CRまさのり
| 種別 | サブカル的なCR機ローカル用語 |
|---|---|
| 主要メディア | 配信・攻略掲示板・改造記録サイト |
| 象徴装置 | カードリーダー(CR)と称される端末 |
| 主な行為 | 頒布される疑似カードで当たり演出を“育てる” |
| 発祥の舞台(とされる) | 大阪のゲームセンター路地裏界隈 |
| 分野 | サブカルチャー・ネット文化 |
CRまさのり(しーあーる まさのり)とは、「デジパチ(デジタル・パチンコ)」の派生として作られたカードリーダー機(CR)文化を指す和製英語の造語である。〇〇を行う人をまさのりヤーと呼ぶ[1]。
概要[編集]
は、デジパチの世界観を「カードリーダー(CR)」で拡張したという体裁のローカル用語であり、ネット文化として流通しているとされる。明確な定義は確立されておらず、初期は単なるプレイヤー愛称、後に“儀式”や“仕様書”のような語りへと増殖した[2]。
この言葉が面白いのは、単なる遊技用語ではなく、配信者の癖・掲示板の合言葉・カード頒布コミュニティの作法までをまとめて指す点にある。さらに、語源が「CR(カードリーダー)」に由来すると言いつつ、運用上は“演出人格”を育てる文化として解釈されることが多いとされる[3]。
当初、関係者は「機種の話だけしていればよい」と言っていたが、いつの間にかは“ネットの仲間内だけで通じる物語”へ変質し、結果として二次創作や改造記録の引用が常態化した。インターネットの発達に伴い、地域差はスレッド内の方言として残るようになった[4]。
定義[編集]
とは、カードリーダーを搭載したデジパチ的システムを“物語化”して楽しむための造語である。「とは〜を指す」を満たすように説明されることもあるが、実際には“文脈”込みの概念として機能する[5]。
またとは、当たり演出をカード運用と結びつけて語る愛好者を指すとされる。特に「当たりの再現性」を、乱数ではなく“手順の敬意”に置き換えるのが特徴であるとされる。明確な定義は確立されておらず、掲示板によって「敬意」の中身が違うこともある[6]。
一方では、カード頒布(オフライン配布)を伴う“疑似仕様”の呼称としても用いられた。頒布されたカードには、バーコード下に手書きのニックネームが付いていることが多く、その名前が「演出の声」になると信じられた[7]。
なお、この語は和製英語の体裁を取りつつ、英語圏ではそのまま通じないことが多い。英訳すると “Card Reader Masanori” という不自然な固有名詞になり、むしろそれが誤訳として面白がられて拡散したとする説もある[8]。
歴史[編集]
起源[編集]
の起源は、1990年代後半の大阪にある小規模なゲームセンター群にまで遡るとされる。1998年9月13日、当時の常連が「CRを読ませると“癖”が出る」と冗談で言ったのが最初期の逸話として語られている[9]。
その“癖”は、公式仕様では説明されない挙動だったとされるが、実際のところはカード読み取り時の待機時間が演出タイミングに影響しているだけだったという指摘もある。ただしネット上では、その指摘自体が「冷静すぎる」として敬遠され、儀式としての語りが優勢になった[10]。
さらに、1999年春にの文具店で売られていた透明シール(1枚あたり0.37ミリ厚)をカード表面に貼ると“まさのり”が“起動する”と主張する系統が現れた。ここで「厚み」があえて数字で語られ、後の文化で“やけに細かい数字”が物語の権威になる仕掛けが完成したとされる[11]。
年代別の発展[編集]
2002年になると、掲示板に「まさのりヤーの儀式手順」が投稿され、チェックリスト文化が生まれた。具体的には、筐体に触れてから最初のボタン押下までを平均1.7秒(個体差±0.2秒)に合わせる、という“統計っぽい語り”が流行したとされる[12]。
2005年にはが“カード頒布の作法”と結びついた。頒布用カードには、配布者が「自分の運を少しだけ削る」ための印として、裏面に「供養用コード:MNR-07」と書く慣習があったとされる。もちろん根拠は明示されないが、だからこそ参加者は自分の物語を刻めた[13]。
2011年以降、インターネットの発達に伴い、とで“読み上げ手順”の動画が増加した。動画のサムネイルには「今日の待機:00:01:41」といった秒単位が表示され、観客はコメント欄で「その秒は縁がある」と評価したとされる[14]。
2016年頃には、まとめサイトが「CRまさのり用語集」を作り、明確な定義は確立されておらずつつも語彙だけが先に整備されていった。一方で、定義の多様性が“争い”を生む原因にもなり、同じ言葉が違う儀式を指す事態が常態化した[15]。
インターネット普及後の変質[編集]
普及後のは、単に遊技を語る場所から、創作の舞台へと移ったとされる。特に「カードが当たりを“呼ぶ”」という比喩が強まり、カードが擬人化される流れが出た。
この擬人化は、配信者がカードに声を割り当てたことにより加速したとされる。ある配信では、カード表面の印刷欠けが偶然に文字へ見え、その文字を「まさのり」と読んだことがきっかけで“人格設定”が生まれたと説明された[16]。
さらに、コミュニティがとして「まさのりの誕生日(移動平均で算出:1万回転中の最初の熱)」を祝うようになり、遊技時間の語りが儀礼化していった。結果として、参加者は“勝敗”よりも“物語の整合性”を競うようになったとも言われる[17]。
このような変質は、外部から見るとただの迷信に見える一方、内部では社会性を持った文化資本として機能した。すなわち、知っているかどうかが仲間内の通行証になったのである[18]。
特性・分類[編集]
には複数の系統があるとされ、明確な定義は確立されておらず、便宜的に分類されている。まず大枠として、「手順重視型」「カード文章重視型」「筐体癖読み型」の3系統がよく挙げられる[19]。
手順重視型は、先述の待機秒数やボタン押下の順序など、工程の整合性に価値を置く系統である。掲示板では「今日は押下順が逆だったから“縁切り”になった」といった語りが見られたという[20]。
カード文章重視型では、頒布カード裏面の短文(例:「次の一手は優しさで」)が演出を変えるとされる。文字数をあえて7文字に揃える慣習があったという主張があり、実際には誰も検証していないとされるが、それでも“揃っていること”が重要だとされた[21]。
筐体癖読み型は、特定店舗の排気音や光のちらつきにまで意味を持たせる。たとえば内のある設置台が「鼻歌みたいな唸り」をする日だけ当たりやすい、という不思議な観測が“伝承”として残ったとされる[22]。
日本における〇〇(CRまさのりヤーの活動)[編集]
日本では、の西側から始まったとされる語りが、のちに全国へ“方言化”して広がった。インターネット普及後には、地域名をわざと短くしてスレッドのタグにする作法が定着し、「OSK」「KTN」「SKR」などの略語が“店舗の神格名”として扱われた[23]。
イベントとしては、オフ会の代わりに「カード持ち寄り会」が盛んになったとされる。ここで頒布されるのは実物カードだけでなく、QRに見せかけた短い文章コードが多かった。配布物は“無料”とされるが、実際には参加者が持参したコーヒーの粉が交換の単位になったとも言われる[24]。
また、動画配信者は「今日の縁」を数値化する傾向が強かった。たとえば「縁指数:63.5(分母は前回の笑い声採点)」のように、統計でも検証でもない指標が用いられたという。にもかかわらず視聴者が真顔で反応するのが、サブカルとしての成熟を示すと解釈された[25]。
一方で、店舗側との摩擦も起きたとされる。カード頒布が“営業妨害”と見なされ、のような架空団体が「迷惑行為の可能性」を理由に注意喚起したという噂が流れた。ただし公式文書としては確認できないとされ、噂だけが先行した[26]。
世界各国での展開[編集]
海外ではは、最初は翻訳されずにそのまま音写される形で広がったとされる。英語圏の投稿では “CR Masanori ritual” といった表現が使われ、特にネットミームとして「カードが語りかける」という比喩が独自に発展した[27]。
北米では、遊技文化の文脈から離れた“ゲーム実況の物語化”として解釈されることが多かった。そこでは、カードの代わりにストリームのコメントをカード扱いにし、「初手コメントが運を決める」といったルールが作られたとされる[28]。
欧州では、文化人類学っぽい語りの体裁でまとめられた。とある投稿は「待機秒数1.7の意味は、都市のリズム(通勤動線)に由来する」と主張したとされるが、根拠は提示されていないとされる[29]。
ただし、世界展開の結果として、言葉の“神話性”が過剰になったという指摘もある。特に「CRまさのりが作動する条件」と称して、現実の機器改造を促す風説が広がり、コミュニティの安全性が議論された[30]。
〇〇を取り巻く問題(著作権/表現規制)[編集]
を巡っては、著作権と表現規制に関する話題が周期的に発生するとされる。カード頒布が“著作物の複製”に当たるのではないかという指摘がある一方で、コミュニティ側は「演出の物語であり、複製ではない」と主張する場合がある[31]。
さらに、配信動画の切り抜きに関して、サブカルとしての文脈を理由に許容されるとする意見もあった。ただし、実際には無断転載が問題視されやすく、「縁の再現」は引用の範囲を超えることがあると指摘されている[32]。
表現規制の側では、擬人化したカードに“本名っぽい設定”を与える流れが一部で問題視されたとされる。具体的には、カード裏面の短文が個人情報のように読める場合があるため、プラットフォームで自動検閲に引っかかることがあったという報告がある[33]。
また、なぜか「CRまさのりは違法改造を推奨しない」と明記する注意書きテンプレが生まれた。ここでテンプレ文に誤字が混入し、「頒布は違法改造に当たらないが、頒布の頒布は…」のように破綻した文がコピペされたとされる。真面目に運用されているように見えつつ、細部だけ妙に狂うのがネット文化の笑いどころとされる[34]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 田中カズヤ『CRまさのりの社会的物語論—カードが語る待機秒数の研究』幻影出版, 2020.
- ^ 山本ミツオ「デジパチ派生用語の生成過程:OSKタグの成立と拡散」『サブカル・ログ研究』第12巻第3号, pp.33-58, 2019.
- ^ A. Thornton『The Semiotics of Card-Reader Rituals in Japan』University Press of Kyoto, Vol.2, pp.101-146, 2021.
- ^ 李澤(リ・タク)「CR(Card Reader)と“演出人格”の擬似相関」『International Journal of Meme Mechanics』Vol.7 No.1, pp.9-24, 2022.
- ^ 佐藤ユイ『頒布という名の交換経済—無料カード文化の実態』青空書房, 2018.
- ^ 加藤眞琴『待機秒数1.7の宇宙—配信コメントの儀式化』星海社, 第4版, pp.77-95, 2017.
- ^ “全国遊技場組合注意喚起(噂)”編集委員会『場内コミュニティ運用の注意点』第1巻第1号, pp.1-12, 2016.
- ^ M. Hernandez『Copying Without Context: Video Clips and Community Meaning』Routledge, Vol.5, pp.200-225, 2023.
- ^ 渡辺精一郎『和製英語ミーム辞典(改訂増補)』日本語工房, 2015.
- ^ K. Nakamura『Cards, Captions, and “MNR-07”: A Field Report』Oxford Imagination Press, pp.44-60, 2014.
外部リンク
- CRまさのり観測所
- まさのりヤー用語倉庫
- 待機秒数カタログ(非公式)
- カード頒布アーカイブ
- 演出人格データベース