ゆゆうたハンフリー
| タイトル | ゆゆうたハンフリー |
|---|---|
| 画像 | YuyutaHumphrey_boxart.png |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | 北辰ソフトウェア研究所版パッケージ |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドリームマシン64、ネオリッジ携帯機DX、白磁タブレット |
| 開発元 | 北辰ソフトウェア研究所 |
| 発売元 | 星雲インタラクティブ |
| プロデューサー | 榊原 恒一 |
| ディレクター | 相良 みなみ |
| デザイナー | 工藤 迅 |
| プログラマー | 木村 透・磯崎 玲 |
| 音楽 | 寺島 ユキト |
| シリーズ | ハンフリー連作 |
| 発売日 | 2003年11月7日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 全世界累計182万本 |
| その他 | 通称は「ゆハン」 |
『』(英: Yuyuta Humphrey)は、にのから発売された用である。の第1作目として知られる[1]。
概要・概説[編集]
『』は、が制作したで、プレイヤーは調律師にして掃討員である「ユウタ・ハンフリー」を操作し、音波に侵食された都市を再周波化していく内容である。作中では的な要素と、弦楽器型の兵装を用いる風の戦闘が同居しており、当時の雑誌では「旋律で撃つロールプレイングゲーム」と誤記されたこともある[2]。
本作は、もともと向けに試作された教育用音感ソフトが原型であったとされるが、開発中に「音を撃つと景色が変わる」という仕様が独り歩きし、最終的にはシリーズ化された。キャッチコピーは「音程は、世界を変える」であり、発売当初は小規模な企画として開始されたものの、後に182万本を突破する意外なとなった[3]。
ゲーム内容・ゲームシステム[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、画面中央に表示される「共鳴盤」を旋回させ、敵の出す音弾を拍子に合わせて撃ち返す方式が採用されている。プレイヤーはコンボをつなぐことで時の共鳴係数を上昇させ、一定値に達すると「合唱爆裂」と呼ばれる範囲攻撃が発動する。なお、この発想はのにあった試遊会で、試作機の音量調整を誤ったことから偶然生まれたとされる[4]。
また、通常のシューティング面とは別に、短い節ごとに旋律を揃える「拍節路」パートが存在する。ここでは落下してくる符号を3拍子以内に処理しなければならず、成功すると装備が一時的に変質する。発売後に公開された解析資料では、実際にはこの拍節路が最も処理負荷の高い領域であったと記されているが、当時の広報は「子ども向けの発声訓練にも使える」と強く主張していた[5]。
戦闘・アイテム[編集]
戦闘では、主人公が装備する「弦銃」「笛刃」「和音盾」の3系統が基本となる。弦銃は遠距離向けで、長押しによって音階が上昇し、敵を貫通する高調波を放つ。笛刃は近接武器で、敵の装甲を削る際に「息継ぎ」のタイミングが重要とされ、上級者ほど1分間に42回の入力を行う傾向があったという。
アイテムには「休符缶」「調号ゼリー」「逆拍トニック」などがあり、特に逆拍トニックは使用直後に操作系が左右反転するため、レビューでは賛否が分かれた。公式攻略本ではこれを「親切な混乱」と説明しているが、実際には開発チームのデバッグ用コマンドが削除しきれなかった名残であるとの説が有力である[6]。
対戦モード・オフラインモード[編集]
対戦モードでは、最大4人で「和声戦」を行い、他プレイヤーの旋律を奪って自陣のスピーカー塔へ蓄積する。特に版では、深夜帯に特定の周波数を入力すると、見知らぬ相手と3秒だけ協力状態になる現象が報告され、掲示板では「幽霊セッション」と呼ばれた。
オフラインモードには、CPUが妙に手強い「再演」設定が存在する。これは当初、ストレステスト用に作られたAIをそのまま残した結果であり、発売から2週間後のアップデートでようやく難度が微調整された。なお、初回出荷版のみ対戦終了時に効果音が逆再生される不具合があり、コレクターの間では逆に高値で取引されたとされる。
ストーリー[編集]
物語は、沿岸に浮かぶ都市国家「リズム湾」が、正体不明の雑音災害「ノイズ潮」に侵される場面から始まる。主人公のは、失踪した父の遺した調律鍵を手に、都市の各区画に散らばった封印譜を回収する任務を命じられる。
中盤では、都市の地下に築かれた巨大演奏炉「第七オルガン」が、実は市政そのものを制御していたことが判明する。ユウタは仲間のカナメ・リーフ、測量士のソフィア・ヴァンデル、そして半壊した伴奏機械「M-19ハミング」と共に、炉心に蓄積した沈黙を解放するが、そのたびに街区の重力がわずかにズレる。ここでの「わずか」が約3.8メートルに相当したという報告があり、要出典とされている[7]。
終盤、ユウタは自分の姓「ハンフリー」が実は肩書きであり、代々の調律官に与えられる対ノイズ称号にすぎないことを知る。最後は海面から昇る巨大な指揮棒状の装置を撃墜し、街の静寂を取り戻すが、エンディング後に1拍遅れで街全体が一度だけ合唱するため、完全な解決ではないと解釈されている。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
ユウタ・ハンフリーは、本作の主人公であり、規律に厳しいが音程だけは外しやすい青年として描かれる。設定資料によれば、彼の口癖「まだ半音足りない」は、もともとテストプレイ時のデバッグ警告文であったものを脚本家が採用したものである。
仲間[編集]
カナメ・リーフは、戦闘中に拍子を数えることしかできない記憶障害を抱えた案内役である。ソフィア・ヴァンデルは出身の音響工学者とされ、終盤で共鳴盤の設計者だったことが明かされる。M-19ハミングは会話不能の補助機械であるが、実際には起動音が毎回異なり、ファンの間では「感情表現が豊か」と評された。
敵[編集]
敵勢力は「無拍市警団」と呼ばれ、都市の秩序維持を名目にあらゆる旋律を検閲する組織である。特に局長グラン・ノートは、1秒間に11回まばたきする演出で知られ、当時のプレイヤーからは「やたら怖いのに妙に教育番組っぽい」と評された。
用語・世界観[編集]
作中世界では、音は単なる現象ではなく、都市の法制度や交通網をも駆動する「可燃資源」とされる。各地区には周波数税が存在し、住民は毎月、使用した和音の量に応じての出先機関へ申告する仕組みになっている。
また、「再周波化」は本作独自の技術で、破損した建築物や会話の歯切れを回復させるとされる。設定資料集では、これが実験段階で内の電車案内放送に応用され、停車駅が全部ハ長調で流れたという逸話が掲載されているが、信憑性は不明である。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
開発は秋、の第2企画室で始まった。もとは向けの学習ソフト『ことばの波紋』の延長であったが、試作段階で音声認識が暴走し、画面上の単語が敵キャラクターに変化したことから本企画が立ち上がったとされる。
スタッフ[編集]
プロデューサーのは、当初この作品を「売れないが記録には残るゲーム」と位置づけていたという。ディレクターのは、本作の難度曲線を「楽譜の破れ方に似せた」と説明しており、プログラマーのとは、敵弾の挙動をオクターブ単位で制御する独自エンジン『HUM-4』を構築した。なお、スタッフロールには実在しない肩書きとして「沈黙監修」が記載されていた。
音楽[編集]
音楽はが担当し、30曲以上の楽曲が全編MIDIと実音サンプルの中間のような手法で制作された。とくに「夜明けの休符線」は、発売前の展示会で来場者の足取りを半分だけ止めたとされ、社内では「もっとも売上に寄与した1ループ」と呼ばれている。
サウンドトラックは後に『Yuyuta Humphrey Refrain Works』として限定2,400枚で発売され、序盤3曲だけが妙に長く、終盤の隠しトラックは無音が12分続く構成で物議を醸した。なお、無音部分の波形にだけ隠しメッセージがあるとする説が掲示板で流行したが、解析者の多くは「ただの編集ミス」と見ている。
他機種版・移植版[編集]
2005年にはネオリッジ携帯機DX版が発売され、画面が小さい代わりに拍節入力が簡略化された。これにより初心者の評価は上がったが、一方で高難度面の一部が削除され、旧作派からは「音の角が丸くなった」と批判された。
2008年には白磁タブレット向けに再構成版が配信され、タッチ操作で共鳴盤を回す仕様が追加された。さらに2011年、版に相当する「星雲アーカイブ版」が配信され、当時の説明文では「シリーズ一作目にあたる決定版」と案内されたが、実際には4回目の再梱包であった。
評価[編集]
発売当初の販売本数は控えめであったが、口コミによりじわじわと伸び、最終的に全世界累計を突破した。特に関連の周辺企画で「音の扱いが異様に丁寧」と評され、2004年度の準優秀賞相当を獲得したとされる。
売上面では、初週4.7万本という数字が後に「失敗作の顔をした長寿シリーズ」として再評価されるきっかけとなった。海外では名称の「Humphrey」が発音しづらい地域で「Yuyu H.」と略され、そこから派生したファンアートが中南米で増加したという報告がある。
関連作品[編集]
続編に『』、『』、『』がある。いずれも末期から後継機のにかけて展開され、本編の「音で撃つ」設計を拡張した作品群として扱われている。
また、外伝として『ハンフリー調律学院』『ユウタと7つの休符』が出版形式で配布されたほか、移植版の予約特典としてミニゲーム『拍手で目を覚ませ』が同梱された。なお、同ミニゲームは実際にはボタンを押すだけであるが、宣伝では「実際の拍手が必要」と記載されていた。
関連商品[編集]
攻略本としては、星雲出版から『完全解析 ゆゆうたハンフリーの和音学』が刊行され、全256ページのうち83ページが敵の鳴き声に割かれていた。書籍版『設定資料集 休符の向こう側』では、没キャラクターが17体掲載されたが、そのうち4体は本文中で存在を否定されている。
その他の商品には、共鳴盤を模したUSBハブ、無拍市警団の制服風パーカー、逆拍トニック味のラムネなどがある。特にUSBハブは、差し込むたびに異なる効果音が鳴る仕様だったため、オフィスでは「午前中の会議だけ異様にうるさい」と不評であった。
脚注[編集]
星雲インタラクティブ広報部『2003年秋季ラインナップ資料』未公刊社内文書。 週刊ゲーム波動編集部「新作レビュー:旋律の射撃が都市を変える」『週刊ゲーム波動』第18巻第44号, pp. 12-15. 石上 玲子「周波数資本主義と家庭用ゲームの相互浸透」『現代娯楽研究』Vol. 9, No. 2, pp. 41-63. 相良 みなみ『試遊会ログブック 1999-2002』北辰ソフトウェア研究所内部資料. 北辰ソフトウェア研究所 技術報告書『拍節路における負荷分散最適化』第3巻第1号, pp. 5-9. 榊原 恒一「逆拍トニックの倫理」『ゲーム設計評論』Vol. 4, pp. 88-91. リズム湾都市復興局『地下演奏炉周辺の地盤変位記録』2004年版.
参考文献[編集]
・寺島 ユキト『Yuyuta Humphrey Refrain Works liner notes』星雲アーカイブ, 2004年. ・前田 英明『家庭用ゲームにおける音響操作の変遷』白磁書房, 2009年. ・Margaret L. Wren, “Subharmonic Cityscapes in Early 2000s Console Shooters”, Journal of Ludic Studies, Vol. 12, No. 3, pp. 201-228. ・工藤 迅『共鳴盤設計覚書』北辰ソフトウェア研究所資料室, 2002年. ・Samuel P. Kettering, “The Humphrey Effect and Cooperative Loudness”, Interactive Media Review, Vol. 7, No. 1, pp. 14-39. ・杉浦 玲子『音で撃つということ』星雲出版, 2011年. ・N. A. Bell, “A Brief History of the Reverse Beat Item”, Retro Computing Quarterly, Vol. 5, No. 4, pp. 77-80. ・『完全解析 ゆゆうたハンフリーの和音学』星雲出版, 2004年. ・久遠 司『ゲームと沈黙の社会学』北辰人文選書, 2015年. ・「Yuyuta Humphrey and the Politics of Rest」『International Journal of Fictional Games』第2巻第2号, pp. 1-19.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
星雲アーカイブ作品ページ 北辰ソフトウェア研究所資料室 ゆゆうたハンフリー攻略掲示板 共鳴盤研究会 リズム湾市立博物館デジタル展示
脚注
- ^ 星雲インタラクティブ広報部『2003年秋季ラインナップ資料』未公刊社内文書.
- ^ 週刊ゲーム波動編集部「新作レビュー:旋律の射撃が都市を変える」『週刊ゲーム波動』第18巻第44号, pp. 12-15.
- ^ 石上 玲子「周波数資本主義と家庭用ゲームの相互浸透」『現代娯楽研究』Vol. 9, No. 2, pp. 41-63.
- ^ 相良 みなみ『試遊会ログブック 1999-2002』北辰ソフトウェア研究所内部資料.
- ^ 北辰ソフトウェア研究所 技術報告書『拍節路における負荷分散最適化』第3巻第1号, pp. 5-9.
- ^ 榊原 恒一「逆拍トニックの倫理」『ゲーム設計評論』Vol. 4, pp. 88-91.
- ^ リズム湾都市復興局『地下演奏炉周辺の地盤変位記録』2004年版.
- ^ Margaret L. Wren, “Subharmonic Cityscapes in Early 2000s Console Shooters”, Journal of Ludic Studies, Vol. 12, No. 3, pp. 201-228.
- ^ Samuel P. Kettering, “The Humphrey Effect and Cooperative Loudness”, Interactive Media Review, Vol. 7, No. 1, pp. 14-39.
- ^ N. A. Bell, “A Brief History of the Reverse Beat Item”, Retro Computing Quarterly, Vol. 5, No. 4, pp. 77-80.
外部リンク
- 星雲アーカイブ
- 北辰ソフトウェア研究所資料室
- リズム湾市立博物館
- 共鳴盤研究会
- ゆゆうたハンフリー攻略掲示板