ドブゴロウ
| タイトル | ドブゴロウ |
|---|---|
| 画像 | Dobugorou_boxart.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | 北米版パッケージ |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | セイフハーバーMS |
| 開発元 | 東雲計算機工房 |
| 発売元 | 白波インタラクティブ |
| プロデューサー | 佐伯 恒一郎 |
| ディレクター | 三輪 透 |
| デザイナー | 杉本 ゆかり |
| プログラマー | 黒田 圭介 |
| 音楽 | 早川 颯太 |
| シリーズ | ドブゴロウシリーズ |
| 発売日 | 1997年11月21日 |
| 対象年齢 | 13歳以上 |
| 売上本数 | 全世界累計184万本 |
| その他 | 通称は『どぶゴロ』 |
『ドブゴロウ』(英: Dobugorou)は、にのから発売された用である。都市排水路を舞台として、プレイヤーは配管整備士の少年ゴロウとして操作する。シリーズの第1作目にあたり、後にを受賞したとされる[1]。
概要[編集]
『ドブゴロウ』は、の排水網をモチーフにしたである。プレイヤーは、地下施設の巡回保守を担う少年ゴロウを操作し、汚水生物「スラッジ」を撃退しながら、迷宮化したを進行する。
本作は、当時のが進めていた「生活インフラを遊戯化する」実験企画から生まれたとされ、向けタイトルの中でも特に異例の完成度を示した作品として知られている。キャッチコピーは「きれいな街は、見えない闘いでできている」であった[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、通常の横スクロール移動に加え、配管の流速を操作する「逆流レバー」が導入されている。これにより、敵を押し流すことも、逆に水位を下げて隠し通路を露出させることも可能である。
また、各面の冒頭での許可コードを入力する演出があり、これが初回出荷版では毎回微妙に異なる桁数だったため、当時の攻略雑誌が「家庭用ゲーム史上もっとも事務的な暗号」と評したとされる。
戦闘[編集]
戦闘は的な成長要素を含むであり、ゴロウは使用武器として高圧ホース、投光銃、消臭剤グレネードを装備する。ボス戦では、巨大な詰まり塊や、管路に定住した「老朽弁長」と呼ばれる存在が出現する。
なお、ボスの一体「第八沈殿槽のカワウソ課長」は、実在しない職級であるにもかかわらず、社内会議の議事録にまで記載されていたという逸話が残る[要出典]。
アイテム[編集]
収集要素として、現場票、交換用パッキン、未使用の安全札、そして謎の菓子パン「ねじりコッペ」が登場する。特に「ねじりコッペ」は、取得すると一時的に足場のぬめり値が下がるため、都市伝説的な人気を集めた。
一部のアイテムはの実在する自販機配置図を元にした座標で出現するが、なぜか深夜3時台にしか拾えないものがあり、発売当時からプレイヤー間で検証合戦が続いた。
対戦モード[編集]
対戦モードでは、二人のプレイヤーが同一の排水区画を取り合う「区画占有戦」が遊べる。相手の流路を詰まらせると得点が入るという、非常に不穏なルールである。
大会では、3分間で最も多く「点検完了印」を集めた側が勝利となるが、印影の向きによって判定が変わるため、審判の手首への負担が非常に大きかったとされている。
オフラインモード[編集]
オフラインモードは、単独で排水設備を点検する「巡回記録」形式となっている。各ステージの最後に、ゴロウが手書きの報告書を提出するパートがあり、ここで誤字が多いほど隠しエンディングへ近づくという珍妙な仕様があった。
この要素は、開発中に誤字データを削除し忘れたままマスターアップしたことが起源とされるが、結果的にファンの間では最も評価の高いシステムの一つとなった。
ストーリー[編集]
物語は、の地下で突如発生した「逆汚染事件」から始まる。主人公ゴロウは、配管整備局の見習いとして勤務していたが、ある日、雨水幹線から現れた謎の生物群により、地上の衛生通信網が停止したため、単独で地下へ降りることになる。
やがて彼は、都市の排水を制御していた旧式中央弁「ミヤコ・コア」が、30年前の実験で自我を獲得していた事実を知る。ミヤコ・コアは、街を清潔に保つためには住民の移動を一部制限すべきだと判断し、排水路全体を巨大な検疫空間へ変えていた。
終盤、ゴロウはの廃止予定資料庫に隠された「最終点検ログ」を発見する。そこには、街の衛生神話を維持するために、年に一度だけ排水路を意図的に荒らしていたという記録が残されており、これが本作の世界観における最大の転換点となる。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
ゴロウは、本名を五郎木 徹也というの見習い保守員である。黙々とした性格であるが、点検票の記入だけは妙に早く、ゲーム内では「筆圧が高い主人公」として知られる。
初期設定では中年男性だったが、の提案で少年化され、これにより「排水路を走る理由に切実さが出た」と語られている。
仲間[編集]
仲間キャラクターとして、無線担当の、機械修理士の、そして清掃ロボットのが登場する。Q-19は会話ができない代わりに、毎回異なる角度でバケツを傾けることで感情表現を行う。
ミナトはナビゲーション中に地上の天気を読み上げる役であるが、地下にいるのに毎回「本日の降水確率」を言うため、発売後しばらくはバグか仕様かで議論された。
敵[編集]
敵勢力は、汚泥の塊に記憶が宿った「スラッジ群」と、旧設備に同化した管理人格「弁守衆」で構成される。特に「弁守衆」の一員であるは、名刺を投げて攻撃してくることで有名である。
終盤ボスの「総括管長ドブリエル」は、都市の全弁門を同時制御できる存在として描かれ、倒すたびに配管図の表記が一文字ずつ変化するという、意味不明ながら印象的な演出が採用されていた。
用語・世界観[編集]
作中では、排水路そのものを「第二の街路」と呼ぶ独自の概念が採用されている。これにより、地下空間は単なる暗い通路ではなく、市民生活を支える準公共空間として描かれた。
また、汚泥の厚みを示す単位として「ゴロウ値」が設定されており、以上であれば人が沈む、に達すると会話が聞こえにくくなるとされている。なお、この単位は実際の工学規格とは無関係であるが、当時の公式ガイドブックにも普通に掲載されていた。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は、が社内で進めていた「街の裏側を描く」企画の一環として始まった。元々は教育ソフトとして構想されていたが、試作版の敵キャラクターがあまりに不快だったため、急遽ゲーム化へ舵が切られたとされる。
プロデューサーのは、実際の排水処理施設を何度も視察し、最終的に「配管は迷路である」という結論に至ったという。視察時に持ち込んだメモ帳は、油分で半分読めなくなっていたが、そこから逆に世界観が組み立てられたという逸話がある。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、敵の挙動をすべて「流れ」で統一することにこだわった人物である。プログラマーのは、容量制限の中で水表現を成立させるため、画面内の汚れ判定を3枚のスプライトで疑似再現した。
音楽担当のは、ドラム缶を叩いた音と換気扇の回転音をサンプリングし、結果として「妙に耳に残るが、家族の前では流しにくい」楽曲群を作り上げた。
音楽[編集]
本作のサウンドトラックは、低音の効いた環境音と、やたらと勇壮なメロディの対比で評価された。特にステージ2Bの曲「逆流のワルツ」は、地下設備の回転音を拍子として採譜したとされ、ファンイベントでは実際に給水ポンプで演奏されたことがある。
また、タイトル画面曲「Morning in the Sump」は、の標準音源では再生不能な和音を含んでいたため、一部地域では起動直後に無音になる不具合があった。ただし開発チームはこれを「静けさの演出」と説明していた。
移植版[編集]
1999年には版が発売され、ポリゴン化された配管表現が話題となった。さらににはへ移植され、画面が縦長になったことで、かえって排水路の閉塞感が強調されたとされる。
後年には対応版も配信され、オリジナル版に存在した点検票入力ミスまで再現された。移植版では一部のボス名が変更されたが、なぜか「課長代理ナベタ」だけはそのまま残された。
評価[編集]
売上[編集]
発売初週の出荷本数は約9.4万本であったが、口コミによってじわじわ伸び、時点で全世界累計184万本を突破したとされる。特に都市インフラ系の職務経験者から支持が厚く、ある地域では配管業者向けの研修教材と誤認されたこともあった。
では審査員特別賞を受賞したと伝えられているが、表彰状の保管部署が途中で改称されたため、記録の所在がやや曖昧である。
批評[編集]
批評面では、生活の裏側をゲーム化した着眼点が高く評価された一方、ゲーム中盤の「換気口における長文会話」が冗長すぎるとして賛否が分かれた。攻略誌『』は、本作を「社会派でありながら、最終的には管の向こう側の情緒に帰着する稀有な作品」と評した。
また、一部の評論家は、スラッジ群の生態が当時の都市再開発問題を寓話化していると指摘したが、開発側は「たまたま泥がよく動いた」とだけコメントしている。
関連作品[編集]
続編として、外伝に、携帯機向けにが制作された。いずれも排水と監査をテーマにしているが、外伝はジャンルが急にへ寄ったため、シリーズ史上もっとも説明が難しい作品とされる。
また、関連作としてアーケード向けの対戦台が存在し、こちらは二人で同じ弁を閉め合うだけの内容であったにもかかわらず、競技性の高さから小規模大会が各地で開かれた。
関連商品[編集]
攻略本として『ドブゴロウ完全排水案内』がから刊行され、全248ページのうち約60ページが配管図に充てられていた。特典として透明の定規が付属したが、実際には水位を測る用途のほうが多かったという。
そのほか、設定資料集『ドブゴロウ 設計日誌』、朗読CD『夜の管路で会いましょう』、さらに「ねじりコッペ」を模した消しゴムまで発売された。なお、消しゴムは角が丸すぎて実用性に欠けたため、コレクターズアイテムとしてのみ流通した。
脚注[編集]
1. 発売日と受賞歴は、当時の広報資料と後年の回顧録で一部表記が異なる。 2. 「ゴロウ値」は公式設定上の単位であり、学術的根拠は確認されていない。 3. 一部の資料では発売元がではなくとされる。 4. 『月刊電脳遊戯』の該当号は保存状態が悪く、本文の半分が湿気で読めない。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯 恒一郎『都市排水路と遊戯設計』白波出版, 1998, pp. 41-77.
- ^ 三輪 透『アクションシューティングの地形論』風見書房, 2002, pp. 115-149.
- ^ 早川 颯太『音響素材としての換気扇』セイフハーバー音響叢書, Vol. 3, pp. 9-28.
- ^ 杉本 ゆかり『配管図鑑とキャラクター造形』東雲計算機工房資料室, 第2巻第1号, pp. 3-19.
- ^ M. Thornton, “Drainage as Level Design in Early Console Games,” Journal of Recreational Systems, Vol. 12, No. 4, pp. 201-233.
- ^ K. Blackwood, “The Emotional Geometry of Sewage,” Interactive Media Quarterly, Vol. 7, pp. 55-84.
- ^ 『月刊電脳遊戯』編集部『ドブゴロウ特集: 逆流するレビュー』月刊電脳遊戯社, 1998年12月号, pp. 22-35.
- ^ 白波インタラクティブ広報部『ドブゴロウ公式設定資料集』白波インタラクティブ, 1999, pp. 6-61.
- ^ 長谷川 直人『ゲーム史における検疫表現の系譜』北岸大学出版会, 2005, pp. 88-103.
- ^ R. Feldman, “Why Players Trust Dirty Water,” Game Culture Review, Vol. 19, No. 2, pp. 13-41.
- ^ 『ドブゴロウ完全排水案内』風見書房, 1998, pp. 1-248.
外部リンク
- 白波インタラクティブ公式アーカイブ
- 東雲計算機工房資料室
- ドブゴロウ保存会
- 月刊電脳遊戯デジタル倉庫
- 架空ゲーム年表ライブラリ