軽部設計建築事務所
| 名称 | 軽部設計建築事務所 |
|---|---|
| 略称 | KDAO |
| ロゴ/画像 | 灰青色の三角定規と方眼窓を組み合わせた意匠 |
| 設立 | 1978年4月3日 |
| 本部/headquarters | 東京都文京区本郷三丁目 |
| 代表者/事務局長 | 軽部 甚六 |
| 加盟国数 | なし(国内登録団体) |
| 職員数 | 常勤87人、非常勤214人 |
| 予算 | 約18億4,600万円(2024年度) |
| ウェブサイト | karube-kentiku.example |
| 特記事項 | 景観調停協定に基づく特別認定事務所 |
軽部設計建築事務所(かるべせっけいけんちくじむしょ、英: Karube Design and Architecture Office、略称: KDAO)は、都市の記憶を建築物に転写し、老朽化した景観の再編集を目的として設立されたのである[1]。設立。本部はに置かれている。
概要[編集]
は、、、および老朽建物の意匠保存を横断的に担うとして知られている。設立当初は内の再開発に伴う“取り壊し前の図面採取”を主業務としていたが、のちに系の景観保存助成制度と接続し、半ば行政補助機関のような性格を帯びるようになった[1]。
同事務所の最大の特徴は、実務において「実施設計」よりも「住民記憶の採寸」を重視する点にあるとされる。これは初代事務局長のが、末期の区画整理現場で「図面に残らない壁の厚みが街の品格を決める」と主張したことに由来するとされている[2]。ただしこの逸話は、軽部自身が当時の会報で半ば冗談として書いた文言が独り歩きした可能性も指摘されている。
歴史・沿革[編集]
創設期[編集]
1978年、の旧材木問屋を改装した共同事務所において、、構造設計者の、および測量技師のらが中心となり創設された。発足時の名称は「軽部都市意匠研究会」であったが、にとの覚書締結を機に現在の名称へ改称された[3]。
初期の仕事は小規模な路地のファサード修復が中心であったが、1983年にの旧倉庫群保存計画を担当したことで急速に名を知られるようになった。この案件では、外壁煉瓦の欠損箇所を埋めるために、実在しない“昭和初期の焼成法”を復元したとされ、関係者の間ではいまなお伝説的な成功例として語られている。
拡大と制度化[編集]
、事務所はに基づく補助研究部門を持つ法人として再編され、とが新設された。これにより、設計図の提出前に三回以上の説明会を義務づける独自規程が導入され、当時の再開発業界では「会議が図面を上回る」と評された[4]。
にはの高架下再生事業に参画し、傘下の「軽部モジュール工法班」が採用した可動式仮設壁が注目された。この仮設壁は、夜間にだけ壁面の模様が変わる機構を備えていたとされるが、維持費が想定の2.8倍に膨らんだため、翌年度の報告書ではやや婉曲に「演出機能の調整を要する」と記された。
近年の動向[編集]
以降は、歴史的建造物の改修に加え、災害復興向けの仮設集会所設計を多く手がけている。特にの東日本大震災後に進めた「可搬式縁側ユニット」は、被災地の公民館前に設置されると、住民が会議より先に茶飲み場として使い始めたため、設計者の意図を超えて地域コミュニティの核になったと報告されている。
には本部屋上に「都市風見鶏研究塔」を設置し、風向きに応じて翌週の外装色を決める試験運用を開始したが、実際には近隣のカラス群に対する警戒装置として機能しているだけではないか、との指摘がある[要出典]。
組織[編集]
組織構成[編集]
事務所は、、の三層で運営される。総会は年2回開催され、設計実績の承認よりも「次年度に保存したい軒先の種類」を多数決で決める議題が多いことで知られる。
理事会の下には、、、、、の五部局が置かれている。なかでも調査記録部は、現地で採取したタイル片や錆びたボルトを小箱に分類する業務を担い、職員の間では「日本で最も静かな倉庫番」と呼ばれている。
主要部局[編集]
設計部は住宅、公共施設、仮設建築の3系統を扱う。景観保存部は内の保存地区だけでなく、地方都市の商店街アーケード修復にも関与し、場合によっては看板の文字間隔まで指導する。
教育普及部は、建築専門学校や自治体職員向けに「記憶のある線」の引き方を教える研修を行っている。なお、同部が配布する教材には毎年1枚だけ、実在の建築法規では説明できない“余白の定義”が混入しており、受講者を困惑させることで有名である。
活動[編集]
保存・再生事業[編集]
同事務所の主たる活動は、老朽化した建築物の保存と再生である。単なる修繕にとどまらず、竣工当時の空気感を再現するため、内装材の摩耗具合や住民の生活動線まで再構成するとされる。
の旧漁協会館改修では、床板のきしみを意図的に残したことで「歩くたびに昔の会議が聞こえる」と評された。もっとも、実際には構造計算上の安全率を確保するための副産物であった可能性がある。
調査・記録活動[編集]
軽部設計建築事務所は、全国の町並みを対象に「線形採集調査」を実施している。これは建物の外形だけでなく、雨樋の勾配、植木鉢の配置、電柱との距離まで記録するもので、年間約1,240件の現地調査が行われる[5]。
また、調査結果は『軽部年報』として刊行されるが、毎号の巻末には実在の地図に存在しない路地名が一つだけ紛れ込んでいる。編集委員会はこれを「図面上の避難経路」と説明している。
教育・国際連携[編集]
近年はアジア各地の保存団体との交流も活発であり、、、の類似団体と共同で木造家屋の耐震補強に関するワークショップを開催している。国際会議では、日本式の金物補強よりも先に「近所の人に見守られる関係」を設計要素として扱うため、参加者から半ば宗教のようだと評された。
なお、2023年の共同声明では、都市再生の三原則として「壊す前に測る」「直す前に聞く」「完成後にもう一度直す」が掲げられた。最後の一項目は、軽部甚六の“建築は完成で終わらない”という持論が制度化したものとされる。
財政[編集]
財政基盤は、および複数の区市町村からの委託費、民間寄附、ならびに文化財保存関連の補助金で構成される。2024年度予算は約18億4,600万円であり、そのうち約41%が調査記録部の現地踏査費、約23%が住民説明会の会場費に充てられている[6]。
収入の一部には「図面採取協力金」と呼ばれる独自項目がある。これは、保存対象建築の所有者が“古いまま残したい部材”を持ち込むと減免される制度で、税制上の扱いが曖昧なため、毎年監査で軽い混乱を招いている。なお、2018年度には梁材の保管費をめぐって一時的に赤字化したが、翌年、地元の酒造会社が「保存棟の香り再現プロジェクト」として寄附を行い、収支が持ち直した。
歴代事務局長・幹部[編集]
初代事務局長は(在任 - )である。軽部は元々系の駅舎意匠を研究していた人物とされ、退任後も「窓は人の会話を受け止める」と書き残したことで知られる[7]。
第2代は、第3代は、現事務局長はである。高橋体制下では、役職名に「主任」よりも「調停官」「記録監修員」などの語が増え、組織内の肩書が官庁化した。一方で、外部の名誉顧問には建築家だけでなく民俗学者や元和菓子職人も含まれており、選任基準は今なお不明である。
不祥事[編集]
2009年、の商店街再生事業において、外装タイルの色番号を誤って申請書に転記した結果、実際より2段階明るい配色で施工が進み、完成後に「街が常に逆光のようだ」と批判された。これに対し事務所は、夕暮れ時の景観価値を高める狙いであったと説明したが、住民説明会ではほぼ通らなかった。
また、2021年には本部地下書庫で「未公開の昭和期図面」が多数見つかったと報じられたが、その大半が裏返しに製本された会議資料であったことから、文書管理体制の杜撰さが問題視された。もっとも、当該資料の紙質が古書級であったため、結果として一部は文化資料として保存されることになった[8]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 軽部甚六『街の骨格と余白』軽部建築資料社, 1982.
- ^ 牧野清一郎「旧倉庫群保存における煉瓦目地の再定義」『建築景観研究』Vol. 14, No. 2, 1984, pp. 33-51.
- ^ 白井みどり「都市の記憶を採寸する試み」『日本建築史学会誌』第21巻第4号, 1991, pp. 112-129.
- ^ 高橋悠介『説明会の建築学』文窓出版, 2016.
- ^ Karube, J. “Negotiated Façades in Postwar Tokyo” Journal of Civic Architecture, Vol. 8, Issue 1, 2003, pp. 5-28.
- ^ T. Ishikawa and M. Sato, “Adaptive Verandas and Community Repair” East Asian Urban Studies Review, Vol. 12, No. 3, 2011, pp. 77-94.
- ^ 『軽部設計建築事務所年報 2023』軽部設計建築事務所調査記録部, 2024.
- ^ 東京都建築景観協会編『保存か、更新か、もう一度保存か』都景協出版, 1998.
- ^ 中村誠一『仮設壁の夜間変形機構』港都技術社, 2007.
- ^ L. Barrett, “The Sociology of Corners” Architecture and Memory Quarterly, Vol. 3, No. 4, 1999, pp. 201-219.
外部リンク
- 軽部設計建築事務所 公式資料室
- 都市記憶アーカイブ・ラボ
- 景観調停協会 年報閲覧庫
- 本郷建築史ミニ博物館
- 仮設縁側研究ネットワーク