『くにちょぎ』
| タイトル | 『くにちょぎ』 |
|---|---|
| 画像 | KuniChogi_Logo.png |
| 画像サイズ | 300px |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(冒険・探索寄り) |
| 対応機種 | ニワタネクス |
| 開発元 | 潮縫計器製作所 |
| 発売元 | 潮縫計器製作所(配信版は潮縫倉庫流通) |
| プロデューサー | 矢霧 錨太(やぎり いかりた) |
| ディレクター | 成田 針梓(なりた はりあず) |
| 音楽 | 佐留間 音羽(さるま おとは) |
『くにちょぎ』(英: Kuni-Chogi、略称: KC)は、[[2021年]][[9月17日]]に[[日本]]の[[潮縫計器製作所]]から発売された[[ニワタネクス]]用[[コンピュータRPG]]。[[くにちょぎ世界継承譚]]の第1作目である[1]。
概要[編集]
『くにちょぎ』は、プレイヤーが「継承者」として各地に散らばった「国帳(くにちょう)」を読み解き、世界の“境目”を再設計していくロールプレイングゲームである[1]。
本作は、通常のダンジョン周回だけではなく、街・港・古道それぞれで異なる「記述の癖」を集めることが進行条件とされており、「戦闘の前に、まず“文章”が敵になる」点が特徴として知られている[2]。キャッチコピーは「境目を綴れ。世界がほどける」[3]。
なお、タイトルの「くにちょぎ」は、当時の業界紙では「国帳(くにちょう)を“ちょぎ”返す」と説明されたが、同社の公式資料では「発音しやすさを優先した造語」とのみされ、由来の詳細は伏せられた[4]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
システム[編集]
プレイヤーは主人公「継承者」として操作し、会話・採集・儀式・戦闘を同一の進行ログに書き込みながら行動する。行動ごとに「文量ゲージ(ぶんりょう)」が増減し、一定量に達すると“段落”として世界に反映される仕様とされる[5]。
戦闘では、HPよりも「欄外(らんがい)耐性」が重要であるとされている。欄外耐性は、敵の攻撃が「説明不足」扱いになることで上昇し、逆にプレイヤーが同じ説明を繰り返すと低下する。結果として、攻略は最短ルートだけでなく、説明の“読み直し”も求められたとされる[6]。
また、落ちものパズルのようなミニゲームが戦闘前後に挟まれる。「国帳断片(こくちょうだんぺん)」を3×3の枠に配置すると、魔法詠唱が短縮される仕組みが採用され、プレイヤーの学習傾向(同じ配置を繰り返す癖)まで補正されるとされた[7]。
戦闘・アイテム[編集]
戦闘はターン制でありつつ、入力タイミングによって「括弧(かっこ)の閉じ方」が変化し、攻撃属性が微妙に変わる。例えば括弧を“強く閉じる”と刺突系、ゆっくり閉じると呪縛系に寄ると説明された[8]。
アイテムは「紙」「糸」「朱墨」などの筆記系が中心である。なかでも「朱墨藩札(しゅぼくはんさつ)」は、戦闘中に使用すると敵の名前が一時的に短縮され、挙動が単純化する。開発側は『辞書より強い武器がある』という趣旨で設計したとされる[9]。
対戦モードは“国帳競争”と呼ばれ、相手より多く“正しい余白”を確保した者が勝利するルールだった。具体的には、余白に書き込める情報量が限界まで一致すると、相手の段落が「誤読」判定になり、行動が遅延する仕様が入ったとされる[10]。
オンライン対応・オフラインモード[編集]
オンライン対応は発売当初から実装され、各プレイヤーの「段落履歴」が匿名化された形で共有される。共有データは“地図の霧”を晴らすのに用いられ、誰かが過去に読んだ段落の“癖”が、同じ場所の謎に影響を与える仕組みとされる[11]。
一方、オフラインモードでは段落履歴が読み込まれない代わりに、プレイヤー自身が「国帳学習所(こくちょうがくしゅうじょ)」で癖を学習し直す必要があった。これにより、オンライン初見勢とオフライン初見勢で難易度が異なるとされた[12]。
ストーリー[編集]
物語は、東海に面した架空の港町から始まる。港では、古い検疫記録が紙から滲み出すように現れ、村人がそれを“正しい歴史”として崇めはじめたとされる[13]。
主人公である継承者は、国帳断片を集めることで“境目”を再設計する役目を負う。境目が再設計されるたび、地形だけでなく、言葉の意味の範囲が更新され、同じ道でも別の名前で呼ばれるようになっていく[14]。
終盤では、最も危険な敵として「読み手の確信(どくしゃのかくしん)」が登場する。確信は攻撃に見えるが、実際には味方の説明を短絡させる存在であり、プレイヤーは“疑いの括弧”を正しく閉じ続けることが必要になると描写された[15]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主要人物として、継承者の師「成霧院(なるきりいん)サリマ」が挙げられる。サリマは、筆記具の扱いだけに異様に厳しく、朱墨藩札を渡す際には毎回“8文字の誓い”を求める。開発インタビューでは「誓いは実利より儀礼」と説明された[16]。
仲間には港の検疫員「潮路 文留(しおじ もりとめ)」がいる。文留はで集めた検疫記録を武器化する役割を担い、敵の欄外を埋めるために、あえて“余計な注釈”を足す戦い方を提案する人物として知られる[17]。
敵役として「帳尻(ちょうじり)長官」がおり、長官は世界の境目を“整える”と称しながら、プレイヤーの段落履歴を改竄する。なお、帳尻長官の出自は複数説があり、編集者の間では「実在の官庁資料に着想を得た」などの推測が出たとされる[18]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の中心概念は「国帳(くにちょう)」である。国帳は土地の境目を“文章として保持する媒体”として設定されており、紙の厚みやインクの粘度がそのまま魔法の安定性に直結すると説明された[19]。
次に「境目(さかいめ)」は、地理と倫理の両方を同時に分ける存在とされる。境目は物理的な壁として見えない場合があり、その代わり、会話の言い回しや括弧の癖により、突然“見える”ようになるとされた[20]。
さらに「段落(だんらく)」は、ゲームの進行と世界の状態変化を結ぶ単位である。段落は長ければ強いわけではなく、「過不足がない余白」が最適とされ、プレイヤーの文章生成傾向が敵の“誤読”を誘発する仕組みがあると推定された[21]。
開発/制作[編集]
開発はの少人数チームによって行われたとされる。プロデューサーの矢霧 錨太は、当初コンセプトを「戦闘より、読み直しで勝つRPG」として提出し、社内審査で“どこにも戦闘画面がない”状態から始まったと述べた[22]。
制作経緯として、2019年に開発された試作モジュール「段落合成器(だんらくごうせいき)」が基盤になったと報じられている。同モジュールは、入力された文章量をゲーム変数に変換するもので、社内では一度だけ“国帳の再現”が成功したが、再現条件がブラックボックスだったという[23]。
スタッフ面では、ディレクターの成田 針梓がUIと文章の同期を担当し、設計書のほぼ全ページに括弧の注釈が書き込まれていたと伝えられる。なお、公式のクレジットでは「言語演出監修」としての翻訳部が記載され、外部協力に言及がある[24]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは佐留間 音羽によって作曲され、テーマは「余白のリズム」と説明された。音羽は、メロディを足すのではなく、同じ拍の間隔を微妙にずらして“誤読を起こす”ことを狙ったとされる[25]。
主要曲には「朱墨の回帰」「境目ラグ」「括弧の終音(しゅうおん)」「帳尻の速記」などがある。特に「帳尻の速記」は、1小節に8音だけを配置する制約で作られたとされ、作曲当時のメモが公式サイトに掲載されたと報じられた[26]。
さらに、オンライン共有によって“段落の癖”が変化すると、BGMのリバーブが自動調整される仕様があるとされ、プレイヤー間では「泣ける敵の読み方がある」と話題になった[27]。
他機種版/移植版[編集]
発売当初の対応機種はのみであったが、翌年には携帯端末向けの「くにちょぎ:ポケット段落(だんらく)」が発売されたとされる[28]。
移植版では、括弧入力がタップジェスチャーに置換され、さらに“段落ゲージ”の閾値が変更された。具体的には、初期設定の段落ゲージ上限が512から384へ引き下げられ、プレイテンポが速くなったと説明された[29]。
一方、オフライン重視の調整も入れられ、ローカルデータによって余白の最適値が変化する仕組みが追加された。これにより、据え置き版からの乗り換えユーザが混乱したとも報じられている[30]。
評価(売上)[編集]
販売面では、初週で「約132,400本」、発売後3か月で「全世界累計210万本」を突破したとされる[31]。また、国内では「ニワタネクス用のRPGとしては当時最速の50万本到達」と報じられ、ミリオンセラーを記録した[32]。
評価としては、雑誌のクロスレビューでゴールド殿堂入りとなり、得点の内訳が「戦闘 9点」「文章演出 10点」「理不尽 8点」と偏っていた点が話題になったとされる[33]。
ただし、評価の一部には批判もあり、文章演出に依存しすぎて“読み能力”が実力差になるのではないかという懸念が出た。これに対し開発側は「文量ゲージはゲーム内で救済される」と回答したとされる[34]。
関連作品[編集]
関連作品として、テレビアニメ『境目ノート〜くにちょぎ物語〜』が挙げられる。物語はゲームより先行して「潮浜編」を脚色し、国帳が滲む場面を映画的に描いたとされる[35]。
また、公式小説『国帳の縫い目(こくちょうのぬいめ)』では、継承者の師である成霧院サリマの若年期が描かれている。こちらは“括弧の練習”をテーマに、全10章で構成されたとされる[36]。
ほかにも、ゲームブック『朱墨藩札の選択肢』が発売され、章末に「括弧の強度」を選ばせる方式が採用された。なお、この仕様は後にゲーム本編のチュートリアルにも逆輸入されたとされる[37]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本『くにちょぎ 完全国帳読み解き図鑑』は発売から2週間で累計6.3万部を記録したとされる[38]。本書では、敵の“誤読誘発フレーズ”が表形式で整理されており、ページの端に「欄外耐性早見表」があるのが特徴とされた。
同じく、学習目的をうたう書籍として『段落ゲージ心理学入門』が出版された。著者は元翻訳部の顧問である“天草 書練(あまくさ しょれん)”とされる[39]。ただし、内容の大半はゲーム内の用語を一般化したものだと指摘する声もあった。
さらに、オーディオ系の関連商品としてサウンドノベル『境目ラグ(別音源版)』があり、同じ曲でも“余白のリバーブ”が異なる複数収録が行われたとされる[40]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
脚注
- ^ 潮縫計器製作所『くにちょぎ公式資料集(初版)』潮縫倉庫流通, 2021.
- ^ 矢霧 錨太『「読み直し」で勝つRPG設計論』潮縫出版社, 2022.
- ^ 成田 針梓『括弧入力と欄外耐性の相関(社内報告書)』第3巻第2号, 2020.
- ^ 佐留間 音羽『余白のリズム:Kuni-Chogi作曲メモ』Lumen Press, 2021.
- ^ 天草 書練『段落ゲージ心理学入門』第1版, 明鏡文庫, 2022.
- ^ 片波 迅『境目ラグと演出同期』『インタラクティブ文芸研究』Vol.14 No.3, 情報文芸学会, 2021 pp.77-93.
- ^ Margaret A. Thornton『Playable Syntax and Game State』『Journal of Interactive Narratives』Vol.9 Issue1, University of Alder, 2022 pp.101-118.
- ^ ソルヴァン・エルコ『The Bracket Economy in RPGs』『Proceedings of the Soft-Structured Games Conference』第5巻第1号, Northwind Academic, 2023 pp.1-12.
- ^ 編集部『ファミ通クロスレビュー:くにちょぎ検証』『ファミ通』2021年10月号, 角盤出版社, 2021 pp.34-41.
- ^ 西風 文庫『国帳の縫い目(創作資料としての史料性)』中央綴研究所, 2020.
外部リンク
- KuniChogi公式段落アーカイブ
- 潮縫計器製作所 朱墨研究室
- 境目ラグ 試聴ホール
- くにちょぎ 余白計測器(コミュニティ)
- ニワタネクス ソフトウェア互換情報局