ベルフェゴール(モンスト)
| タイトル | ベルフェゴール(モンスト) |
|---|---|
| 画像 | (架空のパッケージイラスト) |
| 画像サイズ | 320px |
| caption | 堕神体ベルフェゴールの封印環が描かれた限定版ジャケット[2] |
| ジャンル | ハンティング・ロールプレイングゲーム |
| 対応機種 | 蒼星通信 / 収束クラウドBOX |
| 開発元 | 冥界機構ベックスト |
| 発売元 | 星界流通協同組合(直販コード: HELL-7) |
| プロデューサー | 鵺ヶ森 鏑次郎 |
| ディレクター | 長湯 朱音 |
『ベルフェゴール(モンスト)』(英: Belfegor (Monst)、略称: BFM)は、[[2051年]][[10月17日]]に[[日本]]の[[冥界機構ベックスト]]から発売された[[蒼星通信]]用[[コンピュータRPG]]。[[モンスト]]の第7作目であり、同名にちなむ[[架空の堕神体]]「ベルフェゴール」の総称でもある[1]。
概要/概説[編集]
『ベルフェゴール(モンスト)』は、[[蒼星通信]]向けの[[コンピュータRPG]]として設計されたハンティング・ロールプレイングゲームである。プレイヤーは「契約狩人」として操作し、[[渇晶(かっしょう)]]と呼ばれる鉱素の“音の欠片”を集め、[[堕神体]]に分類される敵性存在を封じていくこととされる[3]。
本作が特異なのは、戦闘の勝敗が単純なHPではなく、封印環の「残響(ざんきょう)」ゲージで決まる点にある。初期設計段階では“残響”は視覚演出のための副次パラメータだったが、発売直前にベータ参加者の不満を受けて主機能へ格上げされたとされ、開発陣の証言では「プレイヤーが一度も説明書を読まなかった」ことが理由として挙げられている[4]。なお、シリーズ第7作目であるため、[[モンスト]]旧作の狩猟データを一部参照する「継承同期」機能が搭載されたとも言及されている[5]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの中核は「封印環スキル」と「渇晶ドロップ」の連動にある。戦闘中、プレイヤーは敵の攻撃を回避するのではなく、音響フィールドを“ずらす”ことで敵の残響を奪う。具体的には、攻撃を当てる直前に入力猶予0.13秒以内でボタンを離すと、封印環が1段階深く閉じるとされる[6]。
アイテムは素材→錬成→刻印の3工程で作成されるが、刻印の工程だけは逆順で失敗すると「封じたはずの音」が手元に戻ってくるバグ(ただし有用とされた)として知られた。錬成炉は[[東京]]の「渦光研究所」跡で発見された“煤(すす)触媒”を模した演算素材から設計されたとされ、当時の攻略コミュニティでは「煤触媒っぽい失敗ほど高レアが出る」などの経験則が広まった[7]。
対戦モードとしては「残響チェーン戦」が用意され、協力プレイでは最大4人まで同じ封印環を“折り返し”共有できる。オンライン対応は発売から半年遅れのパッチで追加され、初期はローカル通信のみだったため、地元のイベント会場でLAN対戦が行列を作ったとされる。なおオンライン移行後には、残響チェーンが強すぎるとして短期間のメタ調整(封印深度-2%)が実施された[8]。
ストーリー[編集]
物語は、[[神奈川県]]の沿岸都市「[[砂端市]]」で発生した“無音の潮”から始まる。潮が鳴らないのではなく、音を受け取る側の世界が欠落しているという観測が広まり、研究機関は“音の回収”を禁じた。しかし禁令は、敵性存在「ベルフェゴール」が“回収の手がかり”として人々の記憶を使うことで破られていくことになる[9]。
プレイヤーは、封印環の設計図を持つ古文書「[[朱縫契(あかぬいけい)]]」の断片を追い、各地の“封印交差点”で堕神体を捕獲する旅を行う。終盤では、ベルフェゴールの正体が「討伐」ではなく「返歌(へんか)」によってのみ安定する存在であったとされる点が特徴である[10]。
また、ゲーム内の主要クエストの多くが「告白→否認→再告白」という三段階の台詞分岐で記録される。初見で理解できないプレイヤーが続出したため、開発側は“分岐の正解”をあえて公開せず、代わりに登場キャラクターが「君は答えを持ってきた。だから負ける」と意味深に言う演出を増やしたと語られている[11]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公(契約狩人)は名もなく、プレイヤーの設定した“狩猟番号”で呼ばれる方式を採るとされる。狩猟番号はゲーム内で最大7桁の任意入力が可能で、初期配布の番号パック「BFM-7-000001〜0009999」が話題になった[12]。
仲間としては、音響工学を扱う「[[菱刃(ひしば)]]のサリナ」、封印環の機構を作る元行政技師「[[渡辺精一郎]](わたなべ せいいちろう)」、戦闘補助AI「モノクロ詩学ユニット“オリフ”」などが登場する。渡辺精一郎は堕神体の“名前”よりも“息遣い”を重視すると語り、その口癖「封じるのは怪物ではなく、怪物の間(ま)だ」がミーム化したとされる[13]。
敵側にはベルフェゴールの眷属として、霧状の楽器人形「[[錆弦(さびげん)]]」、反射する刃の獣「[[鏡牙]]」、そして“無音の潮”に呼応する自律霊「[[白潮灯(しらしおとう)]]」が配置される。とくに鏡牙は、攻撃が当たった瞬間に残響ゲージが逆回転する設計で、発売当初は理不尽扱いされつつも、玄人ほど楽しいと評価が割れた[14]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観では、渇晶(かっしょう)が「音の結晶化物」として位置づけられる。渇晶は自然に生成されるのではなく、ある種の“記号の反復”によって地脈が疲弊して生まれるとされ、砂端市では過去に[[横浜市]]の倉庫街で行われた検閲資料の“再分類”が原因だったとする説がある[15]。
ベルフェゴール(モンスト)とは、単一の個体ではなく、封印環に反応する堕神体の系統群を指す通称である。系統の分類は「吼え(ほえ)」「歌(うた)」「息(いき)」の3軸で行われ、プレイヤーの残響ゲージの挙動が軸に対応しているとされる[16]。
なお、封印環の“深さ”は現実の音程(ヘルツ)に換算される仕様が採られており、公式攻略サイトでは「標準深度は 440.7Hz」と記載された。しかしその後、ファンによる再計測で「440.7Hzは誤記で、実測は438.1Hzだった」と指摘された。この差異が“後味の悪い正確さ”として称賛された点は、本作の熱狂を形作った要素である[17]。
開発/制作[編集]
開発は冥界機構ベックストが担当し、プロデューサーの鵺ヶ森 鏑次郎は「音は数字に変換されるが、数字は嘘をつく」と社内スローガンを掲げたとされる。ディレクターの長湯 朱音は、敵の残響を“プレイヤーの呼吸”で制御したかったが、当時のハード性能では呼吸センサーが安定しなかったため、疑似的な操作入力に置き換えたと述べられている[18]。
制作経緯としては、先行試作の段階で封印環スキルが単なる防御に過ぎなかった反省から、攻撃と防御の境界を曖昧にする方向に舵が切られたとされる。ゲーム内の3工程(素材→錬成→刻印)は、社内の「編集方針」が由来であり、映像班が“物語は刻印されるべき”と主張したことが採用理由になったともいう[19]。
スタッフは架空の経歴情報が一部混じっていることで知られ、たとえばサウンド担当の「[[大音(おおと)フロレ]]」は実在の学者の伝記文体を引用した略歴が掲載されたが、出典が弱く「要出典」と同人誌で指摘された[20]。このような混在も、当時のコミュニティでは“公式の余白”として楽しむ空気があったとされる。
音楽[編集]
音楽は[[オリフ・アーツ研究所]]と共同制作されたとされ、メインテーマには「封印の反復(ふういんのはんぷく)」というサブタイトルが付く。サウンドトラック『渇晶礼讃譜(かっしょうれいさんふ)』は全28トラックで構成され、うち7曲がベルフェゴール眷属との戦闘専用曲として用意された[21]。
特徴としては、残響ゲージの状態に応じてテンポが 120→127→112 のように“行ったり来たり”する可変演算が採用された点が挙げられる。公式には「プレイヤーの迷いを音にする」と説明されたが、初期レビューでは「迷いを誘導されているだけでは」との疑義が出た。のちに開発側は「誘導ではなく、音のほうが先に迷う」と回答したため、解釈の余地が残った[22]。
他機種版/移植版[編集]
他機種版としては収束クラウドBOX向けに再構成された『ベルフェゴール(モンスト)・再録』が発売された。移植では封印環スキルの入力猶予がハードにより変わるため、物理演算ではなく“演出上の残響”に寄せる調整が行われたとされる[23]。
また、関連する短編連作として、同世界観を描く読み物形式ゲームブック「[[渇晶礼讃譜(小説版)]]」が同梱され、ゲーム内の朱縫契断片に相当する章が紙面に転写された。これにより、ゲーム未経験者でもストーリー追体験が可能とされたが、読解難度が高いことで批判も出た[24]。
評価(売上)[編集]
発売後、本作は初週で全世界累計 128.6万本を突破したとされる。内訳は日本 54.1万本、北米 31.3万本、欧州 27.8万本、アジア 15.4万本という“細かすぎる数字”で報じられ、過剰に具体的な統計として当時の掲示板で笑われた[25]。
一方で評価は分かれた。ファミ通クロスレビューではゴールド殿堂入りとされ、戦闘の“残響設計”は高く評価された。ただし攻略難度に対してチュートリアルが短いという批判があり、「説明書を読まない人ほど刺さるが、読んだ人ほど裏切られる」などの声が出たとされる[26]。
日本ゲーム大賞においては、演出とシステムの融合が評価されて優秀賞相当の枠で受賞したと記録されている。とはいえ、後年の編集部検証では「受賞年の表記が一部資料と一致しない」という指摘が出ており、要出典扱いの小論が回覧された[27]。
関連作品[編集]
関連作品として、テレビアニメ『[[無音の潮は歌う]]』が挙げられる。本作の後日談を“別録”の形で描いており、ベルフェゴールを討伐ではなく宥める方向へ再解釈した内容として知られる[28]。
また、コミカライズ『朱縫契の断章』では、渡辺精一郎が主人公格として描かれ、封印環の設計図が“役所の決裁文書”として解釈されるという強いメタ構造が採られた。ファンの間では「ゲームが物語を食べ、漫画が物語を調理した」などの揶揄もあった[29]。
他にも、同世界観のオンラインイベントとして「残響灯(ざんきょうとう)フェス」が実施された。開催期間は 2020年ではなく、ゲーム内暦の「第17霧月(だいじゅうななぎりづき)」とされ、現実のカレンダーとズレる演出が話題になった[30]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本『ベルフェゴール(モンスト) 封印環の数理』は、残響ゲージの理論を“数学”として説明する体裁をとりつつ、実際には誤差込みの実測表を大量に掲載した。そこでは「理想入力の離しは 0.13秒、許容差は±0.04秒」といった細かい記述が目立ち、編集側が“読者の努力を購買に変える”方針だったのではないかと推測されている[31]。
書籍としては、物語背景を掘る『砂端市封印交差点記録集』が発売された。さらに派生グッズとして、朱縫契断片を模した“紙封印シール”や、封印環の形状を象ったキーホルダーが展開された。なお一部の店舗では、購入者限定で「渦光研究所跡ツアー応募券」が配布されたとされるが、応募締切日が謎めいていて「締切日が夜中12:03だった」とファンが報告している[32]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 冥界機構ベックスト『公式設定資料集:ベルフェゴール(モンスト)封印環編』冥界機構出版, 2051年.
- ^ 鵺ヶ森 鏑次郎「残響ゲージ設計思想と誤差の美学」『月刊インタラクティブ設計』第44巻第7号, pp.12-31, 2052年.
- ^ 長湯 朱音「継承同期機構のユーザビリティ分析」『ゲーム体験研究紀要』Vol.19 No.3, pp.77-95, 2052年.
- ^ 大音フロレ「音程可変演算の心理誘導—反復テンポ120→127→112の事例」『サウンド・シミュレーション年報』第6巻第1号, pp.201-244, 2053年.
- ^ 渡辺精一郎『朱縫契写本の読み解き:封印環は息で閉じる』砂端市文化局叢書, 2051年.
- ^ 星界流通協同組合「直販コード体系(HELL-7)の策定経緯」『流通監査レポート』第9号, pp.5-18, 2051年.
- ^ International Journal of Mythic Play「Belfegor Systems and Resonance-Based Difficulty Curves」Vol.3 No.2, pp.44-66, 2054年.
- ^ Famitsu Cross Review編集部『クロスレビュー黄金殿堂:2020年代RPGの転機』ファミ通書籍編集部, 2052年.
- ^ 砂端市教育委員会『無音の潮と都市の記憶』砂端市教育委員会, 2018年.
- ^ 渦光研究所(復刻)『煤触媒による音の結晶化:実験ノート再編』渦光研究所刊, 1937年.
外部リンク
- 蒼星通信ユーザーガイド(BFM特設)
- 冥界機構ベックスト公式アーカイブ
- 砂端市封印交差点データベース
- 封印環数理同好会
- 渇晶礼讃譜 公式リスニングノート