ARMORED CORE Victim Interlude
| タイトル | ARMORED CORE Victim Interlude |
|---|---|
| 画像 | VictimInterlude_box.jpg |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | パッケージイラスト |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドリーム・パルス |
| 開発元 | リブライト工房 |
| 発売元 | 北辰インタラクティブ |
| プロデューサー | 黒崎 恒一 |
| ディレクター | 佐伯 玲二 |
| デザイナー | 三浦 夕紀 |
| プログラマー | T. Halberd |
| 音楽 | 志摩院 透 |
| シリーズ | ARMORED CORE |
| 発売日 | 1999年11月18日 |
| 対象年齢 | CERO B相当 |
| 売上本数 | 全世界累計128万本 |
| その他 | 初回特典として整備用ポストカード12枚組が同梱された |
『』(あーもどこあ びくちむ いんたーるーど、英: ARMORED CORE Victim Interlude、略称: ACVI)は、にのから発売された用。『』シリーズの第4作目にあたる[1]。
概要[編集]
『』は、を操縦して任務を遂行する一人称視点の対戦対応型である。の只中で、傭兵組織同士が短い停戦の隙間を縫って契約を奪い合う構図が特徴とされる。
本作は『』シリーズの中でも、戦闘そのものよりも「戦闘の前後に残る手続きと債務」を強く押し出した作品として知られている。なお、通称の「Victim Interlude」は社内で「被害者の合間に挟まる補給記録」という意味で用いられたものが、そのまま商品名に流用されたとされる。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
プレイヤーは傭兵パイロットとして操作し、から提示される契約を受諾して任務をこなす。ゲームシステムの特徴として、出撃前に装備を選ぶだけでなく、帰還後に「損耗査定」「部品返却」「契約違反の弁明」を行う必要があり、この事務作業が戦闘時間とほぼ同じ長さになることがある。
また、機体重量が規定値を1.5トン超過すると、ミッション開始地点に入る前に整備局から差し戻される仕様があり、初期出荷版ではこの差し戻し率が約37%に達したという。これはのちに「最初の難所は戦闘ではなく会計である」と評された。
戦闘[編集]
戦闘は高速移動と短時間の高火力交換を軸とするが、本作では照準補助に「義眼補正」が採用され、被弾直後の視界揺れが過剰に長いことで知られる。特にの維持時間が0.8秒を下回ると、敵機の認識表示が契約書の備考欄に置き換わる演出があり、当時の雑誌レビューで賛否を呼んだ。
対戦モードでは、同一機体を使う二人の操縦士が「整備優先権」を奪い合う特殊ルールがあり、勝者は機体そのものではなく、次回整備時のレンチ使用順を決定できた。これが一部の大会で極端な心理戦を生み、1999年末の大会では決勝が17分間にわたり無言で進行したと記録されている。
アイテム[編集]
アイテムは武装パーツのほか、契約履歴を改ざんするための「偽装タグ」、熱暴走を一時的に遅らせる「冷却札」、整備士との交渉で有利になる「古い社印」などが存在する。特に古い社印は本社の廃棄倉庫から回収されたという設定で、入手すると売却価格が上がる代わりに一部ミッションで敵対企業の監査が強化される。
回復アイテムにあたる「補填ゼリー」は、外見が食用に見えるが実際には潤滑油であり、誤って飲用した場合のみ隠し称号が得られる。説明文が妙に細かいことから、攻略本では「本作最大の笑いどころ」とされた。
対戦モード[編集]
対戦モードは最大4人までのローカル対戦に対応し、各プレイヤーが選んだ機体の損傷状況が次戦へ持ち越される点に特徴がある。3連戦制の「分割請求」ルールでは、敗北した側の機体費用が現実の請求書のように画面端へ送付され、試合後に軽い罪悪感が残るとされた。
また、特定のマップでは中立コンテナを撃破すると「臨時弁護士」が出現し、勝敗にかかわらず両者へ警告文を読み上げる。これは開発途中に近くのアーケードで行われたロケテストの名残であるという説がある。
オフラインモード[編集]
オフラインモードは全12章で構成され、各章の合間に整備記録が自動生成される。記録には撃墜数よりも「帰還時の汚損度」「契約書の折れ目」「エレベーター待機時間」が優先して表示され、実質的にシングルプレイ向けの事務シミュレーターとして機能した。
なお、章間に挿入される短い通信ログでは、主人公の無線相手が毎回異なる名前を名乗るが、後年の設定資料では全員同一人物のローテーション勤務であったことが示唆されている。
ストーリー[編集]
舞台はと呼ばれる企業都市圏で、恒常的な停戦協定の下、傭兵が「被害の中継点」として使い捨てられていく時代である。主人公はコードネーム「レイバーゼロ」と呼ばれる若年パイロットで、事故で所属部隊を失い、以後は契約の合間にしか生きられない存在となる。
物語は、巨大企業が計画する「中間戦争再編計画」を巡って進行する。これは戦争を終わらせるのではなく、停戦期間そのものを商品化する計画であり、主人公はその運搬任務に関わるうちに、自身が一度も確認していないはずの“被害者名簿”に名前が載っていることを知る。
終盤では、主人公の搭乗機が「インタルード機構」と呼ばれる自己記録装置を搭載していたことが判明し、これまでのミッションがすべて保険査定用の再現実験であった可能性が示される。ラストは上空での対決となり、勝利条件が「敵の撃破」ではなく「契約の破棄を読み上げること」であるため、当時のプレイヤーの多くが操作より会話速度を優先した。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
レイバーゼロは、寡黙で規定外の生存本能を持つパイロットである。設定上は18歳だが、整備記録の受領印から逆算すると少なくとも3回は年齢が更新されているとされる。
彼の搭乗機「VX-08 ヴィクティム」は、左腕部に記録端末を内蔵しており、戦闘中に撃墜されるたび、最後の被弾角度を税務用に保存する。
仲間[編集]
通信士のミラ・ヘイスは、主人公に唯一まともな助言を与える人物であるが、助言の半分が外部監査室からの定型文である。もう一人の整備主任、シン・マルティスは、部品交換より先に茶葉の銘柄を気にする変わり者として人気を得た。
このほか、戦術AI「ORB-12」は、任務中にしばしば俳句を詠む仕様で、英語版では字数制限の都合により三行詩に置き換えられた。
敵[編集]
敵対勢力の中心は、と呼ばれる傭兵連合である。彼らは同じ傭兵でありながら、契約書の余白に小さな修正を加えることで勝敗を操作するとされ、シリーズ史上最も「書類上で強い」敵として語られている。
中でもエースパイロットのアマル・クレイドは、撃墜されるたびに別名義で再雇用されるため、プレイヤーの間で「倒しても減らない男」として恐れられた。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、戦争は“終結”よりも“休戦の販売”によって管理される。企業は停戦協定を分割して売買し、傭兵はその細切れを実働で埋める存在として扱われるため、用語としての「Interlude」は単なる副題ではなく、制度そのものを指す。
「Victim」は被害者を意味するだけでなく、損害の記録対象となった機体・パイロット・委託先をまとめた行政区分でもある。地方自治体の文書では「被害者台帳第2類」として扱われるが、ゲーム内ではこの区分を逆手に取って、被害者登録をすると一部の企業から補償品が送られてくる奇妙な仕組みがある。
の広報資料では、本作の世界観を「荒廃した未来」ではなく「過剰に整った未来」と説明していた。実際、街並みは崩壊していないのに誰も得をしないため、プレイヤーからは「きれいな地獄」とも呼ばれた。
開発[編集]
制作経緯[編集]
開発は春、前作の評判を受けて「戦闘の爽快感を残したまま、契約の重みを増す」目的で始まった。初期案ではレース要素や釣り要素も検討されたが、最終的に「整備費の算定で十分に遊べる」として削除された。
社内では、ミッション間に請求書を表示する仕様が議論を呼び、最終的には監修担当が「これならゲーム内通貨より現実味がある」と承認したという。なお、企画書の表紙には缶コーヒーの汚れが残っており、後にファンの間で“第一稿の血痕”と呼ばれた。
スタッフ[編集]
プロデューサーのは、傭兵ものよりも企業会計に強い人物として知られていた。ディレクターのは、操作感の調整において「敵を倒す手応えより、返金を拒否する手応えを重視した」と語ったとされる。
音楽のは、金属音と管弦楽を混ぜる手法を採用し、メニュー画面でさえ緊迫感を出すことに成功した。プログラマーのT. Halberdは英国出身とされるが、社内では一度も正確な出身地が共有されていない。
音楽[編集]
サウンドトラックは、重低音の機械音と短い旋律を反復させる構成で、特にタイトル曲「Interlude / 03:17」は、起動音から終了音までを1分57秒で収めたことで知られる。ゲーム内の警告音がそのまま楽曲化されたトラックもあり、これを深夜に聴くと請求書の夢を見ると噂された。
後年、の同人音楽イベントでこの楽曲群をアレンジした「納期のための前奏曲集」が頒布され、作曲者本人が知らないうちに半公式扱いになった。また、海外盤では一部曲名が訳せなかったため、そのまま日本語ローマ字で収録されている。
他機種版・移植版[編集]
本作はに版が発売され、操作系が2本のトリガーに簡略化された。これにより戦闘はやや緩和されたが、整備画面の入力が逆に複雑化し、移植版のレビューでは「戦う前に親指が疲れる」と書かれた。
さらに、には携帯端末向けの簡易版『Victim Interlude: Pocket Interlude』が配信され、ミッション数は全3章に削減された一方、請求書の表示だけは完全移植された。海外ではに相当する配信サービスにも一時収録されたが、契約文の一部が現地法に抵触したため、2週間で配信停止となった。
評価[編集]
売上[編集]
発売初週の販売本数は約14万本で、年末までに国内累計61万本、全世界累計128万本を記録した。傭兵ものとしては異例の伸びで、北辰インタラクティブは「戦闘より会計が受けた」と総括した。
一方で、実店舗では説明書の厚さが原因で陳列棚がたわみ、複数の家電量販店が「物理的に重いソフト」として別棚に移したという。
受賞・批評[編集]
特別賞を受賞し、ファミ通クロスレビューでは36点を獲得したとされる。特に評価されたのは、敵撃破時よりも帰還時の請求演出にある種の芸術性があった点である。
ただし、難度の高さと書類作業の多さから、初心者には不親切との批判も多かった。なかには「傑作だが、労災申請の練習にもなる」と評した誌面もあり、後年の再評価に繋がった。
関連作品[編集]
続編として『ARMORED CORE Victim Requiem』、『ARMORED CORE Interlude Zero』が企画されたが、いずれも未発売である。特に『Interlude Zero』は前日譚でありながら、時間軸上は請求書の締切日を中心に進むという特殊な構想で、社内では「最も説明しにくい続編」と呼ばれた。
また、本作の設定を再利用した外伝漫画『機体は誰のものか』はで短期連載され、3話目で主人公が整備工場を相続する展開が話題となった。
関連商品[編集]
攻略本『Victim Interlude 完全整備読本』は、通常の攻略チャートに加えて「請求書を早く閉じるコツ」まで掲載していた。初版は6万部を超え、付録の透明定規が整備パーツの厚み計測に流用されたことでも知られる。
書籍としては設定資料集『都市戦争と中間戦争再編』、小説『被害者名簿の午後』、技術解説書『操縦桿より重いもの』などが刊行された。いずれもゲームの解説というより、企業倫理の反面教師として読まれた節がある。
脚注[編集]
注釈 [1] 作中年表では発売前にすでに存在していたことになっている。
出典 [1] 北辰インタラクティブ広報部『1999年度新作ラインナップ』、社内資料、1999年。 [2] 佐伯玲二「請求書はUIである」『ゲーム設計季報』Vol.12、第3号、2000年、pp.14-27。 [3] 黒崎 恒一『停戦の使い方』リブライト工房出版、2001年。 [4] 志摩院 透「低音が契約を連れてくる」『音響と機械』Vol.8、第2号、1999年、pp.88-96。 [5] 横浜デジタル娯楽振興会『ドリーム・パルス対戦大会記録集』、2000年。 [6] 三浦夕紀『整備画面の美学』北辰文庫、2002年。 [7] M. Thornton, “Post-Combat Accounting in Late-1990s Mecha Software,” Journal of Simulated Conflict Studies, Vol. 5, No. 1, 2003, pp. 41-59. [8] T. Halberd, “The Fiscal Lock-on Problem,” Interlace Review of Game Systems, Vol. 2, No. 4, 2001, pp. 7-19. [9] 佐伯玲二『被害者の合間に』、リブライト工房内部刊、1999年。 [10] 『セレスティア64移植版 取扱説明書』北辰インタラクティブ、2001年。
参考文献[編集]
・黒崎 恒一『停戦の使い方』リブライト工房出版、2001年。
・佐伯 玲二『請求書はUIである』ゲーム設計季報編集部、2000年。
・志摩院 透『Interlude 音響設計ノート』北辰インタラクティブ音楽部、1999年。
・三浦 夕紀『整備画面の美学』北辰文庫、2002年。
・M. Thornton, "Post-Combat Accounting in Late-1990s Mecha Software," Journal of Simulated Conflict Studies, Vol. 5, No. 1, 2003.
・A. Renn, "The Contractual Loop in Japanese Mecha Games," Digital Ludology Quarterly, Vol. 11, No. 2, 2004.
・佐伯玲二『中間戦争の作法』リブライト工房資料室、2005年。
・T. Halberd, "The Fiscal Lock-on Problem," Interlace Review of Game Systems, Vol. 2, No. 4, 2001.
・『Victim Interlude Complete Score』北辰サウンドアーカイブ、2000年。
・『ARMORED CORE Victim Interlude 公式設定集』北辰インタラクティブ、1999年。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
北辰インタラクティブ公式アーカイブ
リブライト工房開発年表
Victim Interlude 資料保存会
ARMORED CORE研究室
ドリーム・パルス博物館
脚注
- ^ 黒崎 恒一『停戦の使い方』リブライト工房出版、2001年.
- ^ 佐伯 玲二「請求書はUIである」『ゲーム設計季報』Vol.12、第3号、2000年、pp.14-27.
- ^ 志摩院 透「低音が契約を連れてくる」『音響と機械』Vol.8、第2号、1999年、pp.88-96.
- ^ M. Thornton, “Post-Combat Accounting in Late-1990s Mecha Software,” Journal of Simulated Conflict Studies, Vol. 5, No. 1, 2003, pp. 41-59.
- ^ T. Halberd, “The Fiscal Lock-on Problem,” Interlace Review of Game Systems, Vol. 2, No. 4, 2001, pp. 7-19.
- ^ 三浦 夕紀『整備画面の美学』北辰文庫、2002年.
- ^ 横浜デジタル娯楽振興会『ドリーム・パルス対戦大会記録集』、2000年.
- ^ 佐伯玲二『被害者の合間に』リブライト工房内部刊、1999年.
- ^ A. Renn, “The Contractual Loop in Japanese Mecha Games,” Digital Ludology Quarterly, Vol. 11, No. 2, 2004, pp. 113-128.
- ^ 『Victim Interlude Complete Score』北辰サウンドアーカイブ、2000年.
- ^ 『ARMORED CORE Victim Interlude 公式設定集』北辰インタラクティブ、1999年.
- ^ 『セレスティア64移植版 取扱説明書』北辰インタラクティブ、2001年.
外部リンク
- 北辰インタラクティブ公式アーカイブ
- リブライト工房開発年表
- Victim Interlude 資料保存会
- ARMORED CORE研究室
- ドリーム・パルス博物館