ニッポンのヒール
| 名前 | ニッポンのヒール |
|---|---|
| 画像 | ニッポンのヒール ロゴ(架空) |
| 画像説明 | 消火栓をモチーフにしたステージ衣装である。 |
| 画像サイズ | 250 |
| 画像補正 | 0.85 |
| 背景色 | #0f172a |
| 別名 | ヒール/ヒール組 |
| 出生名 | 結成当初の仮名:『背徳楽派ニッポン』 |
| 出身地 | [[東京都]][[新宿区]] |
| ジャンル | メロディック・パンク/昭和歌謡サンプリング・ロック |
ニッポンのヒール(にっぽんのひーる)は、[[日本]]の4人組[[ロックバンド]]である。所属事務所は[[赤城レーベル事務所]]。レコード会社は[[青信号レコード]]。[[2009年]]に結成、[[2012年]]にメジャーデビュー。略称および愛称は「ヒール」。公式ファンクラブは「ヒール組」。
概要[編集]
ニッポンのヒールは、反骨を「親しみ」に変換することを標榜したロックバンドである。楽曲は、[[東京]][[渋谷区]]の路地で鳴る街宣スピーカーの残響を模したSEと、歌謡曲のコード進行を崩したギターリフを組み合わせる作風として知られている。
バンド名の「ヒール」は、悪役の記号として消費されがちな“格好つけ”を、あえて主役側に引き寄せるという理念から命名されたとされる。実際、初期のライブMCでは「悪者の靴音を聴け」と繰り返し、観客に“加害される側の快感”を自覚させる演出が話題となった[1]。
メンバー[編集]
ニッポンのヒールは、作曲と編曲を中心に役割分担が細かく設定された4人組である。初期は5人体制も検討されたが、のちに“ヒールの条件”として「合唱できる低音担当」を優先する方針に切り替えたという[2]。
メンバーは次の通りである。ギター担当は[[渡辺精一郎]]、ボーカルは[[真田みなと]]、ベースは[[久松タクト]]、ドラムは[[桐谷ユウジ]]である。なお、公式サイトでは担当楽器の説明より先に、各人の“癖”が先に記載されている点が特徴とされる[3]。
また、バンドの楽曲制作では、機材の誤差が出る範囲をあらかじめ譜面に織り込む「ズレ許可制度」を採用しており、マスタリング時にも“計測値を裏切る音”を残すことが方針とされた。
バンド名の由来[編集]
「ニッポンのヒール」という名称は、プロレス雑誌の広告欄に掲載されていた“失笑タイヤ”のキャッチコピーを、当時のスタッフが誤読したことに端を発するとされる。正しくは「ニッポンのヒールは—」の後に別製品名が続く文であったが、スタッフの[[伊勢原サトル]]が“ヒール=悪役”と結び付けたことで現在の形になったという[4]。
別説として、結成初期に[[新宿区]]の路上で行われた即席バンドバトルにおいて、審査員が「ニッポンのヒールはだいたい“照れ隠し”でできてる」と評したことから採用されたとする証言もある。もっとも、この審査員名はのちに取り違えが起きたとされ、証言の正確性には揺れが見られる[5]。
このように、名称は必ずしも統一された起源を持たない一方で、「悪役を肯定することで拍手を誘導する」というコンセプトだけは一貫していると説明されることが多い。
来歴/経歴[編集]
結成(2009年)[編集]
ニッポンのヒールは[[2009年]]、[[渡辺精一郎]]が“歌謡曲を嘘っぽく叩き割る”ためのセッションを募集したことにより結成された。集まったメンバーは当初、楽器の音域がバラバラで、特にボーカルの高さが合わなかったとされる[6]。
そこで、練習は毎回「午前4時にだけ鳴る音」を基準に行われた。バンドは近所の深夜営業のカラオケから漏れる反響を録音し、周波数解析の結果として「4,096Hz付近が“いちばん嘘をつく”」と判断したという、やけに具体的な記録が残っている[7]。
なお、この方針がのちの代表曲に反映されたとする見方がある。音楽理論よりも“生活音の偏り”を優先した点が、初期の独特なリズムの骨格になったと説明される。
インディーズ期(2010年-2011年)[編集]
インディーズ時代には[[青信号レコード]]の前身にあたる小規模レーベル「青信号テープ倉庫」と契約したとされる。最初の自主制作盤『嘘の足音、歩道に響け』は、配布枚数が1,300枚限定と告知されたが、実際には「1,304枚が納品された」とスタッフが記録している[8]。
この差分は、倉庫の棚卸しで誤って印字された“4枚分のボーナス帯”によるものであると説明された。ファンの間ではこの誤差が“バンドが嘘を愛している証拠”として語られ、以後、歌詞にも「+4」という数字が頻出するようになった[9]。
また、ライブでは曲間に必ずアンコール用のコール&レスポンスが仕込まれ、観客の拍手が“サビの装置”として機能する構造が定着したとされる。
メジャーデビュー(2012年)[編集]
ニッポンのヒールは[[2012年]]、シングル『ヒールの国道』(オリコンチャート最高位:第3位)でメジャーデビューした。デビューから2週間で公式MVの再生回数が約420万回を突破し、SNS上では“悪役の声がやけに上手い”という短評が集中したとされる[10]。
また、同年の夏には[[横浜市]]で行われた路上フェスに出演し、ステージ上から配布されたペットボトルキャップが累計で約9万個回収された。回収数は主催者発表であり、バンド側は「嘘の王冠」と表現していたという[11]。
一方で、露骨な演出が賛否を呼び、ラジオ番組では“炎上しない炎上”として紹介された。ここからメディア露出が増え、評価が二極化したと整理されている。
黄金期(2016年)[編集]
黄金期は[[2016年]]とされる。アルバム『国民的ヒールの踊り方』が[[オリコン]]年間アルバムチャートで1位を獲得し、累計売上枚数は推定で88万枚に達したと報じられた[12]。
さらに、ストリーミング再生は国内だけでなく海外のファンコミュニティにも波及し、特定楽曲『謝れない靴』は配信開始から31日で1億回再生を突破したとされる。もっとも、配信プラットフォーム側の公表値とは数値の出し方が異なるため、裏取りには注意が必要とする記述もある[13]。
この時期、バンドは[[NHK]]の特番に出演し、“悪役の心理”を解説するコーナーを設けた。音楽番組にもかかわらず心理学用語が飛び交ったとして、後に「ニッポンのヒールは歌ではなく講義だった」と揶揄する記事も出た。
活動の転機(2021年-2023年)[編集]
[[2021年]]には一部メンバーが体調不良を理由に短期の活動休止を発表した。理由は公表されなかったが、ファンブログでは“新型の録音負荷”が原因ではないかと憶測された[14]。
[[2022年]]にはシングル『ヒールの再教育』がリリースされ、従来のロック寄りから歌謡曲サンプリングを増やす方針が示された。アレンジではコーラスを「3人分だけ録らずに残す」手法が使われたとされ、制作秘話として“欠けた音の方が嘘っぽい”というコメントが引用された[15]。
[[2023年]]にはバンド初の“謝罪ツアー”を敢行し、MCで「こちらは謝りません、あなたが謝ってください」と言い切った。これが皮肉として受け止められ、結果としてライブの満足度が上がったとファンクラブが集計している[16]。
音楽性[編集]
ニッポンのヒールは、メロディック・パンクを土台に、昭和歌謡のコード進行を「わざと聞こえにくくする」ことで不穏さを作ることを特徴としている。歌詞では“正しい人になる努力”を嘲笑する比喩が多く、タイトルにも反語が頻出する傾向がある。
具体的な制作上の特徴として、ギターは全曲で同一のピッキングフォームを用いる一方、録音ではわずかに位相反転させて“嘘の明瞭さ”を狙うとされる。また、ドラムは人間の叩きではなく、道路標示の反射音を素材にした打楽器を混ぜることがあるという[17]。
このため聴感上は疾走感がありながら、感情は停滞するように設計されている。評論家の[[小田島リョウ]]は、バンドの音を「加害の爽快感を、観客に返却しないまま保管する技法」と評したと伝えられる[18]。
人物[編集]
ボーカルの[[真田みなと]]は“告白”のような言い回しを使いながら、実際には責任の所在をぼかすスタイルで知られる。インタビューでは「本当のことは、たぶん言えない」と述べ、詩の推敲は“嘘が強くなった段階で止める”という手順を明かした[19]。
ギターの[[渡辺精一郎]]は作詞作曲のほか、舞台衣装の色設計も担当している。彼は「ヒールの色は赤じゃない、目立たない灰色だ」と語り、ステージでは消火栓の番号を縫い込んだジャケットを着ることで知られた[20]。
ベースの[[久松タクト]]は、ライブ中に一度だけ楽器を“弾かない”区間を作る癖があるとされる。ドラムの[[桐谷ユウジ]]は、メトロノームを使わず、観客の呼吸と同期させるという説明がなされ、実際のリズム解析でも揺らぎが“規則的な規則性”を持つと報告された[21]。
評価[編集]
ニッポンのヒールは社会現象となったとされる。特に、若年層の間で「自分のことを悪役として語る」言い回しが一種のトレンドになり、SNSでは“ヒール口調”と呼ばれる文体が流行した[22]。
一方で、批判も存在した。楽曲の“正しさの放棄”を美化しているという指摘があり、教育現場では歌詞の引用が不適切ではないかと議論された。もっとも、バンド側は「悪役を演じることは、他者を傷つける前に安全に失敗する練習である」と反論した[23]。
評価面では音響の工夫が評価され、ライブ音響設計賞のような民間アワードで複数回ノミネートされたとされる。ただし、アワードの正式名称は媒体により差があり、記録の整合性には注意が必要だとされている[24]。
受賞歴/賞・記録[編集]
ニッポンのヒールは、音楽賞での受賞歴に関して複数の記録が報じられている。代表例として、[[日本レコード大賞]]では特別賞相当の部門で入選し、『ヒールの国道』が優秀ロック賞を獲得したとされる[25]。
また、記録としては“公式ファンクラブ会員の更新率”が高かった点が挙げられる。2020年時点の更新率は73.4%で、前年から+9.7ポイントとなったと報道された[26]。ただし、この数値はファンクラブ会計の内規に基づくため、外部検証には限界があると注意書きがある。
加えて、ライブのセットリストについて「同一地域で3回連続出演しても、MCの言い回しが一致しない」という記録が作られ、ファンが“嘘の再生産性”の高さとして称賛したとされる。
ディスコグラフィ[編集]
ニッポンのヒールのディスコグラフィは、シングル中心のリリースと、時期ごとに質感の異なるアルバムを挟む構成になっている。
シングルとしては、デビュー作『ヒールの国道』(2012年)、『謝れない靴』(2015年)、『ヒールの再教育』(2022年)が知られている。CDシングルでは『悪役の天気図』(2014年)が“ジャケット裏の印字が4種類”という理由で収集対象になったとされる[27]。
アルバムは『国民的ヒールの踊り方』(2016年)を中心に、『歩道の偽装礼拝』(2018年)、『灰色の王冠』(2021年)がある。ベスト・アルバムとして『ヒール組 ベスト:嘘の余白』(2023年)が発売され、映像作品は『消火栓ライブ 〜4,096Hzの夜〜』(2017年)と『謝罪ツアー完全版』(2023年)がリリースされた。
ストリーミング認定[編集]
ストリーミング認定としては、各配信サービスの指標に基づく国内認定が複数示されている。『謝れない靴』は国内で累計3,200万回を超え、プラットフォーム内の上位バッジを受けたと報道された[28]。
一方で海外の再生数については、言語別コミュニティが独自に集計した値が拡散し、実数との差が指摘されたことがある。バンドは「数字は嘘の形で、心は嘘をつけない」と述べ、集計方法の統一を促すような発言は行わなかった[29]。
このため、メディア側では“認定”という表現と“推定”という表現が併記されることが多い。
タイアップ一覧[編集]
タイアップは、テレビ番組だけでなく公共性の高い企画にまで広がったとされる。『ヒールの国道』は[[日本道路協会]]が主催する安全運転キャンペーンのテーマ曲として採用されたと報じられた[30]。
また、『歩道の偽装礼拝』は映画『小さな悪役』(架空作品)とのコラボレーションで使用され、公開初週に関連SNS投稿が約6万件に達したとされる。さらに『灰色の王冠』は[[渋谷区]]の文化イベントで“灰色の音”をテーマに上映会と連動した[31]。
バンドはタイアップについて「善のための悪役ではなく、悪役のための善を歌う」と説明しており、企画意図が独自の解釈で結びついた例として取り上げられている。
ライブ・イベント/ライブ・コンサートツアー[編集]
ライブ・コンサートツアーとしては、2013年の“ヒール組 上京記念サーキット”から、2016年の“国民的ヒールの踊り方”ツアー、2023年の“謝罪ツアー”まで継続的に実施された。
特筆すべきは、2019年に[[大阪市]]の[[中之島]]周辺で行われた“夜間信号点滅ライヴ”である。信号の点滅タイミングに合わせて演奏を切り替え、観客が渡る横断歩道の人数をカウントする仕組みが導入されたとされる。運営は“安全のため”と説明し、バンド側は“誰が渡ったかで嘘の速度が変わる”と語った[32]。
また、サポートメンバーとして、即席でスチールパン奏者が加わった回があった。公式発表では詳細が曖昧にされており、現場写真だけが手がかりとされている。
出演(テレビ/ラジオ/映画/CM)[編集]
テレビ出演では、[[NHK]]の歌番組に加え、音楽ドキュメンタリー枠にも出演したとされる。2020年の特番では、楽曲制作の工程を“捏造の工程”として紹介したとして注目された[33]。
ラジオでは、[[FMラジオ局ファンキー]]の深夜番組でパーソナリティを務めた。番組タイトルは『悪役の交通情報』で、天気予報より先に“観客の口調”を読み上げるコーナーがあったと記録されている[34]。
CM出演としては、架空の商品ではあるが“消火栓型ライト”の広告でメンバー全員が出演したと報じられた。バンド側は「明るさよりも、点検の音が好きだ」とコメントしたとされる。
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
ニッポンのヒールは[[NHK紅白歌合戦]]に2回出場したとされる。初出場は[[2017年]]で、『ヒールの国道(紅白特別編集版)』を披露した。演出として、ステージ中央に消火栓が置かれたが、実際には照明装置であったと説明された[35]。
2回目の出場は[[2020年]]で、『謝れない靴』が選ばれたと報じられる。この回では、合唱団の“口パクだけ”を先に映し、歌声が後から同期する仕様になった。視聴者の間では「遅延がわざとなのか事故なのか」という議論が起き、結果としてSNSの伸びにつながったとされる[36]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐藤文哉「『ニッポンのヒール』が“悪役の快感”を歌にした経緯」『ロックの言語学』第12巻第2号, 2018年.
- ^ 渡辺精一郎『4,096Hzの夜:練習記録と嘘の音程』赤城レーベル出版, 2016年.
- ^ 真田みなと「MCは謝罪ではなく委任である」『ポップ表現研究』Vol.7 No.4, 2021年.
- ^ 小田島リョウ「加害の爽快感を保管する技法」『音響心理レビュー』第3巻第1号, 2019年.
- ^ 伊勢原サトル「バンド名の誤読事件簿(審査員を含む)」『現場メディア史論』pp.41-63, 2014年.
- ^ 久松タクト「欠けた音のほうが嘘っぽい」『編曲作法ジャーナル』第9巻第3号, 2022年.
- ^ 桐谷ユウジ「観客の呼吸と同期する打点—メトロノーム不要説」『打楽器科学』Vol.15 No.2, 2020年.
- ^ Editorial Team「Nippon no Heel and the Politics of Persona」『Journal of Urban Sound Fiction』pp.110-129, Vol.22 No.1, 2023年.
- ^ 山下ミチル「国民的ヒールの踊り方:ファンダム統計の読み替え」『音楽市場分析年報』第5巻第6号, 2022年.
- ^ 田所ユウジ「“嘘の再生産性”とセットリスト」『ライブ研究通信』pp.7-18, 2019年.
外部リンク
- ヒール組 公式ファンクラブサイト
- 赤城レーベル事務所 アーティストページ
- 青信号レコード ディスコグラフィ
- 消火栓ライブアーカイブ
- 悪役の交通情報(ラジオ番組ページ)