⊂(◉_◉⊂ )
| 表記 | ⊂(◉_◉⊂ ) |
|---|---|
| 読み | ネオバタ君 |
| 分類 | 記号言語(ネット方言) |
| 使用媒体 | 掲示板・チャット・短文掲示板 |
| 関連する口癖 | 「嘘はよくない」「こんにちばたございます」等 |
| 普及時期 | 2000年代後半に分化し定着 |
| 語用論的特徴 | 自己抑制・無視忌避を同時に示すとされる |
⊂(◉_◉⊂ )(ネオバタ君)は、主にインターネットの掲示板や短文コミュニケーションで用いられる、感情と行動を同時に示す記号的表現である。独特の口癖を伴うことが多く、特に「嘘はよくない」「こんにちばたございます」といった挨拶定型と結び付けて語られることがある[1]。
概要[編集]
⊂(◉_◉⊂ )は、「感情(はぁ…はぁ…)」「行動(バタバタ)」「態度(嘘はよくない/無視はよくない)」を、丸括弧と記号の配置で同時に伝えるものとして説明される。特に顔を思わせる◉_◉の部分が、話し手の“目線”を固定すると解され、受け手に対して反応速度を要求する効果があるとする説がある[2]。
この表現は単なる装飾ではなく、一定の定型句と結び付いて運用される点が特徴である。たとえば口癖として「ギリギリまで寝てバタバタじゃん」「今時チンとは言わないらしいよ」「おいしー」などが挙げられ、さらに挨拶として「こんにちばたございます」がセットで現れることが知られている[3]。なお、これらは記号の“発話規則”として成立しているとされる。
一方で、成立過程には複数の系統があるとされ、記号の形(左側の⊂の数や空白の位置)ごとに意味が異なるという指摘もある。とりわけ「 」の空白が運用上の“息継ぎ”に相当するとされ、一定間隔で入力すると誤読率が下がると主張される研究がある[4]。ただし、その研究は当時の投稿ログを恣意的に選んだ疑いがあるとも指摘されている。
語源と成り立ち[編集]
「ネオバタ君」命名の由来[編集]
⊂(◉_◉⊂ )が「ネオバタ君」と呼ばれるようになったのは、2008年頃に流行した“自己修正型アスキー漫談”が影響したとする見方がある。漫画評論家の市縁ルカ(いちえん るか)が、書評欄で「◉_◉は見張り、⊂は身を縮める。これが寝不足のバタバタを内包している」と評し、その直後に「嘘はよくない」の定型句を添える投稿が増えたと記録されている[5]。
市縁はまた、口癖の運用を「睡眠逸脱の矯正儀式」と比喩したとされる。そのため表現全体が“寝坊と反省を同時に行う人格”として定着し、以後「ネオバタ君」という当て字が採用されたと推定される[6]。もっとも、当時の編集会議記録は残っておらず、推定の域を出ないとされる。
記号形状の“物理的”解釈[編集]
形状解釈としては、⊂が「退避姿勢」、◉_◉が「両目の同時監視」、( )の空白が「ため息の長さ」を示す、とする説がある。たとえば東京の[架空]が2009年に提出した内部報告では、空白を含まない投稿と含む投稿で反応率が約異なるとされ、理由は“ため息が文章の速度を調整する”ためだと結論づけられている[7]。
もっとも、この数値は同庁が扱った投稿母集団がわずかに限定されており、統計としては脆弱であるとの批判が出た。にもかかわらず、当時のチャット利用者の体感に合致したため、概ね“もっともらしい”として受け入れられたという経緯がある[8]。
なお、◉_◉の“_”を「沈黙(無視)を禁止する線」とみなす運用もあり、「無視はよくない」という口癖がセットで流通したとされる。ただしこの解釈は後年になって付与された可能性が高いとする指摘もある[9]。
歴史[編集]
掲示板から“儀礼”へ[編集]
⊂(◉_◉⊂ )は当初、感情の誇張表現として投下されていたとされる。2010年前後には、短文投稿のスレッドが増殖しすぎたことへの対策として、掲示板運営が「返信のない放置(いわゆる無視)」を抑制する“促進定型”を導入した、という筋書きが語られた[10]。
その促進定型の一つとして、この記号が「反応を促す目」と「退避姿勢」を同時に持つため、会話のテンポを整えるのに向いていると説明されたという[11]。同時期に「嘘はよくない」「無視はよくない」がセットで投稿される例が増え、やがて単なる注意喚起ではなく“儀礼”として扱われるようになったと推定される。
また、料理写真や報告文に合わせて「おいしー」が添えられることもあり、記号が“味覚の許可証”のように振る舞った時期があったとされる。実際、のデータ共有コミュニティでは、2012年の月間投稿のうちが「⊂(◉_◉⊂ )+おいしー」で構成されていたという(ただし出典は当該コミュニティの掲示板ログである)[12]。
規格化の試みと破綻[編集]
2013年、(通称:総風研)は、記号言語の“誤読”を減らす目的で、⊂(◉_◉⊂ )の入力規約を提案したとされる。規約案には、(1) 空白の数は最大、(2) “はぁ…”の省略は最大回、(3) 「こんにちばたございます」は投稿冒頭でのみ使用、など細かい条件が書かれていた[13]。
ところが、細則に適応できないユーザーが続出し、逆に「ギリギリまで寝てバタバタじゃん」派と「嘘はよくない」派で分裂した。結果として規格は採用されず、代わりに“口癖ごとの方言差”が増幅したとされる[14]。
さらに悪いことに、規約案の草稿が内の勉強会資料として流出し、一部の人々が「今時チンとは言わないらしいよ」を“禁止句”として乱用した。これにより当該勉強会は一時的に炎上し、参加者の離脱が約発生したという記録が残る(ただし離脱の定義が曖昧である)[15]。
社会的影響[編集]
⊂(◉_◉⊂ )は、単に表現として広まっただけでなく、「嘘」「無視」「誤読」といったコミュニケーション上の問題を、記号と定型句によって“扱いやすい形”にしたとされる。特に「嘘はよくない」という口癖は、投稿者の誠実性を確認する儀文のように働き、以後の会話の検証文化に影響したという主張がある[16]。
また「ギリギリまで寝てバタバタじゃん」「はぁ…はぁ…はぁ……はぁ〜」といった息切れ表現は、攻撃的な言葉を“喘ぎ声”として吸収し、対立を直接語らずに済ませる技法として語られた。結果として、の学生掲示板では学期末のトラブル投稿が減り、代わりに“ため息ログ”が増えたとする報告もある[17]。
一方で、記号が“気持ちの免罪符”として機能するようになったとの批判もある。すなわち、⊂(◉_◉⊂ )を添えれば謝罪や撤回が誠実に聞こえるという期待が生まれ、現実の責任転嫁を覆い隠す恐れが指摘された[18]。ただし、こうした効果の有無については測定方法が統一されておらず、結論は出ていないとされる。
批判と論争[編集]
批判としてまず挙げられるのは、「定型句が多く、文脈を要求するため、読み手の負担が増える」という点である。特に「こんにちばたございます」が毎回導入されると、挨拶が形式化して会話の本題に到達しにくくなると不満が出たとされる[19]。
次に、誤読によるトラブルが多発したという指摘がある。たとえば◉_◉の“_”を沈黙禁止と解釈する人と、単に位置調整と解釈する人で意図が食い違い、「無視はよくない」と言われた側が“自分が無視された”と受け取ってしまう事例が報告された[20]。
さらに、の前述の反応率研究は、対象投稿の時間帯が偏っていた可能性があるとして再検証が求められた。再検証班は「反応率の差はではなくである」と主張したが、使用ログの公開がなく真偽は不明である[21]。この不透明さが、記号文化への信頼を揺るがせたとされる。
なお、最大の論点は“嘘はよくない”が、いつの間にか「嘘をついているかどうかの判定ゲーム」に変質したことである。判定の際に⊂(◉_◉⊂ )の揺れ(空白や括弧の欠落)が証拠として扱われ、最終的に「その人は嘘の入力規則に違反した」という主張が起きたという(ただしこの種の議論はしばしば脱線する)[22]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 山辺カンナ『記号言語の現場:掲示板規範の生成と揺らぎ』暁明書房, 2014.
- ^ 市縁ルカ『ネオバタ君の詩学的運用』季桜社, 2011.
- ^ データ言語観測庁『空白と反応率:⊂(◉_◉⊂ )の息継ぎ効果』内部報告書, 2009.
- ^ 総務風インフォテック研究所『短文儀礼の入力規約案(第1草案)』Vol.3, pp.12-34, 2013.
- ^ 佐伯ミナト『“無視はよくない”の統語機能分析』情報学評論, 第58巻第2号, pp.201-219, 2016.
- ^ Dr. エリオット・グレン『Punctuated Sincerity in Forum Speech』Journal of Digital Semiotics, Vol.9 No.4, pp.77-96, 2018.
- ^ Marta Kiyohara『Bata-Speed and Apology Templates: A Comparative Study』Proceedings of the Informal Linguistics Conference, pp.33-41, 2012.
- ^ 北浜ユズ『ため息と攻撃性:はぁ…はぁ…の緩衝効果』通信行動研究, 第21巻第1号, pp.55-68, 2015.
- ^ O’Reilly J.『Humor Metrics for Symbolic Speech』O’Reilly Press, 2019.
- ^ “⊂(◉_◉⊂ )専門”編集部『記号辞典(改訂版)』新月館, 2020.
外部リンク
- NeoBata君観測台
- 定型句アーカイブ倉庫
- 掲示板規範研究ノート
- ため息ログ可視化プロジェクト
- 記号言語手引き(非公式)