確かにそうだ味方の大人だっている
| 名称 | 確かにそうだ味方の大人だっている |
|---|---|
| 読み | たしかにそうだみかたのおとなだっている |
| 分類 | 若者支援用スローガン・確認句 |
| 起源 | 1997年頃の学校相談現場 |
| 提唱者 | 佐伯 光一郎(さえき こういちろう)とされる |
| 主な使用地域 | 関東地方、のち全国 |
| 採用組織 | 文部省青少年対話調整班、都立相談室連絡会など |
| 特徴 | 肯定の断言を2回繰り返すことで安心感を与える |
| 関連現象 | 校内安心宣言、味方確認運動 |
| 注目点 | 一部では呪文的表現として誤用された |
確かにそうだ味方の大人だっているは、の学校現場および若者支援の文脈で用いられる、反復的な確認句兼スローガンである。主に後半から初頭にかけて、児童相談や生徒指導の現場で広まり、のちにを中心とする自治体広報にも採用されたとされる[1]。
概要[編集]
確かにそうだ味方の大人だっているは、相手の不信や孤立感に対して「大人の側にも味方がいる」と確認させるための言い回しである。短いながら強い断定を含み、特にやの相談室、非行防止プログラム、の面接記録で引用されてきたとされる。
この表現は、単なる励まし文句ではなく、の「校内安心語彙整備試案」において、児童生徒との距離を縮めるための“再帰的肯定句”として分類されたことから知られる。ただし、句の長さに比して意味がやや過剰に積み上がっており、現場では「言った側が先に息切れする」との指摘もあった[2]。
成立の経緯[編集]
相談現場での偶発的生成[編集]
起源については諸説あるが、最も有力なのは夏、の県立青少年サポートセンターで、臨床心理士の佐伯光一郎が面談中に「確かに、そうだ。味方の大人だっている」と区切って発話したところ、当時の記録係がこれを一続きの定型句として議事録に転記した、という説である。以後、同センターでは面談終結時の合言葉として運用され、年間約1,200件の面接のうち、実に73%で類似表現が使われたとされる[3]。
なお、佐伯は後年のインタビューで「私が言ったのはただの相槌である」と否定したが、同席していた研修生のは「言い方があまりに強かったため、札束のように頼もしく聞こえた」と証言している。
文部行政への転用[編集]
には前身組織の内部資料『対話的安全表現集』に収録され、全国47都道府県のうち39都道府県に配布されたとされる。特にとでは、校内巡回職員が胸章に小さく印刷して携行する運用が試みられた。
この時期、句の中の「味方」が法的主体を持つかのような誤解が生じ、ある市議会では「味方の大人を何人配置するのか」と質問が出た記録が残る。教育委員会側は「人数ではなく姿勢である」と答弁したが、答弁原稿の脚注にはなぜか“3名以上推奨”と書かれていた[4]。
民間広報とポップカルチャー化[編集]
半ばになると、地方自治体のポスターや少年補導の啓発パンフレットに用いられ、さらに系の短編アニメ『きみの横には誰かいる』のサブタイトルにも採用された。ここで表現はやや拡散し、「確かにそうだ、味方の大人だっているよ」「味方の大人、ちゃんといるからね」など変異形が多数発生した。
の「青少年メンタルウェルカム週間」では、駅貼り広告において本句の“句読点の揺れ”が意図的に残され、通行人の記憶定着率が23%向上したとする調査結果が発表されたが、調査対象が職員の家族7名を含んでいたため、後に要出典扱いとなった。
表現の構造[編集]
この句は、前半の「確かにそうだ」で相手の認知をいったん肯定し、後半の「味方の大人だっている」で孤立感を外部化する二段構成になっていると分析される。国語学ではこれを「合意導入型保護文」と呼ぶことがあるが、実際にはが独自に命名したもので、学界での普及率は低い。
また、「味方の大人」という表現は、通常の家族・教師・支援員をひとまとめにしつつ、誰が味方かをあえて曖昧にすることで受け手の想像力を補助する。この曖昧さが効果を生んだ一方、にはある自治体のポスターで“味方の大人”がサンタクロース風の中年男性として描かれ、逆に不信感を招いた事例もある。
社会的影響[編集]
本句は、学校の相談窓口に対する心理的障壁を下げた点で評価されている。とくに支援の初回面談では、沈黙が続く場面でこの句を投げかけるだけで、返答率が平均18%上がったという報告がある。ただし、返答の多くは「ほんとに?」であり、安心効果の測定には再検討が必要だとされた[5]。
一方で、あまりに多用された結果、頃にはネット上で反語的に引用されるようになり、「確かにそうだ味方の大人だっている(いない)」のような用法が流行した。これに対抗して、の外郭団体が“味方の大人認定章”を試験導入したが、受章条件が「3回以上うなずくこと」だったため、会場がほぼ全員該当したという。
批判と論争[編集]
批判の多くは、表現が善意に依存しすぎている点に向けられた。支援現場の一部からは「味方の大人がいるのではなく、味方である大人を育てる制度が必要である」との意見が出され、句そのものが制度責任をやわらげる“言い換え装置”として機能しているとの指摘もあった。
また、にはの私立高校で、生徒指導部がこの句を毎朝唱和させたところ、2週間で生徒の44%が「大人の味方って誰ですか」と質問し、職員会議が4時間延長した。これを受けて、一部メディアは「味方の大人問題」と報じたが、当事者団体は「問題は味方の数ではなく、呼び出され方である」と反論している。
派生形と用例[編集]
派生形としては、「確かにそうだ、先生だっている」「確かにそうだ、地域の大人だっている」「確かにそうだ、味方の大人だって、たぶんいる」などが確認されている。なかでも最後の表現は、のSNS調査で最も拡散したが、断定を弱めたことで安心感が半減したとする報告もある。
また、の一部中学校では、テスト前の緊張緩和として「確かにそうだ味方の大人だっている」を3回唱えてから着席する独自儀礼が行われた。成績への影響は確認されていないが、少なくとも教室の空気が少しだけ静かになったという。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯光一郎『対話的安全表現集 第2版』青林教育出版, 2002.
- ^ 高橋由紀『面談記録における肯定句の反復効果』日本臨床対話学会誌 Vol.14, No.3, pp.112-129, 2004.
- ^ 東京都立言語生活研究所 編『校内安心語彙整備試案』都立文化資料叢書, 1999.
- ^ Margaret L. Wren, "Reassurance Phrases in East Asian School Counseling", Journal of Applied Civic Linguistics, Vol.8, No.1, pp.44-67, 2006.
- ^ 埼玉県青少年サポートセンター『平成9年度 面接終結用語録』内部資料, 1998.
- ^ 鈴木真一『味方の大人とその周辺概念』地方行政評論社, 2011.
- ^ Kenji Arakawa, "The Syntax of Protective Affirmation", Educational Phrase Studies Quarterly, Vol.5, No.4, pp.201-219, 2008.
- ^ 文部省青少年対話調整班『対話的安心表現の全国実装に関する覚書』官報別冊, 2001.
- ^ 大森夏子『ポスターにおける断定と安心のデザイン』美術教育研究, 第22巻第2号, pp.55-73, 2013.
- ^ 佐伯光一郎・高橋由紀『味方の大人は本当にいるのか』新潮社相談室文庫, 2016.
- ^ H. T. Calder, "Why Adults Must Sound Certain", Proceedings of the International Symposium on Shelter Language, Vol.3, pp.7-18, 2014.
外部リンク
- 青少年対話資料アーカイブ
- 都立言語生活研究所デジタル館
- 味方確認運動保存会
- 学校安心表現データベース
- 相談室用句読点史研究会