Wテクノ
| コンビ名 | Wテクノ |
|---|---|
| 画像 | なし |
| キャプション | 舞台袖で計測器を調整する両名 |
| メンバー | 倉橋 直也、三枝 真吾 |
| 結成年 | 1997年 |
| 解散年 | なし |
| 事務所 | 株式会社ツインリンク企画 |
| 活動時期 | 1997年 - 現在 |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 両者 |
| 出身 | 東京都世田谷区 |
| 出会い | 都内の電子工作サークル |
| 旧コンビ名 | ダブル・トランジスタ |
| 別名 | WTK |
| 同期 | ラジカル鉛筆、白線ゲート |
| 影響 | テレビ用時刻表芸の定着 |
| 現在の代表番組 | 『深夜回路倶楽部』 |
| 過去の代表番組 | 『平成ノイズ便』 |
| 現在の活動状況 | テレビ、舞台、配信で活動 |
| 受賞歴 | テクノ漫才大賞2004準優勝、東京お笑いメカ展2008優秀賞 |
| 公式サイト | Wテクノ公式資料室 |
Wテクノ(だぶるてくの)は、発の。主にと装置コントを行う・所属。1997年結成で、NSC東京校7期生とされる[1]。
概要[編集]
Wテクノは、1990年代後半ので台頭した、機械音と時刻表的な言い回しを売りにするコンビである。結成当初は電子工作サークルの延長として扱われていたが、後にの小劇場を拠点に独自の「計測系笑い」を確立したとされる[2]。
特に、ツッコミ側が定規、ボケ側がオシロスコープのような身ぶりで応酬する形式が知られ、深夜番組での短尺ネタが人気を博した。なお、本人らは「笑いは誤差の蓄積である」と公言していたが、当時の出演記録の一部は事務所の火災で失われたため、初期の活動には不明点も多い[3]。
メンバー[編集]
倉橋 直也(くらはし なおや)はツッコミ担当で、ネタ作成の半分を担うとされる。言い間違いを拾っては秒数で訂正する芸風で知られ、頃には「1秒遅い男」とのあだ名がついた。
三枝 真吾(さえぐさ しんご)はボケ担当で、元はの電子部品店でアルバイトをしていたとされる。小道具の改造が得意で、舞台上で使うマイクスタンドに自作のLED表示板を仕込んだことがあり、から注意を受けたという逸話が残る[4]。
来歴[編集]
結成から下積み[編集]
両者はの地域向け電子工作講座で知り合い、1997年春に結成されたとされる。最初期は「ダブル・トランジスタ」を名乗っていたが、客席で名前が長すぎると評判が悪く、同年末にWテクノへ改称した。
1998年にはのライブハウス「地下磁場」で初舞台を踏み、観客17人中14人が知人であったという記録がある。だが、彼らのネタが妙に精密であったため、主催者が漫才ではなく実験発表と誤認したという。
東京進出[編集]
2001年、活動拠点をに移したことが転機となった。ここで彼らは「コントというより配線図」と評される短編ネタを量産し、系の深夜番組『平成ノイズ便』に抜擢された。
同番組では、スタジオの時報とネタの起点を合わせる演出が話題となった。倉橋が「7秒遅れて笑いを取りに行く」と発言した回は、視聴率2.4%ながら番組掲示板で異常な長文考察を呼んだとされる[5]。
芸風[編集]
Wテクノの芸風は、を基調としつつ、舞台装置の挙動や生活家電の音を笑いのトリガーに変える点に特徴がある。特に「起動音からオチまでを45秒以内に収める」という独自規格を持ち、業界内では「短波数漫才」と呼ばれた。
また、三枝が機械語のような単語を並べ、倉橋がそれを逐一人間語へ翻訳する構成が多い。本人らは頃から「ネタ作成は両者が交互に担当する」と説明していたが、実際には倉橋が夜間に整えた台本へ三枝が勝手にネジ名を足していたという証言もある[6]。
コントでは、役所、病院、駅の窓口など、手順の多い場所を題材にすることが多く、内の公共施設で実際に打ち合わせを行うこともあった。これが後に「現場感のあるボケ」と評され、同業者に影響を与えたとされる。
エピソード[編集]
2004年、で行われた企画ライブにおいて、舞台袖の照明タイマーが故障し、彼らだけが予定より9分早く登場したことがある。このとき倉橋は即興で「時刻表が先に着いた」と言い、これがそのまま代表的な決め台詞となった。
2008年にはの展示ブースで、ネタ中に使用するハンディ計測器がの備品と誤認され、主催者側が一時回収した。三枝はこれに対し「笑いの公共性が高すぎた」とコメントしたと伝えられている。
なお、2002年の夏に倉橋がの古書店で購入したという「旧国鉄ダイヤ改訂表」をネタ帳に転用した逸話は有名である。これにより、以後の彼らのネタには不自然なまでに分単位の精度が導入された。
出囃子[編集]
出囃子は、架空のシンセサイザー曲「Terminal No.7」とされている。原曲は後半に都内のインディーズ作曲家・石川ルミオが制作したデモテープだが、Wテクノが許諾を得たのは2003年で、以後は短い発車メロディ風のアレンジで使用された。
関係者によれば、出囃子の最後の1小節だけが毎回微妙に異なり、倉橋が袖で秒針に合わせて手動修正していたという。もっとも、本人は「毎回違うように聞こえるだけで、実際は同じ」と説明しており、音響スタッフとの間で小競り合いが起きたこともある。
賞レース成績・受賞歴[編集]
Wテクノはのテクノ漫才大賞で準優勝し、審査員の一人から「発想がやけに工学的で、笑う前に測定したくなる」と評された。続くには東京お笑いメカ展で優秀賞を受賞し、同年の『深夜回路倶楽部』出演を足がかりに知名度を高めた。
一方で、出場歴については、2001年から2006年まで毎年1回戦で姿を消したとする資料と、2003年に準々決勝進出したとする資料が併存している。事務所内の台帳が手書きで、しかも雨漏りで一部にじんでいたためと説明されている[7]。
出演[編集]
テレビ番組[編集]
代表番組は系『深夜回路倶楽部』で、深夜の実験的バラエティとして知られる。Wテクノは「今週の誤差検証」というコーナーを担当し、視聴者投稿の失敗談を時刻表化して読み上げる役を務めた。
過去には『平成ノイズ便』『芸人配線図』『笑点外縁部』などに出演している。特に『笑点外縁部』では、座布団の枚数をネタの長さで決めるという無茶な演出が採用され、制作現場で半日単位の混乱を招いた。
ラジオ・配信[編集]
ラジオではの深夜帯番組『After Midnight Circuit』に準レギュラーとして出演し、リスナーから送られた家電の故障談を即興で漫才化していた。2020年以降は配信番組『Wテクノの再起動待ち』で月1回の生配信を行い、コメント欄の誤変換を拾う形式が定着した。
また、短尺動画配信では、15秒で終わる「自己紹介だけのコント」が話題となり、再生回数は非公式集計で約86万回に達したとされる。もっとも、その大半はリピート視聴であったという指摘もある。
作品[編集]
CDとしては、2005年に『漫才回路図集』、2011年に『誤差のうた』を発表している。前者はネタ音源と効果音を収録した資料盤であり、後者は三枝が歌うことに強い抵抗を示したため、全編がささやき声で録音された。
DVDは『Wテクノ式 時刻表コント大全』(2009年)などがあるほか、舞台用の小道具設計図をまとめた小冊子『配線の前に笑え』が限定頒布された。なお、この小冊子はの会場で200部だけ配られたが、終演後にはなぜか27部しか残っていなかったという。
単独ライブ[編集]
単独ライブは毎年の小劇場を中心に開催され、タイトルに必ず記号や機能名が入ることで知られる。代表的な公演に『RESET』『周波数は聞こえない』『9秒前の拍手』などがある。
2014年の『RESET』では、終演後に観客へ紙製の説明書が配布され、ネタの途中で出た用語の意味が一覧化されていた。この試みは一部で「親切すぎる」と批判されたが、逆に地方公演での理解度を上げたとして評価された。
書籍[編集]
著書として、インタビューとネタ解説をまとめた『笑いの回路設計』(2012年、風の架空書籍)がある。倉橋が章末で自作の図表を挿入し、三枝がその余白にツッコミを書き足す構成で、芸人本としては異例の注釈密度を誇った。
また、『東京漫才機械論』という共著企画があったとされるが、刊行直前に執筆者の一人が「これは学術書ではなく設計書である」と主張し、流通が止まったという。編集担当の証言では、初校の段階で脚注が本文より長くなっていた。
脚注[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
Wテクノ公式資料室
株式会社ツインリンク企画 芸人紹介ページ
深夜回路倶楽部 番組アーカイブ
東京お笑いメカ展 受賞者一覧
Wテクノ研究会 非公式年表
脚注
- ^ 佐伯 恒一『東京深夜芸人史――小劇場から回路へ』新潮社, 2014, pp. 118-143.
- ^ Marilyn S. Kline, "Circuit Timing and Laughter in Late-1990s Tokyo," Journal of Performance Folklore, Vol. 22, No. 3, 2009, pp. 41-67.
- ^ 井上 祥太『漫才装置論 入門』青土社, 2011, pp. 9-38.
- ^ 倉持 由紀子『平成ノイズ便とその周辺』河出書房新社, 2016, pp. 201-219.
- ^ T. H. Weller, "Measuring Punchlines: The W Techno Phenomenon," Comedy Studies Quarterly, Vol. 8, Issue 1, 2013, pp. 5-29.
- ^ 高瀬 達也『小劇場の誤差――ライブ文化の戦後史』岩波書店, 2018, pp. 74-101.
- ^ 藤堂 みなみ『出囃子の社会学』ミネルヴァ書房, 2020, pp. 156-180.
- ^ 編集部編『東京お笑いメカ展 記録集 2008』文化出版局, 2009, pp. 33-52.
- ^ A. R. Bennett, "When Timing Becomes a Bit," International Review of Comic Arts, Vol. 14, No. 2, 2015, pp. 88-104.
- ^ 中村 亮『笑いの回路設計資料集』双葉社, 2012, pp. 1-96.
外部リンク
- Wテクノ公式資料室
- 株式会社ツインリンク企画 公式タレント一覧
- 深夜回路倶楽部 アーカイブページ
- 東京お笑いメカ展 公式記録館
- Wテクノ非公認年譜委員会