カーストアーティスト -Caste Artist-
| タイトル | カーストアーティスト -Caste Artist- |
|---|---|
| 画像 | CasteArtist_keyart.png |
| 画像サイズ | 280px |
| ジャンル | 階級再配列型コンピュータRPG(通称:絵画交渉RPG) |
| 対応機種 | アーカンドラIV、アーカンドラIV Lite、蒼礁端末(限定配信) |
| 開発元 | 鳶ノ目インタラクティブ |
| 発売元 | 鳶ノ目インタラクティブ(出版部門:鷹眼社) |
| プロデューサー | 眞鍋 朱鷺(まなべ しゅろ) |
| シリーズ | カーストアーティストシリーズ(第1作) |
| 発売日 | 2021年10月14日 |
| その他 | 対象年齢:CERO相当でD(架空)/全世界累計:138万本(初動28日) |
『カーストアーティスト -Caste Artist-』(英: Caste Artist、略称: CA)は、にのから発売された用。通称は「選択で階級が塗り替わる絵画ロールプレイング」であり、を題材にした作品群の中心作とされた[1]。
概要[編集]
『カーストアーティスト -Caste Artist-』は、プレイヤーが「階級付きの画家(カーストアーティスト)」として各地の工房や市場を巡り、絵の具の配合・筆致・署名の順序を「契約」扱いで選択しながら物語を進めるである[1]。
本作は、当初から「階級は固定ではなく、作品の流通によって塗り替えられる」とされ、発売前のティザームービーでは“絵は嘘をつくが、嘘の持ち主は変わる”というキャッチコピーが反響を呼んだとされる[2]。ただし、公式が推奨した“塗り替え方”がプレイヤーの倫理観を試す設計であったことから、教育関係者の一部には懸念も寄せられた[3]。
ゲーム業界では「ロールプレイングゲームの皮をかぶった社会シミュレーション」とも評され、ではゴールド殿堂に相当する扱いを受けたとされる[4]。編集部の一人は「宗教画の署名ルールみたいな手触りが、なぜか階級政治のギミックとして整っていた」と述べたと記録されている[5]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、戦闘や会話が「絵の制作工程」の進行と同期する点が挙げられる。プレイヤーはフィールド上で採取した顔料を、と呼ばれる目盛りに沿って微調整し、その出来栄えが即座にへ反映されるとされた[6]。
戦闘では敵の上に浮かぶ《序列紋章》を、通常攻撃ではなく「上塗り」「下地」「縁取り」という制作コマンドで削ることになる。例えば、低階級の敵には下地を多めに、上位の敵には縁取りの“無駄”を残すと有利になるなど、プレイ感覚が“絵の失敗”に依存するのが奇妙だと評された[7]。
アイテム面では、顔料だけでなく《献上札》《沈黙の朱》《検閲スタンプ》など、署名・証印を模した装備が多数存在する。これらはステータスではなく、交渉イベントの判定式に直接作用する設計だったとされる[8]。
対戦モードでは協力プレイも選べ、オンライン対応の「共同署名ルーム」では、2人のプレイヤーが同じキャンバスに別々の署名順序を刻み、その合算が“第三の階級”を生むと説明された[9]。またオフラインモードでは、署名順序がランダムに変わらない代わりに、プレイヤーが自分の過去の選択を記憶しているかのようにNPCが振る舞う仕掛けが搭載されたとされる[10]。
ストーリー[編集]
物語は、架空都市の“絵画検閲局”が、入港手形とともに芸術家の階級を棚卸ししている状況から始まる。主人公は「無署名の画家」として市場に立つが、署名を求められるたびに階級が変動するため、本人の自覚より先に周囲の態度が書き換わっていくと描写される[11]。
中盤では、主人公が作った“矛盾のある肖像画”が、領主の家系図の空欄を埋める効能を持つことが明かされる。ここでゲームの会話選択は「矛盾を保つ」「矛盾を説明する」「矛盾を偽装する」の3ルートに分岐し、各ルートで登場する敵の《序列紋章》の形状が変化するとされる[12]。
終盤、主人公は《中央展示院》へ招待され、そこに収められた作品群が“階級の歴史そのもの”として管理されている事実に触れる。なお、エンディングは7種類とされるが、そのうち2種類はクリア後に“署名を取り消した場合の世界線”が追加される形式だったとされ、発表当時は攻略サイトの解析が追いつかなかったと語られた[13]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公(プレイヤー)の通称は《朱筆の移住者》である。公式設定では、顔料の配合比率が人格形成に影響するため、主人公が選ぶ“混色率”が行動履歴として蓄積され、NPCの会話文に反映されるとされた[14]。
仲間には、元・展示院検閲員のがいる。彼女は沈黙の朱を扱い、戦闘時には《無音の上塗り》で敵の紋章の読み取りを妨害する。ミラは「階級は紙の上の文字で、文字は消せる」と言うが、同時に消した分だけ別の誰かが濃くなる、と含みを残すと描かれた[15]。
敵役としては、都市連盟の筆頭代理であるが挙げられる。彼は《検閲スタンプ》を武器にし、正しさを押印するほど敵が増える逆説的な仕様が採用されたとされる。なお、ノクスの最後の決戦はBGMが30秒単位で分割され、途中で音が“誤って階級に紐づく”という演出が話題になった[16]。
ほか、工房の老職人、港の流通監査役などが登場し、各人がプレイヤーの署名履歴に応じて敵にも味方にも“見える”よう調整されていたとされる[17]。
用語・世界観/設定[編集]
本作世界では階級を「カースト」と呼び、芸術の署名や証印を通じて増減するとされる。ここでカーストは血統ではなく流通の単位とされ、作品が誰に渡るかが“階級の遺伝”に相当する概念として描写された[18]。
ゲーム上の代表的な用語として、キャンバスの状態を示す、交渉イベントの判定を左右する、そして敵紋章の読み取り難度を示すがある。これらの数値は画面上で直接は表示されないが、採取した鉱石の粒度(例:平均粒径0.43mm)が条件式に入っていると攻略本で説明された[19]。
設定の中核には、架空の歴史文書「」がある。この年代記は、なぜか第3章から第5章までページ欠落があり、欠落部分を埋める絵を作ることが最重要任務とされたとされる[20]。
また、都市の周辺には、同名の倉庫群があり、各庫の鍵穴の形状が異なるため、同じ署名でも“別の人物が作った絵”に見えるよう補正がかかると描写された。プレイヤーが自分の作品が他者のものとして扱われる感覚を味わうための仕様とされる[21]。
開発/制作(制作経緯/スタッフ)[編集]
開発はが担当し、制作経緯は「階級を直接語らず、制作工程を語る」方針だったと社内資料にあるとされる[22]。プロデューサーのは、会話ゲームが“正しさ”で勝負すると感情が固定されるため、制作の“失敗”に救済を入れたかったと述べたと伝えられる[23]。
制作体制では、ディレクターのが「筆致はフレーム、契約はフレーズ」というメタファーで制作メンバーを統一したとされる。プログラマーのは《証印圧》の判定式を、当時のレンダリング負荷を回避するために逆算で作ったと記録されている[24]。
制作期間は当初18か月とされたが、開発終盤に“署名の取り消し世界線”を追加したため、結果的に22か月へ延長されたとされる[25]。その追加により、オンライン協力のルーム同期アルゴリズムが1回だけ大幅改修され、パッチノートでは《分割音源の序列接続》が修正内容として具体的に書かれたとされる[26]。
スタッフの一人は、主人公の混色率が行動の罪悪感に影響するよう調整したと言い、別の編集者は「罪悪感を数値化する発想がまず面白い」と評したとされる[27]。このように、ゲームの“倫理”が制作ドキュメントにまで入り込む珍しい開発だったと整理されている[28]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
音楽は作曲家のが担当し、テーマ曲は「署名の旋律(Signature Melody)」と名付けられた。サウンドトラックは全24曲構成で、ゲーム内の交渉失敗が一定回数に達すると、同じ曲が“階級の高さに応じて転調”すると説明された[29]。
BGMの特徴として、和音の選び方が制作工程の入力と連動する点が挙げられる。例えば、プレイヤーが《縁取り》コマンドを押すと、次の小節の頭でだけ倍音が増えるため、耳で“上塗りが当たった”と分かるよう設計されたとされる[30]。
また、ラスボス戦前の演出では、BGMが30秒で断片化され、プレイヤーの選んだ署名順序に応じて断片が並び替えられる。これにより、同じ勝利でも“誰の階級が勝ったのか”が音で分かるとされた[31]。なお、音楽ディレクターは「音は責任を取れないが、責任っぽさは出せる」と語ったとされる[32]。
他機種版/移植版[編集]
本作は当初で発売されたのち、翌年の2022年3月9日に携帯端末へ移植されたとされる。移植では解像度よりもUIの“署名筆致”を優先し、タッチ操作で筆圧ゲージを再現する仕様が導入されたと説明された[33]。
また、版ではオンライン協力が省略され、オフライン補完として“署名の取り消しを後から見返す劇場モード”が追加された。劇場モードでは、プレイヤーの過去ログが小話のように語られるため、単純なストーリー再生よりも反省会に近い体験になると評された[34]。
他機種展開に関しては、北米向けローカライズで《序列粘度》の数値表記が“粘度”ではなく“濃度(Concentration)”へ翻訳された。しかし一部の攻略サイトでは、誤訳により攻略手順が逆になった期間があったと報告され、結果として“誤りが流行した”珍事があったとされる[35]。
評価(売上)[編集]
発売初週での販売は好調とされ、初動28日で全世界累計138万本を突破したと公式が発表した。さらに、発売後の大型アップデートで《証印圧》のチューニングが行われた結果、レビューが再評価され、メディアのスコアが平均+0.8点改善したと整理される[36]。
日本国内では、の一部店舗で売り場ポスターが“階級を選ぶ”デザインになっていたことが話題になった。これに対し「ゲームが社会の語り方を変えるのでは」という肯定的な声もあった一方、教育現場では“階級の比喩が危うい”という意見が出たとされる[37]。
批評としては、ゲームデザインが会話・戦闘・制作を強制的に束ねている点が評価されつつも、“絵の失敗が攻略の前提”になっているため、プレイヤーによっては受け入れがたいとも指摘されている[38]。ただし、その難解さが配信者の間で「検閲を突破する遊び」に転化し、結果として視聴が伸びたという分析がある[39]。
関連作品[編集]
本作を起点とするメディアミックスとして、テレビアニメが放送されたとされる。アニメではゲームよりも早い段階で《序列粘度》の仕組みが説明され、視聴者が“謎解きの負担”を減らして楽しめるよう調整されたとされる[40]。
漫画版は、沈黙年代記の欠落ページをめぐるサイドストーリーとして連載された。原作スタッフはゲームの制作工程と同様に、章ごとに“署名順序”を入れ替える構成を採用したとされ、読者の解釈のブレを狙ったと語られている[41]。
また、舞台作品では、鍵穴の形状を実物の小道具で再現したとされる。ただし公演記録では、鍵穴の“本数”が当初3本として宣伝されていたものの、実際には5本だったと記されており、関係者の間では“数字が演出を支配する”例として語られた[42]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本として、双葉図鑑編集のが2021年12月23日に刊行された。内容は顔料の粒度や混色率の“安全域”を表にしており、《証印圧》の推奨レンジ(例:0.12〜0.19)まで記載されたとされる[43]。
別冊として、鳶ノ目インタラクティブ出版部のがあり、ゲームの“取り消し世界線”を短時間で体験するための手順が掲載された。なお本書では、オンライン協力が前提ではないとされつつも、実際の周回条件にだけオンラインフラグが混ざっていたと批判された時期があったとされる[44]。
書籍以外では、株式会社によるキャンバスキットが発売され、付属のスタンプで“検閲スタンプ風”の押印を再現できるとして販売された。キットの説明書には“インクの粘度は家庭用で代替可能”と書かれていたが、粘度の定義が曖昧で、購入者の間で白熱した議論が起きたとも伝えられている[45]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 眞鍋 朱鷺「『カーストアーティスト』開発理念—筆致で階級を揺らす」『ゲーム設計叢書』第9巻第2号, 鷹眼社, 2022.
- ^ 榛名 朔也「署名の旋律と転調規則」『サウンド・インタラクション論集』Vol.14 No.3, 東銀出版社, 2022, pp.41-58.
- ^ 相楽 眞鍬「証印圧モデルの実装最適化」『計算表現技術』第31巻第1号, 鳶ノ目出版, 2023, pp.12-27.
- ^ 篠宮 フユキ「分割音源の序列接続—CAパッチの裏側」『実装ジャーナル』Vol.8 Issue2, 砂時計学術出版, 2022, pp.88-103.
- ^ ファミ通編集部「階級再配列型RPG『カーストアーティスト』特集」『ファミ通クロスレビュー』2021年11月号, KAD打音社, 2021, pp.6-19.
- ^ C. Whitaker「Contracts in Creative Games: The Signature Order Mechanic」『Journal of Narrative Systems』Vol.7, Issue4, 2023, pp.201-219.
- ^ M. Thornton「Caste as Interface: Player Ethics in CA」『International Review of Game Studies』Vol.12 No.1, 2024, pp.55-79.
- ^ 鷺倉紙工房「検閲スタンプキットの粘度設計」『クラフト素材工学報告』第5巻第6号, 鷺倉紙工房出版, 2021, pp.9-18.
- ^ 双葉図鑑編集部『カーストアーティスト 公式顔料事典(第1巻)』双葉図鑑, 2021.
- ^ The Lark-Eye Editorial「Manual Shadows: The Theory of Signature Cancellation」『Proceedings of the Unstable Index Conference』pp.77-90, 2022.
- ^ (書名に揺らぎ)『沈黙年代記の余白:完全版(第0章つき)』鷺倉漫画館, 2022.
外部リンク
- 鷹眼社公式ポータル
- 鳶ノ目インタラクティブ開発メモ
- 白鷺港ファンデータベース
- 署名筆致アーカイブ
- 沈黙年代記翻訳板