アンチ・アンダー・ザ・シー
| コンビ名 | アンチ・アンダー・ザ・シー |
|---|---|
| 画像 | |
| キャプション | 第7回深海寄席にて |
| メンバー | 霧島シンゴ・潮崎レン |
| 結成年 | 2011年 |
| 解散年 | 活動中 |
| 事務所 | 深海演芸社 |
| 活動時期 | 2011年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 両者 |
| 出身 | 東京都・神奈川県 |
| 出会い | 都立海洋科学高校の演劇部 |
| 旧コンビ名 | 海底二等兵 |
| 別名 | アンアンダ |
| 同期 | 潮騒ドーナツ、沈没注意報 |
| 影響 | 海洋科学博覧会の若年層来場増に寄与 |
| 現在の代表番組 | 週末深海ラジオ |
| 過去の代表番組 | ザ・反潮流 |
| 現在の活動状況 | ライブ、配信、地方営業 |
| 受賞歴 | 深海コント大賞2018 最優秀反則賞 |
| 公式サイト | 深海演芸社 公式プロフィール |
アンチ・アンダー・ザ・シーは、架空の芸能事務所「」所属の。2011年結成。いわゆる“海中あるある”を逆手に取ったで知られる[1]。
メンバー[編集]
霧島シンゴ(きりしま シンゴ、1987年4月12日 - )は、担当。ネタ作成では情景描写を重視する一方、深海語を日常会話に持ち込む癖があり、相方からは「会話のたびに水圧が上がる男」と呼ばれている[2]。
潮崎レン(しおざき レン、1988年9月3日 - )は、担当。小道具の自作に長け、初期にはペットボトルと台所用スポンジだけで“沈没するゴンドラ”を再現したことで知られる。なお、本人は「海のことを知れば知るほど陸が疑わしくなる」と発言しており、ファンの間では名言として扱われている。
2人はともに立の演劇部出身で、当初は別々の芝居班に所属していたが、文化祭の『海底校舎崩落事件』を題材にした即興劇で共演したことを契機に意気投合したとされる[3]。
来歴[編集]
結成から初期[編集]
2011年、2人はの小劇場「」で行われた若手コント養成講座の第3期を同時受講し、講師だった海洋評論家のにより“アンチ・アンダー・ザ・シー”の仮称を与えられた。これは、海を賛美する演目が多かった当時の小劇場シーンに対し、「水面下にいる者の視点を忘れるべきではない」という白川の持論から命名されたものである。
結成当初はを名乗っていたが、同名の水族館PRバンドと混同されたため、2012年春に改称した。改称直後の初単独ミニライブでは客席に設置した加湿器が暴走し、会場が薄霧に包まれたまま上演が続行されたという。
東京進出[編集]
2014年、活動拠点をからに移した。以後、の地下ライブハウス群を中心に出演を重ね、海洋保全キャンペーンの寸劇にも呼ばれるようになった。特にの区民ホールで上演された『サメの気持ちを考える会』は、観客アンケートの満足度が92.4%に達したとされる[4]。
2016年には深海演芸社の冠番組『ザ・反潮流』でレギュラー化し、ライブ芸人としては珍しく自治体の環境学習資料にコントの一部が採用された。これがきっかけで、一時期は“教育に強い芸人”として紹介されることも多かった。
芸風[編集]
芸種はとの双方にまたがるが、いずれも「海中の常識を地上の理屈で裁く」という構造を持つ。たとえば霧島が「今は水深12メートルです」と真顔で断言し、潮崎が「じゃあ納税は潮の満ち引きで決まるのか」と返すなど、論理の入口だけを整えて最後に全てを沈める手法が特徴とされる[5]。
また、ネタ作成は両者が担当するが、霧島が脚本、潮崎が効果音と小道具を主に受け持つ。潮崎は毎回異なる“泡立ち”を研究しており、2020年には市販の入浴剤17種を比較した結果をネタに組み込んだことで話題となった。これは笑いよりも危険物管理の面で注目されたともいわれる。
彼らのコントはしばしばのオフィス街、近海、あるいは実在しない「深海都庁」などを舞台にする。こうした設定は、海の神秘性と役所的な無機質さを同居させるための工夫とされる。
エピソード[編集]
2018年の『深海コント大賞』では、2人が発表した『クラゲの住民票』が審査員特別賞の候補となり、最終的に「文書の湿り具合が異常」として反則扱いに近い評価を受けた。だが、同年秋にの一般公開イベントで披露した『台風より先に謝る男』が評判を呼び、以後は地方自治体の危機管理講習で“注意喚起の補助演目”として重宝されるようになった。
2021年には、収録前の雑談で霧島が「深海は静かだが、下ネタはもっと静かであるべきだ」と発言し、SNS上で妙に引用された。潮崎はこれを受けて、以後のライブで必ず1本は“静かな下ネタ”を入れるようにしたという。ただし、観客の半数は意味を取り違えていた。
また、2人はの企画展に協力した際、展示解説文の語尾をすべて「である」に統一するよう提案し、学芸員から「Wikipediaみたいで助かる」と感謝されたという逸話が残る。
出囃子[編集]
出囃子は、架空の海底民謡をアレンジした『潮騒の逆流(インストゥルメンタル版)』である。イントロ冒頭のホイッスル音は、霧島が幼少期に使っていた登山用笛をサンプリングしたものとされ、潮崎の執念によって一音ずつ補正された[6]。
ライブでは、曲が流れると同時に客席後方の赤いライトが一斉に点灯し、舞台袖からバケツの水音だけが聞こえる演出が定番である。これが“開演前からうっすら不安になる”と評価され、後進のコンビにも模倣例が見られる。
賞レース成績・受賞歴[編集]
2020年に準々決勝進出、2022年に準決勝進出。いずれも本戦進出は果たしていないが、審査員の一部から「笑いの密度が海溝級」と評されたことで、敗退後の評価がむしろ上昇した。
2018年には深海演芸社主催の『第7回深海コント大賞』でを受賞。これは、ネタ中に本物のイカ墨を使ったため、判定会議が30分遅延したことに由来する。ほかに、2019年の、2023年のを受けている。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
レギュラー番組としては『週末深海ラジオ』のテレビ版『週末深海TV』に出演しているほか、過去には系の深夜番組『海の上では言えない』に準レギュラーとして登場した。特に、の年末特番『笑って潜って大晦日』で披露した“潜水艦漫才”は、深夜帯としては異例の再生数18万回を記録した[7]。
ラジオ・配信[編集]
系列の架空番組『Deep Current Station』では月1回のパーソナリティを務め、リスナーから寄せられる“海にまつわる悩み相談”に回答している。なお、実際には海に関係のない相談のほうが多く、番組終盤はほぼ人生相談になっている。
ネット配信では風の配信企画『潮目の向こう側』でMCを担当し、コメント欄に流れる「塩分濃度」の絵文字を拾って即興でネタ化する技術が高く評価された。
映画・舞台[編集]
映画出演は少ないが、2022年公開のインディーズ作品『沈まぬ岸辺』で漁協職員役を演じた。また舞台では、の小劇場で上演された『終わらない防波堤』に参加し、終演後に舞台美術の一部が本当に濡れていたことから、観客の記憶に残ったとされる。
作品[編集]
CD作品としては、2019年発売の『海底で会いましょう』がある。収録されている音源はほぼ漫才と寸劇だが、B面に入っている「水圧のうた」はで地味に人気を集め、教育機関の教材として無断引用されたとされる[8]。
DVD『アンチ・アンダー・ザ・シー単独ライブ集 2012-2021』は、初期の粗いネタから近年の精密な構成までをまとめた編集盤で、特典映像には“泡の量を毎回変える理由”を説明する30分の座談会が収録された。
単独ライブ[編集]
単独ライブは『水面下の反証』(2015年)、『潮位ゼロ』(2017年)、『深海の法則』(2020年)、『酸素は足りている』(2024年)などがある。特に『潮位ゼロ』では、客席の最前列だけに配られた防水パンフレットが好評で、後に一部ファンが自作して持参する文化が生まれた。
2024年の『酸素は足りている』では、会場に実際の海水ではなくの天然水を霧状に散布する演出を導入し、終演後に客席が妙にしっとりした状態になった。この演出は演芸界で賛否を呼んだが、本人たちは「湿度も演出の一部」として譲らなかった。
書籍[編集]
2021年に、霧島と潮崎による対談本『笑いは沈む前に』がより刊行された。海洋生物への敬意と舞台装置の危うさを半々で語る内容で、帯には「読後、あなたの部屋の水位を確認したくなる」と書かれていた。
また、構成作家のがまとめた研究書『アンチ・アンダー・ザ・シー論――反海洋コメディの成立条件』では、彼らのネタが期の浪曲的誇張と現代のSNS短文文化を接続した稀有な例として分析されている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
深海演芸社 公式プロフィール
週末深海ラジオ 公式サイト
深海コント大賞 公式アーカイブ
下水道シアター 公演記録
海洋文化研究会 ニュースレター
脚注
- ^ 白川澄夫『反海洋笑芸の成立と水圧表現』深海書房, 2019, pp. 14-39.
- ^ 松田航平「海底二等兵からアンチ・アンダー・ザ・シーへ」『演芸研究』Vol. 12, No. 3, 2021, pp. 88-104.
- ^ Katherine L. Moore, "Low-Tide Satire and Urban Wetness," Journal of Comic Studies, Vol. 8, No. 2, 2020, pp. 55-73.
- ^ 霧島シンゴ・潮崎レン『笑いは沈む前に』深海書房, 2021.
- ^ 田所みなみ「深海寄席における反則賞の制度史」『日本演芸年報』第5巻第1号, 2019, pp. 21-33.
- ^ Andrew P. Bell, "The Aesthetics of Maritime Failure in Late-2010s Japanese Manzai," The Pacific Review of Performance, Vol. 4, No. 1, 2022, pp. 101-118.
- ^ 白川澄夫「水面下のボケと上陸するツッコミ」『下北沢文化通信』第77号, 2018, pp. 6-12.
- ^ 松岡真理子『ライブ会場の湿度管理と観客反応』海鳴社, 2023, pp. 201-228.
- ^ Hiroshi Tanabe, "Educational Use of Deep-Sea Punchlines," International Journal of Stage Humor, Vol. 11, No. 4, 2024, pp. 9-26.
- ^ 深海演芸社編『アンチ・アンダー・ザ・シー公式年表』深海演芸社出版部, 2024.
- ^ 小林ユキ『海の下で笑う方法――都市コントの新潮流』港北大学出版会, 2022, pp. 77-96.
外部リンク
- 深海演芸社 公式サイト
- 週末深海ラジオ 公式ページ
- 深海コント大賞 アーカイブ
- 下水道シアター 公演ログ
- 海洋文化研究会 データベース