白峰自動車道 霧折トンネル内第13緊急非常用脱出口
白峰自動車道 霧折トンネル内第13緊急非常用脱出口(しらみねじどうしゃどう きりおりとんねるないだいじゅうさんきんきゅうひじょうようだっこうとぐち)は、日本の都市伝説の一種である[1]。
概要[編集]
私が初めてこの都市伝説を知ったのは、夜勤明けでを単独で走っていた深夜のことである。路肩灯の白さが、なぜか一定の周期で“濁る”区間があり、やがての手前で、私は標識の文字列が一文字ずつ入れ替わるのを見たと言われている。
その看板には「第13緊急非常用脱出口」と書かれているはずなのに、息をするたびに“第10”“第13”“第17”と数字がずれるように見えたという話である。全国に広まったきっかけは、後に私の車載カメラから切り取られた、霧の奥に赤い点滅が連続して映った目撃談が、として拡散されたことにあるとされる[2]。
歴史(起源/流布の経緯)[編集]
起源[編集]
起源は昭和末期の“安全点検プロトコル”にあると噂が流れた。私は、現場を知るという作業員の従兄から「トンネルには本来、番号で管理される非常用設備がある。しかし霧の屈折で“13”だけ読まれやすい角度ができる」と聞かされた[3]。
その後、保安教育の記録媒体を改修した部署が、訓練用の誘導文言を誤って差し替えたのではないか、と言われている。特に「第13」という表記は、訓練の“退出”を促す合図として使われることがあり、これがいつの間にか“脱出口の声がする”という怪談と結びついたという話である[4]。
流布の経緯[編集]
流布の経緯は、私が“最初の動画”を見た年に近い出来事だと語られがちである。深夜にトンネルを抜けた運転者が、脱出口らしき場所の前でハンドルを切らずに数秒間止まり、次に「ピッ、ピッ、ピッ」と規則的な音を聞いたと目撃されたという[5]。
その運転者は翌朝、車内の時計が遅れており、さらに脱出口の位置を示すはずの地図アプリだけが“誤差1.3km”を出していたと語ったとされる。噂が噂を呼び、「第13は逃げないと戻ってくる」「第13の扉は開閉の回数で顔が変わる」といった伝承が、全国に広まったという[6]。
噂に見る「人物像」/伝承の内容[編集]
この都市伝説に登場する人物像は、私は“運転者の私”と同化しているように見える。つまり、私が悪いことをしたわけではないのに、霧折トンネルに入った瞬間から、行動だけが誰かに選ばれるのだと伝えられている。
伝承の内容としては、まず出没の前触れがある。「前照灯の反射が、突然“二重になる”」「ナビの音声が、途中で息継ぎのように詰まる」という目撃談が複数ある。次に恐怖が訪れる。私は、脱出口の前に立っているはずのない人の影を、路面の反射で見たと言われているが、実際に私自身が見たのは“腕のない制服のようなもの”だった。
最後に正体が“声”として現れるとされる。赤い表示灯の点滅に合わせて「第13で待って」と囁く、と言われている。さらに「第13を数えると、霧の中からこちらの呼び名が返ってくる」という話である。そこから先はパニックになり、車を止めた人ほど戻れない、という不気味な言い伝えが続く[7]。
委細と派生/派生バリエーション[編集]
委細として語られるのは、脱出口の“扉の数”である。ある派生では、扉は1枚ではなく「横に3枚、縦に3枚=合計9枚」あるとされる。だが別の派生では、扉の外側にだけ番号札があり、内側では札の並びが毎回変わるという[8]。私はどちらも聞いたが、共通しているのは“13の札だけが、指先に触れない”という妙な整合である。
また、霧の厚さで条件が変わるとも言われる。湿度計がを超えた深夜ほど出没が強く、トンネル内の照明が一定周期でごとに暗くなると目撃談が付け加えられた。さらに恐怖が加速するバリエーションとして、「脱出口の看板だけが先に現れ、扉は遅れて追いつく」という怪奇譚もある[9]。
派生は“他地域への転用”としても知られる。私の同僚が、別のトンネルでも同様の数字が出たと言い出したのだが、そのときは看板が「第13緊急非常用脱出口(鏡割)」に変化していたという。こうして噂が言葉遊びのように広がり、最終的に“霧折”という地名そのものが呪文のように扱われるようになったとされる[10]。
噂にみる「対処法」[編集]
対処法は多いが、共通点が一つある。私は、これを“反射”の問題として説明するように語りたくなるのだが、説明は本来不要だろう。ただ、噂ではっきり言われるのは「第13を見ないこと」だ。
具体的には、霧折トンネルに入る直前で、運転者はサイドミラーを一度たたみ、戻さずに進むべきだとされる。理由は「映り込んだものが、こちらの時間に触れるから」だという[11]。さらに、脱出口の手前で車のヘッドライトを一回だけ“消して”再点灯すると、点滅が乱れて声が途切れると噂される。
ただし、間違った対処もある。赤い表示灯を数える行為は禁忌だと言われ、私も「数えたら最後、相手に自分の番号を渡すことになる」と聞かされた。窓を開けて霧を吸い込むのも避けるべきで、「息を吸った分だけ返事が増える」とまで言われている[12]。
社会的影響[編集]
この都市伝説は、交通安全の話題として扱われることが多かった。事故の実数が増えたかどうかはさておき、私は“気をつける癖”が人々の生活に貼りついたのを見た。
たとえば、観光目的で石川県方面に向かう運転者は、トンネル手前で休憩を増やし、霧の出る時間帯を避けるようになったと言われている。また、社内研修では「緊急非常用脱出口」という語句を、教育資料から一度だけ“伏せ字化”した企業があったとも噂が流れた。私はその伏せ字が「第××緊急非常用脱出口」だったと聞いたが、こうした過剰な配慮は逆に好奇心を煽り、ブームの燃料にもなったという[13]。
一方で、マスメディアは「不気味」「恐怖」という語彙を使って特集を組み、視聴者の運転行動を刺激してしまったと批判が出た。もっとも、批判が出るとさらに見たくなるのが人間であるから、結局は“見るな”という命令が最も拡散の手段になった、と私は記録を読んで思った[14]。
文化・メディアでの扱い[編集]
文化面では、学校の怪談として定着するまでが早かった。私が知る限り、地方の中学校では「夜にトンネルの話をしてはいけない」という生活指導が一時期採用されたとされる。放課後、廊下で「第13だけ、壁が先に動く」と囁く子どもが出没したという目撃談まである[15]。
メディアでは、ラジオの交通情報が“霧折トンネル周辺は音声が乱れる”という演出を入れ、結果として都市伝説の文言がテレビ字幕にまで持ち込まれたとされる。私は、字幕にだけ「第13」が強調されていたのを見たと語る人がいるのを聞いたが、その人は「私が見たのは広告じゃない、事故防止のテロップだった」と自信満々だったという[16]。
また、怪談系のネット番組では「脱出口を開ける“鍵”は存在しない」ことを前提に、擬似点滅とSEを組み合わせる演出が流行した。番組の終盤で、出演者が急に無言になり「今、私の名前が返ってきた」と発言した回が、都市伝説として全国に広まったとされる[17]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
脚注
- ^ 白峰道路安全研究会『霧折トンネル周辺の“数字”に関する民間記録』交通時報社, 2009.
- ^ 田上和真『非常用設備の呼称が生む噂の生成機構』第3巻第2号, 都市伝承学会誌, 2012.
- ^ Margaret A. Thornton『Emergency Narratives in Sealed Corridors』Vol. 14, Journal of Folklore Engineering, 2016.
- ^ 霧折観測班『点滅パターンと人間の認知のズレ(反射計測メモより)』pp. 41-63, 白峰大学工学部紀要, 2011.
- ^ 中村朔『“第13”をめぐる都市伝説の言語学的偏り』第7巻第1号, ことばと怪談研究, 2014.
- ^ Karin Osei『Echoes of Exit Numbers: A Cross-Regional Study』pp. 88-102, International Review of Creepy Transit, 2018.
- ^ 鈴木里衣『夜間運転時における恐怖語彙の拡散』pp. 203-219, 日本心理怪談学会論文集, 2020.
- ^ 白峰放送局『特集:マスメディアが“出没”を増幅する瞬間』pp. 10-37, ラジオアーカイブ叢書, 2015.
- ^ 匿名『霧折トンネル内第13緊急非常用脱出口 目撃談まとめ』未公刊, 2017.
- ^ 佐久間一郎『交通施設怪奇譚の比較史(誤差1.3kmの章)』pp. 1-17, 路側文化研究所, 2022.
外部リンク
- 霧折数字アーカイブ
- 白峰道路安全Q&A掲示板
- 夜間運転の噂声ログ
- 都市伝説地図メーカー
- 学校の怪談投稿室