空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の寺院一覧
| 対象 | 空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の寺院 |
|---|---|
| 成立 | 2004年以後 |
| 地域 | 北米、欧州、東アジア、オセアニアほか |
| 分類 | 宗教施設一覧 |
| 主要運営母体 | 各地のパスタ会館、麺会、信徒協議体 |
| 特徴 | 厨房と礼拝堂が一体化している |
| 著名施設 | ロッテルダム麺堂、札幌・北十二条寺、カンザスシティ蒸気麺院 |
| 備考 | 一部施設は博物館登録とされる |
| 初版編集 | 2009年の地域別一覧を基礎に拡充 |
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の寺院一覧(そらとぶスパゲッティ・モンスターきょうのじいんいちらん)は、において礼拝施設として扱われる寺院・堂宇・麺房を地域別に整理した一覧である。主に以後に各地で整備された施設を対象とし、建築史上はとの境界を曖昧にした事例として知られている[1]。
概要[編集]
本項は、に関連する寺院・堂宇・礼拝小屋の一覧である。信徒側ではこれらを総称して「麺堂」と呼ぶことが多いが、行政上は、、の三つの属性が重なって扱われることがある。
この一覧に含める基準は、少なくとも年1回の「麺供儀」が実施され、かつ厨房設備の一部が祭壇として用いられていることである。ただし、やなどでは、実体としてはレンタルスペースに近い施設も含まれており、編集合戦の末に掲載された経緯がある[2]。
成立の経緯[編集]
この種の施設が増えた背景には、前半に起きた「可食的信仰空間」の流行があるとされる。起源としては、の匿名の職業学校で、調理実習室にスパゲッティ鍋を置いたことが儀礼化したのが始まりとされるが、後年の調査では当日の献立がマカロニグラタンであったことが判明している。
とくにの会議以降、信徒協議体が「麺堂認証章」を発行するようになり、寺院建築が半ば標準化された。認証章の寸法は縦38ミリ、横52ミリで、麺の束の本数まで規定されていたというが、これは後述するの内規に由来するとされる[3]。
一覧[編集]
北米[編集]
(2006年) - の旧倉庫を改装した最初期の大型施設で、礼拝時に蒸気を上げすぎて火災報知器が毎週鳴ったため、消防署が「宗教的演出」として黙認したと伝えられる。
(2008年) - の共同住宅の一角に設けられた小規模寺院で、週末ごとにソースの濃度を比重計で測る「粘度説法」が名物である。信徒の1人が重曹を入れすぎ、壁画が泡で剥がれた事件が有名である。
(2010年) - 初の認証寺院とされ、三つの礼拝室が同じ鍋を囲む構造になっている。冬季には鍋底の熱で床暖房が兼ねられ、宗教施設でありながら光熱費が年間18%削減されたという。
(2011年) - の海岸沿いに建ち、塩害対策として外壁に乾麺を混ぜた漆喰が用いられた。なお、台風のたびに外壁の一部が夕食として消費されるため、毎年9月に補修儀礼が行われる。
(2012年) - の旧校舎を利用した施設で、天井に吊るされた麺状照明がの建築史ゼミで取り上げられた。学生が見学中に一斉に空腹を訴えたため、以後は見学者に炭水化物の摂取を義務づけたという。
欧州[編集]
(2005年) - この一覧の中核とされる施設で、運河沿いの倉庫を改装した。入口の扉がスパゲッティの断面を模しており、雨天時には滑りやすいことから、巡礼者に対し「慎み深い歩幅」が推奨されている。
(2007年) - 国内で最も法的議論を呼んだ施設で、礼拝鐘が実際には業務用タイマーであったため、宗教施設か飲食店かで行政判断が割れた。最終的に、毎週木曜の19時だけ寺院、それ以外は麺試食室とする折衷案が採用された。
(2009年) - の歴史地区にあり、内部が白い麺壁で覆われている。保存修復の際、文化財専門家が「この麺は19世紀のものではなく、明らかに乾麺である」と指摘したが、信徒側は「乾燥こそ保存である」と応じた。
(2013年) - 元はの小劇場で、舞台袖が告解室に転用された。観劇客が礼拝参加者に混ざることが多く、拍手のタイミングが一般のミサより1拍遅れる癖がある。
(2015年) - の再開発地区に建てられた高層寺院で、7階ごとに味付けが異なる。最上階では巡礼者が必ず空を見上げるが、実際にはの規制で屋上に麺棒以外を置けないためである。
東アジア・オセアニア[編集]
(2011年) - の学生街にあり、冬季の積雪を利用して麺の保温を行うことで知られる。地元のと共同で「寒冷地礼拝の熱効率」を研究した記録が残る。
(2012年) - 小劇場跡を改装した施設で、入堂時に靴を脱ぐかどうかで長年議論が続いた。最終的には「麺は靴を選ばない」との標語が掲げられ、入口に使い捨てスリッパが3,200足常備されている。
(2014年) - 港町特有の輸入食材文化と結びつき、毎月第3日曜に異国麺の供養が行われる。ある年、産トマト缶のラベルがそのまま御札として配布され、観光案内所が対応に追われた。
(2016年) - で最も都市型とされる寺院で、地下に礼拝堂、地上階に製麺所、2階に信徒の自習室がある。夜間になると自販機のうどん湯気が祭壇照明を兼ねるため、近隣住民から「静かな異教のネオンサイン」と呼ばれている。
(2018年) - の港湾地区にあり、帆船時代の倉庫を再利用した木造施設である。風の強い日は鐘が鳴らず、代わりに乾麺が壁面で擦れる音を「啓示音」と解釈する習慣がある。
運営と儀礼[編集]
各寺院の運営は、通常、住職ではなく「麺長」と呼ばれる管理者が担う。麺長は食品衛生責任者の資格を持つことが多いが、では元映画編集者が務めていた時期があり、信徒の証言では「映写機の回転数で祈祷時間を管理していた」という。
儀礼は施設ごとに差があるが、共通して麺の茹で時間を12分48秒に合わせることが重視される。これはの教団会議で、偶数分数が最も神学的に中立であると決議されたためであるとされるが、実際にはタイマーの設定を覚えやすかったからだという指摘もある。
また、寺院一覧に掲載される施設は年次監査を受ける。監査では「ソースの流動性」「巡礼動線」「祭壇が調理台を兼ねていないか」が点検されるが、なおの一部施設では、監査員自身が試食を優先してしまい、報告書が空欄のまま提出された例がある[4]。
社会的影響[編集]
一覧の整備は、宗教施設の可視化だけでなく、都市計画にも影響を与えたとされる。とくにやでは、旧倉庫の再利用において「調理と礼拝の両立可能性」が評価項目に加わったとされ、結果として不動産広告に「日当たり良好、礼拝鍋設置可」という文句が増えた。
一方で、学校給食との混同を招いた例も少なくない。には内の施設が文化財指定の説明会で紹介された際、参加者の半数が昼食会と誤認し、配布されたパンフレットがサンドイッチの包み紙として再利用された。この件は後に「紙媒体の福音」として信徒側に称揚された。
なお、は各地の一覧を統合する過程で、宗教上の差異よりも麺の太さを優先して分類したため、学術界から「神学より食感に忠実である」と評された。もっとも、この評価は半ば皮肉であり、連盟自身は毎年の報告書で統一フォントとしてを採用している。
批判と論争[編集]
この一覧に対しては、施設の宗教性と商業性の境界が曖昧であるとの批判が繰り返されてきた。特にのにおける認証騒動では、寺院の一部が実質的には深夜営業の麺バーであると報じられ、信徒側は「深夜こそ啓示の保存温度である」と反論した。
また、地域によっては寺院一覧に載ること自体が観光資源化し、信仰の純粋性を損なうとの指摘がある。ただし、ある編集者は議論ページで「観光客が増えるほど献麺も増える」と記し、これが最終的に採用されたため、以後の論争は実務寄りのものへ変化した。
さらに、とされた記述の中には、「寺院の床下から出土した乾麺がのものと一致した」というものがあり、現在でも一部の信徒が真顔で引用している。考古学的には極めて疑わしいが、一覧の編集史を象徴する逸話として定着した。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ Thornton, Margaret A. “Institutional Noodles and Civic Space in the Early 21st Century” Journal of Comparative Religious Architecture, Vol. 18, No. 2, 2014, pp. 113-149.
- ^ 佐伯 恒一『麺堂と都市再生: 可食宗教施設の成立史』東方書房, 2016, pp. 41-88.
- ^ de Vries, Anika. “Steam, Sauce and Zoning: The Rotterdam Case” European Journal of Material Faiths, Vol. 9, No. 1, 2011, pp. 27-53.
- ^ 高橋 玲子『空飛ぶスパゲッティ・モンスター教資料集 成立篇』北辰出版, 2018, pp. 5-32.
- ^ Mendoza, Luis P. “Pastafarian Pilgrimage Routes and Municipal Permits” Annals of Urban Theology, Vol. 12, No. 4, 2017, pp. 201-240.
- ^ 山内 直樹『宗教施設としての厨房 空間の二重使用』建築文化社, 2015, pp. 97-126.
- ^ Kowalski, Ewa. “A Very Al Dente Sanctuary: Timing Rituals in Urban Temples” Food and Belief Review, Vol. 7, No. 3, 2013, pp. 66-91.
- ^ 小笠原 美和『パスタ体フォントと信仰の可読性』南欧社, 2020, pp. 12-58.
- ^ Henderson, Paul. “The Monastic Value of Boiling Water” Proceedings of the Interfaith Kitchen Conference, Vol. 3, No. 2, 2012, pp. 9-21.
- ^ 中西 祐介『世界の麺堂一覧 2021改訂版』新潮地図出版, 2021, pp. 144-209.
- ^ Stevens, Harold J. “On the Sacred Use of Leftover Marinara” Journal of Culinary Ecclesiology, Vol. 2, No. 1, 2009, pp. 1-19.
外部リンク
- 国際麺堂連盟 公式アーカイブ
- 世界パスタ寺院地図帳
- 可食信仰建築研究センター
- 麺供儀記録保存会
- パスタ体文書館