いるかのコンプレックス
| コンビ名 | いるかのコンプレックス |
|---|---|
| 画像 | ブクブク泡の背景を用いた宣材写真(架空) |
| キャプション | 舞台上で“イルカ式相槌”を発動する芸風が定番とされる |
| メンバー | ボケ担当:潮目(うしおめ)/ツッコミ担当:音響(おんきょう) |
| 結成年 | 2009年 |
| 解散年 | 活動継続(とされる) |
| 事務所 | クラゲ工房 |
| 活動時期 | 2009年 - 現在 |
| 芸種 | 漫才・コント |
| 受賞歴 | M-1グランプリ準優勝(2012年)など |
いるかのコンプレックス(英: Orca Complex)は、所属のお笑いコンビ。[[2009年]]10月結成。[[M-1グランプリ]]2009年ファイナリスト、2012年準優勝とされる[1]。
概要[編集]
いるかのコンプレックスは、奇妙に理屈っぽい「海洋心理学」風のツッコミと、やたら具体的な手順書ネタで知られるお笑いコンビである。コンビ名の由来はイルカの鳴き声を分析する民間研究者が残したとされる“錯聴メモ”にあるとされるが[2]、同名の学術的概念として語られることもある。
デビュー当初から、彼らの漫才は「感情のコンプレックス」ではなく「観測のコンプレックス」を扱うとされ、ラジオでは再現実験のような口調で笑いを組み立てた。なおこの口調は、のちに東京進出した際、の小劇場運営会社が導入した“観客参加型計測”の影響だと説明されることがある[3]。
メンバー[編集]
ボケ担当の潮目(うしおめ)は、黒板に円弧図を描きながら話すことが多く、つねに「観測条件」を先に提示する。年齢に関しては公表が揺れており、公開インタビューでは「22歳のときから同じ水温で暮らしている」などと述べたとされる。
ツッコミ担当の音響(おんきょう)は、効果音を言語化する癖があり、相手の間違いを“波形の違い”で指摘する。彼は出身で、方言を“濁点だけ残す”形で改造していると評され、舞台ではしばしば「濁点は例外だ」と言い切る。
来歴[編集]
出会いと結成[編集]
2人の出会いは[[2008年]]、の廃倉庫跡で行われた即席ライブとされる。主催のは、当時「音の嘘を数値で暴く企画」を掲げており、潮目が“イルカのコンプレックス”と称する台本を持ち込み、音響がそれに対して「定義が先」というツッコミを即興で返したのがきっかけだったとされる[4]。
コンビ名の“いるか”は、当時のバイト先である水族館支援会社が用いていたプロトコル名が由来とされるが、実際には台本中に出てくる架空の観察装置に由来するとする説もある。後者の説を支持する編集者は「引用の痕跡が台本の余白にある」と述べたとされる[5]。
東京進出[編集]
2011年3月、彼らは劇場営業担当の推薦での小ホールに出演し、観客からの“波形拍手”がSNSで話題になった。記録によれば、初日の拍手のピーク間隔は「9.3秒」「12.7秒」「9.3秒」で再現されたとされ、なぜか翌週も同じ値が出たため、オカルト扱いと同時に“テンポの工学”として注目された[6]。
ただしこの数値は、当時のスタッフが手元の音声解析アプリを誤設定して得たものだったという裏話もあり、ファンの間では「嘘が測定に勝った瞬間」として語り継がれる。
芸風[編集]
いるかのコンプレックスの芸風は、漫才ではなく“説明芸”として整理されることが多い。潮目が「観測の前提条件」を読み上げ、音響が「その前提は成立しない」と波形・周波数・遅延の比喩で否定する構造が核である。
コントでは、内の架空の市民団体が出す“海の相談票”を題材に、相談者の悩みを“計測できる単位”へ無理やり変換する。たとえば「寂しさ」→「推定水温差 1.8℃」と換算し、その差が埋まらない理由を“観客の笑い不足”として責める演出が定番だったとされる[7]。
なお、彼らは「いるかのコンプレックス」を“自己理解の問題”ではなく“測定装置の迷い”と語ることがある。ここは好みが分かれる部分であり、視聴者からは“説教に聞こえる”との指摘もある一方、業界側では「数学の皮を被った情熱」と評価されることもあった[8]。
エピソード[編集]
2012年に行われた[[M-1グランプリ]]の敗者復活戦では、彼らのネタ『返答の遅延(ディレイ)』が途中で“録音停止”扱いになったとされる。音響は慌てて「いま私たちの声が波形から消えたのではなく、観客が拍手の粒度を変えたのです」と説明し、潮目が「つまりコンプレックスはあなたの掌にあります」と締めたという[9]。
別の有名な小話として、単独ライブ『第三観測室の約束』では、会場の空調ログを“ネタの伏線”にした。開演前、空調担当が「設定温度 24.0℃、湿度 41%」と報告したところ、終演後に“41%が奇数であること”を指摘された。音響はそれを「観客の心が偶数の回避を選んだ」と言い、潮目が「では我々は偶数側で笑いを作る」と即興修正したとされる[10]。
このように、彼らは事実を語るより先に“事実っぽさの手順”を組む傾向があると指摘され、結果として「これマジ?…いや嘘じゃん!」という反応を誘発しやすい構造になっている。
出囃子・受賞歴・出演[編集]
出囃子は『サルベージ・オーバーチュア』と呼ばれ、鐘の音に近い効果音が3回入る。彼らは音を作る際、1回目を「希望」、2回目を「疑い」、3回目を「納得」に割り当てると説明しており、リハーサルではタイミングをミリ秒単位で合わせたとされる[11]。
受賞歴としては[[M-1グランプリ]]2012年の準優勝が中心に語られるが、実際の評価はネタ構成と“説明の密度”に起因するとされる。ファイナリストに選ばれた2010年には、審査員の一人が「言葉の海底で息をしている」と評したとも伝わっている。
出演面では、地上波では系の『週末・潮の報告書』(2013年〜2015年)でコーナー化された。ほか、ラジオでは『波形の相談室』で、リスナーからの悩みを“測定単位”に変換して笑いにした。舞台では『第四観測室にようこそ』が2020年に複数回上演されたとされる。
単独ライブ・作品・書籍[編集]
単独ライブは、タイトルに観測番号を付ける形式が多い。代表作として『第一観測室の笑い』『第二観測室の推定』『第三観測室の約束』『第四観測室にようこそ』『空調ログで泣けるか』などが挙げられる。
作品(CD/DVD)としては『いるかのコンプレックス傑作選・遅延版』(2014年)とされるほか、『手順書ネタ集:海の定義を更新せよ』(2018年)が販売されたとされる。書籍では、潮目名義で『観測条件の整え方(ただし訂正は入る)』が刊行され、音響名義で『濁点は例外(波形でツッコむ技術)』が続いたとされる。
なお、これらの書籍の一部には“本当にその数字が必要か”を疑わせる設計があるとされ、編集者の一人は「要旨が統計に見えるようで、統計ではない」と評したとされる[12]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 潮目『観測条件の整え方(ただし訂正は入る)』クラゲ工房出版, 2016.
- ^ 音響『濁点は例外(波形でツッコむ技術)』クラゲ工房出版, 2017.
- ^ 山下カナ『笑いの遅延:即興説明の数理』海辺大学出版局, 2013.
- ^ Dr. Margaret A. Thornton, “Audience Waveform Clapping and Comedy Timing,” Journal of Applied Laughter, Vol.12 No.4, pp.101-119, 2011.
- ^ 佐伯由美『民間計測と芸人の言葉遣い』新宿学術書房, 2014.
- ^ 海辺の文庫社編『第三観測室の約束:上演記録(簡易版)』海辺の文庫社, 2019.
- ^ 吉祥寺小劇場運営協会『空調ログ活用マニュアル』吉祥寺文化振興財団, 2018.
- ^ 笠間航『M-1準優勝の構造:説明の密度指標』東京芸能研究叢書, 第3巻第2号, pp.55-73, 2015.
- ^ 藤堂リョウ『NSCにおける誤設定講義』NSC東京校出版, 2012.
- ^ (出典不整合の指摘がある)『いるかのコンプレックス事典』架空学芸出版社, 2020.
外部リンク
- クラゲ工房 公式アーカイブ
- いるかのコンプレックス 出演履歴データベース
- 波形の相談室(番組ページ)
- 第一観測室ファンサイト
- 空調ログで泣けるか(特設ページ)