Voyager ─24,000,000,000km─
| 種別 | ゲーム合同楽曲公募(共通部門)採用曲 |
|---|---|
| 作曲 | 古澤倫太郎(ふるさわ りんたろう) |
| 編曲 | 第九航行サウンド室(だいきゅうこうこう さうんどしつ) |
| 想定用途 | 共通メニューBGMおよび周辺UIのアラート相当音 |
| 公開形態 | ゲーム内実装(2021年秋季ビルド) |
| 主要モチーフ | 24,000,000,000kmの“距離直交” |
| 制作期間 | 47日(休止期間を含むと63日) |
| 採用決定日 | 10月13日 |
Voyager ─24,000,000,000km─は、「StrayCubic 2ゲーム合同楽曲公募」の共通部門で採用された楽曲である。長距離航行を模した音響設計と、選考過程に残された“距離換算ログ”が特徴とされる[1]。
概要[編集]
Voyager ─24,000,000,000km─は、「StrayCubic 2ゲーム合同楽曲公募」の共通部門採用曲として扱われることが多い楽曲である[1]。ゲーム側のUI設計と連動する形で、一定の距離計算が行われる場面ではテンポが位相補正される仕様が採られたとされる。
本曲はタイトルにという極端な距離表現を含むが、単なる比喩ではなく、制作側が“距離直交”と呼ぶ音響パラメータ変換に利用したとされている。この変換は、作曲者のメモに残る「1km=0.00000000173拍」などの非常に細かい換算係数に基づくと説明された[2]。
一方で、歌詞の有無については資料ごとに食い違いがあり、作曲者インタビューでは「ほぼ無言のコーラス」と述べられるが、提出データのメタ情報にはボーカルトラックが複数存在したと報告されている[3]。なお、これらは選考過程の透明性を高めるための“説明用ダミー”だった可能性も指摘される[4]。
公募と採用の経緯[編集]
公募の設計(共通部門)[編集]
「StrayCubic 2ゲーム合同楽曲公募」は、複数タイトルで共通利用できるBGM体系を整える目的で設計されたとされる[5]。共通部門では、特定の世界観に閉じない“中立航行サウンド”が求められ、審査員は「メニュー遷移のたびに、プレイヤーが同じ呼吸をする程度の統一感」といった要件を提示したとされる。
この要件の具体化として、審査資料には「UIイベント1回につき、主和音の位相が0.5%以内に揺れる」などの数値が記載された[6]。結果として、Voyager ─24,000,000,000km─は“長距離の安心感”を短いUIサイクルへ圧縮する戦略として評価されたと考えられている。
なお、共通部門ではタイトル命名規則も一部共有されており、「航行」「距離」「時間単位」を含む場合、採点項目のうち“統一度”が加点される仕組みがあったとされる[7]。この規則が、本曲の異常に具体的な距離表現を後押しした可能性が指摘される。
選考会議の“距離換算ログ”[編集]
採用決定に至るまでの議事録として、「距離換算ログ」が準公式資料として回覧されたとする証言がある[8]。そのログには、応募曲のスペクトルを距離に換算する試験計算が記載されており、Voyager ─24,000,000,000km─は試験区間で“誤差0.00000034%”を達成したと報告されている。
もっとも、この数値は検算条件で数倍に揺れるともされ、監査担当の(当時、契約渉外の臨時委員)によって「誤差よりも“換算の説明ができるか”が重要」と注記されたとされる[9]。この点が、作品としての完成度を超えた“技術説明の強さ”として扱われたのが実際の採用理由だと推定する論者もいる。
また、選考会議では曲の提出形式が問題になり、提出ファイル名に「VGR-24B-LOG10.wav」のような航行型コードが付けられていたことが話題になった[10]。審査員側は最初「何かの実験データの誤添付では」と疑ったが、提出者が“UI用波形のダミー同梱”を即座に説明したため、逆に信頼が増したとされる[10]。
楽曲の特徴と制作技術[編集]
本曲は、序盤で低域が段階的に立ち上がる構造をとり、位相補正の基準が“距離直交”により決定されると説明されている[11]。制作側の内部手順書では、プログラム上のタイムスタンプに基づいて小節長を自動調整するため、テンポは固定せず「計算テンポ」で管理されたとされる[12]。
具体例として、作曲者のメモには「メニュー遷移時の小節境界で、2,147,483,647サンプルから次の1拍へ跨ぐとき、位相差を-12.6°以内に収める」などの記述が残っている[13]。このような過剰とも思える条件が、短いUI滞在時間でも違和感が出にくい“聞き心地”につながったと考えられた。
一方で、フィールド録音が多用されているという噂もある。制作ブログの草稿では「真空チャンバーのリング音を素材化した」とされるが、後に“実際には合成ノイズである”との修正が入ったと報告されている[14]。ただし合成ノイズにも「24,000,000,000kmに対応する倍音列」を当てはめたとされており、結果的には“距離の音楽化”として一本化された。
社会的影響と受容[編集]
共通UIに対する“安心の共鳴”[編集]
本曲が採用されたことで、複数タイトルで共通のメニュー遷移が統一され、プレイヤーの体感速度が改善したとするユーザー報告が集まった[15]。特に、配信者のは「クリックの“間”が長距離感で整う」と表現し、SNS上で“安心の共鳴”として引用されることが多かった[16]。
また、共通部門という性格上、楽曲が単体でヒットするよりも“UIの品質”として語られる傾向が強まったとされる[17]。結果として、ゲーム音楽の評価軸が、旋律の印象から“操作体験の設計”へ寄っていったという分析がある[18]。
この流れは、UIサウンド設計の企業内研修にも波及し、が「距離換算の説明テンプレート」を教材化したと報告された[19]。ただし、テンプレートが過度に数値志向である点が指摘され、後述の論争につながる。
二次創作と“24B系統”[編集]
タイトルに含まれるが象徴性を持ったため、短縮表記の「24B系統」で二次創作が広がったとされる[20]。たとえば、MIDI譜の解析コミュニティでは「24Bの小節は必ず第3拍が“遅れて届く”ように鳴らす」といった解釈が流行し、楽曲のどこを基準にしているかは統一されなかった[21]。
その一方で、技術的な再現性が高かったことも拡散の理由とされる。作曲者の公開資料に“周波数帯の目安”が記載されていたため、完全コピーではなくても同系統の質感が作れたと報じられた[22]。
また、共通部門採用曲であるため、二次創作にも著作権上の注意喚起が増えた。運営側は「BGMそのものの差し替え配布」ではなく、「UI遷移用の短尺効果音としての利用」を推奨したとされる[23]。この方針が、ファンの創作活動を“短く、距離に似せる”方向へ誘導したと見る向きもある。
批判と論争[編集]
本曲には、技術の説明が“数式として強すぎる”という批判が存在した[24]。一部の音響評論家は、位相補正を売りにするあまり、楽曲としての情緒が後景化したと指摘したとされる[24]。その論点は、UI品質が上がったとしても、プレイヤーに“距離の意味”が伝わる前に説明が尽きるのではないか、という形で論じられた。
また、という距離の根拠については、当初から疑義が出ていた。ファン掲示板では、距離換算ログがどのような基準で作られたのか不明であり、少なくとも同ログの“0.00000034%”達成が再現できないという声があった[25]。
さらに、提出ファイル名の問題が再燃した。監査報告によれば、ファイル名に含まれるコードが社内のテスト用途と一致していたため、誤送信の可能性を完全には否定できないとして、運営は「記録の整合性確認」を実施したとされる[26]。この確認が、結果的に“採用が技術審査寄りだった”という印象を強めたと論じられている。なお、これらの疑義に対し制作側は「音は嘘をつかない」とだけ回答したとされ、かえって受け止め方を割ったと記録される[27]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 古澤倫太郎「【Voyager ─24,000,000,000km─】の距離換算と位相補正」『ゲーム内音響学会誌』第12巻第3号, 2022, pp. 41-58.
- ^ 第九航行サウンド室「共通部門採用曲におけるUI連動設計」『インタラクティブサウンド研究』Vol. 7 No. 1, 2021, pp. 12-29.
- ^ 穂積カナリア「審査資料の監査運用(距離ログ事例)」『音響制作監査年報』第5巻, 2022, pp. 77-90.
- ^ K. Minato「Phase-coherent UX in shared-menu music」『Journal of Game Audio』Vol. 4 Issue 2, 2023, pp. 101-118.
- ^ 舞坂ユウト「配信視聴者による“安心の共鳴”評価の定性分析」『デジタルコミュニケーション研究』第19巻第4号, 2022, pp. 203-219.
- ^ 山名和葉「24B系統MIDI考察:二次創作の再現性」『作曲工学レビュー』第3巻第2号, 2023, pp. 9-26.
- ^ StrayCubic実装委員会「StrayCubic 2 共通UIサウンド運用ガイド」『実装技術白書』2021年版, pp. 145-162.
- ^ M. Ellison「Distance-as-parameter: an unofficial taxonomy for game UI audio」『Proceedings of the Sonic Interfaces Conference』Vol. 9, 2020, pp. 55-73.
- ^ 編集部「公募採用の裏側:なぜ“説明”が勝つのか」『月刊サウンドプロデュース』第28号, 2022, pp. 30-39.
- ^ (一部誤植)北杜学「Voyager—2400000000kmの誤差再考」『ゲーム音楽論集』第2巻第1号, 2021, pp. 1-8.
外部リンク
- StrayCubic 2 公式採用アーカイブ
- 第九航行サウンド室 研究ノート
- 距離換算ログ 解説掲示板(非公式)
- 24B系統MIDI倉庫
- ゲーム内音響学会 シンポジウム資料