Waiting For Harbingers
| 名前 | Waiting For Harbingers |
|---|---|
| 画像 | Waiting_for_Harbingers_2023.jpg |
| 画像説明 | 2023年の公演にて |
| 画像サイズ | 280px |
| 画像補正 | yes |
| 背景色 | #1d2330 |
| 別名 | WFH |
| 出生名 | Waiting For Harbingers |
| 出身地 | 日本・地区 |
| ジャンル | ポストロック、実験音響、マーチ風インディー |
| 職業 | バンド、作曲家集団 |
| 担当楽器 | ボーカル、ギター、ベース、ドラム、テープループ、鐘 |
| 活動期間 | 2014年 - |
| レーベル | Glass Harbor Records |
| 事務所 | North Gate Atelier |
| 共同作業者 | 片倉ニナ、森脇ユージ、The Lantern Bureau |
| メンバー | 如月レイ、相沢ユウ、志村メグ、白石トオル |
| 旧メンバー | なし |
| 公式サイト | glassharbor.example/wfh |
Waiting For Harbingers(ウェイティング・フォー・ハービンジャーズ)は、の4人組バンドである。所属事務所は。レコード会社は。2014年に結成、2019年にメジャーデビュー。略称および愛称は「WFH」。公式ファンクラブは「予兆待機室」である。
概要[編集]
Waiting For Harbingersは、を拠点に活動するの4人組バンドである。2010年代中頃にの小劇場と倉庫ライブの往来から生まれ、鐘の音と遅延エフェクトを核にした「予兆待ち」的な演奏様式で知られる。
楽曲は静寂の長い持続から突発的な合唱へ移行する構成を特徴とし、観客が曲名より先に会場の非常灯の挙動を覚えることで知られている。2019年のメジャーデビュー以後は週間ランキングで上位を記録し、深夜帯のドラマや地方自治体の防災啓発映像に起用されたことで、都市伝説めいた知名度を獲得した[1]。
メンバー[編集]
現在のメンバーは4名で、いずれも本名を半分だけ伏せる独特のクレジット表記を用いている。これは初期のチラシ印刷時に、旧字体がうまく出なかったことがきっかけとされる。
* 如月レイ - ボーカル、ギター。話し始める前に必ずメトロノームアプリを閉じる癖があり、ライブではその所作が「合図」とみなされている。 * 相沢ユウ - ギター、コーラス。渋谷区の中古機材店で購入した1968年製のディレイを愛用し、1曲で最大17回まで音を遅らせるという。 * 志村メグ - ベース、シンセサイザー。譜面の余白に天気図を書くことで知られ、ツアー中の気圧変化をベースラインに反映させる。 * 白石トオル - ドラム、鐘、パーカッション。小型の寺院用ベルを4種類持ち替え、終演後に客席の拍手を拍数ごとに記録する。
また、サポートメンバーとして(クラリネット)や(フルート)が参加することがある。なお、2017年の冬季公演では、機材トラブルにより照明係が急遽シェイカーを担当し、結果として「準メンバー扱い」になったという逸話が残る[2]。
バンド名の由来[編集]
バンド名は英語の「harbinger(前兆、兆し)」に由来するとされるが、結成当初は、台風接近時にだけ開店する喫茶店の看板文句から着想を得たという説もある。メンバーは「何かが起こるのを待つ」という受動的な緊張感を音楽の中心概念に据え、そこからWaiting For Harbingersという語感が採用された。
一方で、地元のインディーズ誌『月刊ノイズ地図』によれば、当初の候補名は「The Waiting Signals」「予兆保留会」などであったが、いずれも語呂が重すぎるとして退けられたという。2015年頃にはファンの間で略称WFHが定着したが、の略と衝突したため、公式サイトではしばらく「W4H」と表記された時期がある。
来歴[編集]
結成[編集]
2014年夏、如月レイと相沢ユウがのライブハウス「Subterraneum K-13」で即興セッションを行ったのが始まりとされる。その夜、停電復旧のチャイム音をそのまま曲の導入部に転用したところ、客席の数名が避難放送と勘違いして退場し、残った観客だけが「新しい音楽」として受け止めたという。
その後、志村メグと白石トオルが加入し、4人編成が確立した。初期は週1回、の防音倉庫でリハーサルを行い、録音はすべてMDとカセットテープに二重保存されていた。2014年末には自主制作EP『Harbor Before Dawn』を50枚限定で頒布し、手書き歌詞カードの誤字が多すぎて逆に収集対象になったといわれる。
インディーズ時代[編集]
2015年から2018年にかけては、首都圏の小規模会場を中心に活動した。特にの月例企画『灯台のない夜』では、1曲目が終わるまで客席の照明を半分しか点けない演出が話題となり、以後「半灯ライブ」と呼ばれる様式を広めた。
2016年には自主盤『Anchors Without Ships』が局所的に評判となり、新宿店のインディーズ棚で、ジャンル不明のまま3か月連続で売上トップを記録した。2017年のツアーでは、猛吹雪のため機材車が遅延し、代わりに地元の除雪車の警笛をサンプリングした音源が後半に組み込まれた。これが後の代表曲「Snowline Anthems」の原型である。
メジャーデビュー以降[編集]
2019年、Glass Harbor Recordsからシングル『Signal at Zero』でメジャーデビューした。ミュージックビデオはの廃観測所で撮影され、望遠鏡が一度も星を捉えないまま終わる演出が「不穏なのにやけに美しい」と評価された。
同年の1stアルバム『The Hours Before Arrival』は週間7位を記録し、累計売上は約8.4万枚とされる。2021年には全国ホールツアー『Minor Omens』を実施し、公演では地震速報が誤って映像演出に組み込まれた結果、観客の3割が「仕様」と判断して着席を続けたという。2023年には配信限定曲「Red Flag, Blue Dusk」がストリーミング再生数1,200万回を突破した。
2024年以降[編集]
2024年には活動10周年を記念したコンセプト盤『Until the First Bell』を発表し、同作に合わせて港湾地区で無料の夜明け前ライブを開催した。開始時刻が午前4時44分に設定されていたため、観客が最も多かったのは終演後の始発待ちであった。
2025年にはの音楽特番に出演したが、番組側のテロップが「ハービンジャーズ到来待ち」と誤表記され、それがかえってバンドの神秘性を高めたとされる。なお、活動休止と解散の噂は数年おきに流れるが、メンバーは「まだ前兆が来ていない」として否定している。
音楽性[編集]
音楽性は、を基盤に、、の要素を混在させたものとされる。とりわけ、拍の頭を意図的に遅らせる「後発ビート」と呼ばれる手法が特徴で、聴取者に常に半拍分の予感を与える。
また、曲中で鐘や警報音を使用するため、初見では災害放送と誤解されやすい。だが、本人たちはこれを「都市の神経反射を音楽化したもの」と説明している。レコーディングでは内の防音施設に加え、の旧給水塔やの廃倉庫が使われることがあり、空間そのものの残響を作曲要素として扱う点に独自性がある。
人物[編集]
バンド全体としては、過度に大げさな肩書を好まない一方で、機材の型番や録音環境には異様なこだわりを示すことで知られる。インタビューでは曲の意味を問われると、しばしば「意味は待機中である」と答える。
如月レイは作詞を担当し、都市封鎖、始発電車、非常口などの語を、恋愛感情と同じ高さで並置する傾向がある。相沢ユウは編曲面の主導権を握り、サビ直前で6秒間無音を入れることで客席の咳払いまで構成要素に変える。志村メグは対外的な広報を引き受けることが多く、SNSでは自作の気圧グラフを投稿している。白石トオルは全員の移動経路を記録しており、ツアー終了後に「都市ごとの沈黙率」をまとめた手書きノートを出すのが恒例である。
評価[編集]
評論家からは「日本の深夜帯に最も似合うバンドの一つ」と評されることが多い。特に『The Hours Before Arrival』以降は、風の文脈で「静けさの設計図が精密である」と紹介され、系の文化面では「災害時代の感情表現」として論じられた。
一方で、ライブ演出が過剰に儀式的であるとして敬遠する層も存在する。2018年頃には、終演後に観客が一列で出口に向かう導線が厳格すぎるとSNSで話題になり、「音楽より避難訓練が印象に残る」との投稿が拡散した。だがこの現象が逆に新規ファンの流入を招き、社会現象とまではいかないまでも、国民的深夜帯バンドと称されることもある。
受賞歴[編集]
* 2019年 - 最優秀音響設計賞 * 2020年 - 特別推薦盤 * 2021年 - ライブ演出賞 * 2023年 - 夜景と同期する音楽部門
なお、2022年には「最もエレベーターに適さないバンド」として、某商業施設の年末企画で表彰されたが、これは正式な音楽賞ではないとされている。
ディスコグラフィ[編集]
シングル[編集]
1. Signal at Zero(2019年) 2. Red Flag, Blue Dusk(2023年) 3. Lanterns in Reverse(2024年)
いずれも、発売直後よりラジオDJが曲名を読み上げにくいとして話題になった。特に『Lanterns in Reverse』は、裏ジャケットに印刷された方位記号がすべて逆向きで、店舗スタッフが検品時に首をかしげた逸話がある。
アルバム[編集]
1. Harbor Before Dawn(2014年、EP) 2. Anchors Without Ships(2016年) 3. The Hours Before Arrival(2019年) 4. Minor Omens(2021年) 5. Until the First Bell(2024年)
2作目までは自主流通であったが、3作目以降はGlass Harbor Recordsからの正式流通となった。『Minor Omens』は初回盤のブックレットに「緊急時のための歌詞読み上げ順」が記載されていたことで、一部の図書館でも保存対象になった。
映像作品[編集]
1. Live at Subterraneum K-13(2017年) 2. The Bell Does Not Ring Yet(2020年) 3. WFH at Yokohama Quay(2024年)
特に『The Bell Does Not Ring Yet』は、映像の大半が暗転と煙で占められているにもかかわらず、レビューで「情報量が多い」と書かれた珍しい作品である。
ストリーミング認定[編集]
2024年時点で、公式集計によれば主要配信サービス合算の月間リスナー数は約220万人である。代表曲「Signal at Zero」は累計5,800万回再生、「Red Flag, Blue Dusk」は1,200万回再生を突破したとされる。
ただし、再生数の多くは深夜の作業用再生と防災訓練用プレイリストに含まれていたことによるもので、純粋なファン層だけで説明するのは難しいと指摘されている。なお、配信プラットフォーム側の自動分類では、ある期間「環境音楽」扱いになっていた。
タイアップ一覧[編集]
・Signal at Zero - 系深夜ドラマ『消えない信号』主題歌 ・Red Flag, Blue Dusk - 防災啓発キャンペーン音源 ・Minor Omens - 特集『都市の静寂』挿入曲 ・Lanterns in Reverse - 住宅設備メーカーCMソング
とくに『Red Flag, Blue Dusk』は、自治体広報との相性が良すぎたため、祭りの行列誘導にも流用されたことがある。バンド側は「用途が広がるのは歓迎である」としつつ、踏切の案内放送との同時使用だけは避けてほしいとコメントした。
ライブ・コンサートツアー[編集]
代表的なツアーとして、『Minor Omens Tour』(2021年)、『Until the First Bell Hall Tour』(2024年)、『Nightly Signals』(2025年)がある。会場選定には「最寄り駅から徒歩12分以上」「非常灯が赤くない」「搬入口が一つ以上」の条件があるとされる。
2023年の公演では、アンコール前に客電が戻らない事故があったが、バンドはそのままアコースティックセットを開始し、結果として最も評判の高い回となった。ライブ終盤には白石トオルが会場全体の拍手を拍数で区切るため、観客は毎回、拍手の途中で一度だけ自分の手元を見つめる習慣を学ぶという。
出演[編集]
テレビ[編集]
『バズリズム02』風の深夜音楽番組、『Venue 101』風の特番、『NHK SONGS』風の年末企画などに出演した。いずれも、照明が暗すぎてメンバーの顔より譜面台が先に認識される構図が定番であった。
ラジオ[編集]
系の特番『Late Harbor Session』、地方局の深夜番組『予兆のある時間』などにゲスト出演している。相沢ユウが機材のノブの回し方を5分語り続けた回は、リスナーから「情報番組として成立している」と評された。
映画・CM[編集]
映画では、短編『帰港前夜』(2022年)の劇伴を担当したほか、住宅設備、コーヒー、非常食のCMに楽曲を提供した。とりわけ非常食のCMでは、サビ直前に缶詰を開ける音が挿入され、商品より演奏のほうが印象に残ると話題になった。
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
いまのところ出場歴はない。ただし、2025年に一部スポーツ紙が「白組最有力」と報じた際、バンド側は「前兆が届いていない」とコメントした。ファンの間では、紅白出場より先にNHKの天気予報で流れる可能性が高いと冗談めかして語られている。
脚注[編集]
[1] ただし、2019年以前の記録は自主流通資料に依拠する部分が多い。 [2] 当日の照明係は後に正式にサポートメンバー扱いとなったが、契約書の肩書欄は空欄のままであった。
参考文献[編集]
1. 片倉ニナ『都市の前兆音楽論』Glass Harbor Press, 2020. 2. 森脇ユージ『遅延と合唱の実践』North Gate Atelier出版部, 2021. 3. 佐伯真理子『ポストロックの夜明け前』音響文化研究社, 2019, pp. 88-113. 4. Jonathan Pierce, "Waiting for the Signal: Japanese Post-Rock in the 2010s," Journal of Urban Sound Studies, Vol. 7, No. 2, 2022, pp. 41-66. 5. 橘田修一『防災放送と音楽のあいだ』東都書房, 2023. 6. Emily R. Hart, "Reverse Lanterns and Other Stage Myths," Comparative Performance Review, Vol. 12, No. 1, 2024, pp. 9-28. 7. 新井ひかる『倉庫ライブの民俗誌』ミッドナイト出版, 2018. 8. H. Caldwell, "The Bell Does Not Ring Yet: Aesthetic Delay in Contemporary Bands," Sound & Society Quarterly, Vol. 19, No. 4, 2021, pp. 201-219. 9. 『月刊ノイズ地図』編集部『高円寺半灯文化年鑑』ノイズ地図社, 2017. 10. 田辺紀子『客電が消えない夜に』河岸文庫, 2024.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
Glass Harbor Records 公式アーティストページ WFH 公式ファンクラブ「予兆待機室」 North Gate Atelier 公式プロフィール The Lantern Bureau 公演アーカイブ 都市前兆音研究所 アーカイブ
脚注
- ^ 片倉ニナ『都市の前兆音楽論』Glass Harbor Press, 2020.
- ^ 森脇ユージ『遅延と合唱の実践』North Gate Atelier出版部, 2021.
- ^ 佐伯真理子『ポストロックの夜明け前』音響文化研究社, 2019, pp. 88-113.
- ^ Jonathan Pierce, "Waiting for the Signal: Japanese Post-Rock in the 2010s," Journal of Urban Sound Studies, Vol. 7, No. 2, 2022, pp. 41-66.
- ^ 橘田修一『防災放送と音楽のあいだ』東都書房, 2023.
- ^ Emily R. Hart, "Reverse Lanterns and Other Stage Myths," Comparative Performance Review, Vol. 12, No. 1, 2024, pp. 9-28.
- ^ 新井ひかる『倉庫ライブの民俗誌』ミッドナイト出版, 2018.
- ^ H. Caldwell, "The Bell Does Not Ring Yet: Aesthetic Delay in Contemporary Bands," Sound & Society Quarterly, Vol. 19, No. 4, 2021, pp. 201-219.
- ^ 『月刊ノイズ地図』編集部『高円寺半灯文化年鑑』ノイズ地図社, 2017.
- ^ 田辺紀子『客電が消えない夜に』河岸文庫, 2024.
外部リンク
- Glass Harbor Records 公式アーティストページ
- WFH 公式ファンクラブ「予兆待機室」
- North Gate Atelier 公式プロフィール
- The Lantern Bureau 公演アーカイブ
- 都市前兆音研究所 アーカイブ