-どこでもいっしょ-ドキドキデート大作戦
| タイトル | -どこでもいっしょ-ドキドキデート大作戦 |
|---|---|
| 画像 | Dokidoki_Date_Daisakusen_Box.png |
| 画像サイズ | 220px |
| caption | 初回限定版パッケージ |
| ジャンル | コミュニケーションRPG |
| 対応機種 | ネオリンク・ポケット |
| 開発元 | 株式会社ポケットプラザ 第2開発室 |
| 発売元 | 株式会社ポケットプラザ |
| プロデューサー | 松原 恒一郎 |
| ディレクター | 三枝 俊介 |
| デザイナー | 相沢 みのり |
| プログラマー | 田所 恒一 |
| 音楽 | 高瀬 玲子 |
| シリーズ | どこでもいっしょ |
| 発売日 | 2003年4月17日 |
| 対象年齢 | CERO B相当 |
| 売上本数 | 国内累計78万本 |
| その他 | 通信機能『おでかけメモリー』対応 |
『-どこでもいっしょ-ドキドキデート大作戦』は、2003年4月17日に日本の株式会社ポケットプラザから発売されたネオリンク・ポケット用コミュニケーションRPG。『どこでもいっしょ』シリーズの第3作目にあたる。
概要[編集]
『-どこでもいっしょ-ドキドキデート大作戦』は、2000年代前半の携帯型ゲーム市場において、会話育成要素と恋愛模擬要素を強引に接続したことで知られる作品である。プレイヤーはトロらしき猫型案内役を中心とする一団を管理しながら、街中のイベントを回り、好感度と交通費を同時に稼ぐことになる。
本作は『どこでもいっしょ』の名を冠しつつも、実際には観光庁と電脳旅客協会の共同実証事業として始まった経緯があるとされ、後年の資料では「恋愛シミュレーションの皮をかぶった移動経済ゲーム」と評されている。なお、開発初期には東京都江東区の臨海部にある仮設スタジオで、延べ17名のテストプレイヤーにより2,400回以上の会話分岐が検証されたという[要出典]。
キャッチコピーは「会いたい気持ちは、電波より速い。」であったとされ、発売当時は日本ゲーム大賞の審査会で「家電量販店の試遊台で最も誤解されやすいタイトル」としても話題になった。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、会話選択肢が単なる好感度上昇ではなく、移動距離・雨天確率・駅構内の混雑率に影響する点が挙げられる。プレイヤーは主人公として操作するというより、恋愛観測端末の管理者として、NPCたちの行動予定を微調整することになる。
また、本作では「気まずさゲージ」が導入されており、デートの待ち合わせに3分遅れるだけで、商店街の福引券が無効になるなど、妙に現実的なペナルティが課される。これにより、従来のロールプレイングゲームに見られる戦闘経験値の代わりに、「沈黙耐性」や「歩幅補正」が成長する仕組みとなっている。
戦闘[編集]
戦闘は存在しないが、開発資料では「会話を戦闘に準ずる緊張状態として扱う」と定義されており、実質的にはアクションシューティングゲームの照準合わせを模した選択肢入力が行われる。好感度が下がると、相手キャラクターが突然缶コーヒーの銘柄にこだわり始めるため、これを「感情の遠距離砲撃」と呼ぶ編集者もいた。
一部の高難度イベントでは、デート中に三者択一ではなく五者択一が発生し、しかも選択肢の一つが「沈黙する」であることから、シリーズ中でも特に心理戦が激しいとされる。
アイテム[編集]
アイテムには、折りたたみ傘、半券つき映画チケット、駅前の花屋の試供品などが登場する。中でも「スカート丈メモ帳」は、相手の発言を記録するためではなく、会話の間合いを秒単位で測るための特殊アイテムで、入手率が3.7%と極端に低い。
また、限定版特典の「デート弁当セット」は、ゲーム内で使用すると主人公の空腹値が回復する一方、同席キャラのテンションが0.8段階ほど上昇するとされ、当時の攻略本では「実用性はないが倫理的に強い」と評された。
対戦モード[編集]
対戦モードでは、2人のプレイヤーが同一の目的地に向かって行動し、どちらがより気まずくならずに帰宅できるかを競う。相手の行動を妨害する手段として、駅の改札でわざとICカードを裏返しに提示するなど、妙に生活感のある技が多い。
オンライン対応版では、おでかけメモリーを介して非同期対戦が可能であったとされ、全国のプレイヤーのうち14.2%が「対戦よりも待ち合わせ確認に使っていた」という統計が残る。
ストーリー[編集]
物語は、春の横浜市を模した港湾都市「ミナトベイ区」で、主人公が偶然入手した通信端末「デートパスポート」から始まる。端末には、トロ、クロ、ピエールに似た猫型キャラクターのほか、恋愛相談員を自称する謎の中年男性・星野 直樹が記録されていた。
主人公は、月末までに3回の約束を成功させるという条件のもと、映画館、展望橋、深夜営業の回転寿司店を巡ることになる。だが、各デートの裏では、都市全体が「約束を守れる人間だけが観覧車に乗れる」という奇妙な条例を導入しており、終盤では市議会がデートの成否を投票材料にしていたことが明らかになる。
最終局面では、相手キャラクターが実は「恋愛感情を学習するために作られた試験用アバター」であったことが示唆される。ただし、この設定は説明書本文よりも裏表紙の小さな注記にのみ記載されているため、発売当時の購入者の大半は、ただのかわいい恋愛ゲームだと思っていたとされる。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公は名前変更可能な無口な通勤者として扱われるが、設定資料では「週3回だけ自転車に乗る人物」と書かれている。プレイヤーの選択によって、出版社勤務、港湾事務、フリーの文具検品員など、なぜか現実味のある職歴が自動生成されるのが特徴である。
仲間[編集]
仲間キャラクターには、好奇心旺盛なトロ、妙に理屈っぽいクロ、語尾に英語を混ぜるピエール、方言が強いリッキーなどが存在する。彼らは単なる案内役ではなく、デート時の服装や待ち合わせ場所にまで口を挟み、プレイヤーの精神衛生に大きく寄与した。
特にサヤカというキャラクターは、説明書では「相談役」とされているが、実際には駅ビルのイベント広報を兼務しているため、半分以上の会話が広告文になっている。
敵[編集]
明確な敵役は存在しないが、ゲーム内では「終電」「小雨」「既読未返信」と呼ばれる三大障害が、事実上の敵として扱われる。終盤には、恋愛アルゴリズムを監督する無表情課長が現れ、プレイヤーの選択を一切評価しないまま進行を止めるため、初見殺しの要素として悪名高い。
また、隠し敵として「デート予算オーバー」があり、これに敗北すると次回から飲食イベントが全て水道水になる。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、デートは私的行為ではなく「地域交流促進イベント」として扱われている。これにより、東京都神奈川県の境界線上にある架空の行政区画が多数登場し、改札や遊覧船、観覧車がすべて恋愛進行のインフラとして機能している。
用語としては「好感度」ではなく「同席率」、「フラグ」ではなく「約束残高」が用いられるのが特徴である。また、作中通貨のリンクは、実質的に交通費と喫茶店の最低注文額にしか使えず、経済学の入門教材として大学で引用された例もある。
世界観設定では、すべての住民が週に一度だけ「告白税」を申告する義務があるとされるが、これは初期シナリオライターの冗談がそのまま採用されたものだという。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は、株式会社ポケットプラザが前作の予想外の会話ログ蓄積率に着目し、「恋愛会話を交通系ゲームに転用できるのではないか」と考えたことが発端とされる。初期案では純粋な恋愛アドベンチャーであったが、試作版を千葉県の幕張新都心で実施したところ、プレイヤーの87%が地図を開くことに夢中になったため、現在の移動重視型に変更された。
制作会議では、デート中の沈黙をどう処理するかが最大の論点となり、最終的に「沈黙も選択肢の一つ」という哲学的結論が採用された。これが後のコミュニケーションRPGの雛形になったとする説がある。
音楽[編集]
音楽は高瀬 玲子が担当し、全42曲が収録されている。サウンドトラックは、渋谷系の軽快なブラスに加え、終盤だけ能楽由来の打楽器が挿入されることで知られ、デートゲームとしては異例の緊張感を生んだ。
代表曲「待ち合わせは午前9時17分」は、ゲーム内で遅刻判定が最も厳しい時間帯を曲名にしたもので、発売後にJR東日本の一部駅構内で誤って案内放送に似ていると話題になった。サウンドトラック単体は初週1.9万枚を記録し、うち3割は「作業用BGM」として購入されたという。
他機種版・移植版[編集]
発売翌年には、簡易移植版『ドキドキデート大作戦 Lite』がネオリンク・ポケット クリア向けに発売された。こちらはデート相手が2名に削減されている代わりに、天候演出が異常に細かく、雨粒1滴ごとの反応が違うことから、実験的な作品として評価された。
その後、携帯情報端末向けの短編版が配信され、さらにバーチャルコンソール相当のサービス「レトロボックス」にも収録されたとされる。なお、海外版は『Date Together: Panic Protocol』の題で発売されたが、翻訳時に「告白税」が「confession tax」と直訳され、宗教色が強すぎるとして一部地域で販売停止となった。
評価[編集]
発売初週の売上は国内13.4万本で、年度末までに累計78万本を突破した。これはシリーズ一作目にあたる『どこでもいっしょ』の伸びを上回るペースであり、ミリオンセラーに迫る勢いとして報じられたが、最終的には予約特典の布製トートバッグが思ったより人気だったことが販売を支えたと見られている。
ファミ通クロスレビューでは34点を獲得し、特に「恋愛ゲームなのに駅前の再開発計画が丁寧」と高く評価された。一方で、会話分岐が多すぎて通常プレイで3時間ほど到達しないイベントがあるなど、ゲームデザイン上の過剰さを指摘する声もあった。
関連作品[編集]
本作の成功を受けて、続編『-どこでもいっしょ-深夜の再会通話』、外伝『トロの終電までいっしょ』、携帯電話向け番外編『おやすみ前の約束帳』が制作されたとされる。いずれも「恋愛を移動計画として扱う」というコンセプトを共有している。
また、テレビアニメ化企画『ミナトベイ恋愛相談局』がテレビ神奈川系で準備されたが、駅名の使用許諾が複雑だったため未放送に終わったという。メディアミックス展開の中では、文具、弁当箱、駅弁風キーホルダーが特に売れ、玩具よりも実用品の方が伸びた珍しいシリーズとされる。
関連商品[編集]
攻略本としては『-どこでもいっしょ-ドキドキデート大作戦 完全待ち合わせガイド』がエンターブック社から発売され、全256ページのうち84ページが改札通過のコツに割かれていた。ほかに、設定資料集『ミナトベイ区交通年鑑』、小説版『雨の日のデート残高』が刊行されている。
書籍以外では、限定版付属の「約束管理シール帳」、通信対応の腕時計型端末、そしてなぜか横浜中華街の老舗と共同開発した杏仁豆腐型メモリーカードが存在した。後者は公式には「食べられない」とされていたが、誤飲防止表示が異様に丁寧だったため、当時の保護者向け説明会で大きな笑いを呼んだ。
脚注[編集]
1. 発売日および売上本数については、社内広報誌『ポケットプラザ通信』2004年春号を典拠とするが、数値の整合性には一部疑義がある。 2. 開発初期の実証実験に関する記述は、神奈川ゲーム史研究会の聞き取り調査による。 3. 告白税の制度については、企画書の余白に書かれた走り書きが出典とされる。 4. 海外版タイトルは地域によって表記が揺れ、資料ごとに三種類確認されている。
脚注
- ^ 松原 恒一郎『ドキドキデート大作戦 企画書完全版』ポケットプラザ出版局, 2003.
- ^ 早川 由紀子『会話で進む恋愛設計論』電脳文芸社, 2004.
- ^ 高瀬 玲子『都市型恋愛ゲームの音響設計』サウンドアーク刊, Vol.12, No.3, pp.44-58, 2005.
- ^ 三枝 俊介『約束残高とプレイヤー心理』ゲーム研究叢書, 第4巻第2号, pp.101-129, 2006.
- ^ Margaret L. Henshaw, “Transit-Based Romance in Early Handheld RPGs,” Journal of Interactive Leisure Studies, Vol.8, No.1, pp.17-39, 2007.
- ^ Kenji Arai『携帯機における恋愛イベントの都市経済学』情報遊戯学会誌, 第19巻第4号, pp.203-221, 2008.
- ^ David R. Sloane, “Non-Combat Tension Systems and the Date Tax,” Game Theory Quarterly, Vol.15, No.2, pp.88-104, 2006.
- ^ 相沢 みのり『キャラクターが先に歩くゲームデザイン』ポケット文化研究所, 2005.
- ^ 『ミナトベイ区交通年鑑 2003』ミナトベイ区役所広報課, 2003.
- ^ 『-どこでもいっしょ-ドキドキデート大作戦 完全待ち合わせガイド』エンターブック社, 2003.
外部リンク
- ポケットプラザ公式資料室
- ミナトベイゲーム博物館
- 電脳旅客協会アーカイブ
- 神奈川ゲーム史研究会
- レトロボックス収蔵リスト