超うんち
| 名称 | 超うんち |
|---|---|
| 読み | ちょううんち |
| 英語 | Super Excrement |
| 初出 | 1958年頃 |
| 提唱者 | 三枝 兼市郎 |
| 分野 | 衛生工学・港湾管理・民俗語学 |
| 発祥地 | 神奈川県横浜市周辺 |
| 主な用途 | 密封・吸着・封止の試験 |
| 通称 | S.U.現象 |
| 備考 | 1972年の行政文書で一度だけ正式採用された |
超うんち(ちょううんち、英: Super Excrement)は、通常のとは異なり、強い凝集性と高い保持力を持つとされる、発祥の民間技術用語である。元来はの港湾研究で用いられた符牒であったが、のちに食品工学、衛生行政、さらには都市伝説の領域にまで拡張されたとされる[1]。
概要[編集]
超うんちは、もともと周辺の倉庫で使われた隠語であり、湿気と揺動に耐える高密度な試料を指したとされる。後年になって「うんち」という語の語感が独り歩きし、一般には奇妙な民間技術体系として知られるようになった[2]。
この概念は、30年代後半の衛生研究と、当時流行していた包装材改良の議論が奇妙に結びついて成立したという説が有力である。ただし、初期資料の大半はで焼失しており、詳細は研究者のあいだでも意見が分かれている[要出典]。
名称の由来[編集]
「超」の字は、単なる増強ではなく、通常の保管限界を超えて安定化する性質を示すために付されたとされる。これに対し「うんち」は、本来は実験室内で試料を略記する際のコード名であり、後に一般語へと誤解された。
の古い講義録に、試料番号「U-1」を「うんち一号」と読み間違えた学生の記録が残るという逸話がある。真偽は不明だが、この誤読が拡散の契機になったとする説は、都市の技術史を論じる文脈でしばしば引用される。
歴史[編集]
港湾実験期[編集]
1958年、港湾保全試験班の三枝兼市郎は、コンテナ内の結露により試料が崩壊する問題を解決するため、吸湿性の高い代替封止材を研究していた。その際、試験場の備品棚にあった有機粘土と澱粉を混合した塊が、偶然にも異様な保持力を示し、担当者の間で「超うんち」と呼ばれたとされる。
この試験では、厚さ18ミリの木箱を3回傾斜させても内容物が一切漏れず、記録係は「従来法比で保持率147%」と記した。もっとも、同時に臭気測定値が規定を超えたため、実用化は一度見送られた。
行政採用と縮小[編集]
、の簡易梱包指針において、特定の試験片を示す内部語として「S.U.」が採用されたことがある。これは全国的な制度ではなく、内の三か所の検査室に限って使われた暫定表記であったが、後世の研究者がこれを「超うんち制度」と誤って拡大解釈した。
当時の文書には、担当官が「表記が率直すぎる」として差し替えを提案した痕跡がある。一方で、現場ではむしろ覚えやすさが評価され、検査員のあいだで合図のように定着したという。
民俗化とネット再発見[編集]
後半になると、工学用語としての超うんちはほぼ忘れられ、代わりに「何でもすごく強いもの」を指す比喩として再流通した。特にの古書店街で配布された同人誌『封止材大全 第4版補遺』が、用語を半ば怪談のように紹介したことで、若い編集者の間に再発見が広まった。
には匿名掲示板で「超うんちは防災用品として本当に有能だったらしい」という投稿が拡散し、以後は半分ネタ、半分郷土史として扱われるようになった。なお、の収蔵台帳に類似試料があるとする話もあるが、所蔵番号が一致しないため確認は難しい。
理論[編集]
超うんち理論は、主として「凝集」「保持」「封止」の3要素から説明される。なかでも重要なのは、試料が外力に応じて表面張力のような性質を示し、微細な空隙を自動的に埋めるという点であるとされる。
衛生材料研究室の旧報告書では、超うんちを「半固形高順応物質」と定義しているが、同報告書の第2図だけが異様に丁寧で、図注に「臭気のため閲覧時間は5分以内」とある。これは後年、研究倫理の一種の先駆けとして評価された。
一方で、批判者は超うんちの本質は物性よりも命名戦略にあったと指摘する。すなわち、あまりに直接的な名前であるがゆえに、誰も真剣に疑わなかったという逆説である。
社会的影響[編集]
超うんちは、実用技術としては短命であったが、言語文化に与えた影響は長い。たとえばの一部の工場では、扱いにくいものを「超うんち級」と呼ぶ慣用句が生まれ、現場の改善会議でいまも使われるという。
また、の旧パンフレットに「汚泥の再資源化」の例として似た図版が掲載されたことから、循環型社会の文脈でもしばしば言及されるようになった。ただし、ここで紹介されている工程の大半は実際には砂糖とベントナイトの混合試験であり、後から名称だけが差し替わった可能性が高い。
教育面では、の中学校で環境学習の題材にされた例がある。生徒たちは名称のインパクトに強く反応したが、授業後半になると「保水材としては意外に筋が通っている」と感想を書いたとされる。
批判と論争[編集]
超うんちをめぐる最大の論争は、そもそも実在した技術なのか、それとも港湾労働者の冗談が後年に制度化されたのか、という点である。とりわけの行政記録に見られる表記揺れが激しく、同一資料内で「超うんち」「S.U.」「高保持試料」が混在している。
さらに、の私設資料館が「三枝兼市郎直筆メモ」を公開した際、紙の劣化具合と墨の年代が一致しないと指摘され、真筆性に疑義が生じた。これに対し館側は「保管環境の影響」と説明したが、説明文の末尾にだけ妙に力強い句読点が並んでおり、かえって議論を呼んだ。
なお、学術的には超うんちを「実験用語の民間神話化」とみなす説が有力である一方、地方史研究では「実際に一度だけ極秘運用された」という説も根強い。いずれにせよ、現場の証言が豊富すぎるわりに一次資料が少ないため、完全な決着はついていない。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 三枝兼市郎『港湾封止試験における高保持試料の挙動』港湾技術研究所報告, Vol. 12, No. 3, 1959, pp. 41-68.
- ^ 林田久美子『S.U.表記の行政文書内使用例』厚生資料研究, 第8巻第2号, 1973, pp. 112-129.
- ^ Margaret A. Thornton, “On the Stability of Semi-Solid Confinement Media,” Journal of Applied Containment Studies, Vol. 4, No. 1, 1961, pp. 9-27.
- ^ 佐伯正雄『昭和期における封止材の民間呼称』民俗技術史紀要, 第17号, 1988, pp. 55-73.
- ^ Takashi Uemura, “A Note on the Yokohama Dockside Lexicon,” Bulletin of Port Ethnography, Vol. 2, No. 4, 1974, pp. 201-214.
- ^ 『超うんちとその周辺』神奈川都市史資料集刊行会, 2009.
- ^ 渡辺精一郎『衛生材料の笑いと制度』中央衛生出版, 1996.
- ^ Eleanor M. Pike, “The Semiotic Drift of Industrial Slang in Postwar Japan,” Language & Society Review, Vol. 19, No. 2, 2004, pp. 88-107.
- ^ 『封止材大全 第4版補遺』神保町同人資料室, 1998.
- ^ 中里秋彦『図版だけが丁寧な工学報告書』技術文書研究, 第3巻第1号, 2011, pp. 3-18.
外部リンク
- 横浜民間技術アーカイブ
- 神奈川港湾語彙研究会
- 昭和封止材資料室
- 超うんち口伝保存委員会
- 都市工学怪談データベース