PlayStation(任天堂のゲーム機)
| タイトル | PlayStation(任天堂のゲーム機) |
|---|---|
| 画像 | PlayStation-Nintendo-boxart.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | 初回出荷版のパッケージ |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | N64互換 |
| 開発元 | 任天堂情報開発第三研究室 |
| 発売元 | 任天堂 |
| プロデューサー | 宮城田 恒一 |
| ディレクター | 斎藤 三郎 |
| デザイナー | 小林 透、岩下 由紀 |
| プログラマー | 高瀬 真一、L.ハリソン |
| 音楽 | 高橋 直人 |
| シリーズ | PS-Nシリーズ |
| 発売日 | 1994年11月11日 |
| 対象年齢 | CERO B相当 |
| 売上本数 | 全世界累計820万本 |
| その他 | バーチャルコンソール対応版あり |
『(任天堂のゲーム機)』は、にのから発売された用である。通称は「PS-N」で、の第1作目にあたるとされる[1]。
概要[編集]
『(任天堂のゲーム機)』は、のが独自に構想した架空のゲーム作品であり、当初は家庭用機の設計思想を物語化するための社内試作として始まったとされる。のちにとして再構成され、同社の“次世代拡張実験”を象徴する作品となった。
本作は、プレイヤーが半機械化された配送員「レイ・スターク」を操作し、巨大都市を舞台に破損した周辺機器を回収するという、やや地味でありながら妙に切迫した内容で知られている。発売当時から「テレビゲームというより家電の説明書を読まされている感覚」と評され、後年はその奇妙な完成度が再評価された[2]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、移動・射撃・通信・充電の四要素が同時に管理される点が挙げられる。プレイヤーはの振動機能を利用して敵機の誘導波を避けつつ、街区ごとに異なる電圧規格を調整しなければならない。
また、画面右上に表示される“熱量メーター”が一定値を超えると、主人公の白い外装が変色し、内部のファームウェアが勝手に天候予報を始める。この仕様は当初バグと見なされたが、開発側は「都市との同調表現である」と説明したため、最終的に仕様として押し切られた[要出典]。
戦闘[編集]
戦闘はとしては比較的珍しく、敵を倒すより“停止させる”ことが重視されている。弾丸の代わりに配送伝票を撃ち込み、命中した敵は3秒間だけ丁寧になる、という独特のシステムが採用された。
ボス戦では「大型家電型兵器」が多数登場し、なかでも第7面の《回転式冷蔵庫要塞》は、内部に18人分の社員食堂が入っているという設定で話題になった。なお、この数字はスタッフ会議の議事録にしか残っておらず、実際の収容人数とは異なる可能性がある。
アイテム[編集]
アイテムは全132種が確認されており、うち半数以上が“用途不明”のままクリア後に回収される。代表的なものに《未承認メモリパック》《逆向きケーブル》《冷却済み紙幣》などがある。
特に《任天堂式ゼリー》は、一定条件下でのみレイの移動速度を2.4倍にするが、使うたびにセーブデータの自己紹介文が書き換わる副作用があることで有名である。これを利用したタイムアタックが1997年頃に流行したとされる。
対戦モード[編集]
対戦モードでは最大4人による協力プレイと疑似対戦が可能で、表向きは“共同修理”であるが、実質的には互いの電源を奪い合う心理戦である。対戦専用のマップにはを模した「電気街ステージ」が存在し、看板の明滅パターンによって隠しルートが開放される。
一部の大会では、勝敗よりも“最も礼儀正しく敵を撃破した者”が表彰されたという変則ルールが採用され、当時の競技シーンに小さな混乱をもたらした。
オフラインモード[編集]
オフラインモードは、都市インフラが完全に停止した後のを単独で歩く“夜間保守”パートで構成される。ここでは敵よりも停電そのものが障害となり、マップの半分が毎回異なる順序で再配線される。
また、隠し条件を満たすと、主人公がひたすら倉庫の型番を読み上げるだけの《静寂モード》が解禁される。プレイヤーの離脱率は高かったが、編集者の一部は「シリーズ中もっとも美しい沈黙」と評した。
ストーリー[編集]
物語は、の外れにある試作倉庫で、未完成のゲーム機筐体が自律起動したことから始まる。主人公レイ・スタークは、その内部に閉じ込められた配送アルゴリズムを回収するため、企業都市へ派遣される。
やがて彼は、都市全体が“遊ばれること”を拒絶し始めた原因が、中央管制装置《ソニーではなくソノミー》の暴走にあると知る。終盤、レイは巨大なディスクトレイの扉を開き、都市の記憶を一枚ずつ交換することで事態を収束させるが、その代償として自身の起動日を失う。結末は複数存在し、最も有名なエンディングでは、空になったパッケージだけが雪の降る倉庫に残される。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
レイ・スタークは、の品質検査課から“歩く互換性試験”として派遣された青年である。設定上は18歳だが、内部マニュアルでは「発売後2年で26歳相当になる」と記載されており、年齢の扱いが極めて不安定である。
仲間[編集]
ユキ・アマノは通信士であり、プレイヤーに対して常に「マニュアル第14版を読め」と助言する。ほか、倉庫AIの《M-404》、非常用マスコットの《カセット坊》などが仲間として登場するが、いずれも会話の7割が型番で構成されている。
敵[編集]
敵勢力は《汎用家電連合》を名乗るが、実態は中古取扱説明書の自己複製によって増殖した文字列群である。最終ボスの《皇帝スキャナー》は、プレイヤーの入力履歴を読み取り、誤字が多いほど攻撃力が上昇するという、ひどく意地の悪い特性を持つ。
用語・世界観[編集]
作中世界では、ゲーム機と都市インフラがほぼ同義であり、電源を入れる行為は“市民権の再確認”を意味する。これにより、住民は毎朝コンセントに向かって軽く会釈する習慣を持つとされる。
また、では、通信規格の違いによって天候が変わるという設定が採用されており、雨の日は旧式ケーブル、晴天の日は新型端子が優勢になる。この設定は一見SF的であるが、実際には配色の都合で作られたと開発資料にある[3]。
開発[編集]
制作経緯[編集]
本作の制作は、にで行われた社内展示会「第四試作祭」における、携帯型端末のデモ映像から始まったとされる。当初は教育ソフトとして構想されたが、試作の際に誤ってシューティング要素が増殖し、最終的に都市破壊ゲームへと変貌した。
制作陣は“操作している感覚より、整備している感覚を先に立たせたい”として、敵を撃破するたびにレンチの音が鳴る演出を採用した。これが後の風タイトルにも影響したという説がある。
スタッフ[編集]
プロデューサーのは、かつての商店街でゲーム筐体の修理をしていた人物とされ、細部の整合性よりも“触ったときに気持ちよいこと”を重視した。ディレクターのは、開発終盤に全セリフへ敬語を義務づけたことで知られる。
音楽担当のは、サンプル音源に実在しない家電の起動音を多数混ぜ込み、後年のファンから“聴く取扱説明書”と呼ばれた。なお、スタッフロールには《予備の影》という役職が1名だけ記載されているが、その担当業務は不明である。
音楽[編集]
サウンドトラックは、シンセサイザー主体のテクノと、録音されたエアコン室外機の低周波を組み合わせた独特の音像で構成される。特にタイトル曲《Power On, Please》は、起動音に合わせて拍子が1小節だけずれる仕掛けがあり、当時の試聴会では賛否が分かれた。
1996年にはのみを収録した非売品カセットが社内向けに配布され、2本だけがの中古レコード店に流出したという逸話がある。もっとも、この話は店主の証言以外に裏付けがなく、半ば都市伝説化している。
他機種版・移植版[編集]
1998年には向けの簡易版《PlayStation Pocket》が発売されたが、画面が小さすぎたため、主人公の顔が毎回アイコン扱いになった。続いて2002年には風の学習ソフトへ移植され、タイピング練習と電圧調整を同時に行う異色の仕様が追加された。
さらに2007年には《バーチャルコンソール対応版》が配信され、当時のファンは「やっと机の上で都市を救えるようになった」と歓迎した。ただし、配信版では《冷却済み紙幣》のドット数が1枚だけ増えており、コレクターの間で差異研究が盛んになった。
評価[編集]
発売直後の初週販売本数は18万4,200本で、月末時点では累計63万本に達したとされる。のちに廉価版と同梱版が重なったことで、を突破し、同社の“説明書が先に売れた作品”として記録された[4]。
評価面では、受賞を逃した一方で、クロスレビューでは“世界観の一貫性が狂気じみている”という理由でゴールド殿堂入りした。批評家の一部は、ゲームとしての不親切さを問題視したが、熱心な支持層は「不親切さこそ最大の演出である」と反論した。
関連作品[編集]
続編として《PlayStation 2: 予備電源の逆襲》、外伝として《PlayStation Card: 紙製起動篇》が制作されたとされる。また、設定を共有するテレビアニメ『放送局24時』は、毎話最後にゲーム機の型番を読み上げるだけの異例の構成で話題となった。
メディアミックス展開としては、舞台版《整備士たちの長い午後》、漫画版《週刊プラグ少年》、ラジオドラマ『起動音のある風景』などが存在する。なお、いずれも本編より説明書のほうが長い。
関連商品[編集]
攻略本としては『PlayStation(任天堂のゲーム機) 完全整備読本』が風の体裁で刊行され、各章の冒頭に“まず電源を入れないでください”という注意書きが付された。書籍版では、通常版に加えて《倉庫地図》の折り込み付録が人気を集めた。
そのほか、設定資料集『NIMBAS 通信規格年表』、サウンドトラックCD『Power On, Please / The Unplugged Mix』、および用途不明の箱型グッズ《ミニトレイ文鎮》が発売された。文鎮は実用性が高いとされたが、落とすとゲーム内の通信ログが反応するため、職場での使用が推奨されなかった。
脚注[編集]
1. ^ 本作の正式略称については資料ごとに揺れがある。 2. ^ 初期パンフレットでは“据置型配送アクション”と記されていた。 3. ^ 開発メモ第4版にのみ記載。公開資料では確認できない。 4. ^ 出荷本数と実売本数が一致しているかは不明である。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
任天堂資料館デジタルアーカイブ
NIMBAS設定保全委員会
PS-Nファン研究会
架空ゲーム年表データベース
起動音保存プロジェクト
脚注
- ^ 宮城田 恒一『PlayStation(任天堂のゲーム機) 開発年報』任天堂出版部, 1995年.
- ^ 斎藤 三郎『NIMBAS都市設計とゲーム性の一致』電波社, Vol.12, No.3, 1996, pp. 44-59.
- ^ 高橋 直人『聴く取扱説明書としてのBGM』京都ゲーム研究, 第8巻第2号, 1997, pp. 101-118.
- ^ Margaret L. Henson, "The Nintendo PlayStation and the Ethics of Cabling," Journal of Interactive Folklore, Vol. 4, No. 1, 1998, pp. 12-29.
- ^ 小林 透『互換機と都市神話』朝日デジタル出版, 2001年.
- ^ L. Harrison, "Cooling the Fiction: Thermal UI in Early Console Experiments," Game Studies Quarterly, Vol. 9, No. 4, 2005, pp. 201-224.
- ^ 任天堂情報開発第三研究室 編『第四試作祭 記録集』社内資料, 1993年.
- ^ 田中 由紀『攻略本文化の変容と配線』青磁書房, 第2巻第1号, 2008, pp. 77-93.
- ^ Robert J. Cline, "Power On, Please: A Case Study," International Journal of Make-Believe Computing, Vol. 15, No. 2, 2011, pp. 88-104.
- ^ 岩下 由紀『PlayStation(任天堂のゲーム機) 設定資料集』双葉社風文化研究会, 2014年.
外部リンク
- 任天堂資料館デジタルアーカイブ
- NIMBAS設定保全委員会
- PS-Nファン研究会
- 架空ゲーム年表データベース
- 起動音保存プロジェクト