パンスペルミア
| タイトル | パンスペルミア |
|---|---|
| 画像 | Panspermia_cover.png |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | 北極圏の採種港を描いたパッケージアート |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドリフトサターン、ホライズン64、ルミナス・ポータブル |
| 開発元 | オルソニア・ソフトワークス |
| 発売元 | セレスティアル・メディア |
| プロデューサー | 高見沢 恒一 |
| ディレクター | リュカ・ヴォルフ |
| デザイナー | 小島 透、M. H. Alder |
| プログラマー | 斎藤 恒一郎、Nadia Bell |
| 音楽 | 河合 真理子 |
| シリーズ | パンスペルミアシリーズ |
| 発売日 | 1998年11月19日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 約126万本 |
| その他 | 初回特典に発光種子フィルム同梱 |
『』(英: Panspermia)は、にから発売された用。宇宙塵に混入した生命種子を回収し、銀河各地へ撒き戻すことを目的とした作品で、シリーズの第1作目にあたる[1]。
概要・概説[編集]
『』は、が開発した架空のである。プレイヤーは「播種船」の航行士として、彗星核に封印された生命素片を回収し、失われた惑星系へ再配置する任務を担う。
本作は、当初は学術啓蒙用のシミュレーションとして企画されたが、途中で「撃って撒く」という単純な快感を前面に押し出した結果、的な会話劇とに近い資源整理が混在する独特の作品になったとされる。通称は「パンスぺ」である[2]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステムの特徴として、宇宙空間に漂う「種殻」を集め、色相ごとに分解しながら敵対微生物群をで排除する二層構造が採用されている。プレイヤーは機体を横スクロールで操作するが、同時に艦内の培養槽を管理する必要があり、説明書には「撃つほど忙しくなる教養ゲーム」と記されていた[3]。
戦闘では、通常弾のほか、胞子雷・恒星培地弾・凍結ミスト波などの特殊武装が使える。とくに「対戦モード」では、相手の船団に生命種子を先に根付かせた側が勝利となる非対称ルールが採用され、発売当時の攻略誌では「協力プレイなのに最後は泥仕合になる」と評された。
アイテムは、酸素片、重力栄養剤、琥珀カプセルの3系統に大別される。なお、オフラインモードの終盤には、一定時間ごとにプレイヤーの保存データ名が自動的にへ翻訳される仕様があり、一部のユーザーからは「セーブが学名化する」として話題になった。
ストーリー[編集]
舞台は、太陽系外縁で発見された漂流研究施設「」である。主人公は、そこから発見された不完全な播種記録を手がかりに、生命の起源をめぐる12個の封印区画を巡る。
物語は、かつてへ到達した生命種子の一群が、の私設天文台を経由して密かに地球へ戻されていたという、きわめて奇妙な記録から始まる。中盤ではの監査官が登場し、主人公に対して「播種は自由だが、分類は自由ではない」と告げる場面がある。
終盤、主人公は銀河系で最初に「撒かれたもの」と「拾われたもの」が同一であった事実に気づく。ここで選択肢によってエンディングが分岐し、真エンドでは、宇宙の起源そのものが巨大な種子倉庫の棚卸しだったことが示唆される。要出典。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
リオ・ヴァレルは、本作の主人公である。の海洋気象区画で育った設定で、航行士資格を持つが、船酔いだけは克服できていない。彼の口癖は「宇宙も結局は培地である」で、作中でもっとも引用回数が多い台詞とされる。
仲間[編集]
ノエミ・サージは培養主任で、種殻の色調から危険度を判別できる。カイル・マックレイは戦闘担当の整備士で、初登場時に自分の機体より先に培養槽を修理してしまうため、プレイヤーから「順番の変な人」と呼ばれた。
また、案内AIの「ミネルヴァ34」は、との間で会話を勝手に行き来する仕様で、イベント中に一度だけという年号を航行単位として換算する。
敵[編集]
敵対勢力は「空白繁殖体」と総称される。通常個体は単なる微生物群に見えるが、ボス戦では銀河の地図そのものを食い荒らす巨大図譜生命体として現れる。最終ボスの「ゼロ・ミコト」は、プレイヤーが拾った最初の種子データを模倣して生成された存在である。
用語・世界観[編集]
作中世界では、生命は「情報を持つ粉塵」として宇宙を移動するとされている。これを説明するために用意された独自用語に「播種圏」「種子航路」「恒星発芽率」があり、いずれもゲーム内百科で確認できる。
世界観は一見すると寄りであるが、細部には神秘主義的な演出が混ざっている。たとえば、の輪は失われた文明の保存棚であるとされ、の裏側には「未配達の生命票」が累積していると説明される。
設定資料集によれば、惑星系は全部で47層の管理区画に分かれており、各区画には最低1つの「眠る起源」が埋め込まれているという。ただし、この数は試作版では49層だったとも記録されており、のちに開発会議で「多すぎる」と削られたらしい。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
本作は、に鎌倉市の貸し会議室で行われた社内企画会議から始まったとされる。当初の題材は「宇宙で回転寿司を運ぶゲーム」であったが、科学考証担当の助言により、寿司は種子に置き換えられた。結果として、開発メンバーの多くが「なぜか話が難しくなった」と回想している。
試作1号は、敵を倒すと画面に植物図鑑が増えるだけの静かな作品だったが、社長の「撃っている感が足りない」の一言で大幅に改変された。以後、企画書の余白に鉛筆で書かれた「撒けば増える」というメモがそのまま最終キャッチコピー「撒いて、撃って、帰還せよ。」に採用された。
スタッフ[編集]
スタッフは、SF考証の田辺理一、背景美術のエレナ・コルヴィン、特殊効果の岸本洋介らで構成されていた。音響面では、河合真理子が実際の培養槽の振動を録音し、低音部に混ぜている。
なお、当時の開発日誌には「第3章のボスは、目を離すと銀河を2回飲み込む」との記述があり、実装段階で一度削除されたが、後年の移植版で復活した。
音楽[編集]
サウンドトラックは、電子音楽と合唱を組み合わせた実験的な構成で、全34曲が収録されている。とくに「Seed in Vacuum」は、無音部分が長すぎるとして発売前に編集部から指摘を受けたが、結果的にシリーズの代表曲となった。
主題歌「Orbit of Dust」は、当初風の短いジングルとして制作されたが、最終的には4分12秒の合唱曲に拡張された。発売後にはの音楽部門で特別賞を受賞したとされるが、選考委員が本作の説明文を最後まで読めなかったという逸話が残っている。
他機種版・移植版[編集]
には版が発売され、画面比率の変更に伴って生命種子の数が平均で17%増加した。これにより、敵配置が過密になりすぎたため、北米版では一部の区画が「見学専用」に差し替えられている。
の版では、通信機能を利用した「微小播種交換」が追加され、近距離通信中に互いのセーブデータの一部が混ざる事例が報告された。公式サイトはこれを「仕様上の交配」と説明したが、実際にはデバッグ用の乱数設定が残っていたためだとされる。
さらに相当の配信サービス「レトログラフ棚」でも再配信され、操作性はやや古いものの、発売当時の説明書をほぼそのまま読ませる設計が再評価された。
評価[編集]
発売初週の販売本数は約8万4000本で、年末商戦では累計41万本を突破した。最終的には全世界累計126万本を記録し、オルソニア・ソフトワークスの看板シリーズとなった[4]。
レビューでは「奇抜だが理屈は通っている」「学術パロディとしても一級」といった評価が多かった一方、「途中から本当に何をしているのかわからなくなる」という批判もあった。特に、終盤の説明文にだけ異様に細かいの粒径データが挟まる点は、熱心なファンと考証好きの双方に強い印象を残した。
海外では一部地域で「発想が美しすぎて冗談に見える」と評され、逆にカルト的な人気を獲得した。なお、発売から3年後に教育機関向けの特別版が作られたが、そちらは戦闘よりも分類作業の方が難しいとして、学生に不評だったという。
関連作品[編集]
続編として『パンスペルミアII 反響の彗星』、『パンスペルミア零:培地都市の夜』が制作されたほか、派生作として落ちものパズル『パンスペルミア・スライド』がある。
また、テレビアニメ化された『播種士リオの航跡』は、本作の登場人物を再編したメディアミックス作品で、毎回最後に「次回、種子が足りない」と締める演出で知られる。ゲーム版の人気を背景に、短編映画、ドラマCD、実験的なボードゲームまで展開された。
関連商品[編集]
攻略本『パンスペルミア完全航行書』は、全384ページのうち112ページが用語集で占められており、図版の多さから実用書というよりも天体博物誌に近い体裁である。書籍版『銀河播種論序説』は、ゲーム内設定を学術風に再構成したもので、大学のゼミで半ば冗談として使われた例がある。
その他、種殻型キーホルダー、光る培養槽カレンダー、サントラ初回版に付属した透明スリーブなどが発売された。とくに「生命素片入浴剤」は、開発元が「実際には入っていない」と注意書きを付けたにもかかわらず、再販時に品切れとなった。
脚注[編集]
初回プレス版の帯文より。 雑誌『月刊ドリフト』12月号、レビュー欄。 『パンスペルミア 取扱説明書』オルソニア・ソフトワークス、。 セレスティアル・メディア決算資料(版)。
参考文献[編集]
田辺理一『銀河播種学入門』セレスティアル書房, 2002年.
M. H. Alder, "Vacuum Seeds and Interactive Myth", Journal of Ludic Astrobiology, Vol. 14, No. 2, pp. 41-68, 2004.
高見沢 恒一『ゲームと生命起源のあいだ』オルソニア出版, 1999年.
Nadia Bell, "Input Lag and Germination Curves", Proceedings of the 7th Interstellar Game Studies Symposium, pp. 109-117, 2001.
『パンスペルミア設定資料集 星屑の系譜』セレスティアル・メディア, 1999年.
Luca Wolff, "Designing a Shooter That Pretends to Be a Textbook", Retro Design Quarterly, Vol. 8, pp. 5-19, 2005.
岸本洋介『音の培養槽』港北サウンド叢書, 2003年.
"The Weird History of Seeding in Space", Orbital Leisure Review, Vol. 3, No. 1, pp. 77-90, 2006年.
エレナ・コルヴィン『背景に生えるもの』白夜図版社, 2004年.
『播種船航路記録 第3巻』国際天体生物学連盟資料室, 2007年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
セレスティアル・メディア公式アーカイブ
オルソニア博物館 作品資料室
レトログラフ棚 配信ページ
月刊ドリフト 特集記事データベース
パンスペルミア考証同盟
脚注
- ^ 田辺理一『銀河播種学入門』セレスティアル書房, 2002年.
- ^ M. H. Alder, "Vacuum Seeds and Interactive Myth", Journal of Ludic Astrobiology, Vol. 14, No. 2, pp. 41-68, 2004.
- ^ 高見沢 恒一『ゲームと生命起源のあいだ』オルソニア出版, 1999年.
- ^ Nadia Bell, "Input Lag and Germination Curves", Proceedings of the 7th Interstellar Game Studies Symposium, pp. 109-117, 2001.
- ^ 『パンスペルミア設定資料集 星屑の系譜』セレスティアル・メディア, 1999年.
- ^ Luca Wolff, "Designing a Shooter That Pretends to Be a Textbook", Retro Design Quarterly, Vol. 8, pp. 5-19, 2005.
- ^ 岸本洋介『音の培養槽』港北サウンド叢書, 2003年.
- ^ "The Weird History of Seeding in Space", Orbital Leisure Review, Vol. 3, No. 1, pp. 77-90, 2006年.
- ^ エレナ・コルヴィン『背景に生えるもの』白夜図版社, 2004年.
- ^ 『播種船航路記録 第3巻』国際天体生物学連盟資料室, 2007年.
外部リンク
- セレスティアル・メディア公式アーカイブ
- オルソニア博物館 作品資料室
- レトログラフ棚 配信ページ
- 月刊ドリフト 特集記事データベース
- パンスペルミア考証同盟