京大合唱団バリトン

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京大合唱団バリトン
名前京大合唱団バリトン
画像Kyodai_Gasshodan_Bariton_live_1998.jpg
画像説明1998年の東京国際フォーラム公演
画像サイズ260px
背景色#2A1D24
別名京バリ
出身地京都府京都市左京区
ジャンルオルタナティヴ・ロック、合唱系ポストパンク
職業ロックバンド
活動期間1989年 - 2007年、2013年 -
レーベルLattice Note Records
事務所白河坂音響研究所
共同作業者渡辺精一郎朝比奈ユイ
メンバー高瀬一真御門琢磨椎名環北條レイ
旧メンバー三枝和也藤堂みなみ
公式サイト京バリ公式アーカイブ

京大合唱団バリトン(きょうだいがっしょうだんばりとん)は、日本の4人組ロックバンドである。所属事務所は白河坂音響研究所。レコード会社はLattice Note Records。1989年に結成、1994年にメジャーデビュー。略称は「京バリ」。公式ファンクラブは「低音講堂」である。

目次
1概要
2メンバー
3バンド名の由来
4来歴
4.1結成 - インディーズ期
4.21994年 - メジャーデビュー
4.31998年 - 社会現象化
4.42007年 - 活動休止と再編
5音楽性
6人物
7評価
8受賞歴
9ディスコグラフィ
10ストリーミング認定
11タイアップ一覧
12ライブ・イベント
13出演
14NHK紅白歌合戦出場歴
15脚注
16参考文献
17関連項目
18外部リンク

概要[編集]

京都府発の4人組ロックバンドで、合唱の低音部であるバリトン唱法を前面に押し出したことからこの名が付いたとされる。もともとは京都大学近辺の学生演奏会で活動していたが、後に独自の電気増幅装置「共鳴胴」を導入し、学園祭規模の編成から全国ツアー規模へ拡大した。

歌詞は学術用語、下宿文化、深夜の鴨川散歩を主題にすることが多く、1990年代後半には「知性派ロックの代表」として扱われた。もっとも、本人たちは一貫して「我々はただ低い音が好きなだけである」と主張していたとされる[1]

メンバー[編集]

### 現メンバー - 高瀬一真(たかせ かずま) - ボーカル、リーダー。最も低い音域を担当し、ライブでは講義用のポインターをマイクとして使用することで知られる。 - 御門琢磨(みかど たくま) - ギター、コーラス。和音の設計に音響工学を持ち込み、学生時代に自作した「三段式反響板」が初期の武器であった。 - 椎名環(しいな たまき) - ベース、コーラス。低音域の持続に長け、1曲で同一音を8分48秒保持した記録がある。 - 北條レイ(ほうじょう れい) - ドラムス、コーラス。拍節を昭和歌謡とモータウンで割る独自のスタイルを確立した。

### 元メンバー - 三枝和也(さえぐさ かずや) - 初代ボーカル。1989年の初期録音のみ参加。 - 藤堂みなみ(とうどう みなみ) - キーボード。1998年に留学を理由に脱退したが、実際は「コード進行が美しすぎて怖い」という理由だったという証言がある[2]

バンド名の由来[編集]

バンド名は、京都大学の合唱サークルを模した「京大合唱団」と、当初の担当声域であったバリトンを組み合わせたものとされる。ただし命名の実務は御門が担当し、提出時のメモには「京大っぽいが大学公式ではない、合唱団っぽいが実態はロック」と書かれていたという。

この曖昧さが逆に功を奏し、学内外で「何をやっている団体なのか分からないが妙に本格的」という評判を得た。なお、初期のチラシには団名の下に小さく「低音の倫理を守る会」と添えられていたことが確認されている[3]

来歴[編集]

結成 - インディーズ期[編集]

1989年、左京区の喫茶店「アルペジオ館」で結成された。発端は、高瀬が深夜に聴いた男声四部合唱のテープに感化され、ロックバンドに合唱の配置を持ち込めないかと考えたことである。

初期は京都大学周辺の小ホールを中心に活動し、1公演あたり観客17〜40人程度であったが、終演後の拍手がやけに長く、近隣住民から「終わったのか始まったのか分からない」と苦情が寄せられた。これが後の長尺コーダ志向につながったとされる。

1994年 - メジャーデビュー[編集]

1994年、Lattice Note Recordsよりシングル『反響室の月』でメジャーデビューした。発売初週の売上は1万2,480枚であったが、店頭では「宗教音楽かと思った」との問い合わせが相次ぎ、音楽誌で話題となった。

同曲のミュージックビデオでは、琵琶湖のほとりに設置された仮設コーラス台が強風で傾き、メンバーが全員半歩ずつズレたまま歌い切った映像が「偶然のポリリズム」として評価された。

1998年 - 社会現象化[編集]

1998年に発売したアルバム『低音学概論』がオリコンチャート初登場2位を記録し、累計売上は68万枚を突破した。収録曲『鴨川の等式』は深夜番組のエンディングに起用され、翌週の京都市内でハミングする学生が急増したという。

この時期、バンドはNHKの音楽番組にも出演し、スタジオ内で突然コーラス譜を黒板に書き始めたため、司会者が授業進行と勘違いした逸話が残る。

2007年 - 活動休止と再編[編集]

2007年、長年のツアー疲労と「低音の飽和」を理由に活動休止を発表した。公式発表では「我々の声帯が学期末を迎えた」と説明され、ファンの間では半ば定型句として扱われた。

2013年には朝比奈ユイの協力で再始動し、旧来の合唱要素に電子処理を加えた。復帰後は会場の床材によって曲のテンポが変わるとされ、施工業者との調整がライブの一部になっていた。

音楽性[編集]

音楽性はオルタナティヴ・ロックを基調としつつ、合唱、室内楽、学園祭バンド的な即興性が混在する。特に中低音域の厚みを重視し、サビで全員がユニゾンではなく「同じ言葉を別の母音で発音する」手法を用いることが多かった。

また、御門のギターは開放弦を多用せず、代わりに紙管を挟み込んだ半音下げチューニングが有名である。音楽評論家の渡辺精一郎はこれを「1990年代日本ロックにおける、最も上品な騒音」と評した[4]

人物[編集]

メンバー間の役割分担は明確で、高瀬が構想を出し、御門が譜面化し、椎名が低音の持続可能性を検証し、北條が曲を現場で現実化する構造であった。このため、制作会議はしばしば大学のゼミのようになり、議事録には「次回までに和声の倫理を確認」とだけ記されていた。

一方で、私生活では極端に素朴で、高瀬は移動中に必ず東海道本線の駅名を暗唱し、椎名はホテルの製氷機でリズム練習をしていたという。こうした逸話が「知的だが妙に生活感がある」バンド像を形成した。

評価[編集]

批評家からは、合唱とロックの接合を制度化した先駆的存在として評価された。特にライブ空間における「声の建築性」は高く、大阪城ホール公演では観客の拍手が残響として曲の一部に組み込まれたとされる。

ただし、過度に学術的な歌詞が一般層を遠ざけたとの指摘もあり、1999年の音楽誌では「聴き終えると賢くなった気がするが、実際には何も覚えていない」と揶揄された。なお、これに対し高瀬は「それで十分である」と答えたという。

受賞歴[編集]

1998年に日本レコード協会主催の《低音表現賞》を受賞したほか、2001年には《ライブ構成最優秀賞》を獲得した。2014年には京都市文化功労の特別表彰を受け、式典では受賞トロフィーの台座を即席の譜面台として使用したことが話題となった。

また、2019年の関西音楽批評家協会では「長年にわたる活動と功績がゆえに、都市の空気を低くした」として特別記念章が授与された。もちろんこの表現は、受賞理由の原文をかなり要約したものである。

ディスコグラフィ[編集]

### シングル - 『反響室の月』(1994年) - 『等圧線のワルツ』(1995年) - 『鴨川の等式』(1998年) - 『終電前の合唱』(2002年)

### アルバム - 『低音学概論』(1998年) - 『発声する地図』(2001年) - 『第三講義棟』(2014年)

### ベスト・アルバム - 『京バリ辞典』(2007年) - 『低い声のための手引き』(2016年)

### 映像作品 - 『残響のない夜』(1999年) - 『ホールの隅まで聞こえた』(2015年)

特に『低音学概論』は、ジャケットに京都市立芸術大学の旧校舎を模した図案が使われ、購入者の半数が参考書と誤認したという。

ストリーミング認定[編集]

2020年代に入り、主要配信サービスでの累計再生数は『鴨川の等式』が1億8,400万回、『反響室の月』が9,700万回を突破したと発表された。もっとも、再生の多くは深夜ラジオの待機BGM需要によるものとみられている。

2023年にはバンド全体の月間リスナー数が最大で312万人を記録し、海外では「Japanese Baritone Rock」として再分類された。なお、この分類名を最初に提案したのは、英国の匿名プレイリスト編集者であったというが、本人確認は取れていない[5]

タイアップ一覧[編集]

『反響室の月』はテレビ朝日系深夜ドラマ『夜の反射板』の主題歌に起用された。『等圧線のワルツ』はJR西日本の観光キャンペーンで使用され、列車の発車メロディとしても短縮版が採用された。

また、『終電前の合唱』は京都市交通局の期間限定ポスターと連動し、地下鉄車内でサビが流れるたびに乗客が一斉に車窓を見つめる現象が発生したという。これは市側の想定をやや超えた反応であった。

ライブ・イベント[編集]

代表的な公演としては、1998年の日本武道館2日間公演『低音の儀式』、2004年の全国ホールツアー『発声する地図』、2015年の再始動後ツアー『第三講義棟ライブ』がある。

特筆すべきは2004年の札幌市公演で、会場の暖房が強すぎたためバリトンが乾燥し、アンコールで全員が一段階高い音域に移行したことである。観客の一部はこれを「奇跡」と呼んだが、バンド側は「事故である」としている。

出演[編集]

テレビではNHK総合SOUND ARCHIVE』、ラジオではJ-WAVE系特番『Baritone Night』に出演したほか、1999年には音楽ドキュメンタリー映画『喉の地平』に実名出演した。

CMでは文房具メーカーのキャンペーンで「書くように歌う」をテーマに起用され、北條が叩いたメトロノームの音だけで製品説明が進む構成が話題となった。なお、このCMは当初、教育番組として納品されたという。

NHK紅白歌合戦出場歴[編集]

1998年、第49回NHK紅白歌合戦に初出場し、『鴨川の等式』を披露した。衣装は全員黒の学生服風であったが、襟章だけが金色で、司会者から「研究室の皆さん」と紹介された。

2001年、第52回にも出場し、『低音学概論』の特別編集版を演奏した。歌唱中に椎名のベースが一弦切れを起こしたが、そのまま終盤まで押し切ったため、「紅白史上もっとも理性的なアクシデント」と呼ばれている。

脚注[編集]

1. 公式インタビューでは、結成当初の名称候補に「低声研究会」「四部和音同好会」などがあったと述べられている。 2. 藤堂の脱退理由については諸説あり、本人は後年「実際には部屋の隣で鳴っていた換気扇のテンポが速すぎた」と説明している。 3. 初期チラシの現物は京都府立総合資料館に寄贈されたとされるが、閲覧記録は少ない。 4. 渡辺精一郎『都市残響論』第3巻第2号, pp. 41-52. 5. 海外配信名の採用経緯は、音楽配信会社の内部文書にのみ記載があるとされる。

参考文献[編集]

・渡辺精一郎『都市残響論』白河坂出版局, 1999年. ・朝比奈ユイ『低音の設計』Lattice Note Press, 2002年. ・佐伯一馬『京都学生ロック史 1984-2004』関西音楽資料社, 2008年. ・Margaret A. Thornton, “Baritone-Based Ensemble Dynamics in Post-College Rock”, Vol. 12, No. 4, pp. 88-117, Journal of Sonic Studies, 2003. ・黒田志穂『合唱と歪みのあいだ』東洋音響新書, 2011年. ・Akira Hoshina, “On the Acoustic Ethics of Low Registers”, Vol. 7, No. 1, pp. 5-29, Kyoto Music Review, 2001. ・中村拓海『発声する都市』みやこ文庫, 2016年. ・Peter L. Wainwright, “A Brief History of Baritone Tide in Japan”, Vol. 9, No. 2, pp. 14-33, The Continental Music Quarterly, 2018. ・『低音学概論』解説資料集, Lattice Note Records, 1998年. ・高瀬一真『終電前の倫理』白河坂音響研究所出版部, 2021年.

外部リンク[編集]

京バリ公式アーカイブ

Lattice Note Records アーティストページ

白河坂音響研究所 研究報告

関西音楽資料庫 京大合唱団バリトン特集

低音学データベース

脚注

  1. ^ 渡辺精一郎『都市残響論』白河坂出版局, 1999年.
  2. ^ 朝比奈ユイ『低音の設計』Lattice Note Press, 2002年.
  3. ^ 佐伯一馬『京都学生ロック史 1984-2004』関西音楽資料社, 2008年.
  4. ^ Margaret A. Thornton, “Baritone-Based Ensemble Dynamics in Post-College Rock”, Vol. 12, No. 4, pp. 88-117, Journal of Sonic Studies, 2003.
  5. ^ 黒田志穂『合唱と歪みのあいだ』東洋音響新書, 2011年.
  6. ^ Akira Hoshina, “On the Acoustic Ethics of Low Registers”, Vol. 7, No. 1, pp. 5-29, Kyoto Music Review, 2001.
  7. ^ 中村拓海『発声する都市』みやこ文庫, 2016年.
  8. ^ Peter L. Wainwright, “A Brief History of Baritone Tide in Japan”, Vol. 9, No. 2, pp. 14-33, The Continental Music Quarterly, 2018.
  9. ^ 『低音学概論』解説資料集, Lattice Note Records, 1998年.
  10. ^ 高瀬一真『終電前の倫理』白河坂音響研究所出版部, 2021年.

外部リンク

  • 京バリ公式アーカイブ
  • Lattice Note Records アーティストページ
  • 白河坂音響研究所 研究報告
  • 関西音楽資料庫 京大合唱団バリトン特集
  • 低音学データベース
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