花龍チャンネル
| タイトル | 花龍チャンネル |
|---|---|
| 画像 | Karyu_Channel_Packart.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 北米版パッケージ |
| ジャンル | コンピュータRPG / アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドリームリーフ |
| 開発元 | セラフ・ノーツ社 第三制作室 |
| 発売元 | セラフ・ノーツ社 |
| プロデューサー | 西園寺 恒一 |
| ディレクター | 真柴 祐樹 |
| デザイナー | 相馬 りか |
| プログラマー | 北条 直人 |
| 音楽 | 朔間 雅臣 |
| シリーズ | 花龍チャンネルシリーズ |
| 発売日 | 1998年11月27日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 国内累計84万本 |
| その他 | 通称は『花チャン』 |
『』(かりゅうチャンネル、英: Karyu Channel)は、にのから発売された用。後に同名シリーズの第1作目として位置づけられ、放送型アクション要素を取り入れた作品として知られる[1]。
概要[編集]
『』は、架空放送局の深夜帯を模した世界を舞台とするである。プレイヤーは局内で偶然拾った受信機「花脈端末」を用いて、番組そのものを書き換えながら進行する。
開発当時は「視聴者参加型の物語生成」を標榜していたが、実際にはとの挙動が奇妙に同居した構造で、発売直後から「理解できないのに進む」作品として話題になった。キャッチコピーは「今夜、あなたが放送される」である[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、各ステージは番組表形式のマップで表現され、プレイヤーはを操作して「生放送」「再放送」「緊急差し替え」の3種の時間帯を行き来する。時間帯を切り替えるたびに敵配置と地形が変化し、編集点を探して突破する仕組みになっている。
また、局内のテロップを拾うことでステータスが上昇する「字幕成長」仕様が導入されていた。これは当初、演出目的のみに用いられる予定だったが、テストプレイ中に字幕を連打すると防御力が急激に上がる不具合が見つかり、仕様として残されたとされる[3]。
戦闘[編集]
戦闘はのコマンド入力との同時処理で行われる。プレイヤーは「照準」「改稿」「送出」の3アクションを1ターン内に選び、敵が「視聴率暴走体」に変化する前に番組を成立させねばならない。
特にボス戦では、敵の弱点が視聴者の投稿コメントとして画面下部に流れるため、コメントを読む速度がそのまま勝率に直結する。なお、二周目以降はコメント欄が完全に逆再生されるため、熟練者ほど誤読しやすいという欠点がある。
アイテム[編集]
アイテムは「缶コーヒー」「保留札」「未送信テープ」「花型ヒューズ」など、放送局特有の備品が中心である。なかでも「花龍カセット」は使用すると任意の曲がBGMとして差し替わるが、稀にキャラクターの台詞まで歌詞化する現象が報告された。
攻略本によれば、全104種のうち実際に役立つのは17種のみであり、残りは局内清掃イベントや深夜通販のミニゲームで消費されるために存在するという。もっとも、発売初期のユーザーはそれを知らず、倉庫をアイテムで埋めてしまうケースが多発した。
対戦モード[編集]
隠し要素としてが用意されており、最大4人で「番組ジャック」を競うことができる。各プレイヤーは局内の別フロアを担当し、互いの電波を干渉させて相手の進行を妨害する。
このモードは一部店舗でのみ体験版が配布され、店頭大会では7分以内に「放送事故」を3回起こした側が勝ちとなる独特のルールが採用された。結果として、勝敗よりも係員の復旧速度が注目されるという本末転倒な盛り上がりを見せた。
オフラインモード[編集]
オフラインモードでは、実際の放送局を模した訓練番組「静寂の30分」が選択できる。敵が一切出現しない代わりに、画面の指示に従って照明・音声・小道具を管理する必要があり、当時のユーザーからは「最も怖いのは無音である」と評された。
なお、このモードはゲームクリア後に解禁されるが、クリア条件が「スタッフロールを最後まで見届けること」であるため、約12%の購入者しか存在を確認できなかったとされる[要出典]。
ストーリー[編集]
物語は、の片隅にある廃局「花龍送信所」に、主人公のが見学者として迷い込むところから始まる。透は、消えた伝説番組「花龍チャンネル」を復活させるため、局内に封印された7本のマスターテープを集める使命を負う。
中盤では、番組を消した元プロデューサーのが実は局そのものと同化した存在であることが判明し、最終的に透は「視聴率を上げるほど世界が歪む」という矛盾に直面する。エンディングは全18種類存在し、うち3種はテープではなく観覧席の空席率で分岐するため、攻略誌側が最後まで仕様を把握できなかった。
また、真エンドでは花龍そのものが番組名ではなく、局内配線に棲みついた電波生物であったことが示唆される。もっとも、この設定は発売後の増補小冊子で唐突に追加されたもので、初版プレイヤーの間では「説明書が一番怖い」と語り草になった。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は、元・映像編集学校生の少年で、偶然手にした花脈端末により局内事件へ巻き込まれる。口数は少ないが、字幕のタイミングだけは妙に正確であり、作中では「沈黙の実況」と呼ばれる。
プレイヤー名を自由入力できるが、デフォルト名で進めると他キャラクターが妙に親しげに呼びかけるため、名前を変えるほど会話が不自然になる珍しい設計である。
仲間[編集]
仲間キャラクターには、音声調整担当の、売店で働く、局内清掃ロボットのがいる。特にQ-17は、当初ただの背景オブジェクトであったが、開発終盤にイベントスクリプトが誤って書き換えられ、実質的な回復役となった。
ミコは視聴率の上昇に応じて台詞が変化する仕様で、人気が高まるほど敬語になる。一方でヨルは好感度が一定値を超えると売店の在庫を勝手に増やし、最終的には「店内経済」を成立させる役割を担う。
敵[編集]
敵は「ノイズ係長」「黒テロップ」「着信音体」など、放送機器由来の存在が中心である。なかでもが変貌した最終形態「チャンネル長」は、全身が同時に7番組分の衣装で構成され、攻撃名のたびにスポンサー読みが挿入される。
攻略班の記録によれば、最強雑魚である「再放送幽霊」は倒しても必ず5分後に復活するが、これは設定ではなく単に容量不足で再利用されたからだと推測されている。
用語・世界観[編集]
作中世界では、放送局の階層そのものが都市計画に組み込まれており、地下1階が「夜」、屋上が「再放送」と定義されている。この体系はがかつて実験的に導入した特殊運用「時間帯建築」に由来するとされる。
また、「花龍」とは電波を食べる植物状生命体を指し、局内の配線に根を張ることで番組内容を書き換える。専門誌ではこの設定を「メディアミックス史上もっとも説明しづらい生態系」と評した。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
制作は秋、が深夜番組向けの販促ゲームを企画したことに始まる。もともとは単純なとして設計されていたが、会議で「放送局を歩けるなら編集も歩けるはずだ」という意見が採用され、化したとされる。
開発資料には「視聴率はHPに相当」「スポンサーは回復ポイント」などのメモが大量に残されており、後年の開発者インタビューでは、当時のチームが半ば冗談で作っていたことが明かされた。もっとも、冗談にしては工程表だけが異様に綿密である。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、同社のデバッガー出身で、画面のノイズを演出として残す判断を下した人物である。音楽のは、局内の実録音をサンプリングし、12秒ごとにビープ音が入る主題歌を完成させた。
なお、プログラマーのは後年の座談会で「最終的に動いたのが奇跡」と発言したとされるが、発言ソースがファン同人誌経由であるため真偽は定かでない。
音楽[編集]
サウンドトラックは、番組ジングルとを混在させた独自の構成で、発売翌年に『花龍チャンネル 音声送出記録集』としてCD化された。全24曲のうち9曲は効果音のループであるが、曲名が妙に格調高いため作品の神秘性を高めている。
代表曲「夜の受像機」は、店頭試遊会で1時間連続再生された結果、会場のテレビがすべて同じ色調になったという逸話がある。なお、限定版に付属したカセットテープは、再生すると必ず最後に女性アナウンサーの笑い声が入る仕様で、コレクターの間で高値で取引された。
他機種版・移植版[編集]
には向けの『花龍チャンネル R』が発売され、画面の都合上、放送局の階層が横スクロール化された。さらにには対応版が配信され、番組表の字が小さすぎるとの苦情が相次いだ。
には相当の配信サービス「ノスタルジア・ヴォルト」に対応したとされるが、配信初日にサーバが「視聴率過多」で停止したという伝説が残っている。移植版では一部の字幕が自動修正され、オリジナル版にあった意味不明な局内放送が「より意味不明」になったと評された。
評価[編集]
発売当初の初週販売本数は約5万3000本で、年末までに国内累計84万本を突破した。派手な宣伝は行われなかったが、深夜番組の視聴者と攻略本読者が同時に購入したことで、口コミのみで寸前まで伸びたとされる。
一方で、レビューでは「システムが理解不能」「だが妙に記憶に残る」と評価が割れ、の審査会では審査員の半数が5分で脱落したという逸話がある。後年の再評価によりカルト的地位を得た作品であり、現在でも中古市場では説明書付き完品が高値で扱われる。
関連作品[編集]
続編として『花龍チャンネルII 送出の朝』、『花龍チャンネル外伝・無音の回廊』、『花龍チャンネル0:試験放送篇』が存在する。いずれも前作の要素を引き継ぎつつ、番組編成の難易度が異常に高くなっている。
また、派生作として携帯端末向けの落ちものパズル『花龍ブロック』、対戦重視の『花龍ファイトDX』、そしてテレビアニメ化された『チャンネル花龍 25時の放送室』が制作された。メディアミックス展開は一見華やかだが、実際には本編よりも主題歌の方が長く記憶される傾向がある。
関連商品[編集]
として『花龍チャンネル完全送出マニュアル』が発売され、全312ページのうち184ページが用語集で占められていた。編集後記では、執筆陣が「これを読んでもなお遊び方はわからない」と書き残している。
ほかに、設定資料集『KRY放送局年鑑』、小説版『花龍チャンネル 黄昏の字幕』、および実録風エッセイ『私は花脈を見た』などの書籍が展開された。いずれもタイトルは堅いが、内容は局内弁当の写真がやけに多いことで知られる。
脚注[編集]
セラフ・ノーツ社広報資料『新作予定表1998-11』による。
『ドリームリーフ・マガジン』1998年12月号、pp. 14-17。
真柴祐樹「字幕連打問題と仕様採用の経緯」『ゲーム制作通信』Vol. 7, No. 2, pp. 41-44。
ただし、初期版説明書では「花脈端末」の名称が「花脈テンダー」と誤植されている。
店頭大会のルールは地域ごとに異なり、関西圏では「放送事故を起こした側が優勝」とする逆転形式が採用されたという。
参考文献[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
花龍チャンネル公式資料室
セラフ・ノーツ社アーカイブ
KRY放送 失われた番組年表
花龍チャンネル研究会
ドリームリーフ互換機保存会
脚注
- ^ 西園寺 恒一『花龍チャンネル開発日誌』セラフ出版, 1999.
- ^ 真柴 祐樹「字幕連打と戦闘バランスの相関」『ゲーム制作通信』Vol. 7, No. 2, pp. 41-44, 2000.
- ^ 朔間 雅臣『送出音楽の倫理と技法』ノイズ文庫, 2001.
- ^ 小野寺 由里「深夜番組文化とRPGの融合」『デジタル娯楽評論』第12巻第4号, pp. 88-97, 2002.
- ^ Margaret H. Elwin, "Broadcast-RPG Structures in Late 90s Japan", Journal of Fictional Media Studies, Vol. 3, No. 1, pp. 15-29, 2004.
- ^ 北条 直人『ノイズを残す設計: ドリームリーフ世代の実装』エレクトロ書房, 2005.
- ^ 佐伯 俊介『花龍チャンネル完全送出マニュアル』セラフ出版, 1999.
- ^ A. R. Feldman, "The Editing Combat Problem", Interactive Entertainment Review, Vol. 8, No. 3, pp. 201-219, 2006.
- ^ 霧島 文化研究所『花龍送信所と都市伝説の系譜』霧島文庫, 2008.
- ^ 高瀬 みどり「『私は花脈を見た』における自伝体表現」『架空書籍研究』第5号, pp. 9-13, 2011.
- ^ 山岸 一彦『花龍チャンネルRのすべて』ポケット媒体社, 2001.
- ^ Eleanor P. Wade, "When Subtitles Become Stat Points", Games & Society Quarterly, Vol. 11, No. 2, pp. 63-71, 2010.
外部リンク
- 花龍チャンネル公式資料室
- セラフ・ノーツ社アーカイブ
- KRY放送 失われた番組年表
- 花龍チャンネル研究会
- ドリームリーフ互換機保存会