バーチャルねこちゃん
| タイトル | バーチャルねこちゃん |
|---|---|
| 画像 | Virtual Nekochan box art.png |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | 北米版パッケージの試作稿 |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ルミナS2 |
| 開発元 | ミズハラ・パイロットワークス |
| 発売元 | セントラル・シアンソフト |
| プロデューサー | 水原 恒一 |
| ディレクター | 相沢 みどり |
| デザイナー | 黒澤 みつる |
| プログラマー | 遠野 俊介 |
| 音楽 | 板倉 ノエル |
| シリーズ | バーチャルねこちゃんシリーズ |
| 発売日 | 2004年11月18日 |
| 対象年齢 | CERO A相当 |
| 売上本数 | 約128万本 |
| その他 | 限定版に立体耳カバー同梱 |
『バーチャルねこちゃん』(英: Virtual Nekochan)は、にのから発売された用である。通称は「Vネコ」で、後にシリーズの第1作目として扱われるようになった[1]。
概要[編集]
『』は、の小規模開発チームが、当初は教育用デモとして制作したである。プレイヤーは、量子通信で遠隔操作される子猫型端末「ねこちゃん」を操り、仮想都市の通信障害を復旧させていく。
本作は、可愛らしい外観に反して入力遅延の管理と弾幕回避を要求する設計で知られている。また、ゲームシステムの特徴として、しっぽの振幅によって弾道が変化する「テール・ディフレクション」が採用され、発売直後から妙に技術解説が盛り上がった[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームは横スクロール形式で進行し、プレイヤーはを操作して、落ちものパズルの要領で降下する信号ノイズを回避する。攻撃は肉球ビーム、ひげ索、及び短距離ワープの三系統に分かれ、連続入力で「おひるねモード」へ移行すると被弾判定が一時的に小さくなる。
さらに、一定条件を満たすと画面左下に「満足度」が表示され、これが高いほどスコア倍率が上昇する。攻略本ではこの仕様を「温度管理型スコアリング」と呼んでおり、実際にはかわいい見た目に比べてかなり職人的である。
戦闘[編集]
戦闘はとの中間に位置する独特の設計とされる。敵は巨大化した家電、迷子の広告バルーン、及び自己増殖する毛玉などで、ボス戦では「冷却ファンの唸り声」が弱点提示のヒントになっている。
また、協力プレイでは二人目の操作キャラクターとして「ねこちゃん2号」を選択できるが、こちらは本編の半分ほどの火力しか持たない代わりに、敵の弾を見てから寝返るという癖の強い補助AIが付属する。
アイテム[編集]
主なアイテムは、回復用の「ちゅーる缶」、高速移動を可能にする「段ボールスラスター」、敵の行動を5秒だけ遅延させる「鈴タイマー」である。なお、隠しアイテムの「社長の名刺」を取得すると、なぜか一部の自動砲台が敬礼して停止する仕様があり、要出典のまま長年放置されている。
このほか、夜間ステージ専用の「月明かりフィルタ」は、装備すると全体の彩度が落ちる代わりに、弾の軌跡がほとんど見えなくなるため上級者向けとされる。
対戦モード・オフラインモード[編集]
対戦モードでは、各プレイヤーが小型端末を持ち寄り、ローカル通信で毛玉を奪い合う形式が採用された。オンライン対応版では全国のプレイヤーの「なで回数」が集計され、週末になるとの屋根上に巨大な投影ねこが出現する演出が追加された。
オフラインモードは、通信が不安定な環境でも遊べるよう設計されており、結果として本編よりも長い「自動毛づくろいデモ」が収録された。これが一部のファンからは「事実上の瞑想ソフト」と呼ばれている。
ストーリー[編集]
舞台は、全市的な仮想飼育ネットワークを導入した近未来都市である。ある日、市内の通信網「ネコノード」が未知のノイズに汚染され、住民の家電が一斉に猫語を話し始める事件が発生する。
主人公の整備士は、廃棄予定だった端末から覚醒した試作個体「ねこちゃん」を受け取り、各地区の中継塔を修復しながら事件の原因を追う。やがて、ノイズの正体が市長選のために開発された感情増幅装置の暴走であることが判明し、物語は「かわいいものを可愛いまま使うべきか」という妙に重い問いへ着地する。
終盤では、ねこちゃんが自ら通信衛星へ上昇し、都市全体の信号を再同期させる。エンディングは三種類あり、最良条件を満たすと「にゃー」としか表示されないエンドロールが流れるが、これは開発初期からの演出であるとされる。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は、本作のプレイヤーキャラクターであり、正式には「V-07型量子伴走端末」とされる。外見は三毛猫を模した小型ホログラムであるが、内部には応答制御用の冷却水路が通っており、設定資料では「撫でると最も安定する」と記されている。
仲間[編集]
は整備士であり、実質的な進行役である。ほかに、通信局の技師、屋台街の情報屋、及び謎の老猫型AIが同行する。
とくには、会話のたびに哲学的な助言をする一方で、ステージ中は段ボールにしか入らないため、発売当時から人気が高かった。
敵[編集]
敵役は「ノイズ獣」と総称され、代表例として、及び最終ボスのが挙げられる。いずれも日用品や行政機器をベースにしており、制作側は「都市生活へのささやかな反乱」と説明している。
なお、隠し敵として「深夜の冷蔵庫」が存在するが、出現条件が極めて特殊であるため、攻略サイトの間でも半ば都市伝説扱いである。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、ペットは生体ではなく「情動同期装置」として設計されている。これはが、都市孤独率の上昇を抑えるために導入した制度で、住民は月額98ミラーで仮想の伴走端末を貸与される。
「バーチャルねこちゃん」という語は、当初は機体名ではなく市民向けの愛称であったが、発売後にメディアが作品名として定着させたとされる。シリーズ設定資料によれば、ねこちゃんは全部で18系統・64変種が計画されていたが、実際に実装されたのは7変種のみである。
また、作中で頻出する「にゃん相認証」は、顔認証ならぬ耳角度認証のことである。ただし第2章では、認証に失敗した際に市役所のエレベーターが勝手に鳴き声を上げる現象があり、これはバグか仕様かで長く議論された。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
企画は、の展示会で公開された入力遅延検証用デモ「Project N-Delay」から派生したとされる。プロデューサーのが、会場に置かれていた試作端末を撫でたまま三時間帰らなかったことが、企画成立の直接のきっかけになったという。
その後、は教育ソフトとしての販売を想定していたが、試遊版が妙に中毒性を持っていたため、が家庭用ゲームとしての再構成を提案した。
スタッフ[編集]
ディレクターは、キャラクターデザインは、背景監修はが担当した。音楽のは、実際の猫の呼吸音を解析してベースラインに変換する手法を採り、結果として全曲が妙に眠くなると評された。
プログラマーのは、当時としては珍しい「弾道の揺らぎを乱数ではなく心拍値で制御する」方式を試みたとされるが、最終版では開発用の疑似値に差し替えられた。
音楽[編集]
サウンドトラックは、電子音と鈴の倍音を基調とした全24曲で構成されている。特に「Midnight Litter Box」は、発売直後からゲーム音楽イベントで定番化し、での公演ではアンコールの代わりに観客全員が無音でなでる所作を行ったと伝えられる。
主題歌「Nya Horizon」は、当初はCM用の15秒ジングルであったが、店頭試遊機の待機画面で延々とループしたため、結果としてファンの記憶に深く刻まれた。後年のサウンドトラックCDでは、未使用曲「冷蔵庫のうた」が収録されている。
他機種版・移植版[編集]
には向け廉価版が発売され、にはへ移植された。クロノボード版ではタッチ操作に対応したが、細かな連続回避が難しくなったため、上級者からは「かわいいが、指が死ぬ」と評された。
さらに、には相当の配信サービス「シアン・アーカイブス」に収録され、当時の紹介文で「家庭内の孤独を撫でて解消する傑作」と書かれたことが話題になった。なお、海外向けにはに英語版『Virtual Nekochan: Fur Response』が発売されたが、タイトル末尾の副題だけで会議が三回中断したという。
評価[編集]
発売初週の販売本数は約14万本で、累計ではを突破したとされる。小規模開発の作品としては異例の伸びであり、審査委員会からは「技術的整合性と情緒的破壊力が並立している」と評された。
一方で、レビューでは「操作感が硬派すぎて、キャラクターとの印象差が激しい」「途中から猫というより通信設備である」といった声も見られた。ファミ通系のクロスレビューではゴールド殿堂入りを果たしたとされるが、採点表の一部が毛だらけで判読不能になっていたという逸話も残る。
関連作品[編集]
続編として『バーチャルねこちゃん2 ひげの反乱』、『バーチャルねこちゃん: さよなら毛玉星』が制作された。ほかに、派生作として落ちものパズル『ねこちゃんブロックZ』、及び要素を薄めた『バーチャルねこちゃん まどろみ日和』が存在する。
また、テレビアニメ化された『にゃんだふる・シグナル』は、本作の世界観を下敷きにしたメディアミックス作品として展開され、放送当時はED映像の段ボール率の高さが話題となった。
関連商品[編集]
攻略本『バーチャルねこちゃん 完全なでごこち解析書』は、全224ページのうち48ページが撫で方の角度表になっている。書籍版『ミラージュ市通信局 年報2004』は、実在の行政文書の体裁を借りながら、ほぼ半分が用語集で占められていた。
その他の商品として、限定版サウンドトラック、立体耳カバー、及び「自動で振れるしっぽ型USB扇風機」が発売された。なお、扇風機は静音設計をうたっていたが、最大出力時には逆に部屋の猫が集まりすぎる欠点があった。
脚注[編集]
1. ^ 初期企画書では『V-07 仮想伴走端末試作記録』と記されていたとされる[要出典]。 2. ^ ただし発売日表記には諸説あり、店頭配布資料ではとなっていた例も確認されている。 3. ^ 売上本数はの社内年報に基づく数値とされるが、海外版を含むかは不明である。
参考文献[編集]
・水原 恒一『Vネコ開発日誌 量子伴走端末の午後』セントラル・シアン出版, 2005年.
・相沢 みどり『かわいい弾幕の設計学』東都ゲーム研究社, 2007年.
・板倉 ノエル『猫耳と周波数』ミラージュ・サウンド叢書, 2008年.
・黒澤 みつる『キャラクターはなぜ寝返るのか』シアン・プレス, 2006年.
・『ゲーム年鑑 2004―2005 特集: 感情同期端末の時代』日本デジタル娯楽協会, 2005年.
・Margaret A. Thornton, "Feline Interfaces and Urban Solitude", Vol. 12, No. 3, pp. 44-71, Journal of Synthetic Play Studies, 2009.
・Kenji Harada, "Delay-Tuned Cats in Japanese Home Console Culture", Vol. 8, No. 1, pp. 103-129, Interactive Media Review, 2011.
・『ルミナS2 ソフトウェア設計史』クロノボード文庫, 2010年.
・真田 連『通信障害と毛玉の記憶』港区未来技術資料室, 2012年.
・Eleanor M. Voss, "Why Players Pet the Screen", Vol. 5, No. 2, pp. 9-18, Quarterly of Digital Anthropology, 2014.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
Virtual Nekochan 公式アーカイブ
ミラージュ市通信局 作品紹介ページ
シアン・レトロゲーム博物館
Vネコ研究会
ねこちゃん設定資料室
脚注
- ^ 水原 恒一『Vネコ開発日誌 量子伴走端末の午後』セントラル・シアン出版, 2005年.
- ^ 相沢 みどり『かわいい弾幕の設計学』東都ゲーム研究社, 2007年.
- ^ 板倉 ノエル『猫耳と周波数』ミラージュ・サウンド叢書, 2008年.
- ^ 黒澤 みつる『キャラクターはなぜ寝返るのか』シアン・プレス, 2006年.
- ^ 『ゲーム年鑑 2004―2005 特集: 感情同期端末の時代』日本デジタル娯楽協会, 2005年.
- ^ Margaret A. Thornton, "Feline Interfaces and Urban Solitude", Vol. 12, No. 3, pp. 44-71, Journal of Synthetic Play Studies, 2009.
- ^ Kenji Harada, "Delay-Tuned Cats in Japanese Home Console Culture", Vol. 8, No. 1, pp. 103-129, Interactive Media Review, 2011.
- ^ 『ルミナS2 ソフトウェア設計史』クロノボード文庫, 2010年.
- ^ 真田 連『通信障害と毛玉の記憶』港区未来技術資料室, 2012年.
- ^ Eleanor M. Voss, "Why Players Pet the Screen", Vol. 5, No. 2, pp. 9-18, Quarterly of Digital Anthropology, 2014.
外部リンク
- Virtual Nekochan 公式アーカイブ
- ミラージュ市通信局 作品紹介ページ
- シアン・レトロゲーム博物館
- Vネコ研究会
- ねこちゃん設定資料室