」と誤変換する癖があり、ページ単位で“誤変換率”が変動する演出が採用されている[10]。
母は家庭の中心でありながら、言葉が短くなるほど主人公の推論が強化されるという逆相関で描かれる。祖母は記録者であり、“時間の折り返し”を自覚しているが、結果としては主人公の誤作動に加担する。
姉は最大の反証担当で、物語の途中から表情が“正しい驚き”ではなく“正しい逃避”へ移行していく。妹は最終的に“妊娠=比喩”を最初に掴む人物であるとされるが、その理解もまた別の比喩へ接続され、救いが単純化されない点が評価されることがある。
用語・世界観[編集]
本作の世界観では、禁忌を説明する装置としていくつかの用語が繰り返し登場する。中心概念はであり、「近づくほど恐怖が希釈される」という擬似科学的比喩として機能する[11]。
“媚薬”はと呼ばれ、服用者の意思を“乗算”するものとして描かれる。第4巻以降、“同意”が数式化される演出が増え、主人公のノートがページ端で勝手に増殖する“文字のホラー”として扱われる。
また家族内の関係は、血縁に基づくのではなく、作中ではというルールで整理される。通行許可は“気づく”行為で変化し、読者は登場人物の表情から許可状態を読み取るよう誘導される。もっとも、これらはあくまで物語上の記号であり、説明が過剰になるほど因果が怪しくなるよう設計されたとされる[12]。
書誌情報[編集]
蒼白社のにおいて連載された。単行本はナイト・ロジック・レーベルから刊行され、累計発行部数は2021年末時点で約54.7万部を突破したと報告されている[13]。
各巻には巻末付録として“偽研究レポート”が付けられ、特に第2巻の付録「逆距離回路・ラベル読み替え法(試作)」は、読者投稿によって誤読解釈が増殖したことで話題となった。
なお、第6巻には編集部の意向で“表現の注意書き”が追加されたが、作者は「注意書きは物語を優しくするのではなく、誤解を増やす」として、書き方をわざと硬質にしているとされる[14]。
メディア展開[編集]
テレビアニメ化は2023年春期に発表され、制作会社はとされた。制作発表会では、OP曲の歌詞にの数式が1行だけ混入していることが明かされ、考察勢の間で即座に解析が行われたという[15]。
劇場版は“余白の回”と銘打たれ、原作の一部を別角度から描き直す形式を採用した。配信では各話に“読者アンケート”が添えられ、アンケート結果が次回予告の文字サイズに影響するという、視聴者参加型の演出が組み込まれた。
さらに、名古屋市周辺での企画展「夜の推論回路展」が開催され、会場では“ラベル9枚目の暗号”が謎解きとして配布された。実際の企業コラボも複数あったが、公式サイトでは企業名を明記せず、代わりに“白蛍薬房 監修”という体裁になっていたとされる[16]。
反響・評価[編集]
肯定的な評価としては、禁忌を扱いながらも“恋愛の快楽”へ単純化せず、誤推論の連鎖として描く点が挙げられる。漫画批評家のは「読者が“なぜ理解できたと思ったか”を追体験させられる」と論じたとされる[17]。
一方で批判も強く、特に“媚薬”が権力や同意の問題を連想させるため不適切だという指摘があった。炎上は連載3年目に最も大きく、編集部は“表現の意図は心理装置としての比喩である”とのコメントを出したが、コメント自体がさらに議論を呼んだと報じられた。
ただし、皮肉なことに反応の中心は“内容の是非”よりも“論理の綻び”の面白さに寄ったとも言われる。読者が「これマジ?…嘘じゃん!」と笑う場面として、終盤で主人公のノートがページ外へはみ出し、登場人物の台詞を“訂正”する描写がしばしば引用された[18]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 黒縁黒眞『男はなぜ親近相姦に憧れるのか?(上巻)』蒼白社, 2017年.
- ^ 浅霧端斗「ナイト・ロジック連載フォーマットの設計理念」『月下理論研究』Vol.12 第1巻第3号, 2018年, pp.45-62.
- ^ 高遠柊斗『禁忌を“研究”として読む漫画学』青碧叢書, 2020年.
- ^ Dr.ミランダ・ケイス『Cognitive Misreadings and Narrative Alchemy』Northern Paperbacks, 2021, Vol.8, pp.101-133.
- ^ 佐久嶋雲平「比喩としての同意:夜間推論同好会の記録」『日本物語装置誌』第7巻第2号, 2019年, pp.12-27.
- ^ 東銀動画製作所編『テレビアニメ「夜の推論回路」制作資料集』東銀映像, 2023年, pp.9-58.
- ^ R.ハルドン「The Label Effect in Serialized Horror-Comedy」『Journal of Pseudoscience Narratives』Vol.3 No.4, 2022, pp.77-95.
- ^ 蒼白社広報室『月下理論通信 連載アーカイブ(第1〜40話)』蒼白社, 2020年.
- ^ 林檎灯里『禁忌表現と編集倫理:注意書きは誰のためか』蒼白社, 2022年(タイトルが一部誤植されていると指摘される).
外部リンク
- 月下理論通信 公式アーカイブ
- ナイト・ロジック・レーベル 出版物一覧
- 東銀動画製作所 スタッフノート
- 夜の推論回路展 参加型資料室
- 白蛍薬房 監修コーナー