ANGEL SINE
| タイトル | ANGEL SINE |
|---|---|
| 画像 | AngelSine_boxart.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 日本版パッケージイラスト |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドリーム・リーフ、リュミエール64 |
| 開発元 | 白鷺インタラクティブ |
| 発売元 | 白鷺インタラクティブ |
| プロデューサー | 浅見 恒一 |
| ディレクター | 北村 玲二 |
| 音楽 | 七瀬 マキ |
| シリーズ | シルヴァライン・サーガ |
| 発売日 | 1998年11月27日 |
| 対象年齢 | CERO相当A |
| 売上本数 | 国内累計42万本 |
| その他 | オンライン対戦モード対応 |
『』(エンジェルサイン、英: ANGEL SINE、略称: AS)は、にのから発売された用である。の第1作目にあたり、通称は「天使の正弦波」とも呼ばれる。
概要[編集]
は、がに発売した向け作品で、宗教画風の演出と、横スクロールの近接格闘を融合させたである。空中都市を舞台としていることから、当時の販売資料では「光学的救済譚」とも呼ばれた[1]。
本作は、当時としては珍しくとを同一カートリッジ内に併載し、さらに一部店舗では謎の通信端末「サイネ・ケーブル」によるが実験的に導入されたことで知られる。プレイヤーは堕天監視官《エン・フレーム》として操作するが、物語の中盤以降は正規の天使が一斉に敵として扱われるため、発売直後から「天使なのに誰も救わない」と話題になった。
なお、作品名のは三角関数の正弦ではなく、社内資料では「Sacred Inter-Nodal Entity」の略であると説明されていたが、後年の開発者座談会では「単にかっこよかったから」と証言されている。もっとも、この証言の真偽は複数の編集者によってたびたび揺れている。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステムの特徴として、通常射撃に加えて、画面端の光輪ゲージを消費して敵弾を吸収する「聖拍返し」がある。これは一見するとのような成長要素にも見えるが、実際には被弾直前に0.3秒だけ入力猶予が生じる、かなり意地の悪い仕様であった。
アイテムは羽根、聖餅、逆十字型の鍵の三系統に大別される。羽根は攻撃範囲を拡張し、聖餅は耐久値を一時的に上げ、逆十字型の鍵はなぜかショップの扉を開く。取扱説明書には「鍵は装備品ではない」とあるが、テストプレイでは最も強い武器として扱われていたという。
対戦モードでは、二人のプレイヤーが同一画面で敵を奪い合う構造になっており、勝敗は撃破数ではなく「救済点」で決まる。協力プレイでは片方が敵を拘束し、もう片方が正面から刺突するコンビネーションが推奨されたが、攻略記事の多くは「友情は壊れる」とだけ注記していた。オフラインモードは全9章で構成され、最終章のみ難度が急激に上昇するため、当時のレビューでは「前半が丁寧すぎるため後半の暴走が際立つ」と評された。
ストーリー[編集]
物語は、742年ので、天界通信局の記録にのみ残る災厄「第七逆相」が発生するところから始まる。都市上空に現れた七枚の光輪は、毎晩22時17分になると逆方向に回転し、住民の祈りをすべて弾き返していたとされる。
主人公のは、かつて聖歌隊に所属していたが、音程が正しすぎるという理由で追放された青年である。彼はの地下で封印されていた「ANGEL SINE」の刻印刀を受け取り、崩壊する都市を巡ることになる。途中、半身だけ機械化した少女と合流するが、彼女は自分の名前の母音を忘れており、会話のたびに字幕が一拍遅れる。
終盤では、天使側の統治者《セラフィン卿》が、都市を救うためではなく、正弦波状の祈りを世界規模で発生させるために災厄を維持していたことが判明する。ここでプレイヤーは「救済」か「停止」かを選ぶことになるが、どちらを選んでもスタッフロール直前に巨大な鐘が落下し、真エンディング条件が初見ではほぼ分からないことで有名である。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は本作の主人公であり、の初期企画書では「空飛ぶ検閲官」と記されていた。武器は刻印刀《サインエッジ》で、斬撃を行うたびに画面下部の祈念メーターが微妙に増減する。
仲間[編集]
は、機械義肢の演算部に古い賛美歌データが混入している少女である。ほかに、鼻歌だけで鍵束を開ける整備士、三度の裏切り歴がある案内鳥が登場する。
敵[編集]
敵勢力は《天使局》と総称されるが、実態は元聖職者、失業した航法士、そして羽根の在庫を横流しした公務員の寄せ集めである。中ボスのは、戦闘中に説教を始めるため、攻略本では「会話を聞くと逆に危険」と注意書きされた。
用語・世界観[編集]
本作の世界観では、は単なる数学用語ではなく、天使が人間界へ降下する際の軌道を意味する専門語とされている。都市内の高塔はすべて角度17度で傾いており、これは第3次監査委員会が「美観上の要請」として強制した結果であると説明される。
また、作中に登場するは、祈りの回数に応じて発生する架空の税制で、住民は毎月平均3.8回、申告のために教区窓口へ並んだという設定になっている。実在の制度との対応関係は明示されていないが、解説書の脚注では「中世都市の台帳制度を参考にした」とされる。要出典とされることが多い。
一方で、空中都市の動力源である《第九聖鍵炉》は、内部に本当に鐘が入っているため、起動のたびに市街地全体が12秒だけ無音になる。これは演出として評価されたが、開発後期には「静かすぎて効果音班が失職しかけた」との証言も残っている。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
企画は春、が当時流行していた高速横スクロール作品に対抗するため、社内の天文観測サークル出身者を中心に立ち上げられた。初期案は弾幕要素のない純粋な探索型であったが、プロデューサーのが「羽根が少なすぎる」と一言述べたことで、現在の方向性に大きく変更された。
スタッフ[編集]
ディレクターは、メインデザイナーは、プログラムはとが担当したとされる。なお、取説にのみ名前が記載された「羽根調整係」のは、発売2週間前に退職していたにもかかわらず、クレジット上では最重要スタッフとして扱われている。
音楽[編集]
音楽はが担当し、教会旋法と電子ベースを混ぜた独特の編成で知られている。特にタイトル曲「Sine of Dawn」は、冒頭の6小節だけで拍子が5回変化するため、店頭デモではしばしばテレビの同期がずれた。
サウンドトラックは発売翌年に『ANGEL SINE Original Sound Prayer』として2枚組で発売され、全28曲のうち7曲が未使用曲である。未使用曲のひとつ「鐘楼のための無音」は、収録時間が0分34秒しかないにもかかわらず、ファンの間で最も人気が高い。
他機種版・移植版[編集]
には版が発売され、グラフィックの一部が立体視に対応した。これにより敵弾が「見えすぎる」問題が発生し、むしろ初版より難しくなったとされる。
には廉価版『ANGEL SINE Refrain』が相当の配信規格で再配信され、ボーナスモードとして開発段階の没シナリオ「天使の確定申告」が追加された。後年、では一部宗教表現が差し替えられ、羽根がすべて紙飛行機に変更されたことでも知られる。
評価[編集]
本作は発売初週で国内5万8000本を販売し、最終的に国内累計42万本、全世界累計67万本を突破したとされる。特にの年末商戦では、地方量販店において「難しすぎるのに売れる」という現象が観測され、複数誌で珍品として紹介された。
一方で、レビューでは「高い完成度を持つが、説明書にしか載っていない前提知識が多すぎる」との指摘があった。とはいえ、翌年の特別賞を受賞したことから、結果的には予備軍として扱われることになった。なお、当時の販売報告には「初回出荷14万本のうち、実際に起動したのは約9万本」とする記述があり、真偽は不明である。
関連作品[編集]
続編としてがに発表され、協力プレイに疑似育成要素が追加された。また、外伝『』は落ちものパズルに近い形式へ変更され、シリーズの方向性を見失ったと評されている。
さらに、を目指した企画『ANGEL SINE: Choir Protocol』が展開の一環として進行したが、制作元が「天使の羽根を毎話描く予算がない」として中止した。現在は一部設定が小説版に流用されている。
関連商品[編集]
攻略本は『』がから刊行され、全256ページ中、実際の攻略が載っているのは143ページだけであった。残りは聖歌の歌詞、開発陣の座談会、そして「逆十字型の鍵の作り方」についてのコラムで占められている。
書籍としては『』、『』、『』が知られる。また、関連商品としては天使の輪を模した卓上ファン、音程がずれるメトロノーム、そして「第七逆相」を再現するとされる目覚まし時計が発売された。
脚注[編集]
1. ^ 作中ではの由来に複数説がある。 2. ^ 取扱説明書と初回特典小冊子で説明が異なる。 3. ^ 出荷本数の内訳は販売店ごとに集計方式が異なるとされる。
参考文献[編集]
・浅見 恒一『ANGEL SINE 企画書復刻版』白鷺インタラクティブ出版部, 2002年. ・北村 玲二『ドリーム・リーフ時代の設計術』エンターブレイド社, 2004年, pp. 88-117. ・七瀬 マキ『音楽で読むアクションシューティング』銀環新書, 2001年. ・高瀬 しのぶ『羽根と弾幕の美学』光輪社, 1999年. ・M. Thornton, “Sacred Raster and the Sine Myth,” Journal of Imaginary Game Studies, Vol. 7, No. 2, 2005, pp. 41-66. ・H. Sato, “The Algebra of Angels in Late-1990s Console Shooters,” Game Culture Review, Vol. 12, No. 4, 2008, pp. 201-229. ・吉見 直哉『退職前夜のクレジット論』私家版, 2010年. ・白鷺インタラクティブ広報室『ANGEL SINE 公式年表』, 1999年. ・R. Bellamy, “Choirs, Bullets, and Municipal Theology,” Interactive Fiction Quarterly, Vol. 3, No. 1, 2001, pp. 5-19. ・『ANGEL SINE 完全救済マニュアル』エンターブレイド社, 1998年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
白鷺インタラクティブ公式アーカイブ シルヴァライン資料室 ANGEL SINEファン年表館 ドリーム・リーフ保存委員会 架空ゲーム博物誌
脚注
- ^ 浅見 恒一『ANGEL SINE 企画書復刻版』白鷺インタラクティブ出版部, 2002年.
- ^ 北村 玲二『ドリーム・リーフ時代の設計術』エンターブレイド社, 2004年, pp. 88-117.
- ^ 七瀬 マキ『音楽で読むアクションシューティング』銀環新書, 2001年.
- ^ 高瀬 しのぶ『羽根と弾幕の美学』光輪社, 1999年.
- ^ M. Thornton, “Sacred Raster and the Sine Myth,” Journal of Imaginary Game Studies, Vol. 7, No. 2, 2005, pp. 41-66.
- ^ H. Sato, “The Algebra of Angels in Late-1990s Console Shooters,” Game Culture Review, Vol. 12, No. 4, 2008, pp. 201-229.
- ^ 吉見 直哉『退職前夜のクレジット論』私家版, 2010年.
- ^ 白鷺インタラクティブ広報室『ANGEL SINE 公式年表』, 1999年.
- ^ R. Bellamy, “Choirs, Bullets, and Municipal Theology,” Interactive Fiction Quarterly, Vol. 3, No. 1, 2001, pp. 5-19.
- ^ 『ANGEL SINE 完全救済マニュアル』エンターブレイド社, 1998年.
外部リンク
- 白鷺インタラクティブ公式アーカイブ
- シルヴァライン資料室
- ANGEL SINEファン年表館
- ドリーム・リーフ保存委員会
- 架空ゲーム博物誌