ポケットおっさん2 レッドバージョン
| タイトル | ポケットおっさん2 レッドバージョン |
|---|---|
| 画像 | Pocket Ossan 2 Red Version cartridge mockup |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 北米向け販促資料に掲載された箱絵の再現図 |
| ジャンル | コンピュータRPG |
| 対応機種 | ルビートロン・ポケット |
| 開発元 | 燐光ソフトウェア 第二制作室 |
| 発売元 | 燐光ソフトウェア |
| プロデューサー | 三好 恒一 |
| ディレクター | 久保田 透 |
| デザイナー | 相沢 祐介 |
| プログラマー | 森下 篤志 |
| 音楽 | 戸川 真里 |
| シリーズ | ポケットおっさんシリーズ |
| 発売日 | 1998年11月13日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 全世界累計184万本 |
| その他 | 通信ケーブル対応、赤外線対戦モード搭載 |
『』(英: )は、にのから発売された用である。『』の第2作目にあたり、通称は「レッド版」と呼ばれる[1]。
概要[編集]
『』は、がに発売した携帯型である。前作『』の成功を受けて制作され、赤い画面表示と“中年の気配”を管理する独自の成長要素が話題となった。
本作は、主人公であるをはじめとする「おっさん」を収集・育成し、を模した架空都市を探索する作品として知られている。とくに、画面上部に常時表示される「疲労値」と「昼寝欲求」がシリーズの象徴であり、当時の携帯機ゲームとしては異例の生活感を持つと評された[2]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステム[編集]
プレイヤーは主人公を操作し、駅前の喫茶店、深夜の立体駐車場、町内会館などを巡りながら、各地に出現するを回収していく。ゲームシステムの特徴として、会話選択よりも“沈黙を選ぶ”ことで好感度が上がる場面が多く、これが一部の攻略家から「逆接待型RPG」と呼ばれた。
また、敵との遭遇は従来のランダムエンカウントではなく、背後から「会釈」されることで発生する。会釈の角度が15度未満だと戦闘にならないという仕様があり、資料集では「社会性の再現」と説明されているが、実際にはディレクターの久保田が飲み会帰りに思いついたものだとされる[3]。
戦闘[編集]
戦闘はターン制で進行し、プレイヤーは、、などのアイテムを用いて相手のテンションを操作する。とくに「肩をたたく」コマンドは、本作の代名詞であり、成功すると敵を一時的に無力化できる一方、失敗すると相手が説教モードに移行する。
赤バージョン固有の要素として、怒りが頂点に達した際に発動するがある。これは画面全体が暗赤色に反転し、BGMがサックス独奏に変化する演出で、当時の子ども向け雑誌では「やけに渋い必殺技」と紹介された。
アイテム[編集]
代表的なアイテムには、体力を25回復する、寝不足を1日分だけ先送りする、および店舗特典だったがある。なお、仮眠シールは実際にはゲーム内で3枚までしか所持できないが、説明書には誤って7枚までと記載され、初版の回収騒ぎにつながった[4]。
また、売店で入手できるは、食べると一時的に防御が上がるが、使用後に必ず眠気が来るため、上級者ほど終盤まで温存したとされる。
対戦モード[編集]
本作は通信ケーブルを用いたを備えており、2人のプレイヤーが各々育成したおっさんを戦わせることができる。対戦は基本的に“説得力”の差で勝敗が決まり、片方が3回以上うなずくと敗北扱いになる。
また、赤外線通信によるも隠し要素として搭載されていた。これは喫茶店で向かい合って座った際にのみ使用可能で、実用性は低いが、当時の社内テストでは「妙に盛り上がる」として残されたという。
オフラインモード[編集]
オフラインモードでは、主人公が早朝の商店街を巡回し、住民の代わりに新聞を受け取るだけの“地域密着クエスト”が用意されている。これを3日連続で達成すると、隠し職業が解禁される。
なお、攻略本によれば、オフラインモードの最終目標は「誰にも会わずに1日を終える」ことであり、これを達成するとエンディングが“静かな成功”へ分岐するとされるが、実際に到達した者は少ない[要出典]。
ストーリー[編集]
物語は、の中古ゲームショップで働くが、赤いポケット端末を拾うところから始まる。その端末には、なぜか中年男性の感情を解析する人工知能「」が内蔵されており、島田は町中に散らばる“未回収の疲れ”を集める使命を負うことになる。
中盤では、主人公がに潜入し、都市の冷え切った人間関係を温める計画を阻止しようとする展開が描かれる。一方で、真の黒幕は連盟ではなく、毎週水曜だけ営業する謎の銭湯の番台であり、ここで発生する蒸気が全住民のやる気を奪っていたとされる。
終盤、島田はオッサムの正体が自分の20年後の姿をもとに作られた予測人格であることを知る。ラストバトルでは、プレイヤーは敵ではなく“自分の定期健康診断表”と戦うことになり、一定回数以上のチェック項目を埋めるとエンディングに到達する。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は本作の主人公で、28歳の量販店アルバイトという設定である。前作では未登場だったが、設定資料では「前作の町内会長の甥」とされており、シリーズの世代交代を象徴する人物とされた。
プレイヤーの選択に応じて、彼は“さわやかおっさん”“無口おっさん”“小言おっさん”の3系統に分岐する。なお、最強形態は「朝刊を畳まずに読む一郎」である。
仲間[編集]
仲間キャラクターとしては、、、が登場する。高瀬は攻略上ほぼ必須のヒーラーで、コーヒーを淹れるだけで全員の士気を回復する能力を持つ。
深町課長は本来は敵側の人物であるが、昼休みの談笑イベントをこなすと加入する。小野寺ユキオはシリーズ初の“資料室専任仲間”で、彼の加入後にしか読めない社内文書が42枚存在する。
敵[編集]
敵キャラクターは、、、など、妙に生活感のある人物と組織で構成される。とくに無言係長は、相手の発言を5秒以内に要約できないと即座に敗北する厄介なボスとして知られている。
最終ボスは、元々は町内の盆踊り実行委員だったが、16年間にわたり「赤いものは正義」という独自思想を深めた結果、巨大なスーツケース型端末に融合した。
用語・世界観[編集]
本作の舞台は、の臨海部を思わせるが、実際にはとの境界を参考にした合成都市であると説明されている。市内では「昼寝の自由」が条例で保護されており、午後2時から3時の間は多くの施設で自動的にBGMが小さくなる。
世界観を支える重要語としてがある。これは、都市全体のやる気が低下すると景観が赤く見え始めるという設定で、公式ガイドブックでは「働きすぎへの警鐘」とされたが、実際には赤色表示の液晶を誇示するための後付け設定であるとの指摘もある。
また、シリーズに共通するは、年齢ではなく“会話の間合い”“靴音の重さ”“名刺入れの摩耗具合”で決まる。最上位はで、到達者は町内イベントの司会を任される。
開発[編集]
制作経緯[編集]
開発は秋、前作の予想外のヒットを受けて開始された。燐光ソフトウェア社内では続編を「もっと若返らせるべきだ」との意見があった一方、企画会議で最も支持を集めたのは「中年らしさを極限まで推進する案」であり、これが本作の方向性を決めた。
タイトルに“レッドバージョン”と付いた理由については、開発初期の基板が赤く塗られていたためという説、販促会議で誰かがコンビニの辛口おでんをこぼしたためという説などがあるが、いずれも確証はない。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、前作の時点ではサブプランナーであったが、通勤電車内で「おっさんはポケットに入るべきだ」と発言して企画を通したと伝えられている。音楽担当のは、実在の商店街の空調音を採譜してBGM化したことで知られる。
なお、プログラマーのは、容量不足を補うために戦闘中の足音をすべて3拍子に統一した。これによりゲーム全体が妙に落ち着いて見えるが、社内では「実装が丁寧すぎる」と評された。
音楽[編集]
音楽は全体にサックス、エレクトリックピアノ、そして微かな換気扇のノイズを含む独特の編成で構成されている。サウンドトラックは発売翌年にから単独CDとして出され、初回盤には“昼休み用の無音トラック”が付属した。
代表曲「」は、デパートの館内放送のような旋律から急に哀愁へ転じることで知られ、ファンの間では通勤時に聴くと背筋が伸びる曲として定着した。また、戦闘曲「」は、テンポが毎分74拍と極端に遅いにもかかわらず、妙に焦燥感があることで高く評価された。
移植版[編集]
本作はにへ、には据置型のへ移植された。後者では画面サイズが拡大された一方、赤バージョン固有の暗赤色演出が薄まり、原作ファンから「渋さが減った」と批判された。
また、には向けの配信版が開始された。配信開始直後は通信エラーが多発したが、これは古い端末が“おっさんの気配”に耐えられなかったためと説明されている。
評価[編集]
発売当時、本作は専門誌で平均8.7点を記録し、の“生活感特別賞”を受賞した。売上は国内で約62万本、全世界累計184万本とされ、携帯機のとして語られることが多い。
一方で、教育関係者からは「小学生に昼寝の概念を植え付ける」として懸念も示された。しかし、販売店での実演会では祖父母層の反応が良く、結果として三世代で遊ばれる珍しいとなった。
関連作品[編集]
続編として『』がに発売され、シリーズの方向性をより職場寄りに傾けた。ほかに外伝として『』、『』、『』が存在する。
また、本作の人気を受けて、企画や展開が検討された記録が残る。もっとも、アニメ版は第2話の段階で「静かな食卓」を描きすぎたため放送枠に収まらず、未放送のまま終了したとされる。
関連商品[編集]
攻略本としては、から『』が刊行された。本文の約3分の1が弁当の包み方に割かれており、攻略本としては異例の構成である。
また、書籍『』、『』、『』などが関連書として扱われた。その他の商品には、赤い名札風のメモ帳、肩たたき機能付きの玩具電話、そして実用性の低いミニチュア通信ケーブルがある。
脚注[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
燐光ソフトウェア公式アーカイブ
湾岸市観光局・架空ゲーム年表
レトロ携帯機資料館
おっさんゲーム保存協会
赤バージョン研究室
脚注
- ^ 三好 恒一『ポケットおっさん2 設定解剖録』燐光出版, 1999, pp. 14-31.
- ^ 久保田 透「携帯機における中年性表現の研究」『月刊ゲーム矩陣』Vol. 12, No. 4, 1999, pp. 22-29.
- ^ 戸川 真里『赤い名札のブルースとその周辺音楽』燐光レコード・ブックス, 2000, pp. 3-18.
- ^ A. Thornton, “Red-Pocket Aging Mechanics in Late-90s RPGs,” Journal of Portable Ludology, Vol. 7, No. 2, 2001, pp. 101-119.
- ^ 森下 篤志「3拍子化された戦闘BGMの実装について」『ゲーム工学研究』第18巻第1号, 2000, pp. 55-63.
- ^ 相沢 祐介『湾岸市視覚資料集 1998』燐光アート社, 1998, pp. 40-57.
- ^ 山内 由紀子「昼寝欲求パラメータの社会学的考察」『家族と遊戯』第5巻第3号, 2002, pp. 77-84.
- ^ P. McElroy, “Communication Cable Rituals and Ad Hoc Multiplayer,” Retro Systems Quarterly, Vol. 3, No. 1, 2004, pp. 9-26.
- ^ 徳間遊戯出版編集部『ポケットおっさん2 完全昼休み解析書』徳間遊戯出版, 1999, pp. 112-163.
- ^ 中村 佳奈『赤バージョン現象の都市論』北辰学術社, 2005, pp. 88-95.
外部リンク
- 燐光ソフトウェア 公式年表
- ポケットおっさん資料保管室
- 湾岸市観光情報局
- レトロ携帯機アーカイブ
- おっさん文化研究会