バッタ論
| コンビ名 | バッタ論 |
|---|---|
| 画像 | BattaRon_2007.jpg |
| キャプション | の小劇場公演にて(2007年) |
| メンバー | 佐伯 さとる、南出 ひかる |
| 結成年 | 1998年 |
| 事務所 | 緑道プロダクション |
| 活動時期 | 1998年 - 現在 |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 南出 ひかる |
| 出身 | 立川市の養蚕倉庫跡の即席ライブハウス |
| 出会い | 町内の昆虫標本教室 |
| 旧コンビ名 | 跳躍クラブ |
| 別名 | ばった研 |
| 同期 | 紅茶カーブ、夜鳴きシーソー |
| 影響 | 農協の販促アナウンス、擬音中心漫才 |
| 現在の代表番組 | 『深夜の翅音会議』 |
| 過去の代表番組 | 『笑って踏みつぶせ!』 |
| 現在の活動状況 | 劇場、配信、地方営業を中心に活動 |
| 受賞歴 | バッタ芸能大賞2021、関東演芸新人賞2002 |
| 公式サイト | 緑道プロダクション公式プロフィール |
バッタ論(ばったろん、英: Batta Ron)は、架空芸能事務所所属の。に結成され、の下町口調を基調としたと、昆虫学の用語を乱用するで知られる[1]。
メンバー[編集]
佐伯 さとる(さえき さとる)はツッコミ担当で、低音で語尾を切る「採集済み」の言い回しを得意とする。学生時代はの昆虫同好会に所属し、標本箱のふたを閉める音を拍の取り方に転用したことで知られる。
南出 ひかる(みなみで ひかる)はボケ担当、ネタ作成を担う。もともとの園芸店でアルバイトしており、店内放送の「本日はバッタの苗はございません」という誤放送がきっかけで現在の芸風を固めたとされる[2]。
2人とも身長や学歴は公称値が毎年少しずつ変わるため、ファンの間では「計測のたびに脱皮している」と揶揄されることがある。なお、本人たちはこれを否定していない。
来歴[編集]
結成から初期[編集]
、の市民講座「都市昆虫と発声法」で出会った2人が、講座の余興で即席の掛け合いを行ったのが始まりである。翌年には旧コンビ名「跳躍クラブ」を名乗り、の商店街イベントでデビューしたが、司会者に「説明の多い虫」と評されて改名に至った。
改名後の『バッタ論』は、当初は「バッタを論じる会」という学術サークル風の体裁であったが、実際にはネタの8割がオノマトペで構成されていたため、学内での評価は分かれた。関係者によれば、この時期にの演出家・松井康平が偶然観覧し、翌週には所属が決定したという。
東京進出[編集]
、活動拠点をへ移した。小劇場『緑窓ホール』での月例ライブでは、客席の背もたれを「草むら」とみなし、観客の咳払いをバッタの群飛として扱う構成が話題となった。
この頃から、南出がネタの冒頭で必ず『ここは湿度が高い』と宣言し、佐伯がそれを『笑いの条件は湿潤である』と受ける型が定着した。2005年にはの寄席で初の単独ライブ『翅の裏側』を開催し、立ち見を含め412人を動員したとされる[3]。
ブレイクとその後[編集]
、深夜番組『笑って踏みつぶせ!』で披露した「交尾の説明をする学芸員」ネタがSNSで拡散し、一般層にも名が知られるようになった。一方で、専門家の一部からは「昆虫学の理解が妙に正確で気味が悪い」との指摘もあった。
には主催の『バッタ芸能大賞』を受賞。授賞式で南出が「われわれは草を食う側にも、食われる側にも寄り添う」と述べたことで、翌日の文化面が妙に大きく扱ったとされる。
芸風[編集]
バッタ論の芸風は、基本的にはであるが、途中から突然に移行する「擬態型展開」を特色とする。佐伯が常識的な前提を置き、南出がそれを昆虫用語で破壊する構造で、いわゆる「説明過剰ボケ」の代表例として扱われることがある。
また、2人は発声の前に必ず一拍置くが、これは「跳躍の助走」であると本人たちが説明している。実際には単に息継ぎの癖であるが、観客が勝手に神秘化した結果、大学の笑い研究会で「間の翅動論」として引用されたことがある。
ネタ作成は南出が担当し、佐伯は稽古場で構造を削る役回りに徹する。削りすぎて元ネタが3分の1になることもあるため、完成版と初稿の差が激しく、ライブ常連の間では「上演版は標本、初稿は生体」と呼ばれている。
エピソード[編集]
の地方営業で、の公民館にて停電が発生した際、2人は懐中電灯を両側から当てて「影だけで漫才を成立させる実験」を行った。客席では子どもが大笑いしたが、主催者は『どこまでが本編か分からない』として終演後に30分ほど確認作業を行ったという。
また、にはの教育番組にゲスト出演し、タイトル字幕の「論」の字だけが誤って巨大表示されたことから、翌週の局内会議で『バッタ論をどう扱うか』が議題になった。これを受け、同局編成部の一部では「虫を扱うときは必ず人間より先に会議を入れる」という内規ができたとされる[4]。
さらに、南出はの老舗寄席で、出囃子が鳴る前に本物のバッタを1匹だけ放したことがある。ただし、本人は『演出ではない、偶然入場した』と主張している。目撃者の証言が食い違っているため、現在も要出典とされている。
出囃子[編集]
出囃子はの『望郷じょんから』を、ではなくスライドホイッスルで再現した独自版である。1999年の初舞台時、袖でCDが行方不明になったため、代わりに南出が口で演奏したのが始まりとされる。
以後、完全版が流れたことは少なく、劇場ごとに「湿度が低い日は笛が裏返る」「雨天時は倍速になる」などのローカルルールが付与された。本人たちは『出囃子は気分で鳴る』としているが、音響スタッフからは毎回困惑されている。
賞レース成績・受賞歴[編集]
2002年、で準決勝進出。審査員の1人が『発想は危険だが、客席の平均笑顔率が高い』と評したことが残っている。
2009年には『M-1グランプリ』地方予選で1回戦敗退したが、敗退理由の欄に『バッタが長すぎる』と記されたことが話題となった。本人たちはこれを不服としていない。
受賞歴としては、のバッタ芸能大賞2021、の観客賞2016、の特別感謝状2019などがある。なお、最後の賞は笑いと環境保護の関係が曖昧なまま授与されたため、一部で賛否が分かれた。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
『笑って踏みつぶせ!』『月曜よるの採集図鑑』などに出演。特に『深夜の翅音会議』では、ゲストが何を話しても最後に「それは脱皮ですね」と返すコーナーが定番化した。
現在のレギュラー番組は『深夜の翅音会議』のみであるが、収録が雨天に左右されるため、放送回数は月によって大きく異なる。
ラジオ・配信[編集]
ラジオでは系の深夜枠『バッタ論の草むら通信』を担当し、投稿ハガキの9割が「子どもの頃に見たバッタの夢」で占められた時期があった。配信番組『標本にならない夜』では、視聴者コメントを虫ピンで留める演出が毎回物議を醸した。
ほか、では『1分でわかるバッタ論』を公開しているが、最短回で2分18秒あるため、チャンネル登録者の一部からは『尺の概念がささやく』と評されている。
その他の出演[編集]
映画『草原の向こうで笑え』、テレビドラマ『下町の標本室』、CM『農協チップス・飛べない篇』などにも出演した。『農協チップス・飛べない篇』は、佐伯が『飛べないバッタにも、姿勢はある』と言い切るだけの内容であったが、なぜか地方限定で3年放送された。
舞台ではでの特別公演『翅の会』が有名で、客席通路に緑色のリボンを敷き詰めた演出が印象的であった。
作品[編集]
CD『バッタ論のすべて』、DVD『跳躍の記録』、配信限定EP『夜の草むらにて』などがある。音源作品では、ネタの合間に採集音が挿入されており、ファンの間では『笑いより環境音が濃い』とされる。
特にDVD『跳躍の記録』は、特典映像で2人がの水田を見学するだけの映像が収録されており、劇場版より再生回数が多い。なお、編集時に入った「バッタは飛ぶのではなく、社会に接続する」というテロップは、制作側の誤植である可能性が指摘されている。
単独ライブ[編集]
単独ライブは『翅の裏側』『草原の最前列』『脱皮のあとで』などを定期的に開催している。いずれもタイトルに明確な季節感があり、春に強く、秋には妙にしんみりする傾向がある。
の『脱皮のあとで』では、ライブ終盤に観客へ小さな紙製の草が配られた。南出はこれを『帰宅後に笑いを再生するための触媒』と説明したが、実際にはアンケート用紙を間違えて折ったものだったとされる。
書籍[編集]
著書に『バッタ論の話法』『笑いと翅のあいだ』『草むらで考える』がある。いずれもから刊行され、帯文はやけに真面目である。
『バッタ論の話法』では、佐伯がツッコミの際に右手だけでなく左膝も使っていることが図解されている。また、巻末の対談ではの比較文化研究者が『これはお笑いの形をした生態系である』と述べたとされる[5]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 松井康平『下北沢の笑いと湿度』緑道出版, 2012.
- ^ 田所由紀『擬態する漫才論』草原社, 2015.
- ^ A. Thornton, "Comedy and Entomology in Late Urban Japan," Journal of Performance Studies, Vol. 18, No. 2, pp. 44-67, 2016.
- ^ 佐伯さとる・南出ひかる『バッタ論の話法』緑道ブックス, 2020.
- ^ 高橋真理子『寄席に現れた小さな群飛』新潮社, 2011.
- ^ K. Hasegawa, "The Aesthetic of Jump-Cut Timing," Contemporary Comic Arts Review, Vol. 7, No. 4, pp. 101-118, 2019.
- ^ 『日本昆虫文化協会年報』第12巻第1号, pp. 9-22, 2021.
- ^ 河合健一『草むらとマイクロフォン』文化放送メディア叢書, 2018.
- ^ M. Caldwell, "When Grass Becomes a Punchline," The Laughing Frame Quarterly, Vol. 3, No. 1, pp. 5-19, 2014.
- ^ 南出ひかる『望郷じょんからを口で鳴らす方法』緑道研究室, 2022.
外部リンク
- 緑道プロダクション公式プロフィール
- 下北沢演芸協会アーカイブ
- 日本昆虫文化協会 特設ページ
- 深夜の翅音会議 公式サイト
- バッタ論ファン倉庫