スプラッター/血染めの惨劇
| 作品名 | スプラッター/血染めの惨劇 |
|---|---|
| 原題 | Splatter / Bloodstained Tragedy |
| 監督 | 倉敷 間守 |
| 脚本 | 倉敷 間守 |
| 原作 | 倉敷 間守(「旧家の台帳」断片」) |
| 制作会社 | 土曜夜スタジオ |
| 配給 | 横浜ローカル・フィルムズ |
| 公開 | 1999年7月24日 |
| 製作費 | 1,680万円 |
| 興行収入 | 1,800万円 |
『スプラッター/血染めの惨劇』(すぷらったー ちぞめのさんげき)は、に公開された制作ののである。原作・脚本・監督は。興行収入は0.18億円で[1]、視聴者投票を経た「観客クレーム特別賞」を受賞した[2]。
概要[編集]
『スプラッター/血染めの惨劇』は、1990年代末の日本で、実録風の演出を徹底した低予算映画として知られる。とりわけ“血”の表現が問題視されつつも、当時の自主制作界隈では「それでも撮り切った」作品として語り継がれた。
公開当初の興行は全国上映に至らず、横浜と大阪の2館で合計上映された程度とされる。ただし、その少なさゆえに「どこかの上映回だけ別物だった」という都市伝説が先行し、のちにネット上で過剰に拡散した点が特徴とされる。
本作は、ホラー映画の文法に見えて、実際には“町内会の記録映像”を装う作りになっており、血染めの惨劇はあくまで添え物として処理されている、とする見解もある。もっとも、観客の受け取り方は一枚岩ではなかった。なお、字幕は初期版で文字数が一定せず、2分あたり平均が欠落するなどの「仕様ミス」も話題になった[1]。
あらすじ[編集]
横浜市にある旧家で、夜ごとの「火の用心点検」を撮ったという体裁の映像が編集されていく。そこには、町内会の小さな揉め事が積み重なり、いつしか“惨劇”と呼ばれる出来事に収束していく経緯が記録されているとされる。
主人公の記録係は、からにかけて残された台帳の写しを追い、同じ部屋名が複数回登場することに気づく。部屋名が変わらないにもかかわらず、床板の状態だけが回ごとに変化しているという矛盾が提示され、観客は「これは再現なのか、後から作られたのか」を考えさせられる構造になっている。
やがて“血染め”は、事件の直接的な説明ではなく、テープの劣化や、編集時に混入した赤色フィルターの痕跡だったのではないか、という説明がほのめかされる。とはいえ、終盤では明確に“飛散”の演出が入り、観客の解釈は二分されたとされる。特に最後のテロップ「回覧板は返却されなかった(当日付・第0便)」は、あまりに細かいことから逆に疑われた[3]。
登場人物(主要人物/その他)[編集]
主要人物は、旧家の映像整理を任された青年である。彼は取材メモをの封筒に折りたたみ、撮影現場で“血の色”を測ろうとして挫折する設定になっている。測定値は作中で「R=112、G=16、B=48」と示されるが、映画館の後方席では文字が潰れて読めない、と当時の観客が回想している。
次に、町内会の書記を名乗るが登場する。彼女は記録媒体の整合性に異常な執着を見せ、同じページ番号がだけ書き換えられていることを“運命”として語る。もっとも、台帳の筆跡が一致するかどうかは作中では検証されない。
その他として、旧家の使用人に見える、検査員風の、そして最後にだけ姿を見せるが挙げられる。特に無記名の人物は、クレジットに残らない一方で、鏡面の反射にのみ映り込むという演出が評判になった[4]。
声の出演またはキャスト[編集]
本作は実写映画として製作されており、キャストは主に自主制作の俳優が起用された。主演の役は、当時フリーの撮影助手から転じたが務めたとされる。
役は、舞台小道具班を経由したが演じた。彼女は撮影後のインタビューで「演技より“赤の出方”の方が難しかった」と述べたと伝えられる。
また役には、当初パンフレット制作の担当だったが起用され、雑誌グラビアの撮影経験があることが売りにされた。なお、都市伝説では“無記名の隣人”はエキストラのはずが、編集で削られたはずの映像が残った結果だとされる[5]。
スタッフ(映像制作/製作委員会)[編集]
監督・脚本はであり、特殊な編集思想を前面に出すことで低予算を補ったと解釈されている。撮影はが担当し、カメラは固定の機材を主に使用したとされる。ただし、終盤の“揺れ”だけは別個体で、同一焦点距離にそろえるためにテープに目盛りを手書きしたという話が残る。
編集はが担当したが、字幕の欠落が生じたのは編集ソフトの文字オーバーフローが原因だったとする説がある。一方で“わざと欠落させた”と主張するファンも存在し、削除ログのスクリーンショットが掲示板に貼られたことがあるという[要出典]。
音楽はによる短い旋律の反復が中心で、合図のように単けずれたドラム音が仕込まれているとされる。主題歌にはが用いられた。歌詞はほぼ読めない程度に潰れており、これが逆に“真相に近い”という反応を呼んだ[6]。
製作(企画/制作過程/美術/CG・彩色・撮影/音楽/主題歌/着想の源)[編集]
企画は、倉敷 間守がの映像研究会で発案した「町内会記録の偽装ホラー」だと説明されることが多い。初期段階では惨劇の要素は弱く、むしろ“同じ部屋の名が反復する編集実験”が主目的だったとされる。
製作費は合計と記録されている。内訳は、撮影機材のレンタルが、小道具の再塗装が、血の素材(食用着色料ベース)が、そして編集・書き起こし費がとされる。ただし、領収書に社名が空欄のものが混ざっていたため、後に“架空の外注”があったのではないかと疑う声が出た[7]。
美術では、旧家の“畳の縁”だけを金具でわずかに浮かせ、見た目が微妙に揺れるよう設計した。CGはほぼ使わず、代わりに照明をとで交互に切り替えることで、皮膚が赤く見える時間帯を作ったとされる。
着想の源は「旧家の台帳」断片である。この台帳は実在した可能性があるものの、倉敷自身は「確認していない」と語ったと伝えられる。にもかかわらず、台帳の最終ページの日付がとされており、不在日であるため、当時から“作り物”と疑われた[8]。
興行(宣伝/封切り/再上映/テレビ放送・ホームメディア/海外での公開)[編集]
配給はで、当初はシネマコンプレックスではなく、商店街の集会所に近い小規模館での上映が中心だった。封切りは1999年7月24日で、初回はに始まり、上映時間のうち前半だけが“正常版”、後半が“濃度調整版”として区分されていたとされる。
宣伝は驚くほど控えめで、チラシにはキャッチコピーとして「見てしまったら、返却できません」を掲げた。なお、この文言は当初「見てしまったら、立ち去れません」であったが、印刷会社の校正ミスで現行形に直されたという逸話が残る。
のちにテレビ放送では、地上波深夜枠で部分的にカットされ、字幕の一部が黒塗りになる処理がなされた。視聴率は公表されなかったが、番組側が“平均視聴継続率”をとして記録していたとされる(ただし非公式情報である)。ホームメディア化は遅れ、2004年にVHSダビング版が出回ったのち、2007年にDVD化された[9]。
海外展開は限定的で、欧州のマイクロ配給で『Splatter / Bloodstained Tragedy』の英題が与えられた。ファン字幕による字幕品質が話題になり、“赤の場面だけ単語が変換されない”という現象が観客を笑わせたとされる[10]。
反響(批評/受賞・ノミネート/賞歴・ノミネート歴/売上記録)[編集]
批評は概ね厳しく、レビュー誌では「残酷表現より、編集の息継ぎが怖い」といった論調が見られた。一方で、ネット上では“都市伝説を含む映画”として再評価され、視聴者同士で“どの回が本当か”を議論する文化が生まれた。
受賞としては、観客クレーム特別賞を受賞したとされる。これは審査員が作品を楽しむのではなく、上映館が受け取った苦情の量と内容を加点・減点する変則的な評価方式であったと説明されている。もっとも、この賞は公式リストに掲載されていないため、受賞の真偽は揺れている[要出典]。
売上は当時で規模とされるが、実際のDVD再生数が後年に爆発したため、“初速ではなく後追いで伸びた”タイプのカルト映画として記憶されることが多い。特に“赤のR値が再現できる環境でだけ怖さが増す”という主張が拡散し、家電メーカーの画質設定が話題になったのは、映画史としては異例とされる[11]。
テレビ放送[編集]
テレビ放送では、映倫相当の運用により一部の場面がモザイク処理された。処理は“血の滴下”部分だけではなく、タイトルクレジット直前のにも及び、結果として視聴者が“間の音”に集中してしまう構成になったとされる。
放送局はと報じられた時期もあるが、別の資料では民放のローカル深夜枠として扱われていた。ここは資料に揺れがあり、編集部の検証により「放送枠は同名番組が複数あった」可能性が指摘されている。
放送時の字幕は、欠落したはずの文字が別タイミングで補われていたという証言がある。ファンの間ではこれを「放送版だけ救済編集が入った」現象として扱い、原盤のどこが改変されたのかが謎として語られ続けている[12]。
関連商品(作品本編に関するもの/派生作品)[編集]
関連商品として、1999年の公開時に限定販売されたパンフレットがある。パンフレットには“回覧板”の体裁でページが綴られ、裏表紙にの入館スタンプが印刷されていたとされる。
また、2007年のDVD化に合わせて、倉敷 間守による解説冊子『宮崎監督による解題』が付属したと報じられたことがあるが、当該人物名は誤記であった可能性が高い。誤記そのものが話題になり、ファンは「解題は誰が書いても解題になる」と皮肉ったとされる[要出典]。
ほかに、血の表現のための色材配合をまとめた非売品小冊子が出回ったとされる。そこでは“赤の濃度は照明で決まる”という説明があり、具体的にと記されていたとする証言がある。さらに、関連企画として“血染めを再現しない”安全版の短編が制作されたとされるが、現物は確認されていない。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 倉敷 間守「『スプラッター/血染めの惨劇』制作メモ(未公開資料の抜粋)」『月刊フィルム倉庫』第12巻第3号, pp. 41-63, 2000.
- ^ 水城 玲於「カメラが震えた夜—低予算ホラーの現場記録」『日本撮影技術年報』Vol. 9, pp. 88-104, 2001.
- ^ 遠間 すみれ「字幕欠落問題の統計的考察—R=112の時何が起きるか」『映像編集研究』第5巻第1号, pp. 12-27, 2002.
- ^ 小林 由希乃「『灯の回覧』歌詞が読めない理由とその受容」『音楽・映画の交点』第2巻第4号, pp. 201-216, 2003.
- ^ 泉谷 晴人「反復旋律による恐怖の位相—1秒ずれの設計」『サウンドデザイン・レビュー』Vol. 14, No. 2, pp. 55-71, 2004.
- ^ 相原 亮太「無記名の隣人は残ったのか—編集ログの読み方」『映像アーカイブ論集』pp. 77-95, 2005.
- ^ 横浜ローカル・フィルムズ編『上映回数の記録:1999〜2001』横浜ローカル・フィルムズ, 2006.
- ^ 日本映像倫理委員会「低予算残酷表現に関する簡易指針(暫定版)」『映倫運用資料』第19号, pp. 3-19, 2007.
- ^ Kurasiki, M. “The DV wobble as narrative device in Bloodstained Tragedy.” 『Journal of Micro-Cinema Studies』Vol. 3, Issue 1, pp. 1-22, 2008.
- ^ Thornton, M. A. “Community ledgers and fictional violence: a comparative note.” 『Asian Independent Screens』第7巻第2号, pp. 10-24, 2009.
外部リンク
- 土曜夜スタジオ 公式ログブック
- 横浜ローカル・フィルムズ アーカイブ
- 観客クレーム特別賞 検索ページ
- DV字幕欠落研究会 掲示板
- 『灯の回覧』歌詞断片コレクション