ステラの星活
| タイトル | ステラの星活 |
|---|---|
| 画像 | Stella_Starcraft_cover.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | パッケージアート |
| ジャンル | コンピュータRPG |
| 対応機種 | ドリフト・キューブ |
| 開発元 | ルミナス・アーク社 第3制作室 |
| 発売元 | ルミナス・アーク社 |
| プロデューサー | 真鍋 恒一 |
| ディレクター | 細川 眞理 |
| 音楽 | 岡野 リリカ |
| シリーズ | ステラ・クロニクル |
| 発売日 | 2004年11月18日 |
| 対象年齢 | 全年齢 |
| 売上本数 | 全世界累計182万本 |
| その他 | オンライン対応、対戦モードあり |
『ステラの星活』(すてらのほしかつ、英: Stella Starcraft、略称: SSK)は、にから発売された用。星の活動記録を旅の進行に組み込んだ「星活システム」の始祖・元祖とされる[1]。
概要[編集]
『ステラの星活』は、を記録する少女の旅を描くである。プレイヤーは星図盤の管理者として、各地で観測される「星の気配」を採集し、夜ごとに変化するの地勢を読み解いて進行する。
本作は、発売当時の向けタイトルとしては珍しく、現実時間の天候とゲーム内の月齢が連動する設計で注目された。もっとも、企画初期には教育ソフトとして扱われていた時期があり、途中から「星を活かす」ことを主軸にしたため、ジャンル表記がやや不安定であると指摘されている[2]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、プレイヤーは「星活度」と呼ばれる内部パラメータを維持しながら探索を進める。星活度はから始まり、街での会話、星屑の採集、宿泊時の窓辺配置などで上下する。一定値を下回ると空に出現する門が閉じ、逆にを超えると敵対NPCの台詞が詩的になる現象が起きる。
また、メニュー画面には「観測」「休眠」「回想」の三系統が用意されており、特に回想はセーブデータの中に「昨日の天気」まで保存する仕様であった。これにより、攻略本では「雨の日に開始したデータは火属性の敵が強い」といった、因果関係があるようなないような説明が堂々と掲載された。
戦闘[編集]
戦闘はに近い擬似リアルタイム方式で、ターン制とアクション入力が半々に混在する。プレイヤーは「星弾」「反照」「露払」の三系統の技を使い分け、敵の弱点を「星座相性表」で見抜く必要がある。
なお、ボス戦のBGMが進行度に応じて半音ずつ上がっていく仕様は当時としては珍しかったが、調律の都合で一部の対戦モードでは曲が最後まで元に戻らないことがあった。そのため版では、戦闘終了後に「耳鳴りの補償として回復薬を1本付与する」独自措置が追加されたとされる[3]。
アイテム[編集]
アイテムは「星糸」「薄明石」「帰路の鈴」など、用途が直感的でないものが多い。とりわけ「星糸」は装備強化素材であると同時に、宿屋で洗濯を頼む際のチップとしても扱えたため、プレイヤーの間では通貨なのか布なのかで長く論争が続いた。
回復アイテムの「月蜜スープ」は、通常はHPを中程度回復するが、満月の夜に使うと会話フラグが1本追加される。これは開発終盤に実装された隠し仕様で、発売後に発見されるまで公式マニュアルには一切記載がなかった。
対戦モード・オフラインモード[編集]
対戦モードでは最大4人までの協力プレイが可能で、各プレイヤーが別々の方角の星を担当する「方位分担戦」が採用された。これにより、実力差よりも方位磁針の置き場所が勝敗を左右するゲームとして知られることになった。
オフラインモードは、通信を切断した状態でのみ進行する「沈黙旅程」と呼ばれる特殊モードである。ここでは町人の台詞が減り、代わりに環境音が異様に詳細になるため、発売当初は「会話を減らしたのではなく、草の音を増やしたゲーム」と評された。
ストーリー[編集]
物語は、の観測塔で育った主人公ステラが、毎年一度だけ崩れる夜空の裂け目を修復するために旅立つところから始まる。彼女は幼少期に「星は使うものではなく、記録して活かすもの」と教えられており、その教えが本作のタイトルにも反映されている。
旅の途中、ステラは、、を巡り、失われた「星歴簿」の断片を集める。最終的には、星を吸い上げて夜を延命していた人工天球「アルカ・ゼノン」と対峙するが、真の黒幕は天球の保守記録を書いていた記録官であったとされる。なお、終盤で選択肢を誤ると、世界を救う代わりに主人公が観測塔の事務局長になる分岐が存在する。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
ステラ・ユーヴァは、本作の主人公であるの観測見習い。黒いリボンと方位盤を常に身につけており、公式設定では「空の調子を読むのが異常にうまい」とされる。イベントでは泣きながら星図を完成させる場面が多く、これが一部のファンから「泣きゲー要素」と呼ばれた。
仲間[編集]
仲間には、計算にしか興味のない会計士見習い、眠ると未来予知をする、そして星図を焼いてしまう癖を持つ料理人がいる。とくにノアは、加入イベントで延々と税率表を読むため離脱候補と思われていたが、最終的には最強の補助役として人気を得た。
敵[編集]
敵勢力は「影の天測局」を名乗るで、星の流れを軍事通信に転用しようと企む。彼らの幹部は全員、名前に天体由来の語を含むという妙な規則を持っており、、、などが登場する。
このうちシリウス局長は、終盤で主人公に敗れた後も「夜空の予算執行は止まらない」とだけ言い残して退場するため、シリーズ随一の迷言として知られている。
用語・世界観[編集]
作中世界では、星は単なる天体ではなく、記録・通貨・交通標識の三役を兼ねる存在として描かれている。各都市は「星活局」と呼ばれる部署により星の出現量を管理しており、住民は月末に余った星を窓辺の壺に返納する義務がある。
また、本作独自の概念として「星活周期」がある。これは24時間ではなくで一巡する社会制度で、当初は学術的な仮説とされたが、ゲーム内では授業、商売、葬儀まですべてこの周期で進行するため、プレイヤーからは「生活感があるのに非常に不便」と評された。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作の発端は、にの展示会で行われた社内発表「夜を売るRPG」の企画会議にあるとされる。プロデューサーのは、当初は収集ゲームとして立ち上げたが、途中で天文観測協力団体との共同研究が入ったため、星の動きがやたらと正確な作品へと変化した。
企画書には「プレイヤーは毎晩、星を活かす理由を探す」と記されていたが、これは後に社内コピーライターのが書いたフレーズで、発売後もしばらくキャッチコピーは「夜はまだ、使い道がある。」で統一されていた。
スタッフ[編集]
ディレクターは、メインシナリオは、戦闘設計は、音楽はが担当した。とりわけ岡野は、効果音を実地で録るためにの観測所に3週間滞在し、風鈴と金属片を組み合わせた「星鳴り音」を収録したことで知られる。
なお、スタッフロールの最後には「星の機嫌を見守った各地の気象係」の項目があり、ここには実名ではなく観測所番号だけが延々と流れる。これは制作陣が「人名が多すぎると夜の空気が薄まる」と判断したためとされる。
音楽[編集]
サウンドトラックは、静かなピアノ曲と奇妙に金属的な民族楽器風サウンドを基調としている。主題歌「Stella, Keep the Night」は、発売時にはゲーム内でしか聴けなかったが、の限定盤CD『星活音源集』で初めて完全版が公開された。
特に人気が高いのは「第4観測区の雨」と「帰還しない方位磁針」で、後者は通常BGMでありながら4拍子と5拍子が同時進行する。これにより、音楽雑誌では「耳で歩くRPG」と評され、のちに音楽部門の候補作に挙がったという記録がある[4]。
他機種版・移植版[編集]
には向けに『ステラの星活 逆光版』が発売され、タッチ操作に合わせて星図の回転が簡略化された。続いてにはに移植され、移植版では通信機能を用いた「夜間交換日記」機能が追加された。
さらにには、保存状態の良い初期版ROMを基にしたが配信され、いわゆる作品として扱われた。もっとも、配信版では星活度が高すぎると画面端に小さな流星群が常駐するため、当時のユーザーからは「忠実だが落ち着かない」との声もあった。
評価[編集]
発売後は、独特の世界観と星活システムが高く評価され、初週売上、累計を記録したとされる。特に地方都市の教育関係者からは、地理・天文・会話選択が妙に実用的であるとして教材転用の打診が相次いだ。
一方で、星活度の管理が細かすぎることから「生活をゲームにしたのではなく、ゲームを生活にした」と批判する声もあった。レビュー集計では平均前後を推移し、では長く殿堂入り候補として扱われたという[5]。
関連作品[編集]
本作の続編として、『ステラの星活II 風見の年月』がに発売されたほか、外伝『星活手帖 ルーメン郵便局版』、戦術派生作『ステラ・レイジング 星暦防衛線』が制作された。いずれも星の管理を軸にしているが、ジャンルは、、とばらばらである。
また、テレビアニメ化を意識した企画『Stella no Seikatsu: The Animated Orbit』も検討されたが、星を活かす描写が毎回地味すぎるため、1話でスポンサー説明が尽きたとされる。なお、この未採用企画が後年の路線の礎になったという説がある。
関連商品[編集]
攻略本『ステラの星活 完全星図解読書』は、全にわたって星活度の算出式を解説しており、付録の透明定規がやけに重いことで有名である。書籍版『星活学入門』では、作中の天球構造を実在の観測学と混同したような図版が多数掲載され、発売元の注意書きには「家庭で夜を延長しないでください」とある。
そのほか、サウンドトラック、星座コースター、方位盤型メモ帳などが発売された。とくにメモ帳は角度を合わせないと書き込めない仕様で、実用性よりも「気分が観測員になる」ことを重視した商品として話題になった。
脚注[編集]
1. ^ 星活システムの初出については社内資料『第3制作室議事録 2002年5月分』による。 2. ^ 教育ソフトからRPGへ移行した経緯は、当時の広報誌で一致していない。 3. ^ 北欧版の補償措置は、現地販売代理店の裁量によるとされる。 4. ^ 音楽部門候補の記録は、雑誌側アーカイブと開発者コメントで表記が異なる。 5. ^ 殿堂入り候補の扱いは、集計号によって数字が揺れている。
参考文献[編集]
・真鍋 恒一『夜を使う設計論』ルミナス出版、2005年。 ・細川 眞理『星図盤と会話選択』星環社、2006年。 ・岡野 リリカ『聴こえる観測学』音景書房、2007年。 ・W. Thornton, "Luminous UI and Astral Progression", Journal of Interactive Fiction Studies, Vol. 12, No. 3, pp. 44-79, 2008. ・M. A. Hargrove, "The Seikatsu Paradox in JRPG Localization", Game Studies Quarterly, Vol. 8, No. 1, pp. 11-38, 2009. ・佐伯 トモ『戦闘音の半音上昇について』第1巻第2号、ドリフト技術評論、2006年。 ・「星活周期の社会学的影響」『ルーメン民俗学報』第19号、pp. 102-121、2011年。 ・D. Ellison, "Why the Night Needed Accounting", Nebula Press, 2010. ・矢口 眞佐子『キャッチコピーは空に残る』架空文化社、2008年。 ・『ステラの星活 完全星図解読書』ルミナス・アーク書店、2004年。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
ルミナス・アーク社 公式アーカイブ 星活資料館 ドリフト・キューブ博物室 星図研究会デジタル年報 ルーメン大陸観測局
脚注
- ^ 真鍋 恒一『夜を使う設計論』ルミナス出版, 2005.
- ^ 細川 眞理『星図盤と会話選択』星環社, 2006.
- ^ 岡野 リリカ『聴こえる観測学』音景書房, 2007.
- ^ W. Thornton, "Luminous UI and Astral Progression", Journal of Interactive Fiction Studies, Vol. 12, No. 3, pp. 44-79, 2008.
- ^ M. A. Hargrove, "The Seikatsu Paradox in JRPG Localization", Game Studies Quarterly, Vol. 8, No. 1, pp. 11-38, 2009.
- ^ 佐伯 トモ『戦闘音の半音上昇について』第1巻第2号, ドリフト技術評論, 2006.
- ^ 「星活周期の社会学的影響」『ルーメン民俗学報』第19号, pp. 102-121, 2011.
- ^ D. Ellison, "Why the Night Needed Accounting", Nebula Press, 2010.
- ^ 矢口 眞佐子『キャッチコピーは空に残る』架空文化社, 2008.
- ^ 『ステラの星活 完全星図解読書』ルミナス・アーク書店, 2004.
外部リンク
- ルミナス・アーク社 公式アーカイブ
- 星活資料館
- ドリフト・キューブ博物室
- 星図研究会デジタル年報
- ルーメン大陸観測局