ポケットモンスター
| タイトル | ポケットモンスター |
|---|---|
| 画像 | PocketMonsters_Title.png |
| 画像サイズ | 280px |
| ジャンル | ハンティングRPG(モンスター同封・育成) |
| 対応機種 | ポケットキャストK2 |
| 開発元 | うずまき開発研究所 |
| 発売元 | みずほ娯楽株式会社 |
| プロデューサー | 根岸ハルマ(Negishi Haruma) |
| ディレクター | 西城サオリ(Saori Saijo) |
| 音楽 | 岩城レンジ(音響工房レンジ) |
| シリーズ | ポケットモンスターシリーズ |
| 発売日 | 1998年7月12日 |
| 対象年齢 | 全年齢(推奨 9歳以上) |
| 売上本数 | 全世界累計 1,234万本(2020年時点) |
| その他 | 通称「ポケ」。統合通信「ねこ回線」対応(地域限定) |
『ポケットモンスター』(英: Pocket Monsters、略称: ポケモン)は、[[1998年]][[7月12日]]に[[日本]]の[[うずまき開発研究所]]から発売された[[携帯型ゲーム機]]用[[コンピュータRPG]]。[[“ポケット”]]の概念を核にした[[ポケットモンスター]]シリーズの第1作目である[1]。
概要[編集]
『ポケットモンスター』は、プレイヤーが[[ポケットコンテナ]]を携行し、街角の「野生帯(バンド)」で[[モンスター]]を採取・育成して競う、いわゆる[[コンピュータRPG]]である[1]。
本作が「ポケット」と呼ばれたのは、単に小型デバイス向けだったからではなく、開発側が[[携帯型ゲーム機]]の画面サイズに合わせて“記憶容量の財布”を設計したという事情があるとされる。すなわち、モンスター図鑑データは容量節約のため「1匹につきテキストを平均512文字に圧縮」する規格が先に決まり、その規格がゲーム全体の文体にまで波及したと説明されている[2]。
また、本作の初期プロトタイプでは、戦闘より先に「ポケットの縫い目を撫でる儀式」が必須だったとも伝えられるが、当時の社内テストで“撫で方の癖”がスコアに直結してしまい、競技性が歪んだため廃止されたとされる[3]。
ゲーム内容[編集]
プレイヤーは[[ハンター見習い]]として操作し、[[街]][[野生帯]]、そして[[ジオム大樹]]のような巨大ランドマークを巡ってモンスターを探す[4]。
ゲームシステムの特徴として、戦闘はターン制の[[ハンティングアクション]]ではあるが、実際の入力は「捕獲方向(方位)」と「呼び戻し強度(G値)」の2系統に分かれている。たとえば、捕獲方向は画面上の矢印で指定し、呼び戻し強度は“指の圧”を擬似的に読み取る仕様であったとされる。通信ケーブルを接続していないオフライン環境でも、毎回“重力揺らぎ”が異なる疑似乱数が適用されるため、同じ行動でも結果が変わると説明される[5]。
また、アイテムは「万能薬」などの定番に加え、[[ポケットインク]]という特殊カテゴリがある。ポケットインクは図鑑の“空欄”に使用することで、後から発見された情報を追記できる仕組みで、開発者が「知識の保留は冒険心を増幅する」と語ったとされる[6]。
対戦モードとしては「[[二つ名決闘]]」が用意されており、勝敗はモンスターの強さだけでなく、プレイヤーが選んだ二つ名の長さ(文字数)に応じて微小ボーナスが付与される。社内では“文章が強さを決めるRPG”と呼ばれたが、後年の調整で二つ名ボーナスは廃止され、物議を醸したとされる[7]。
戦闘[編集]
戦闘では、モンスターごとに「鳴き声周波数」が設定され、相手の鳴き声と干渉すると追加演出が発生する仕様であったとされる。周波数は表面上は数値化されないが、攻略情報では「弱点は周波数差が0.8〜1.2のとき出やすい」といった経験則が流通した[8]。なお、開発側が公式にその条件を否定したにもかかわらず、後のパッチでは確率表が“0.8刻み”で更新されており、結果として否定が裏目に出たと指摘されている[9]。
アイテム[編集]
アイテムは所持上限が16枠で、枠の節約のため「使い捨て」ではなく「上書き式」が多用された。代表例が[[記録針]]で、一定数の探索後に針を刺すことで図鑑情報が“上書き更新”される。プレイヤーの一部には「針を刺す回数が多いほど、思い出が痛む」と語る者がおり、開発が狙った演出だと解釈された[10]。
対戦モード・協力[編集]
対戦はオフラインでもローカル通信で可能だが、当初は協力プレイが“未実装”と誤解されていた。実際には、協力プレイは野生帯に置かれた[[光標]]を同時に点灯させる形式で、仕様書では「同盟アルゴリズム」と呼ばれていた[11]。ただし、光標は場所によって点灯判定の厳しさが異なり、初心者が不公平感を訴えたことで、翌年の修正で“判定窓”が±3%に拡大されたとされる[12]。
ストーリー[編集]
物語は「[[七つの門]]」を巡り、失われた図鑑権利(当時は“索引権”と呼ばれていた)を取り戻す旅として描かれる[13]。
主人公は[[ジオム大樹]]の根元で、古い放送塔から流れる“種の召喚”の声を聞く。放送塔の保守記録によれば、その声は[[1977年]][[2月19日]]に行われた試験放送の残響で、試験放送の目的は「子どもが暗記を嫌がらない周波数の研究」だったとされる[14]。
一方で、作中最大の謎は、門に近づくほどモンスターの鳴き声が“口承の言葉”に変化する点である。後年のインタビューでは、作家が「音が言葉になった瞬間、プレイヤーは自分の記憶を見失う」と語ったと記録されているが、社内メモではその表現を“怖がらせすぎ”として削る案も出ていたとされる[15]。
登場キャラクター[編集]
主人公側には、旅の相棒として[[図鑑係のルカ]]が同行する。ルカは感情を持たない印字機のような口調で、探索中に「情報はポケットに収まるが、疑いは収まらない」と繰り返す設定であったとされる[16]。
仲間としては、門の管理を担う[[門番のアユム]]が登場する。アユムは義務感が強く、勝利条件を“相手を倒すこと”ではなく“相手が撤退を選ぶ状態にすること”と定義している。ファンの間ではこれを、ゲームデザイン上の“ターン経済”の比喩だと解釈する者もいるが、開発者の友人が実際の現場で言っていた口癖だとする説もある[17]。
敵対勢力としては[[索引庁]](さくいんちょう)が設定される。索引庁は公式には図鑑情報の保全を掲げるが、実態は「索引権の独占」を狙う組織と描写される[18]。ただし、索引庁の幹部名が作中で一度も明かされないため、誰が命令しているのかは曖昧にされている。
用語・世界観[編集]
本作の中心概念は[[ポケットコンテナ]]である。コンテナは“生物”を入れる装置として描かれるが、設定上は「記憶を薄くする容器」と説明される。容量を節約するため、モンスターの性格は3段階に丸められ、気分変化は数値でなく色の濃淡として示される。開発資料ではこの調整が「色の濃淡は、文字列より誤差が小さい」ことに基づくと記されている[19]。
また、世界は[[野生帯]]と呼ばれるエリア群で構成される。野生帯は地理的には「湿度」「残響」「電離」が混在する地域として作られ、攻略ガイドでは湿度を“相対値”で測る。具体的には「湿度指数が72以上で『静電の巣』が出やすい」といった経験則が流通し、結果としてプレイヤーの生活防衛まで巻き込んだと評される[20]。
さらに[[索引権]]は、門を開く鍵であり、図鑑情報そのものが“契約”の対象になっているという奇妙な制度として描かれる。ゲーム内では契約書のような画面が出るが、テキストは平均で[[512文字]]に収まるよう圧縮されていたとされる[2]。なお、この圧縮仕様がのちに対戦二つ名ボーナスへ影響したと噂されている[7]。
モンスター(通称:ポケモン)[編集]
モンスターは分類上、体表の模様ではなく「捕獲行動の反復性」によって群分けされる。たとえば、反復性が高い個体は“帰巣型”として扱われ、帰巣型は捕獲後の再呼び戻しが速いとされる。プレイヤーは捕獲効率を上げるため、特定の呼び戻し強度を探る“身体トライアル”を強いられたという[21]。
用語と表示設計[編集]
表示は極端にミニマルで、状態異常はアイコンだけで示される。アイコンは“意味が似ているほど強い”というデザイントレンドに従い、同系統アイコンは判別が難しい。にもかかわらず攻略が進んだのは、プレイヤーが「誤読こそ最適化」と信じたためだと、のちに開発者が語ったとされる[22]。
開発/制作[編集]
開発は[[うずまき開発研究所]]の小規模チームから始まり、最初の仕様書はA4用紙13枚分しかなかったと伝えられる[23]。
制作経緯として特に語られるのは、「ポケットの財布」を思想化した会議である。根岸ハルマは、当時の携帯型機のメモリが逼迫していたことを背景に、データ圧縮の限界を“物語の圧縮”として採用したという[24]。この方針により、ストーリーは長編ではなく“区切られた短い記録”の連続として設計された。
スタッフ面では、ディレクターの[[西城サオリ]]が“戦闘の入力は二つに縛れ”と命じたとされ、結果として捕獲方向と呼び戻し強度の二系統入力が確立された[5]。ただし初期版では入力が3系統で、開発者が自分の手首を痛めるレベルで酷使したため、健康面の理由で二系統へ削ったとされる[25]。
評価(売上)[編集]
発売初月の売上は公称で約18万本とされ、週末の追加出荷により[[1998年]][[8月]]末には月間累計が31万本に達したとする資料が残っている[26]。
全世界累計は、のちに公表された集計で1,234万本を突破したとされるが、この数字は「海外向けの再販分を含む」と注記されている[27]。そのため、ファンコミュニティでは“実売”と“カウント”が混同され、初期から論争が絶えなかったとされる。
評価としては、日本ゲーム大賞の受賞作として扱われた時期があり、授賞委員の一人が「説明文が短いほど、プレイヤーは長く考える」とコメントしたと報じられた[28]。一方で、オフラインで結果がぶれやすい設計は“運ゲー”として批判も受け、特に序盤の捕獲成功率を巡って攻略掲示板が荒れたとされる[5]。
関連作品[編集]
関連作品としては、同世界線を描く[[冒険ゲームブック]]『図鑑の縫い目』(著: 柴原モモ、架空出版社: 影書房)がある[29]。
また、モンスターの生態を擬似ドキュメンタリー風にまとめた[[テレビアニメ]]『門番のアユム』が制作され、初回放送は[[1999年]][[4月]]であったとされる[30]。さらに、対戦二つ名の文化を題材にした漫画『短文こそ強者』も登場し、二つ名の文字数を巡るパロディが流行したとされる[31]。
関連商品[編集]
攻略本としては[[攻略本]]『完全ポケット図鑑—湿度72の真実—』が発売され、付録としてポケットインクの“疑似塗布シート”が同梱されたとされる[32]。
書籍のほかにも、[[カード]]状のポケットコンテナシールが販売され、シールを貼ると図鑑UIが一部だけ変化する“連動演出”があると宣伝された。もっとも、実際には連動は限定的で、ほとんどは気分の演出として消費されたと後年のユーザーが語っている[33]。
なお、当時の量販店では“ポケットモンスター用レジ袋”が独自に販売されたという記録が残っており、レジ袋の容量目標が「コンテナ16枠相当」と設定されていたとされるのが、いかにも架空のリアルとして知られている[34]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
〔日本語〕 - 根岸ハルマ「『ポケットコンテナ設計思想—512文字の倫理』」『[[月刊ゲーム設計紀要]]』第14巻第3号、影書房、2001年、pp. 22-41。 - 西城サオリ「戦闘入力を二つに縛る—捕獲方向と呼び戻し強度—」『ゲームシステム研究』Vol.9 No.1、海風出版、2000年、pp. 3-19。 - 佐渡崎ナオ「野生帯の電離と残響—湿度72仮説の検証—」『フィールド型RPG論集』第2巻第2号、地図社、2002年、pp. 77-96。 - みずほ娯楽株式会社編『ポケットモンスター資料集(社史別冊)』みずほ娯楽、2005年。
〔英語〕 - Haruma Negishi, “The Pocket Wallet Metaphor in Handheld RPG Compression,” In: Proceedings of the International Conference on Narrative Interfaces, Vol.3, pp. 101-119, Kyoto, 2002. - Saori Saijo, “Two-Axis Combat Input and Player-Hand Fatigue: A Field Report,” Journal of Interactive Mechanics, Vol.7, Issue 4, pp. 55-73, 2001. - Naosaki Sadozaki, “Ionized Ecology in Narrative Worldbuilding,” Transactions on Game Ecology, Vol.12, No.2, pp. 201-230, 2003. - “Pocket Monsters Sales Accounting Standards (Revision 1),” International Retail Systems Review, Vol.1, No.1, pp. 1-9, 2004.
〔補足〕 - “Pocket Monsters: The Real History of the Index Rights,” とある出版社編集部『世界ゲーム史ハンドブック(第5版)』第6巻第1号、2009年、pp. 12-18(ただし記述の整合性は低いとする指摘がある)。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
脚注
- ^ 根岸ハルマ『『ポケットコンテナ設計思想—512文字の倫理』』月刊ゲーム設計紀要, 第14巻第3号, 影書房, 2001年, pp. 22-41.
- ^ 西城サオリ『戦闘入力を二つに縛る—捕獲方向と呼び戻し強度—』ゲームシステム研究, Vol.9 No.1, 海風出版, 2000年, pp. 3-19.
- ^ 佐渡崎ナオ『野生帯の電離と残響—湿度72仮説の検証—』フィールド型RPG論集, 第2巻第2号, 地図社, 2002年, pp. 77-96.
- ^ みずほ娯楽株式会社『ポケットモンスター資料集(社史別冊)』みずほ娯楽, 2005年.
- ^ Haruma Negishi, “The Pocket Wallet Metaphor in Handheld RPG Compression,” Proceedings of the International Conference on Narrative Interfaces, Vol.3, pp. 101-119, 2002.
- ^ Saori Saijo, “Two-Axis Combat Input and Player-Hand Fatigue: A Field Report,” Journal of Interactive Mechanics, Vol.7, Issue 4, pp. 55-73, 2001.
- ^ Naosaki Sadozaki, “Ionized Ecology in Narrative Worldbuilding,” Transactions on Game Ecology, Vol.12, No.2, pp. 201-230, 2003.
- ^ “Pocket Monsters Sales Accounting Standards (Revision 1),” International Retail Systems Review, Vol.1, No.1, pp. 1-9, 2004.
- ^ とある出版社編集部『世界ゲーム史ハンドブック(第5版)』第6巻第1号, 2009年, pp. 12-18.
外部リンク
- PocketLab(ポケット開発アーカイブ)
- IndexRights Wiki Mirror(索引権ミラー)
- 野生帯湿度計測研究会
- 光標協力プレイ資料庫
- 音響工房レンジ:岩城レンジ公式ログ